タフネス系乙女ゲー主人公VS一般転生モブ兄妹VS出遅れたイケメンども。   作:はめるん用

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 源平ネタはたぶん初投稿です。



連載再開に向けた執筆練習【鬼切姫世界の壇ノ浦・転】

 人が大勢集まれば、どうしようもない人間が2割ほどは含まれる。誰も彼もが聖人君子のように生きられるハズもないのだから、それも仕方ないことだろう。

 

 そんなふうに考えていた時期が、頼朝にもありました。

 

 

 京の都で次に備えてどう動くべきか決めねばならぬと人を集めたのは良かったが、国の未来や民の安寧よりも自身の保身を求める俗物たちのなんと姦しく喧しいことか。税として納められた米を“食わせてもらっている”と認識している頼朝は怒りを覚えることすら馬鹿馬鹿しい気分になっていた。

 

 北方の鬼門は陽動の可能性が高く、南方から京の都を攻め落とすべく新たな鬼門が開く可能性あり。しかしそれはあくまで予測、予兆がないのであれば急ぎ備える必要など無いという主張は100万歩譲ればまだギリギリ飲み込めないこともないかもしれない。

 だが前例がないことを理由に大丈夫だとか言い始めた辺りで流れは完璧に変わった、というか終わった。最初の、それこそ1度目が奥州の悲劇であり、鬼たちの大規模侵攻は現実のモノとして今現在起こっているというのに大丈夫もクソもあるかと言いたかった。どうせ無駄なので黙っていたが。

 

 しかし頼朝の心情がどうであれ組織とは個人の都合で簡単に動かして良いものではない。それをすれば外部から見ている者たち、この場合は民衆の不安を煽ることに繋がってしまう。

 大陸より伝来した四神の分霊とその巫女たちの協力を穏便に得るためにもどうにか説得をと試みたものの、自分たちの安全第一な連中が大事な切り札を手放すハズがない。我らは日ノ本の要を命を賭して守護らねばならぬ責任があると得意気に返された。

 

 

 もう全部なにもかも面倒だし義経を呼び戻して一族郎党だけ連れて南方遠征に行ってしまおうかと頼朝が考え始めたあたりで。

 

 

 

 

「……ふむ。皆の言い分は良くわかったよ。それじゃあ改めて命令を出すことにしようか。頼朝くん、それに清盛さんも」

 

 

 

 

「……ッ?! はッ!」

「うぃ」

 

 

 どれだけアホでもこの場に集められた者であれば、止事無き身分の御方が発言すればそれを邪魔することはできない。一瞬で静まり返ったところに緊張した頼朝の返事と……緊張感の欠片も無い清盛の返事が重なった。

 

 

「僕が許可するから、南方の様子を見に行ってくれるかな? まぁ、彼らの言い分も理が無いワケじゃないから、四神の巫女を動かすことはできないけれど……その代わり、と言ってはなんだけど、黄龍の巫女は引き続き義経くんに預けておくから、それで許してくれると助かるのだけど」

 

「御方ッ?! それはッ!!」

「むしろ黄龍の巫女こそ呼び戻すべきではッ!」

「日ノ本の危機ならば、尚のこと」

「御方の守護を優先すねば」

 

「うんうん、僕のことを案じてくれているんだね。ありがとう。だけど、少しだけ静かにしていてくれるかな? いまは、僕が話している最中だよ?」

 

「「「「…………申し訳、ありません」」」」

 

 

 

 

「ケケケッ。日頃さんざん笠に着るマネしといて、テメェらが御方の御言葉を遮るなんて愚行やらかしてりゃ世話ねェぜ」

 

「清盛殿、はしたないですよ」

 

 

 

 

「それと、もうひとつ。頼朝くんには申し訳ないんだけど、追加でお願いしておきたいことがあって」

 

「はッ! なんなりとッ!」

 

「もしものときは、東に……武蔵国に日ノ本の中心を移すことになるかもしれないから、そのときはよろしくね?」

 

 

 御方の言葉を遮ることはできない、が……その内容は黙して聞きに徹するにはあまりにも。しかし御方が語りかけているのが頼朝である以上、周囲の者たちに意見する権利は無い。

 

 

「理由を……お聞きしても?」

 

「うーん、なんとなく……かなぁ」

 

「えぇ……?」

 

「あはは、ゴメンゴメン。でも大国主さんはホラ、頼朝くんや清盛さんのところの彼女たちと違って、あまりお喋りさんなほうじゃないから。でもね、こう……上手く言えないけれど、確かに感じるんだ」

 

「大国主様由来のなんとなく、ですか」

 

「そう。だから、えーと、ちょっと言い難いことではあるんだけど……本当に、いざ! というときは僕が囮になって民を逃がすことになるかもしれないから、そこも含めて後を任せたいんだよね」

 

「それはッ!? いや、ですが……ならば、南方への備えは……それよりも御身の守護を」

 

「あ、それは別に気にしなくていいよ。清盛さんと一緒に鬼門封印に集中してもらって大丈夫だから。僕のことなら、ホラ。いるから、そこに。ね? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、心配しなくても大丈夫だよ」

 

「あ、ハイ」

 

 

「お、御方……それは……」

 

「うん? どうしたのかな? だってキミたちはずっと繰り返しそう言っていたよね? 僕こそが日ノ本そのものだから……えーと、なんだっけ。詳しい内容(戯言)は忘れてしまったけど、事ある毎に僕の名前を出していたじゃないか」

 

「我らは御方より任された御役目を果たすべく、その責任を」

 

「うんうん、そうだよね。キミたちは責任感のある立派な忠臣だよ。でも、そうだなぁ。ホラ、いまは国の一大事でしょ? こんな切羽詰まった状況だし、改めて誓いを言葉にしてくれると僕も安心できるし嬉しいよ。どうかな?」

 

 

 平時だから、見逃されていた。

 

 日々を珍品財宝を愛でることに時間を費やしてきた貴族たちでは正しく理解できなかったのだろう。人間にとって血筋や肩書きが重要な意味を持つことを、確かに神霊たちも知らないワケではない。

 知らないワケではないが、それは血筋や肩書きだけを評価して加護を与えてくれることとイコールにはならないのだ。ならば神霊・大国主から加護を与えるに相応しいと認められた人物の前で、国の危機にあって巫山戯たことを吐かせば。

 

 穏やかな微笑み。

 

 優しい口調。

 

 慈しむような目線。

 

 しかし御方から発せられる気迫は戦場で鬼が放つ殺気と比べても見劣りするような代物ではなく、その背後にはハッキリと「テメェらが民のため率先して戦い喜んで死にますって宣言するまでこの会議から逃さねぇからな?」という強い意志を感じ取れた。たぶん喧嘩で番長を目指すような世界観ならプラズマキャノンみたいなメンチビームが出てる。

 

 

 

 

「ぷ〜くすくすくすwwここまで口は災いの元って言葉がバチクソ直撃することあるぅ? ねぇねぇどんな気持ち? ねぇwwどんなww気持ちwwなwwのwwドゥエッゲホッゴホゴホッフヒヒッwww」

 

「清盛殿。メッ、ですよ」

 

 

 

 

 全力でクソジジィムーブを満喫している清盛を窘めてはいるが頼朝も内心では様を見ろという気持ちが無いワケではない。

 ただ顔を青ざめさせて目を白黒している連中の対面で、まるで我が子の婚礼を祝う宴席にでも出席しているかのようにニコニコ笑顔のお歴々に遠慮しているだけのこと。

 

 武家の産まれでありながら頼朝は公家や貴族と呼ばれる者たちを決して軽んじるようなことは考えていない。生きることを目的としてただ生きるのであれば、それは獣の生き方となにも変わらない。

 ならば人が人らしく生きるには文化や歴史、伝統などを後世へ受け渡してこそ人の世足り得るのだ。もちろん文化財と人の生命を比べるつもりはないが、彼らが日ノ本という在り方を護ってくれていることに感謝こそすれど文句などあるハズが無い。

 

 の、だが。

 

 それを向こうが素直に受け止められるかは別の話。

 

 教養として武術や法術を学んでも迷宮に赴くことは許されない。安全だが無責任ではない仕事など涎が出るほど羨ましいのだが? と割り切れるなら違ったのかも知れないが、戦う力を持ちながら国家の大事になにも出来ない恥と憤りの前ではそんな理屈などクソ喰らえなのだ。

 そんな彼らが目の前で保身のために御身すら言い訳に利用されて心穏やかでいられる道理がどこにあるというのか。表情こそ鋼の意志で取り繕われていたが、その指先は膝頭や太腿を突き破らんばかりで腕にはバッチリ青筋が浮いていた。

 

 

 この場は御方と彼らに任せるのがたぶん、きっと、最善……だろう。まぁ、いろんな意味で。

 

 

 人には人の、自分には自分の仕事がある。過呼吸で動けない清盛公と平家側の準備については平重盛に任せて出陣の準備を急がねばならない。

 黄龍の巫女は義経に任せるという御言葉はつまり、源氏に許された範囲であれば巫女たちに協力を頼んでも良いという許可でもある。そして御方がそう発言したのであれば、必要な根回しも終わっているということ。

 

 願わくば、全ての準備が過ぎたる徒労に終わってくれればこれ以上誰も死なずに済むのだが……と。そんな頼朝の願いは南方からの連絡が途絶えたこと、そして壇ノ浦に広がる屍と瓦礫が混ざった大氷原を前に完全に砕かれることになる。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 寿永四年、春。

 

 壇ノ浦にて。

 

 

「こんなところにまで……どうやら鬼の中にも音楽を理解できる者がいるようですね。天下泰平の世が来たら、1度ゆっくりと話をしてみたいものです。────雅楽隊ッ!! 演奏を止めるなッ!! 我らの旋律が終わるときは日ノ本の終わりであると知れッ!!」

 

 

 戦場全域へ支援効果を届けるため結成された雅楽隊、その指揮を任されている若くして法術の才を認められた平家一番の笛上手【平敦盛】の怒号にも悲鳴にも聞こえる声が響く。

 戦場に安全な場所などあり得ない。だからこそ備えはしていたし、護衛の武者たちも手練れを揃えていた。間違いがあったとすれば、鬼側もまた戦闘中のバフ効果の重要性について知っていたことを知らなかったこと。

 

 

(ともかく、ここは私も応戦を────いや、違う。私の戦いはそうではない。きっと、異変に気付いた誰かが動いてくれている。私には、私にしかできない戦があるのだから……ッ!!)

 

 

 腰の刀には触れず、敦盛が構えたのは祖父より託された御方に由来する横笛であった。いま演奏によるバフ効果が途切れればどうなる? まず最初に護衛の兵士たちが敗北し、そして次に自分を含めた雅楽隊が壊滅し、最後には連合軍全体が敗走することに繋がるかもしれない。

 

 責任を果たすため、命の使い方を間違えてはならないのだ。

 

 羽虫が蝋燭の火に誘われるように。誰が、この場で、もっとも重要な役割を担っているのか。誰の首にこそもっとも価値があるのか。それを示すことで鬼たちを自分に引き付ける。時間を稼ぐのであれば、相手側にもっとも“利”が大きくなるよう誘導し動かねば意味がない。

 

 

「ほぉ〜? その霊気の波動、そうかそうかテメェがここのアタマか。だったら、その忌々しい笛の音を止めりゃあ万事解決ってコトになる────よなァッ!!」

 

(速い……ッ!? しかし、だからといってッ!!)

 

 

 喰い付いた。

 

 それでいい。

 

 これ以上、雅楽隊を減らされぬように。鎧を砕かれ、肉を裂かれ、血が流れようと構わず法具【小枝】を奏で続ける。面白可笑しく嬲り殺しにしようというならむしろ好都合、鬼の興味を自分に向けることに成功した時点で時間は敦盛の味方である! 

 

 殴られ、蹴られ、地べたを転がされても横笛を手放さない姿がよほど気に入ったのだろう。

 

 あるいは見せしめとして効果的に恐怖を引き出すための材料としても具合が良かったのかもしれない。

 

 構わない、これでいい。兵に守られるのが大将ではない、兵を護るのが大将の役目なのだ。雅楽隊を任された自分の戦いは鬼を斬ることではない、仲間たちを鼓舞するための旋律を途切れさせないことなのだから。

 

 

「ハッ! しつこい野郎だ。さっさと俺らに屈して命乞いでもしてりゃあ逃がしてやれたのによ。まぁいい、それだけ仲間思いなら、テメェを殺れば引き出せる恐怖にも期待できるってモンだ。じゃあな、人間。……その根性だけは、マジで認めてやってもいいぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────させるかよォォォォッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごぁッ?! テメェ、いつの間に────ガフッ」

 

 

「敦盛ィッ!! まだ生きてるかァッ!?」

 

(……直家、殿?)

 

 

 源氏の猛将、熊谷次郎直実の子【熊谷直家】率いる援軍の到着である! 

 

 侍といえど人の子、ならば我が子と変わらぬ年頃の者が大役を任されたとなれば気遣いのひとつや世話のふたつぐらいと考えてしまうもの。それが後方支援として重要であると理解していれば尚更のこと。

 直家もまた自分と同年代の敦盛が雅楽隊の指揮を任されたことについて羨む気持ちなど髪の毛先ほどにも抱いておらず、むしろ歳が近いからこそ有事の際には誰よりも疾く駆け付けて助けてやらねばと意気込んでいた。

 

 

「守りの薄い後ろを狙うのは結構なことだがな、戦場が混乱してるからこそ背後に気を配るヤツもいるってことだ。どうだ? 勉強になっただろ? つーワケだからよ、授業料代わりに首を置いてけやッ!!」

 

「「「「雄ォォォォッ!!!!」」」」

 

 

 刀身だけで身の丈を超える特大太刀を掲げる様は勇ましく、増援が到着したという事実は守備兵たちの折れかけた心を再び奮い立たせる材料にはなった。

 しかし状況はまだ好転したとは言い難い。恐らくは前線もあまり状況は思わしくないのだろう、負傷まみれの直家が引き連れてきたボロボロの兵たちを合わせても多勢に無勢と言わざるを得ない。

 

 

 そう、味方はまだ苦戦している。

 

 ならば自分の役目も決まっている。

 

 

 再び、笛を奏でる。

 

 命を燃やし尽くすだけではまだ足りない。

 

 魂すらも磨り潰して旋律の糧とする。

 

 

 この戦いが平敦盛にとって最期の“舞台”で構わない。死の間際、音を聴くことが出来なくても、笛に触れることが出来なくても、曲を思い出すことが出来なくても────音楽という言葉の意味すら忘却して、自分がなにを喜びとして生きていたのかさえ理解できないまま虚ろに終わりを迎えても構わない。

 その想いに応えるように神霊たちが舞い踊る。暗雲を晴らし陽の光を呼び戻すことならば日本神話でも屈指の権能を持つ日本最古の踊り子【天之鈿女命】と、天竺を越えて愛蘭土から渡ってきた芸術に人生を捧げる者に生涯寄り添い続け祝福を与える妖精の恋人【リャナンシー】の共演。もとより死を恐れぬ心にて鬼に立ち向かう腹積もり、それが友を仲間を守るため奮戦しているところに女神たちの後押しが加われば────奇跡など願わずとも逆境を覆すなど容易いこと! 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、どうにか片付いたか。悪いな敦盛、ちと遅くなっちまってよ」

 

「いえ、感謝します直家殿。私だけでは雅楽隊を守れませんでしたので……この程度の被害で」

 

「……? 敦盛?」

 

「あ……申し訳ありません。こちらでしたか」

 

「……ッ?! 敦盛、お前ッ! 目が」

 

「大丈夫です。まだ耳は聴こえます。指も動きます。まだ、私の戦いは、終わってなどいません」

 

「敦盛……すま、いや、ありがとうよ。なら、お前の笛の音に負けねぇぐらいの獅子奮迅の活躍をしてやるからよ、その耳でしっかりと聞き届けろよ?」

 

「えぇ、もちろんです」

 

「つっても、まぁ、一先ず手当てをしてからだがな。潮目は変わったらしいがコッチの負傷者も多い。親父殿も戦線を離脱してるし」

 

「直実様が? まさか」

 

「あぁ、命に別状はねぇよ。だが侍としては死んだも同然かもな。霊力が根っこから完全に枯渇して治癒の法術で傷が塞がらねぇし、神霊も完全に封印状態だ。今後は坊主として寺でガキどもに文字でも教えるとか言ってたよ」

 

「なんだかんだ、結局剣術の手解きなどしてそうですね」

 

「ハハッ、ちげぇねぇわ。ところで……黄龍の巫女様はどちらにおわすんだ?」

 

「え?」

 

「だから、黄龍の巫女様だよ。後方支援の手伝いをするって、お前のトコに来てたんじゃないのか?」

 

「巫女様であれば、皆の士気向上も兼ねて負傷者の治療のため前のほうへと……直家殿たちと合流する手筈だったのでは?」

 

「は?」

「え?」

 

 

 噛み合わない会話。

 

 

「…………」

「…………」

 

 

 しばしの沈黙。

 

 そして。

 

 

「「…………まさか」」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 時を同じくして源平連合軍の本陣では、鬼の攻勢にひとつ区切りをつけられたことを戦果として喜びつつも、次の波に備えて軍団の再編成やら負傷者の後送やら物資の振り分けなどを決めねばならぬと慌ただしい空気に包まれていた。

 考えようでは忙しいのは良いことである。組織的抵抗を諦めて誰もが自暴自棄になることに比べたら、死者に対して少々不謹慎な言い方ではあるが数百倍もマシだろう。恐怖が勝ればそれが鬼をパワーアップさせることに繋がり負の連鎖が始まるのだから。

 

 それはそれとして。鬼の攻勢を、波を退け戦場の潮目を変えることができた貴重なこのタイミング。義経や教経など若手の者たちは大反撃に出て流れを完全に人間側で掴みたいと主張していた。

 それも間違いではないが、頼朝たち年長者はどうにも不穏な空気を感じているらしく簡単には頷けない。陰陽師たちが白湯を口にする時間も惜しんで星詠みに全力を尽くしていることも無関係ではない。

 

 お互いに、相手の言い分を飲み込める。

 

 だからこそ会議は進まないから皆が困る。

 

 しかし自分たちの判断で最初に死ぬのが兵士たちである以上、半端な妥協案と心中させるなど論外だが……残念ながら会議ばかりに時間を使っている場合でもない。休息は必要だが緊張感が断たれてしまえば勝てる戦も勝てなくなってしまう。

 

 そんな息の詰まりそうなところへ、ひとりの伝令兵が飛び込んできて。

 

 

「失礼しますッ!! 義経様ッ!! 巫女様が……ッ!!」

 

「? 静がなにか────まさかッ!?」

 

「黄龍の巫女様が、静様が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆が休息するための時間を少しでも引き延ばすと、僅かな手勢を連れ鬼門へ向けて御出陣なされましたッ!!」

 

「やっぱりかァァァァァァァァッ!!!!」

 

 

 義経、絶叫ッ!!




(まさか過去編の黄龍の巫女まで前に出るタイプだとは誰も予測出来なかったに違いない……)
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