泣ける。
目が覚めた。
腕の中からは諏訪子の寝息が聞こえる。
確か昨日は諏訪子と乾杯した後に久しぶりに諏訪子の住処に潜って続きをして、そのまま布団を出して寝た。
うん。
神奈子とかに何も言わずに来てしまった。
どうしよ。
取り敢えず起きようと身体を起こすと、諏訪子に抱き寄せられる。
あれ?
力強くない?
いつの間にか美女モードだし。
ん?
首筋に噛まれたような痛みが。
妙に疲れてると思ったらそういうことだったのか。(察し)
諏訪子によって布団に押し倒される。
「黒ぉ、もっと。」
「ちょ、ま、諏訪子?!噛むのは?!」
◇◇◇◇
――久し振りの黒の味だぁ。
――うん。
――美味しい。
――昔より美味しくなってる気がする。
――黒が強くなったからかな?
――神奈子と早苗には悪いけど、もう少しこのままで・・・。
◆◆◆◆
頑張った。
吸血?されて本当に疲れた。
まぁ、この位の苦労は待たせた身としては甘んじて受け入れるべきか。
諏訪子は満足したのか、にこにこしながら僕の横に座っている。
そろそろ神社に戻って神奈子や早苗に説明しなきゃなあ。
「諏訪子、そろそろ神社に戻ろう。」
「うん。」
そうして僕と諏訪子は神社に戻った。
丁度神社では朝食の準備が終わったところだったのでそこで説明させてもらうことにした。
「え?じゃあ出雲君が柏手様だったんですか?!」
「うん。まぁ、別に呼び方は自由にしてくれていいよ。」
「柏手。あんたこれからどうするんだい?」
「うーん。正直言って僕は諏訪子と一緒に居られればいいからなぁ・・・。」
「じゃあ、黒。此処に住みなよ!元々黒はここの神様なんだしさ!」
「・・・。ちょっと気になったんですが。諏訪子様、何で大きくなってるんですか〜?!」
「?これが私の元の姿だよ?」
話し合いの結果、僕は諏訪子の住処の方に住むことになった。
諏訪子曰くその方が安心するらしい。
「・・・そういえば神奈子。幻想郷の話はどうするの?」
「うむ。このまま消えるのもちょっとね・・・。」
「うん。幻想郷に関してだったら話ぐらいはつけられるよ。後は東風谷をどうするかだね。」
「早苗か。早苗はどうしたい?」
「私は・・・。」
東風谷は悩む素振りを見せる。
うーん。
両親が居ないって言ってたな。
選択肢位は作ってあげよう。
「東風谷。」
「出雲君?」
「これから諏訪子達が行こうとしているのは正真正銘の異世界だ。ラノベの様に戻ってこれないかもしれない。そうしたら此方の世界とはオサラバだ。此方の人間とはもう会うこともできない。」
「・・・。」
「君は着いて来なくてもいい。着いて来ないなら暮らす場所と将来に困らない位の金はどうにかしてあげるよ。よく考えるといい。」
そう言うと東風谷は少し考えて言った。
「着いて行きます。私は巫女ですし、よく考えたらこの世界に親しい人は諏訪子様と神奈子様以外居ませんから。」
「うん。わかった。」
すると神奈子が疑問に思ったのか話しかけてきた。
「柏手。妖怪の賢者とはどうコンタクトを取るつもりだ?」
「ん?ああ。紫ならさっきから
「「「え?」」」
「おーい、紫。出て来ないと無理矢理スキマから引っ張りだすぞ?」
視線を感じる方向へそう言うとスキマが開いて紫が慌てて飛び出してきた。
見覚えのある道士服を着ている。
「ふう。クロ、久し振りね。」
「・・・紫。慌てて出てきた後に取り繕っても、残念な感じしかしないけど?」
「それはいいの。で、幻想入りの話だったかしら?」
「うん。ここら一帯を向こうに持ってける?」
「ええ。行けるわ。ついでに此方の人間の記憶も消しておくわ。」
「じゃ、よろしく。」
「承ったわ。暫く待っていて。」
そう言い残して紫はスキマで何処かに行ってしまった。
そして直ぐに諏訪子や神奈子が質問してくる。
「「どういうこと(だ)?!」」
「ん?紫は僕の一番弟子だよ?」
「へえ。出雲君って凄いひと?神様?だったんですね。」
「いやいや、柏手。ツクヨミ様を知っていたり、お前の知り合いは一体どうなっているんだ。」
「普通だよ?」
そうやって話していると神社を浮遊感が襲った。
空気が変わる。
永らく感じていなかった汚れが少ない自然の空気だ。
周りに妖怪の気配、向こうには人の気配がする。
――此処が紫が創り上げた幻想郷か。
するとスキマが開き、隣に紫が現れる。
「歓迎するわ、ようこそ幻想郷へ。」
◇◇◇◇
「で?紫、申し開きはある?」
「・・・ございません。」
僕は今、紫に説教をしていた。
いや、ね?
土地ごと幻想入りできたのはいいんだけどさ。
でもさ、許可を取らないで山の上とかに持ってくるのはどうかなと思うんです。
「せめて話を通しといてくれよ。」
「すいません・・・。」
「・・・まぁ、紫のおっちょこちょいは今に始まったことじゃないし。しょうがないなぁ。山の天狗には僕が
「・・・はい。」
「ってなわけで諏訪子、僕は天狗に話を付けてくるよ。」
「うん。黒、行ってらっしゃい!」
そうして僕は神社の周りに結界を張って、天狗のもとに向かった。
「神奈子様。今、副音声で脅迫って聞こえたんですけど・・・。」
「いいかい?早苗。柏手は諏訪子に関わることは基本的に交渉という名の脅迫で片付けようとする。絶対に怒らせちゃだめよ?」
「はい!」
黒:ツクヨミが危惧していたレベルのバケモノへ成長した。封印は無意味。今のところ最終的に黒に勝てる存在は居ない。諏訪子のためなら世界を滅ぼす。諏訪子が絡むと基本的に力で脅迫することが多い。結構、黒も重症である。
諏訪子:黒への思いが煮詰まった。いっそ吸血鬼に成ったらどうです?黒の能力と性質を持つため、スペック的には黒よりも厄介。実は信仰が無くとも消滅することは無く、黒が来なかったら神奈子が消滅しようと地上で待つつもりだった。哀れ神奈子。