遊戯王ARC-V A Transcender 作:ダイナソー剣崎
話は本編の三年前、本編41話の内容となります。
アカデミア
プロフェッサー曰く融合次元と言われるこの次元に存在する孤島に設立されたデュエル戦士教育施設である。
そこでは軍事的な訓練や教育がほとんどで暇があればデュエルくらいなものだ。
そんな中、黄色いラーイエローの制服に身を包んだ俺は今日のカリキュラムを早々に終えて、外を歩いていた。
(こんな訓練…もう完全に戦争だよなぁ…)
いよいよエクシーズ次元への侵攻作戦が近いからか、日々の訓練や講義はどれもデュエルを使った実戦を想定してるようなものばかり。特にデッキも多人数で連携して行えるように統一し、さらには倒した相手を文字通りカードにする機能が組み込まれたデュエルディスクを作戦時に渡されるらしい。
(人をカードにするって…そこまでやるか普通)
俺は疑問を抱くが口には出さないようにしている。言ったら周りから裏切り者だとか言われるかもしれないしな。
まあ最初の侵攻はエリートの精鋭で固められた"オベリスクフォース"が先陣を切り、残党の処理を俺たちラーイエローやオシリスレッドの生徒が行うって流れみたいだから大分先になるらしい。
そんな事を思いながら歩いていると騒がしい声が聞こえてきた。
そこでは教官たちが一人の青い髪の少女を追い詰めてデュエルをしていた。
何やら不穏だなと思いながらその光景を離れて見ていた。下手に割って入ると教官たちに何を言われるかわからないからな。
少女は教官たちが召喚した機械仕掛けの体に右腕にリボルバー式の武器を装着した機械兵《
「この程度でアカデミアの教官を名乗ろうとは、片腹痛い!」
「自惚れるな!まだ終わってはおらん!」
教官たちが次の一手を打とうとしたその時、少女のいた場所の真上から声が聞こえてきた。
「僕は、《DDケルベロス》を召喚!バトルだ!」
その声と共に少女の真上から3つの頭を持つモンスター《DDケルベロス》が《古代の機械兵士》に突撃し、破壊した。
その隙に真上にいた眼鏡をかけた同じく俺と同い年くらいの少年が「こっちだ!」という声と共に少女に手を延ばす。教官たちが少女を捕まえようと迫るがそれを《DDケルベロス》が阻む。その間に二人は逃げていったようだが教官たちの方を見るとデュエルディスクに発信器か何かが仕込まれてるのかすぐに走っていった。
「何が起きてるんだ…?」
一部始終を見て一言こぼすが気になって仕方がなかった。あの少女は何者なのか?教官たちが血眼になって追ってるのだから余程大事なのだろうことは伺える。
その後にやってきた少年の方も気にはなる。服装からしてアカデミアの生徒ではないことは明白だったからだ。そんな好奇心に突き動かされるように俺は先ほど少女たちが走っていった方向に向かった。
*
二人にバレないように隠れて後を着いていくと港にたどり着いた。
そこで少女は少年に掴まれていた手を払い除けていた。
「貴様、アカデミアの者ではないな!船はどこだ!」
「船…?」
「貴様の乗ってきた船があるだろう!?」
少年はアカデミアの生徒ではないが港を見渡しても船は一隻も見当たらない。ではどうやってこの少年はアカデミアに来たのだろうか?そんな疑問を抱いたがその答えはすぐに分かることとなった。
「君の未来はここにある!」
二人の声とは違う人物の声が聞こえ、その方向に目を向けると驚きが大きかった。スキンヘッドに何やら機械のようなものが取り付けられている威厳のある人物、このアカデミアの統率者でもあるプロフェッサー
「父さん!」
少年はプロフェッサーの姿を見て声をあげた。察するに彼はプロフェッサーの息子なのだろう。だがプロフェッサーは少年に目もくれず少女のほうだけに目を向けていた。
「セレナ、君の能力はこの私がよく分かっている」
「なら何故私をこの島に閉じ込めておく!?何故私の力を使わない!?」
少女、セレナはプロフェッサーに対して疑問を投げ掛ける。話を聞いているとセレナは近々行われるエクシーズ次元への侵攻作戦部隊に自分も参加させろとプロフェッサーに抗議しているようだ。
しかしプロフェッサーはその抗議を一刀する。
そんな会話に少年はついていけておらずプロフェッサーに声をあげる。
「ちょっと待てよ!侵攻とか滅ぼすとかって…何言ってんだよ!?ここはどこなんだ!?アカデミアって何!?僕や母さんに何も知らせず…会社まで放り出して…!一体何をやってるんだ!?父さん!」
「零児。それを知るために、わざわざ次元を越えてきたのか?」
少年、零児の投げ掛ける問いにプロフェッサーは動じることなく淡々と聞き返す。どうやら彼は別の次元からこちらに来たようだ。
そうこうしていると二人はオベリスクフォースたちに取り押さえられていた。セレナは両腕を掴まれた状態で暴れるが力ではオベリスクフォースたちのほうが勝っているため何も出来ずにいる。
「セレナ。君がどこに逃げようと、私は君を探し出す。そして絶対に連れ戻す!絶対にだ!連れていけ」
セレナに対してプロフェッサーには力強くそう言うとオベリスクフォースたちにどこかへと連れていかせた。
そして零児には小型の次元移動装置を腕に着けて元の次元に返されてしまった。
「すごい物見ちゃったのかな?これ…」
とにかくここを離れよう。そう思いここを後にしようとしたが、足元に石ころが転がってたようで勢いよくガリッ!と踏み引いてしまった。
「誰だ!」
オベリスクフォースの一人に聞こえてしまったようだ。もうこれは出るしかないか…
俺は大人しく両手を上にあげて彼らの前に出た。
すぐに取り押さえられ、プロフェッサーの前に突き出される。
「如何いたしましょうか?」
オベリスクフォースの一人がプロフェッサーに問いかける。
教官たちが血眼になって探していた少女セレナ、そしてプロフェッサーの息子の姿を見た以上何をされるか分かったもんじゃない…俺は諦めたように目を瞑った。
「君、名はなんと言う?」
「…はい?」
目の前のプロフェッサーはそう言って自分に問いかける。
そんな言葉に俺は呆気に取られてしまっていた。
「プロフェッサーの質問に答えろ!」
「ゆ、
オベリスクフォースに押さえられながら、俺は自分の名前を、雄山ツルギの名を叫んだ。
「そうか…ツルギ。今日見たことは決して他言無用だ。いいな?」
「は、はい!」
「よし…では後は任せたぞ」
俺が頷いた事を確認するとプロフェッサーはオベリスクフォースを数人連れて去っていった。
とりあえず助かったのかな…?
「プロフェッサーの温情に感謝するんだな!」
そう吐き捨てて残りのオベリスクフォースたちもその場を後にした。
偉そうな態度に言い返したい気持ちもあったがそこは何とか自分を押し止めた。
「どうなってんだ…?さっきの二人といい…」
誰もいない港でポツリと呟くが答えてくれる者は誰もいなかった。
俺はふと自分のデッキに入ってるある4枚のカードたちを取り出し見つめる。
その内3枚は効果もないノーマルモンスターではあるが、子供の頃両親に買ってもらってデュエルモンスターズを始めた頃からずっと愛用しているモンスターたちだ。
「これからどうなるんだろうな…?俺たち…」
そう言って俺は三枚のカード、《メガザウラー》《フロストザウルス》《ランスフォリンクス》、そしてもう一枚の赤い恐獣の姿が映るカードを見つめるが返ってくるわけでもなくただ波の音だけが響くばかりだった。
主人公のフェイバリットカードから何のテーマ使うのか察しがつくと思います。この時のランスフォリンクスはまだペンデュラムではなく唯の通常モンスターになります。主人公周りのカードは最新のカード使う場合ございます。次回から本格的に進めますので生暖かい目で見てくださいm(_ _)m