――諏訪の神、貴方にお互いの信仰を賭けた戦を申し込む。大和の神、八坂神奈子
これが今朝諏訪子宛に送られて来た手紙の内容だ。
うん。
よーするに、お前の信仰(国)を寄越せってことだ。
・・・。
うん。
キレそう。
何言ってんだ大和の神とやらは。
穏やかーに暮らしてただけなのに。
なに?そんなに戦が好きなんですか?!
・・・。
うん。
せめてさぁ、時間や場所位書けよ。
うん。
大和の国にちょっと文句言いに行こう。
「ってことで大和の国に行って一言いってくる。」
「ごめん、黒。ちょっと急すぎてわかんない。」
「えーっとですね、僕は今は一応この国の神な訳でして。ちょっといきなり来たやつが平穏を壊そうとしてるから、ちょっと一言いってきたいってこと。」
「あーうー。黒、どうしよう。」
「うーん。断ると国総出で攻めて来そうだし、交渉ができる今のうちに神どうしの決闘とかに持ち込むしかないかなぁ。まあ、今は僕がいるから負けることは無いけどどうする?」
諏訪子は少し悩んだ後、覚悟を決めたような顔でいった。
「黒、交渉を頼めるかな。この国は私の国だ。私が守りたい。」
「・・・。うん。わかった。交渉は任せて。」
「ありがとう黒。」
僕は神社の境内に出て、手を叩いて能力を使う。
目の前の空間が揺らいだ。
「じゃあ、諏訪子、翡翠。行ってくるよ。」
◇◇◇◇
へえ、ここが大和の国か。
神の力の残滓から大雑把に空間を
門番らしき人影が見える。
うん。
交渉を有利にするために柏手様として威圧感増々の盛々でいこう。
妖力じゃなく、最近使えるようになった神力?と霊力を全開にする。
門番に何となく神様っぽい口調で話しかける。
「頼もう。諏訪の国の使者として参った柏手と申す。大和の神にお目通り願いたい。」
「諏訪のっ。話は聞いております。どうぞ此方に。」
うん。
神様モード使えるわ。
門番?もびびってるみたいだし。
そうして歩くこと数十分。
何か大きい神社に着いた。
するとそこにいた背中に縄を背負った女の神?が話しかけてきた。
「貴様が諏訪の国の使者か。私は八坂神奈子。大和の神だ。」
「私は柏手と呼ばれている。諏訪の神の代理として参った。」
「ふむ、柏手。要件はなんだ。」
「諏訪の国に申し込まれた戦を神と神の一騎打ちにしていただきたい。」
「うむ、いいだろう。もとよりそのつもりだ。民への被害は信仰に響く。」
「場所は国の間にある平原でよろしいか?」
「ああ。30日後に会おうと諏訪の神に伝えろ。」
「承った。では。」
僕は二度柏手を打ち、空間を歪める。
大和の神を背に歪んだ空間へと歩き出す。
ふう。
無事に終わって良かった。
「ほう。面白そうなのが居るみたいだねぇ・・・。」
◇◇◇◇
帰った後、交渉の結果?を諏訪子に伝える。
一騎打ちだと僕は手を出せない。
「と、いう訳で。諏訪子、特訓しよう!!」
そうして始まった諏訪子の特訓。
とはいっても神力?の使い方や能力に関してはお手上げなので、僕が教えるのは身のこなしと神力で使える様にした我流結界術くらいだけどね。
あとはひたすらに組手をして経験を積む。
そうして一ヶ月はあっという間に過ぎていった。
◇◇◇◇
僕達は諏訪の国と大和の国の間にある平原に来ていた。
今日は一騎打ちの日。
今日の為に諏訪子と特訓してきた。
僕に出来るのは見届ける事だけだ。
「黒、私頑張るよ。」
「頑張れ、応援してる。」
そうして戦が始まった。
「くらえっ!」
「効かないねぇ!!」
諏訪子が能力を使って空中に大きな岩を創って落としていく。
対する八坂神奈子は雷や暴風といった自然現象?で迎撃する。
母さんが言っていた八卦?で考えると能力の相性は八坂神奈子は天候っぽいし大地に関する諏訪子とは悪そうだ。
「くっ、これならぁ!!」
「む、落ちろ。」
諏訪子が地面をひっくり返す。
八坂神奈子は空を飛んで回避したあと諏訪子に向かって雷を落とす。
「っ『空壁』!」
「結界か?!」
咄嗟に諏訪子が僕の教えた簡易結界を使って雷を防ぎ八坂神奈子へ反撃する。
神の性質や格の問題か諏訪子の攻撃は八坂神奈子には効きづらいみたい。
そうした一進一退の攻防が繰り返される。
少しして双方とも疲れが見え始めた。
お。
諏訪子が勝負に出た。
紫に教えたアレを使うのか。
諏訪子は練度が足りなくて少ししか使えないが十分だろう。
「『空喰い』!!からの、くらえっ!!」
「なにぃっ。力が跳ね上がった?!」
『空喰い』は本来、僕や紫のような存在の妖力を外部から取り出して変換する術だ。
でも諏訪子は霊物で土着神。
意思や自然から力を受ける。
だから、変換は必要ない。
力だけ集めればいいのだから。
諏訪子は集めた力をそのまま太い光線として放った。
さしずめ永琳のところで見た収束光線ってところか。
「くゥ・・・。お返しだよっ!!」
「なっ?!」
あ。
八坂神奈子が光線を耐え抜いて疲れ切った諏訪子に極太の雷を放つ。
諏訪子は躱せずに雷を食らって倒れてしまった。
――決着だ。
勝者は八坂神奈子。
大和の国の神だった。
◇◇◇◇
あの後、後日話し合いをしに行くと八坂神奈子は言い去って行った。
諏訪子が殺され無くて良かった。
最悪の場合は八坂神奈子を【空喰い・裏】で消し飛ばせば良いかと思ってたんだけど、準備が無駄になって良かったー。
今僕は諏訪神社で諏訪子が起きるのを待っている。
目立った外傷はなく、神に成った影響で体が丈夫になったんだろう。
軽く僕の神力?を譲渡したらかすり傷とかも治ったので大丈夫だと思う。
「うぅっ・・・。」
諏訪子が起きたみたいだ。
翡翠が見ているので僕も向かう。
「諏訪子、大丈夫?」
「黒?・・・あぁ、負けちゃったのか。・・・ごめんね黒、翡翠。私、負けちゃったよ。」
「・・・。諏訪子、君は十分頑張った。少し神としての相性が悪かっただけだよ。」
「そうですよ!諏訪子様は凄く格好良かったです!!」
「黒、翡翠・・・。」
諏訪子は僕と翡翠に抱きついて泣いた。
僕と翡翠は諏訪子がおちつくまで諏訪子をさすっていた。
【空喰い】
特殊な結界で囲った空間にあるエネルギーを集めて変換→自身のエネルギーに
【空喰い・裏】
特殊な結界で囲った対象を空間ごと強制的に分解、エネルギーに変換→対象の存在が消滅