東方黒雲録   作:文才の無い本の虫

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6「紅い霧」

諏訪子の息遣いを感じながら目を開ける。

 

諏訪子は腕の中ですやすやと寝ている。

 

最近は結構な頻度で吸血されているので諏訪子は基本的に元の美女状態だ。

 

まぁ、起きたら首筋が痛いのは未だになれないけども。

 

昨日は霊夢と『烏』を鍛えて、その後諏訪子と酒盛りをした。

 

あ。

 

ヤバい。

 

諏訪子が酒を沢山飲んだ次の日は不味い。

 

力加減が無くなるし、タガが外れる。

 

僕も学習しないなぁ。(諦め)

 

 

 

「んぅ・・・黒ぉ。」

 

 

 

諏訪子が僕の背中に両手を回して強く抱きしめる。

 

骨がミシリと軋む。

 

そう、諏訪子は地味に力が強いのだ。

 

要するに、鯖折を掛けられているような状態だ。

 

まぁ、痛いには痛いが耐えられない程じゃ無い。

 

こうなった諏訪子は僕の血を吸うか、自然に目が覚めるまでこのままだ。

 

それまで諏訪子の寝顔でも見てよう。

 

・・・。

 

暫くして諏訪子が目を覚ました。

 

基本的に諏訪子の住処(湖の家)では僕が軽い朝食(基本的に味噌汁等の汁物)を作る。

 

守矢神社で寝ている時は早苗や神奈子と朝食を食べるのだが、諏訪子の住処(此処)で起きるのは昼近くになるので早苗達とは別に朝食を食べることが多い。

 

正直に言えば僕はご飯を食べなくとも大丈夫だし、諏訪子は僕の血を吸えば大丈夫だ。

 

ご飯は食べる方がいろんな意味で満足感が出るので出来るだけ食べている。

 

永い時間では娯楽は多い方がいいしね。

 

味噌汁が出来たので諏訪子を呼ぶ。

 

 

 

「諏訪子、運ぶの手伝ってくれ。」

 

 

「はーい。」

 

 

 

居間にある小さな食卓に二人で座る。

 

 

 

「「いただきます。」」

 

 

 

味噌汁を食べきり、諏訪子が言う。

 

 

 

「美味しかったよ黒。ごちそうさま。」

 

 

「うん。お粗末様。」

 

 

 

週に2日程度の何時もの会話。

 

こうして僕の一日が始まる。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

守矢神社で諏訪子と別れ、霊夢と『烏』がいる博麗神社に向かう。

 

最近は昼前に博麗神社で修行をつけ、霊夢と『烏』に昼飯を作り、夕方迄修行、守矢神社に帰る。

 

そんな一日を送っている。

 

霊夢と『烏』に修行をつけ始めてから3ヶ月程が経ち、霊夢と『烏』は随分成長した。

 

霊夢は僕の1割と互角に、『烏』は僕由来の能力を使えば3割と互角ってところだ。

 

二人には成長したので祝いとして武具等を贈った。

 

霊夢には翡翠に贈った札と同等のものと【空喰い】の術理を刻んだ勾玉を贈った。

 

勾玉無しで【空喰い】を使える様になるのを期待している。

 

『烏』には山伏の衣装を参考にした戦闘服と持っていた刀の強化、そして1日の自由を与えた。

 

式として縛ってばかりでは伸びるものも伸びないからね。

 

そしたら『烏』は射命丸文として山に行ったらしいのだが、死亡扱いだったり自宅にお供え物があったり墓が建てられていたりとひと騒動あったらしい。

 

知らんが。

 

諏訪子に言われてちょっと可哀想に思ったので『烏』には修行と僕の式として働いている間以外は射命丸文として自由にして良いことにした。

 

・・・だけど諏訪子に泣きつくのは止めてくれ。

 

まぁ、僕の式として働くことなんて面倒臭くなった時のお使い位しかないが。

 

そんな事を考えながら博麗神社に向かう。

 

ん?

 

向こうの方から紅い霧が漂ってきている。

 

少しの毒性がある?

 

ただの一般人には危険だ。

 

 

 

「どういうことだ?・・・あぁ、紫が言っていた異変ってやつか。じゃあ、状況把握のために博麗神社に急がなきゃ。」

 

 

 

ゆっくり歩くのを止め、柏手を打つ。

 

――最近は僕も成長したので別に柏手は打たなくてもいいんだが神としての能力で打つ方が精度や効率がいいのでこの方式を採用している。(そっちの方が格好良いと諏訪子に言われたのもある)

 

目の前の空間を曖昧にして博麗神社に繋げる。

 

向こうに話している紫と霊夢を見つけたので話しかける。

 

 

 

「霊夢、紫。これは?」

 

 

「異変よ、師匠。」

 

 

「多分これは湖の吸血鬼共の仕業ね。異変解決に行ってくれるかしら霊夢?」

 

 

「・・・はぁ。面倒臭いけど行くわよ。さっさと解決して報酬を貰って寝るっ!!」

※異変等の用事がある場合黒の修行は1日免除

 

 

 

すると、霧を突っ切って箒にのった金髪の少女が現れた。

 

彼女の名は霧雨魔理沙。

 

最近知り合った霊夢の友達だ。

 

人のまま魔法を使う稀有な存在、人間の可能性を感じるね。

 

時々博麗神社に訪れるので稽古をつけてあげていたりする。

 

彼女が影で結構な努力をしているのを僕は知っている。

 

つい翡翠を思い出して甘やかしてしまう。

 

そして彼女も霊夢と同じ様に異変解決者だ。

 

 

 

「よっ。霊夢、紫、黒。異変解決に行くのか?」

 

 

「ええそうよ。魔理沙も?」

 

 

「おう。ジメジメしてて呑気に実験も出来やしないぜ。」

 

 

「じゃ、行きましょ。」

 

 

「おう。黒、紫、行ってくるぜ!」

 

 

 

そう言って霊夢と魔理沙は紅い霧の発生源に向けて飛び立った。

 

すると紫が心配そうに話しかけてくる。

 

 

 

「クロ、少し頼みたいことがあるの。」

 

 

「・・・何か不味い未来でも見た?」

 

 

「ええ。」

 

 

「それはどんな?」

 

 

紫は僕との修行の結果、"認識出来るものと出来ないもの"の"境界"を操ることで少しだけあり得る(・・・・)未来を垣間見ることが出来るだ。

 

紫は頑張って少ししか見れない・・・すべてを見通す母さんがどれぐらい強かったか理解出来ない。

 

紫はゆっくりと言葉を紡いだ。

 

 

 

異変の犯人も含めて(・・・・・・・・・)全員が死ぬ未来よ。」

 

 

「・・・。犯人は?」

 

 

「少し見えたのは金髪の吸血鬼。」

 

 

「なるほど。霊夢達には手に負えないであろうソレをどうにかして欲しいってところ?」

 

 

「ええ。お願いできるかしら。」

 

 

「うん。いいよ。若人の未来を守るのも神として()の役割だしね。」

 

 

「クロ、ありがとう。」

 

 

 

僕は紫の話を聞き、異変の発生源に向かうことにした。

 

――僕の勘が「放置すれば人が沢山死ぬ、諏訪子にも被害が行く可能性がある」という。

 

急がなきゃ。

 

霊夢達にも援護が必要だな。

 

僕の知ってる中で一番速い彼女を呼ぼう。

 

 

 

「『烏』、来い。」

 

 

「はい、ただいま。で、主様何の用ですか?」

 

 

「うん。今回は真面目なお仕事だ。異変解決に向かった霊夢と魔理沙を助けてきてくれ。」

 

 

「承知しました!いってきます!」

 

 

 

彼女は飛び立って行った。

 

『烏』はここ3ヶ月で僕のことを認めたようで、主様と呼び従ってくれている。

 

自由意志は縛って無いので少し嬉しかったりする。

 

これがペットを飼う人の気持ちかぁ・・・。

 

よし、僕も向かおう。

 

柏手を打つ。

 

 

 

「紫、行ってくるよ。」

 

 

「ええ。霊夢達を頼んだわ。」

 

 

「うん。任せて。」

 

 

 

空間を跳躍し、発生源に向う。

 

――それにしても金色の吸血鬼ねぇ。

 

どんな相手なのだろう。

 

 

 

 

 

 




『烏』:黒の強さや諏訪子や人々への態度や接し方を見て主と認める。案外今の生活を楽しんでいたりする。新聞屋は廃業。黒から能力をもらった模様。黒からはペット扱いだったりする。

霊夢:強くなった。『烏』とは仲がいい。黒のことを師匠と呼ぶ。面倒臭がりだがやるときはやる。現金なのは変わってない。最強への道程は遠い。

魔理沙:黒に父親のように懐いている。黒は魔理沙の努力家な部分で翡翠を思い出し、つい甘やかしてしまう。

ゆかりん:未来視を習得。少し先のあり得る未来しか見ることができない。霊夢を我が子のように思っている。

黒:柏手様という土着神としての性質とかつて聖人だった友との旅路等により人類の守護者の側面を持つ。
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