ふたご・ざ・ろっく!   作:餡 子太郎

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恐らく一年生編は今回で最終回です。

このまま行くと100話いきそうな気が........。


路上ライブ再び!!の巻

 

「じゃあ、審査用のデモテープ投函するからね........」

 

「お願いします!」

 

喜多さんがお泊まりして数日後、この間に完成したデモテープを投函する為に、ポストの前で虹夏ちゃんは片手で持っていたデモテープを両手で持ってる中、僕達は見守っていました。

 

「........何か念とか入れといた方がいいのかな?」

 

「念?はぁああああ~........こんな感じですか?」

 

虹夏ちゃんがポストに投函しようとすると、一度投函するのをやめて、再びデモテープを目に向けた。すると喜多さんが両手を前に出して、何か念みたいな(?)のを送るポーズをする。ふむ、つまりお祈りみたいな感じだね!

 

「甘い!もっと強く!!はぁっあ!!」

 

「天津飯!」

 

虹夏ちゃんとリョウちゃんも念を送ってるけど........。リョウちゃん、それは太陽拳のポーズだよ...。

 

すると後ろから物凄い圧が........。

 

臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前

 

ひーちゃんが九字護身法唱えてるーーー!?

 

「ぼっちちゃんの念がえげつないんだけど!?」

 

「とても頼もしいわ!!」

 

(優勝して賞金100万で高校中退するぞ...!)

 

わー、ひーちゃんの欲望が丸出しだー。でもまだまだだね、ひーちゃん!僕の詠唱は凄いよ!!僕は胸に手を当てて詠唱を唱え始める。

 

 

I am the bone of my sword.

(――― 体は剣で出来ている)

 

Steel is my body, and fire is my blood.

(血潮は鉄で 心は硝子)

 

I have created over a thousand blades.

(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

Unknown to Death.

(ただの一度も敗走はなく、)

 

Nor known to Life.

(ただの一度も理解されない)

 

Have withstood pain to create many weapons.

(彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う)

 

Yet, those hands will never hold anything.

(故に、生涯に意味はなく)

 

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.

(その体は、きっと剣で出来ていた)」

 

 

 

 

「えっ!?何!?たっくん何言ってんの!?」

 

「なんか物凄い詠唱を唱えてるわ!」

 

無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)........!?しかもアーチャー版........!?英語の部分を丸暗記したというのか!?おのれ雑種!!」

 

リョウちゃんが皆んな大好き某AUOのセリフを言ってくる。流石だねリョウちゃん!やっぱりこれも知ってたんだね!

 

皆んなの念が込められたデモテープも無事に投函し、僕達はスターリーへ戻る事にしました。その道中に、虹夏ちゃんが喜多さんの声を掛けました。

 

「それにしても、喜多ちゃんが録り直した歌、凄く良くなっててびっくりしたけど、何か心境の変化でもあったの?

 

「あっ、色々あったんですけど...、もうすっきりしました!」

 

「そっか〜、全員が納得できるのが一番だからね!」

 

「はい!これも全部........」

 

「えっ、あっえ?」

 

そう言って喜多さんはひーちゃんを見つめる。ひーちゃんは少しパニックになってるけど、すぐに落ち着いたら喜多さんが口を開いた。

 

「ありがとね、後t....、ごとりちゃん!」

 

ごとりちゃん!?何その呼び方は!?いつも通りにひとりちゃんって言ってあげて!!

 

 

 

「それにしても、もう三月なんて早いね〜」

 

「フェス出ようって決めてからあっという間でしたね」

 

そっか、あと来月で皆んな進級して僕とひーちゃん、喜多さんは二年生、虹夏ちゃんとリョウちゃんは三年生になるもんね。

 

「結果が出るまでにやれる事ってありますかね?」

 

「新曲のアピールも兼ねてそろそろ路上ライブとかやってみる?」

 

おっ、路上ライブいいね!初めてきくりさんと会った日以来だもんね!横に居るひーちゃんを見てみると........、この世の終わりみたいな顔をしているね!平常運転だね!

 

「じゃあ来週あたりがいいかもね、喜多ちゃん告知よろしく!」

 

「分かりました!来週下北沢で路上ライブしまーすっと!」

 

路上ライブの開催日を決まり、早速喜多さんはスマホでSNSで告知する。僕は喜多さんのスマホを覗き込んでみると、告知投稿のコメント欄には、こんな事が書いてあった。

 

『え!?本当にバンドやってたんですか!?』

 

『ライブ........?化粧品の実演販売の事ですか........?』

 

あちゃ〜、これはとんでもない勘違いしちゃってるみたいだね(白目)

 

「喜多ちゃん真面目に運営してる!?」

 

「........喜多さん、今後はバンド以外の投稿は禁止だよ?」

 

「本当にすみませんでした!!」

 

それ以降、喜多さんは美容関係の投稿はしなくなりました。美容関係の投稿はしなくった代わりに、僕達結束バンドのメンバーの日常を投稿し始めて、ちょっとずつではあるけど、フォロワー数が増えていってる事に、その先の僕は知る由もなかった。

 

 

 

それから時は流れて路上ライブ当日、僕達は路上ライブを行う会場に到着して、其々の楽器の準備を始める。

 

「あれ?そういえば伊知地先輩、ドラムはどうしたんですか?車が無いと持ち運べないですよね?」

 

「ふっふっふ........、それなら問題ナッシング!ハイハットとスネアとバスドラがあれば充分だよ!そしてバスドラはこれ!」

 

そう言って虹夏ちゃんが見せてきたのは、中身が空っぽのキャリーバッグだった。

 

「キャリーバック?」

 

「キャリーバックにキックペダルを取り付けたら、簡易バスドラムになるんだよ!荷物も運べて一石二鳥!」

 

「へぇ〜、工夫すればなんでも代用できちゃうんですね〜。........これってもしかして........」

 

僕が取り付けました!!

 

やっぱりなのね!!

 

いや〜、キャリーバックなんて触る事なんて滅多に無かったからワクワクしちゃったよ!いつか皆んなで旅行に行けたらいいね!

 

「物販も少し持ってきたよ〜」

 

お次に虹夏ちゃんが取り出したのは、いつもライブハウスで販売してる商品だった。どうやら此処でも販売するみたいだ、でも結束バンド(インシュロック)も普通に売るんだね........。買ってくれるいるのかな...。

 

「ちなみに私は投げ銭箱作ってきた!」

 

そう言ってリョウちゃんは『投げ銭してね♡』と書かれた箱を取り出して、自信に満ち溢れた顔で差し出してくる。相変わらずお金の事になると準備いいよね........。リョウちゃんらしいけど。

 

「あと結束バンドのマスコットキャラクター作ってきた」

 

そう言って今度はスケッチブックを取り出して、絵の書かれたページを僕達に見せると『けつばんちゃん』も書かれたキャラ名に、首に縄を結んで死にかけてるキャラクターか描かれていた。

 

いやこんなのウケないよ!?もっと可愛いのにしようよ!!

 

「ちなみに投げ銭一万円貯まるごとに餌が貰えて元気になっていく設定」

 

「SNSで最近よく見るやつ!!」

 

「一万円なんて入れてくれる人なんてそうそう居ないよ!?」

 

「こういうのはね、もっと庇護欲を掻き立てるように可愛く描かないとダメなんだよ。ほら貸して?あたしが書くから」

 

問題は其処なの!?

 

別にキャラクター制作は後でもいいんじゃないかな!?そして虹夏ちゃんがスケッチブックに新しいキャラクターを描こうとした時だった。

 

「⚫︎▽※⬜︎〒±X◎▽XX☆♡!!」

 

よく分からない発音で僕達の方へやってくる人が居た。この下駄の足跡........、そして若干漂うお酒の臭い........。

 

「うえええ〜〜〜⚫︎▽☆みんなやってんrjsdk、応援にき▽◎♪sj☆▽※〒hfkふsf」

 

「終わったーーー!!今日のライブ終わったーーー!!」

 

招かなざる厄災が君臨、きくりさんがやってきてしてしまった。虹夏ちゃんは思わず頭を抱え込んでしまい、喜多さんも顔を顰めてしまった。

 

「廣井さんなんで此処に!?何処にでも湧いてきますね!?」

 

「いや〜、君達がライブするって先輩から聞いたから来てみたけどさ〜。箱でのライブじゃなくて路上ライブだったんだね〜。打ち上げあったりする?」

 

ただ飯狙って来た事がダダ漏れですよ、きくりさん........。ほんとハイエナような人だ...。

 

「........はぁ〜(クソデカ溜め息)来ちゃったなら仕方ないか...。取り敢えず立て看板作ろっか」

 

きくりさんの事を諦めた虹夏ちゃんは、持ってきた立て看板にペンを走らせる。そして完成した立て看板は、

 

『下北沢で活動中のガールズロックバンド、結束バンド!』

 

と書かれていた。うん、至ってシンプルな立て看板だね。僕はガールじゃないけど、気にしてないからね!

 

「よし、こんな感じでいいかな?」

 

「ありきたりですよー、もっと派手にしましょう!」

 

そう言って喜多さんは立て看板に書き加えて、

 

『下北沢で〈話題沸騰!〉活動中、のガールズロックバンド、結束バンド!〈女性に大人気♡〉』

 

となった。う〜ん........、ちょっと盛り過ぎじゃない?

 

「ちょっと盛り過ぎな気が........」

 

「いいやまだ足りん、こうやるんだよ」

 

更にリョウちゃんまでも付け加えてしまい、

 

『〈全米が震撼した〉下北沢だ活動中のガールズロックバンド、結束バンド!〈待望の路上ライブ化〉貴方はまだ本当のロックを知らない........〉』

 

........ってこれよく映画の予告で見るやつだよね!?

 

「クソ映画のキャッチコピーじゃん!」

 

「あっ!虹夏ちゃん!お客さんが結構集まって来たよ!」

 

「マジ!?じゃあ早く演奏の準備をして始めよう!」

 

「そ、そうですね........」

 

立て看板でのやり取りをしていたら、いつの間にかお客さんは集まっていた。僕達は急いで演奏の準備に取り掛かると、喜多さんは何処か緊張してるような顔をしていた。

 

「だ、大丈夫?喜多さん」

 

「え、えぇ...。大丈夫よ(箱でしかやった事ないし、路上ライブ緊張するわ...。最近レコーディングとかでライブ自体暫くしてなかったし...。少し不安........)」

 

「あっ、き、喜多さん........」

 

するとひーちゃんが心配したのか、ひょこっと顔を出して喜多さんに声を掛け始めた。

 

「わ、私とたっくんも一緒にずっと前に廣井さんと路上ライブやってるです...」

 

「えっ!?そうだったの!?」

 

「うん!夏ぐらいにね!ひーちゃんも路上ライブ出来たんだから、喜多さんも絶対上手くいくよ!」

 

「う、歌だって上手になってるんです...。自信持って下さい...」

 

「ごとりちゃん........、達也くんにおんぶされてる状態で言われても説得力がないわよ...

 

「あっ、す、すみません...」

 

「ってかぼっちちゃんガチのリュックになってない!?手足がくっ付いて取り外せない状態になってるけど!?」

 

「仕方ないよ〜、最初虹夏ちゃんが持って来たキャリーバックの中に入ろうとしてたんだよ?」

 

「だからって、なんでおんぶ?たっくん辛くない?」

 

「ぜーんぜん!このぐらいへっちゃらだよ!」

 

「わ、私はたっくん専用のリュックサックです........」

 

「取り敢えずぼっちちゃん、一回たっくんから離れようか」

 

そしてひーちゃんは僕から離れてギターの準備を始め、皆んなの準備が出来たら早速演奏に取り掛かる。

 

「え〜、結束バンドです。よろしくお願いしまーす!それじゃあ一曲目聴いてください!」

 

喜多さんの掛け声で、最初の一曲目の前奏が始まった。

 

「あっ、ライブやってるよ〜!」

 

「懐かしいねぇ〜、バンドやってた頃を思い出すね。活動頑張ってね!」

 

歌い始める前に二人組の女性がリョウちゃんの作った箱に小銭を入れると、リョウちゃんが急に演奏を止めて、先程の女性がお金を入れた箱を覗き見る。

 

「おっ、500円ゲッチュー」

 

演奏止めるな山田ぁぁぁぁ!!

 

演奏を止めた事に怒った虹夏ちゃんが、リョウちゃんにジャーマンスプレックスをお見舞いした。わぁ!なんて綺麗なフォームなんだろう!こういうツッコミ出来るのってなんか憧れるね!!

 

気を取り直して、僕達は演奏を再開する。虹夏ちゃんのドラムに合わせて、ギターとベースの音が鳴り響く。そして、喜多さんの歌声がお客さんを魅了する。お客さんだけじゃない、虹夏ちゃんやリョウちゃんまでもが喜多さんの歌声に驚く中、僕とひーちゃんはきっと上手くいくと信じて笑みを作った。

 

「あーこの曲好きだわ」

 

「ね〜、ピンクの子もいいし、赤い髪の子も素敵ね〜」

 

そんなお客さんの声が聞こえてくる。どうやら僕よりも喜多さんの歌声が評判が良いみたいだ。僕も負けていられないなぁ...、そんな思いが強くなる中、僕は演奏に意識を戻した。

 

 

 

「今日はこれで終了です、ありがとうございました!」

 

最後の演奏を終わり、無事に大成功を収める事が出来た。喜多さんの歌声も好評で、本人も喜んでいた。お客さんもまた来よう、と言ってくれる人がいてとても嬉しいものだ。そして少し時間を使って物販を販売していると、きくりさんがやって来た。

 

「や〜、よかったよ〜。皆んなレベルアップしたね〜」

 

「ありがとうございます!」

 

「皆んなの初ライブから観てる身としては込み上げてくるもんがあった........、ってやば」

 

「かいさーん!!お疲れ様でしたー!!さようならー!!」

 

いきなりきくりさんが口を押さえ始めると、僕達は急いで荷物を持ってその場を離れる為に走り出すと、ひーちゃんが躓いて転んでしまった。

 

「あっ!」

 

「ぼっちちゃん!?」

 

「ひーちゃん大丈........、ってひーちゃんの下半身がスライムみたいに溶けてる!?

 

「きっ、緊張から解放されたら身体の自由が........」

 

「ひーちゃんしっかり!........ぐぎぎぎぎ......、何この物凄い粘着力!?全然引き剥がせない!?く"お"お"ぉ"ぉ"!!(♯ ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)」

 

「たっくんがしちゃいけない顔と声を上げてる!?」

 

「こうなったら粘土みたいに練って丸くするんだ!」

 

「アホか!皆んなも引き剥がすの手伝って!」

 

「機材関係も含めて、ごとりちゃんが居る限りは車必須かもですね...」

 

それから身体中がスライムみたいになってしまったひーちゃんを皆んなで回収して路上ライブの会場を後にしました。余談ですが、きくりさんはあの後、お巡りさんに保護されて志麻さんに助けを求めたそうですが、すぐに見捨てられたそうです。

 

........ま、まぁ路上ライブやって成功させるのが目的だったから、大丈夫だよね!?ね!

 

つづく!!




次回、ようやく進級して二年生編です。

此処までの道のりが長過ぎぃ!!
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