さて。
今僕達は紫による細々とした説明を聞いている。
基本的には幻想郷のルールに関してだ。
博麗の巫女が創ったスペルカードルールって言う決闘の方式があるみたいだ。
どうやら人が妖怪に対等に勝負するためのルールだとか。
まぁ、僕が使う事はないと思う。
後は博麗の巫女に関してだ。
博麗の巫女はこの幻想郷を維持している博麗大結界を維持し、妖怪と人間の間に立つ中立の抑止力。
要するに現代の警察と軍を合わせた様なものだ。
紫曰く今代の巫女はスペルカードルール
すると紫が僕に話しかけてきた。
「クロ、頼みたいことがあるの。」
「話の流れからして博麗の巫女に関して?」
「ええ。クロには霊夢の師匠になって欲しいの。」
「霊夢?」
「今代の博麗の巫女の名前よ。霊夢は確かにスペルカードルールの中では強いわ。霊術にも体術にも才能がある。でも、」
「――でも、殺し合いではわからないってとこかな?」
「・・・ええ、その通りよ。」
うん。
それは深刻だ。
外敵やルールを守らない大妖怪が現れた場合、その霊夢とか言う巫女は高確率で死ぬ。
それはいけない。
スペルカードは飽くまでも決闘の一種。
お遊びの様なものだ。
そのルールの範疇で最強ということは、ゲームのチャンプみたいなもんだ。
格ゲーのチャンプが本物の格闘家と試合をしたら、格闘家が勝つ。
博麗の巫女はそんな存在だ。
うん。
丁度良い。
拾った
しかも、その博麗の巫女に興味が湧いた。
「紫、その話引き受けるよ。」
「ありがとう。」
「あ、紫。幻想郷って式を作るのって大丈夫?」
「?・・・ええ。大丈夫だけれど?」
「なら訓練も楽に出来そうだ。」
そうして僕の今後の予定が決まった。
よし、早速行こう!
◇◇◇◇
此処が博麗神社かぁ。
思ったよりも大きい。
ん?
縁側でお茶を飲んでるのが博麗の巫女かな?
話しかけてみよう。
「やあ。こんにちは。君が博麗の巫女?」
「ええ、そうよ。あんたは?」
「僕は出雲 黒。柏手様とも呼ばれている。今日ここに引っ越して来たしがない神様モドキさ。」
「今日?紫の関係者かしら?」
「うん。そうだよ。紫に頼まれて君の師匠になりに来た。」
「はぁ?どういうこと?」
「紫、説明。」
「はいはいー。呼ばれて飛び出てゆかりんよ。」(ウウィンク)
「「きっっつ。」」(黒と霊夢)
「ひどい!」
紫、ちょっとその歳でそのノリは・・・。
僕は少し霊夢にシンパシーを感じた。
その後、紫による霊夢への説明が終わった。
どうやら鍛えることに関しては同意が得られたようだ。
あ、射命丸文を飲み込んだままだった。
「紫、ちょっとここに妖怪出してもいい?」
「妖怪を出すってどういうことかしら?」
「ああ。さっき天狗達の所でいい拾い物をしたんだ。二回叩きのめしても折れなかったから、天魔に許可取って式にしようかと。」
「・・・。そう。(それってクロが食べちゃった天狗よね?)まあ、いいわ。」
「うん。よいしょっと。」
紫の許可が取れたので飲み込んでいた射命丸文を外に出す。
うーん。
今見ると結構ぼろぼろだな。
まぁ、それは後でいいや。
式にするための術を組んで、射命丸文の額に貼る。
うん?
式としての名前が必要なんだっけ?
・・・『
その方が反骨心を煽れそう。
よし。
式の出来上がり。
起こすか。
「『烏』、起きろ。」
「はひぃ!・・・え?ここは博麗神社?」
「そうだよ。射命丸文。君は今から僕の式ね。」
「はい?」
「ん?丁度、暇潰しが欲しかったんだ。よろしく、『烏』。」
「・・・。色々突っ込みたいところがあるんですけど、一つ聞きます。『烏』って私の名前ですか?!」
「うん。何か不満が?」
「大ありですよ!『烏』って何ですか『烏』って!!私は射命丸文って言う名前が有るんです!しかも叩きのめされて起きたら式とか意味が分かりません!?」
何か紫と霊夢が絶句している気がするが無視。
『烏』もいい感じに反骨心が出てる。
でも少し黙らせよう。
「『烏』、いいと言うまで口を閉じてろ。」
「?!〜?!!」
「クロ、ソレって?」
「『烏』?」
「〜〜!!」
「・・・。まぁ、いいわ。」
よし。
まあどうにか成りそうだな。
紫と霊夢は何か話し込んでいるし、今のうちに『烏』と霊夢の訓練の内容でも考えるか。
side紫と霊夢(小声)
「(ねえ、紫。コイツヤバい奴じゃない?)」
「(いい、霊夢。クロはちょっと頭のネジが吹っ飛んでるけど、これでも定義的には人類の守護者なのよ?!)」
「(はあ?コイツが守護者?)」
「(ええ。しかも幻想郷位なら片手間で滅ぼせる程の強さを持ってるわ。)」
「(・・・それもっと駄目なやつじゃない!大丈夫なの?!)」
「(ええ。基本的にクロは優しいわ。寛大とも言う。逆鱗にさえ触れなければ多少のことじゃ怒らないし、超が付くほどのお人好しよ。)」
「(・・・。逆鱗って?)」
「(クロの大切な神が居るのよ。この幻想郷に。洩矢諏訪子という守矢神社に祀られている祟り神。クロは良く言えば一部を除いて平等よ。・・・でもね、悪く言えば洩矢諏訪子とクロが気に入ったもの以外はどうでもいいのよ。だから悪人だろうと善人だろうと関係なしに助けるし気紛れに殺す。それが私の師匠。神であり、妖怪であり、人間。絶対に敵対しては駄目なの。)」
「(・・・何でそんな奴を私の師匠にしようとしたの?!)」
「(クロは興味を持った相手しか弟子にしないわ。要するに霊夢はクロに興味を持たれたのよ。クロは弟子のことを無碍にはしないわ。貴方は幻想郷の抑止力。クロを少し抑えられる様になり、強くなれる。一石二鳥じゃないかしら?)」
「(・・・。紫、要するにあんたは私に面倒ごとを押し付けただけじゃない!!)」
「(てへっ。)」
「(てへっ。じゃないわよっ!どうしてくれんのよ!あんたあいつの弟子なんでしょ。あんたがどうにかしなさいよ!)」
「(・・・霊夢。貴方には才能がある。頼んだわよ!)」
「(真面目ぶって逃げんな、紫ぃ!!)」
「(あ、あと黒はスパルタよ。)」
「(おい。)」
◇◇◇◇
うん。
話し合いが終わったみたいだ。
「霊夢、改めてよろしく。黒でも柏手でも師匠でも好きな様に呼んでくれ。」
「え、ええ。これからよろしく、師匠。」
「〜ーー!!」
煩い『烏』を無視して霊夢と握手をする。
こうして僕に霊夢という弟子が出来た。
取り敢えず。
「霊夢、『烏』。外に行こう。修行の時間だ」
「えっ、今からやるの?」
「ー?!(私もですか?!)」
「うん。あ、『烏』はもう喋っていいよ。」
「・・・拒否権って有ります?」
「ん?
「今、玩具って言いましたよね?!うわぁん!」
「・・・ブン屋、一緒に頑張りましょう。」
「霊夢さんが優しい!霊夢さん、頑張りましょう!」
「よし、二人共殺す気で掛かってこい。先ずはどれぐらいが動けるかの確認だ。」
「言われなくとも!」
「行くわよ、師匠!」
ゆかりん:クロの二番目の理解者。一部を除き黒のことを熟知している。黒に気付かれない様に覚妖怪の真似事もできる。霊夢にはあんなことを言ったが黒のことは大事な師匠だと思っているし、万が一が無いと信じている。だが、それは個人の感情。管理者としては対策を講じて置かなければならない。実は現時点では黒と互角。最強は成長する。
霊夢:楽園の素敵な(一番苦労している)巫女。今回一番の被害者。胃が痛い。強化フラグ(強制的)。射命丸文あらため『烏』と共に修羅の道へ。才能はあるため、【空喰い】を習得するのも夢ではない。
『烏』:哀れ。黒が神様として行動していたため式というより神使みたいな扱い。名前は反骨心を煽るため。(という理由は後付。適当に付けた。)