TSっ娘ハーレムとか正気か?~世界救って女の子に囲まれるはずが、パーティーは全員元男だったんだがどうすればいいですか~   作:恥谷きゆう

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久しぶりだなオレンジ評価バー! ハハッ、恋しかったぜぇ? 俺はテメエの姿が見たくて仕方なくて、夢にまで見るほどだったんだぜぇ? 
おいおい、何赤くなってるんだ? 照れちまったのか? ハハッ! 可愛い奴だぜ!


山頂にて

「ふう……ようやく頂上までこれたな」

「はあ、はあ。キョウは元気だな……」

「まあな。お姫様は大丈夫か? ……ソフィア?」

「……ぜえ、ぜえ」 

 

 後半全然しゃべらなくなったソフィアを見ると、彼女は疲労に肩を上下させながら膝に手を当てていた。

 

「大丈夫かソフィア」

「だ、大丈夫です……これでも……聖女ですから……こういうのにも慣れています。私、タフなので……!」

 

 ぐい、と力こぶを見せる動きをするソフィア。相変わらず細い腕は、筋肉が盛り上がる様子がまったくなかった。

 

「いやいや、全然大丈夫そうに見えないんだが……大人しくシュカに背負ってもらって良かったんだぞ?」

「い、いえ、自分の足で登山するのを楽しみたかったので……」

 

 そういう彼女は、疲労を滲ませながらも楽しそうだ。汗を滲ませながらも、王都にいた頃とはまた違う晴れ晴れした表情を見せてれる。

 

「まあ確かに苦労した方がその後の達成感も強いしな。ほら見ろよソフィア。今日は良く晴れてるから、ここからでも王都がよく見えるぞ」

 

 俺が指さした方は、ちょうど木がなくて眼下の景色が一望できた。見えたのは、俺やソフィアが最近歩いていた王都の光景だ。上から見ると、整然と並んだ屋根が綺麗に見える。

 

「上から見た王都は、こんな景色だったのですね」

 

 額に薄っすらと汗を浮かべた彼女が景色を見下ろす。その目は、今まで見れなかった光景に輝いているように見えた。

 

「ああ。これが、かつてソフィアとその騎士が守ったものだな」

「その話を、知っていたのですね」

 

 ソフィアが少し表情を固くする。俺にはそのことを知ってほしくなかった。彼女の表情はそう語っているようだった。

 

「ああ、とは言っても噂話レベルだけどな。実際に見たわけじゃない。でも、王都の人たちが姫様とその騎士に感謝していることは伝わってきた。二人の活躍があったから今みんな笑顔になれているんだって」

「感謝、そして笑顔ですか」

 

 ぽつ、と呟いた彼女が何を考えているのかは窺い知れない。

 けれども俺は、俺が持ちうる言葉すべてを用いて彼女に語り掛ける。

 

「だから俺は、ソフィアはもっと堂々としていいのになって思ったんだ。聖女の使命だとか、王族だからとか関係なく、ソフィアはソフィアを幸せにすることに意識を割いてもいいと思う」

「キョウさん……」

 

 何かで雁字搦めの彼女に必要なのは、きっと自分を肯定する力だ。短い時間接しただけだが、俺はそう直感していた。

 戦いの中で何か大切なものを失ったのかもしれない。多くの人を失ったのかもしれない。

 その過程で、精神を疲弊してしまったのかもしれない。

 

 それでも、彼女には幸せになって欲しい。

 

 

 俺の言葉を聞いていたヒビキも口を開く。ソフィアと短く接するうちに、彼女の中でも何か感じるものがあったらしい。

 

「コイツはお気楽馬鹿すぎるから参考にしすぎるのもどうかと思うが……でも、ボクも概ね同意見だ。英雄だから、聖女だからみんなのために尽くさなきゃいけないなんてことないだろ。むしろ逆だ。他人より色んなことを成したんだから、少しくらい威張っても、自由に生きてもいいんじゃないか」

 

 ヒビキの言葉を聞いて、シュカも口を開いた。彼女は馬鹿そうに見えてしっかりと自分の考えを持っている。

 

「お姫様は難しく考えすぎなんじゃない? 僕は獣人のしきたりが嫌で逃げてきた無法者だけど、それでも今まで生きてこれた。人が生きるのにそれほど多くのものはいらないと思ってるよ。背負うものはそんなに多くなくてもいい。才能に、スキルに恵まれたのなら自分のために使わないともったいないと思うな!」

「ヒビキさん、シュカさん……」

 

 ソフィアが大きく目を開く。やがて彼女は、花がほころぶような笑顔を見せた。

 

「――ありがとうございます。なんだかちょっとだけ、考え方を変えられた気がします」

 

 それは、彼女が初めて見せた彼女の本当の顔のようだった。

 少なくともその時は、そう見えたのだ。

 

 

 

 

「なあなあヒビキ。俺たちとソフィアの関係性、結構いい感じだと思わないか?」

「……あ? ああ」

 

 朝食を食べながら、俺はヒビキに話しかけた。

 朝があまり強くないヒビキは、分かっているんだかわかっていないんだか唸り声で返事をした。

 

「お姫様と密会して、お出かけして、悩みも聞いた! これはさあ……これはもう、彼女は俺のヒロインルートに入ったってことじゃないか!?」

 

 興奮のままにフォークをヒビキに突き付けるが、彼女は眠そうに俺を見つめるだけだった。

 

「お前がそう言って彼女ができなかったことが何回あった? 期待しすぎんな。ていうか彼女に押し付けんなよ」

 

 押し付けるな、と言った彼女は俺の話をよく聞いていないように見えてその実キチンと言うべきことを言ってくれているのだと思う。そういうハッキリした奴の方が俺は好きだ。

 

 ……でも、ちょっとくらい肯定してくれてもいいとは思う。

 

「分かってるよ。ソフィアの意思は最大限尊重する。……まったく、こういう時のヒビキは面白みがないな」

 

 正直に言えば、俺はソフィアに心惹かれていたのだと思う。おしとやかな立ち振る舞いも、笑うと幼く見えるところも、自分の役割を必死にこなそうとするところも、気に入っていた。

 

 だから、隣の席の男がしていた噂話を聞いた時、俺は信じられなかった。

 

「おい、聞いたかよ! ソフィア姫の婚約が決まったってよ! お相手はコロンブス公爵。40代のオッサンって話だぞ!」

「……は?」

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