次の日、八坂神奈子が神社に来た。
僕は何時も通りだけど、諏訪子と翡翠は少し緊張しているみたい。
まぁ、八坂神奈子は内心とても焦っていることだろう。
あの一騎打ちから一週間弱。
大和の国の者が信仰を国中で広めていたのに、諏訪子の力が弱まってないのが何よりの証拠だ。
カマかけてみよう。
「ようこそ、八坂神奈子。顔色が悪いな、信仰は広まっているか?」
「っ。」
「なるほど。上手く行っていないと見える。」
「黒、どういうこと?」
「ん?ああ。諏訪の国の民は
そう。
諏訪子と八坂神奈子の相性は悪いが、地上で暮らしている者たちからすれば暴風や雷よりも地面がひっくり返る方が危険だ。
それにより諏訪の国の民は改宗を拒んだのだろうと予測出来る。
うん。
哀れ、八坂神奈子。
あれ?
僕が考えた諏訪子が得する代案を今なら通せるのでは?
「八坂神奈子。提案がある。」
「なんだ。」
「此処の神社を改築し、お前と諏訪子を一緒に祀る。そうすれば諏訪子への信仰がお前に入るはずだ。そうすればお前はこれ以上の苦労なく信仰を手に入れることができる。どうだ?」
「・・・。仕方ない。それしかないだろう。」
「うん。交渉が決裂しなくて良かった。」
「それがお前の素か柏手。貴様、交渉とはいってもほとんど脅しだろう。」
「あ、バレたか。」
「バレるもなにも此れ見よがしに私を消滅させる気満々だっただろう。」
八坂神奈子は僕の背後を見る。
そこには僕が適当に作ったエネルギー塊が浮遊している。
エネルギー総量は八坂神奈子を消し飛ばしてお釣りがくるくらいだけどね。
「「えっ。」」
諏訪子と翡翠はわかってなかったみたいだけどね。
「うん。だって僕は知らない国の事より諏訪子達の方が大切だからね。その為なら神位殺してみせるさ。」
「その代案に乗るからくれぐれも敵対しないでくれよ。」
「うん。いいよ。」
「「え??」」
そうして諏訪子と翡翠が混乱している間に八坂神奈子との
さーて。
仕事は山積みだ。
先ずは神社を改築して新しい名前を考えなきゃ。
「・・・翡翠、これってどういうことだと思う?」
「諏訪子様、私もさっぱりです・・・。」
◇◇◇◇
よし、出来た!
あれから四日位で改築は終わった。
名前の方は諏訪子と八坂神奈子と翡翠が考えている。
翡翠はこのまま新しい神社でも巫女を続けるみたいだ。
うーん。
でもさ、
諏訪子、僕の摂社って「据え置きだよ。」はい。
わかったからその光のない瞳で僕を見ないでくれると・・・。
何というか、恐怖を感じるというか・・・。
「翡翠とやら、彼奴らは何時ものああなのか?」
「はい、神奈子様。柏手様は諏訪子様に弱くて・・・。」
「ああ言う夫婦の関係を尻に敷かれると言うんだな。」
「え?柏手様と諏訪子様は結婚してませんよ?」
「む?いや、柏手には諏訪子の印がついているぞ?」
「ああ、なるほど。」
「?」
◇◇◇◇
どうやら新しい神社の名前は諏訪子の神としての苗字の洩矢から取って守矢神社に決まったらしい。
僕は諏訪子の苗字始めて知ったよ。
大和の国にはアマテラスとかいう位の高い神が居るようで八坂神奈子は此方に住むことになった。
大和の国との関係は僕がアマテラスに会いに行って話したら「ツクヨミのやつ仕留め損なってるじゃないか。」とかなんとか言われたあと姉妹国みたいな扱いになった。
ツクヨミって誰だっけ?
まぁ、これで諏訪の国は安全だ。
よし、帰ろう。
早く諏訪子に逢いたい。(重症)
◇◇◇◇
「あ、柏手様。お帰りなさい。」
「翡翠、ただいま。」
うーん。
昔はかしわでしゃま!!って飛び付いてきて可愛かったの「そのことは忘れてください!」・・・えー。
まぁ、翡翠をいじるのはここまでにしてアマテラスとのことを諏訪子と神奈子に伝えなきゃ。
「諏訪子ー。ただいま!」
「黒、お疲れさま。」
「む、柏手。アマテラス様はなんと?」
諏訪子と神奈子に先程決まったことを伝えると神奈子は驚いて「柏手、お前一体どんな手を使った?」と言われた。
うーん。
普通に会いに行っただけなんだけどなあ。
あ。
「神奈子。ツクヨミって誰か知ってる?」
「「!?」」
「?二人共どうしたの?」
「ツクヨミ様はアマテラス様に並ぶ高位神だよ。」
「へー。」
「柏手、お前は一体・・・。」
そうして諏訪神社は守矢神社と名を変えて、諏訪の国の平穏は保たれた。
うーん。
そろそろかなぁ。
◇◇◇◇
――黒はそろそろ旅に出る。
――印は付けたし、契約も結んだ。
――どう転んでも数千年後には黒は私のモノだ。
――嗚呼、待ち遠しい。
――今は出来るだけ黒を感じていたい。
◆◆◆◆
何時もの様に朝起きて諏訪子を起こさないように布団から出る。
「おはよう、翡翠。」
「おはようございます、柏手様。」
「今日は僕が作るよ。」
此処での朝食の用意は僕と翡翠の交代制だ。
昨日は翡翠だったので今日は僕が当番だ。
――最後だし丁寧に作ろう。
予め用意しておいた食材や調味料に一工夫する。
今日の献立は、白米、お味噌汁、焼き魚、適当な野菜炒めだ。
翡翠は目を輝かせ、神奈子は直ぐに空になった器を差し出す。
諏訪子だけは浮かない顔だった。
「ん!!柏手様。これ、凄く美味しいです!!」
「柏手、おかわり。」
「・・・。」
「諏訪子?」
「黒、行くの?」
まあ、諏訪子と僕の付き合いだ。
当然気付くよね。
「うん。」
「そっか。今日、旅に出るんだね。」
「旅?柏手様、どういうことですか?」
「ああ、旅を再開しようと思ってるんだ。」
「なんでですか?」
翡翠が問い掛けてくる。
「僕は、
「・・・。」
「だから、翡翠。
「少し?」
「黒?」
「うん。また会いに帰ってくるよ。あと、この御札をあげるよ。」
「この御札は?」
「うん、御守りだよ。僕が丹精込めて創ったから翡翠を守ってくれる。あと諏訪子にも。」
僕は諏訪子に黒と白の玉簪を渡す。
うん。
今の僕にはこれで精一杯なんです。
「黒。」
「僕の手作り。諏訪子に何かあれば何処に居ようと駆けつけるよ。」
諏訪子が抱き着いてくる。
僕は優しく諏訪子を抱きしめる。
ここで敢えて空気を読まない神奈子が一言。
「私にはなにか無いのか?」
「・・・。神奈子には、今適当に作った御札あげる。雷を一発防いでくれるよ。」
「雑だな。」
「うん。だって僕は諏訪子の方が大切だし。」
「黒ぉ〜。」
「諏訪子、神奈子、翡翠。そろそろ行ってくるよ。」
そう言って僕は境内に向かって歩き出す。
境内の真ん中らへんで柏手を打つ。
前の空間が歪み始める。
「そうだなぁ・・・次は翡翠が結婚するときにくるよ。」
「「へ?」」
「あれ?諏訪子と神奈子は翡翠の想い人知らないの?」
「なんで柏手様が知ってるんですか〜?!」
「いや、何時も二人で楽しそうに話してるじゃん。」
「〜!?」
翡翠が赤くなる。
あ。
カマかけだったのに、大当たりと。
これは結構直ぐに帰ってくることになるか?
まあ、そろそろ行こう。
「じゃあ、行って来ます!!」
僕は諏訪子達に見送られながら空間を跳躍した。
雑な終わりですいません。