東方黒雲録   作:文才の無い本の虫

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最初はレミリア死す!っていう展開だったが友人に言われて書き直した。
若干無理矢理。
すまぬ。


7「お兄ちゃん、修羅場だね☆」

「黒を狙う奴は祟って殺るぅ!!【赤口(ミシャグジ)】!!」

 

 

「受けて立つわ!!【スカーレットシュート】!!」

 

 

 

僕の前で、諏訪子とレミィが殺し合いをしている。

 

どうして、こうなったんだっけ?

 

〈アハハッ。お兄ちゃん、修羅場だね☆〉

 

・・・胃が痛い。

 

止めに入らなきゃ。

 

〈・・・お兄ちゃん。女の戦いに割って入ったら、(多分胃が)死ぬよ?〉

 

うん。

 

もう胃が痛いよ。

 

まぁ諏訪子やレミィが死ぬよりマシだし、僕は目の前で起きている二次被害を見逃せるほど悪人じゃない。

 

諏訪子とレミィの戦いは熾烈を極め、二次被害で妖怪の山をぐちゃぐちゃにしていた。

 

大地は抉れ、即死級の瘴気や祟りが漂う。

 

死者が出てないのが奇跡だ。(胃痛)

 

友よ、僕が何をしたって言うんだ・・・。

 

僕は覚悟を決めて【アメノムラクモ】を創って握る。

 

〈・・・お兄ちゃん、逝くの?〉

 

うん。

 

僕は諏訪子とレミィに向けて飛び立った。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

――時は朝へと戻る

 

 

うーん。

 

胃が痛いけどいい朝だ。

 

皆より早く起きた僕は守矢神社の境内で朝日を浴びる。

 

〈・・・おはよーお兄ちゃん。〉

 

おはようクラン。

 

〈どうしたの?〉

 

いやあ、物凄く嫌な予感がして胃が痛い。

 

ってか最近勘がよく当たるんだけど霊夢もこんな気分なんだろうか?

 

〈あー。それはね、ワタシが原因だと思うよ。〉

 

クラン、どうゆうこと?

 

〈えーっとね、ワタシはフランの防御機構だったのは話したよね?〉

 

うん。

 

〈正確にはちょっと違ってね、フランの能力の本能見たいなモノだったの。だからお兄ちゃん(ワタシ)もフランの能力が使えるの。〉

 

あれ?

 

フランの能力は【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】でしょ?

 

勘とは関係がないように思えるけど?

 

〈フランは知らないけどレミリアさんの【運命を操る程度の能力】が遺伝してるの。〉

 

ゑ?

 

・・・それ使えるように成ったらはフラン強過ぎでは?

 

〈そうだねー。でもそれは無いと思うよ。遺伝と言ってもほんの少し、精々少し自分の運命が見れる位だからね。〉

 

なるほど、その能力が僕の勘に影響してるってことか。

 

〈そういうこと。〉

 

・・・って事はこのあと僕に善からぬ事が起きるってことでは?

 

〈あはっ。〉

 

憂鬱だ・・・。(胃痛)

 

暫くして早苗が呼びに来た。

 

 

 

「柏手様、朝御飯が出来ましたよ。」

 

 

「ああ。今行くよ。クラン、出ておいで。」

 

 

「うん!早苗さん、行こう!」

 

 

「ええ、行きましょうクランちゃん。」

 

 

 

そうして神社の居間で食卓を囲む。

 

 

 

「「「「「いただきます。」」」」」

 

 

 

 

食べ終わった後の片付けは僕と早苗でやった。

 

クランが手伝ってくれたので早苗がクランを撫でていたのにほっこりした。

 

ん?

 

レミィの気配が向かってくる。

 

あ、諏訪子が外に行った。

 

クランもついて行ったようだ。

 

・・・嫌な予感しかしない。

 

〈お兄ちゃん、ヤバいね!〉

 

クラン、いつの間に念話モドキが出来るようになったの?

 

っていうかヤバいとは?

 

〈諏訪子お姉ちゃんとレミリアさんが何か話してるんだけど、殺気増々〜。〉

 

ドゴン!!

 

凄まじい轟音が鳴り響いた。

 

ヤバそうだなぁ。

 

 

 

「僕は諏訪子を見てくるから、早苗は神奈子と神社に居て。」

 

 

「はい。わかりました!」

 

 

 

早苗に中に居るように言い付け、僕は急ぎ足で外に向かった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

side:諏訪子

 

 

 

私は今、向こうから飛んできた吸血鬼と相対している。

 

その傘を持った吸血鬼が口を開いた。

 

 

 

「此処が守矢神社で合っているかしら?」

 

 

「うん。合ってるよ。私はこの神社の神、洩矢 諏訪子。君は此処に何の用できたの?」

 

 

「あら、貴方が諏訪子?・・・(コイツが黒の・・・)私はレミリア・スカーレット。黒に逢いに来たわ。」

 

 

「黒に?」

 

 

「ええ。求婚しに来たわ!」

 

 

「は?」

 

 

 

目の前のレミリアとか言う吸血鬼が言った事を聞いて一瞬思考が停止する。

 

・・・黒に求婚?

 

ナニヲイッテルンダロウカコノ吸血鬼ハ?

 

――自分の中からマグマの様な感情が上って来るのがわかる。

 

要するに、私から黒を奪おうって事だね?

 

 

 

「レミリア・スカーレット、君は私から黒を奪おうって言うんだね?」

 

 

「あら、私はレミリア・スカーレット!!欲しい物は人のであろうと手に入れて見せるわ!!」

 

 

「・・・なら、オマエは敵だ!!」

 

 

 

今、此処でコイツは殺さなきゃいけない。

 

私は奴を殺す気で祟る。

 

 

 

「黒を狙う奴は祟って殺るぅ!!【赤口(ミシャグジ)】!!」

 

 

「受けて立つわ!!【スカーレットシュート】!!」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

――そして現在

 

 

僕は術やら弾幕やら祟りやらを打ち合っている中へ突っ込んで行く。

 

〈・・・。しょうがないお兄ちゃんだね。露払い位は手伝ってあげるよ!〉

 

僕の中からクランが出てくる。

 

 

 

「いっくよー!【フォーオブアカインド】!!」

 

「「「「からの〜【ノワールストライク】!!」」」」

 

 

 

四人になったクランが黒い弾幕で周りの弾幕や祟り等を撃ち落とす。

 

 

 

「ありがとう、クラン!」

 

 

「お兄ちゃん、アドバイスだけどね!二人ともお嫁さんにしちゃいなよ!!」

 

「そうそう、それで円満!」

 

「オールオッケー!」

 

「修羅場るかもしれないけどどうにかなるよ☆」

 

 

「はい?」

 

 

「「「「ほら、さっさと行く!!」」」」

 

 

 

 

side:レミリア

 

 

むぅ。

 

思ったよりも強いわね。

 

どうしようかしら。

 

〈レミリアさん。〉

 

あら?

 

念話かしら、どうしたのクラン?

 

〈お兄ちゃんはヘタレだし、諏訪子お姉ちゃんと協力してお兄ちゃんを落としたほうがいいと思うよ!〉

 

それは・・・いい案ね!

 

一夫二妻もいいと思うわ!

 

でも向こうが了承するかしら?

 

〈うーん。説得してみる!〉

 

済まないけど、頼むわねクラン。

 

〈任せて!・・・最悪の場合はお兄ちゃんの血を吸って。〉

 

どういうこと?

 

〈戻ってこれるかはわかんないけど、バットエンドよりマシ!!〉

 

わ、わかったわ!

 

 

 

 

 

side:諏訪子

 

 

くっ。

 

思ったよりも厄介だ。

 

祟りは躱すし、吸血鬼としてのスペックが高い。

 

ふと、少し冷静になる。

 

恋や愛のために戦うレミリア・スカーレットを見て少し良いなと思った。

 

・・・黒を狙ってなかったら友達になれたかもね。

 

〈じゃあ、なればいいじゃん!〉

 

クラン?!

 

でも、アイツは黒を狙ってるし・・・。

 

〈お姉ちゃん、レミリアさんは強いよ。お姉ちゃんとおんなじ位。〉

 

・・・。

 

〈レミリアさんは死ぬのも厭わないよ。それぐらいの覚悟をしてるみたい。いくらお姉ちゃんが不滅でも何時かは折れなきゃいけないよ。〉

 

・・・。

 

〈お兄ちゃんを独占したいのはわかるよ。〉

 

・・・。

 

〈お姉ちゃん、逆に考えなよ。レミリアさんには何時か終わりが来る。でもそれはお姉ちゃんやお兄ちゃんの終わりよりずっとずっと早く来る。そうしたらレミリアさんの死で傷ついたお兄ちゃんはお姉ちゃんのモノだよ。〉

 

・・・。

 

〈たまにはお姉ちゃんも打算抜きの友達や仲間を作ったら?そうすればお兄ちゃんは二人のモノだよ?他の人に奪われる(バットエンド)よりマシだと思わない?〉

 

・・・うん。

 

そうだね。

 

レミリアの事は少しは認めた。

 

友達になれたかもと思った。

 

知らない誰かに黒を奪われるよりはレミリアと協力して黒を独占したほうがいい。

 

しかもずっとあと(世界が終わった後)には黒は本当に私一人のモノのになる。

 

うん。

 

しょうがないなぁ。

 

〈お兄ちゃんに責任取ってもらうしかないね☆〉

 

うん、そうしよう。

 

 

 

「レミリア、私から提案があるんだ。」

 

 

「奇遇ね、私もよ。」

 

 

「「取り敢えず友達になろう/なりましょう。」」

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

あれぇ?

 

頑張って二人のもとに辿り着いたら二人が仲良くなってた。

 

今は防音?結界を張って話し込んでいる。

 

意味わかんない。

 

後処理のことを思うと胃も痛い。

 

〈女の友情ってやつだねー☆(共通目的を持った同士(お兄ちゃんのお嫁さんの団結)ってやつだね!)〉

 

ん?

 

〈何でも無いよ〜☆〉

 

すると話が一段落したのか結界が解かれた。

 

 

 

「「黒。」」

 

 

 

諏訪子とレミィが二人揃って詰め寄ってくる。

 

〈お兄ちゃんを人生の墓場へご案内〜☆〉

 

ゑ?

 

どういうこと?

 

 

 

「「結婚しよう/しましょ。」」

 

 

「ゑ?」

 

 

 

何故にいきなり?

 

〈お兄ちゃん。二人の人生を狂わせた責任位は取りなよ〜☆レミリアさんにだって惹かれてはいるんでしょ?〉

 

うぐっ。

 

僕は諏訪子が・・・。

 

〈お姉ちゃんはレミリアさんと協力してお兄ちゃんを落とすつもりだね!ほら、さっさとくっつきなよー☆〉

 

えーっと。

 

はい。

 

こういう時ってなんて言えばいいんだ?

 

〈不束者ですがよろしくお願いしますってやつでしょ?〉

 

それ違う。

 

 

 

「えーっと、諏訪子とレミィはそれでいいの?」

 

 

「うん。レミィなら。」

 

 

「ええ。諏訪子なら。」

 

 

「・・・。」

 

 

 

するとクランが出て来た。

 

 

 

「ほら、お兄ちゃん。観念しなよ?えーっと、汝?出雲 黒。貴方は洩矢諏訪子とレミリア・スカーレットを愛することを誓いますかってね?」

 

 

「・・・。」

 

 

「「黒?」」

 

 

 

・・・少し前から考えてたんだ。

 

僕は何者でもないバケモノだ。

 

でも、それを抜きにして僕個人として誓おう。

 

 

 

 

柏手()でもなく、何者でもないバケモノでもない出雲黒()個人として洩矢諏訪子とレミリア・スカーレットを愛する事を誓います。諏訪子とレミィ、これからもよろしく。」

 

 

「ほら、お姉ちゃん達。(ふつつかなヨメですがって!)」

 

 

「「不束者ですがよろしくお願いします!」」

 

 

「此方こそよろしくお願いします。」

 

 

 

 

そうして幻想郷に一組(一夫二妻)の夫婦が生まれた。

 

妖怪の賢者の胃に衝撃を与えたこの夫婦は何処へ向かうのだろう・・・。

 

 

 




黒:ついに結婚した。友人の「現実は結構ハードだから創作の中はハッピーエンドの方が良い」という声により一夫二妻に。魂の色を見ることが出来る。レミリアの高潔で無邪気な輝きに無意識に惹かれていた。夫婦仲は良好。但し吸血される頻度が増えた。

諏訪子:色々あって(描写不足)レミリアを認める。ついに黒と結婚。実は黒と同じ様に魂を見て無意識に好感を持ってる。レミリアとは親友になった。夫婦仲?とても良好!(嫉妬深く独占欲強め)本妻。

レミリア:色々あって(描写不足)覚悟が決まって黒に求婚した。実はフランに「意訳:さっさと結婚しないと処女拗らせてゆかりんみたいに胡散臭くなっちゃうゼ☆」と焚き付けられた模様。実は一目惚れ。ぶっちゃけ理想のど真ん中だった。今後、理想の女性に成長する予定。夫婦仲は良好。第二夫人。

クラン:今回のMVP。作者の友人の化身。愉しいことが好きでハッピーエンドを好みバットエンドを嫌う。実は美鈴の花壇を爆破したときにフランにレミリアを焚き付けるよう相談していた。自称黒のキューピッド。修羅場は好きだが円満に終わって良かった。

ゆかりん:いつの間にか風評被害と胃にダメージを食らっていた。胡散臭いのは仕様。黒(父親のように思っている)の結婚を祝っているが、胃が痛い。振り撒かれた祟りは黒と協力して洗浄した。

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