東方黒雲録   作:文才の無い本の虫

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11「宴だ宴!」

朝、湖の畔を散歩していると後ろから最近出来た友達――萃香の気配がした。

 

 

 

「おはよー。」

 

 

「ああ、萃香。おはよう。」

 

 

「・・・。」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「ふつー驚くところじゃない?」

 

 

「いや、後ろから萃香の気配がしたからね。」

 

 

「黒、あんた私の気配が読めるのか?」

 

 

「うん。」

 

 

「それは凄い。少し黒の腕に興味が湧いたね・・・。」

 

 

 

あ、そういえば鬼ってバトルジャンキーだった。

 

・・・まあいいか。

 

 

 

「そうだ、黒。前言ってた宴会を開こうと思うんだけど何処がいいと思う?」

 

 

「うーん。無難に博麗神社とかかなぁ。彼処なら最悪の場合顔が利くし人妖問わず集まれると思う。」

 

 

「よし、そうしよう!よいしょっと。」

 

 

「・・・えーっと萃香?なんで僕を担いでるの?」

 

 

「ん?今から行くからだけど?」

 

 

 

そう言うと萃香は僕を担いだまま跳躍した。

 

うわぁ・・・凄い速度で景色が流れてくなぁ。

 

 

 

「黒、あんた結構余裕だね?」

 

 

「うん。やろうと思えばこれくらいは出せるし。」

 

 

「・・・まあいいや。そろそろ着くよ。」

 

 

 

萃香は博麗神社の境内に着地した。

 

うーん。

 

向こうに箒が立て掛けてあるからまだ霊夢は寝てるな。

 

すると萃香はぴょんと跳び上がり神社の屋根の上に上がった。

 

ようやく降ろしてもらえたよ・・・。

 

 

 

「よし、始めよう!」

 

 

 

すると萃香は瓢箪から少し酒を口に含み、ふぅと吹いた。

 

萃香の吹いた酒は霧になり、拡散していった。

 

暫くして神社に人や妖怪が集まり始めた。

 

 

 

「萃香、これは?」

 

 

「私の能力で萃めたのさ。そろそろ始まりそうだし私達も飲もう!」

 

 

「あらかじめ用意しといて良かったよ。えーっと、はい。」

 

 

 

僕は背嚢から古い瓶を取り出して萃香に渡す。

 

 

 

「これは?」

 

 

「とっておきの秘蔵のお酒。確か二千年前の酒だったはず。ブルーウィッシュっていうんだけど友達が出来たら飲もうと思ってたんだ。」

 

 

 

萃香は瓶を開けて匂いを嗅ぐ。

 

 

 

「おお。こんな良いやつ開けて良かったの?」

 

 

「うん。これ以上保存してても腐らせるだけだし、萃香と飲もうと思って背嚢に入れといたんだ。」

 

 

「じゃあこれを開けたら私の持ってきた酒を飲もう!」

 

 

 

僕と萃香はそれぞれの盃に透き通った薄い銀色の酒を注ぐ。

 

 

 

「そういえば黒。なんで透明なのに青い願い(ブルーウィッシュ)って言うんだい?」

 

 

「ああ。ちょっと盃を傾けてみて。」

 

 

「こうかな?・・・おお。」

 

 

 

少し盃を傾けると透き通った薄い銀に青空が映り込み、酒が青く見える。

 

萃香はそれを見て目をキラキラさせている。

 

 

 

「これは僕がまだ旅をしていた時に貰ったお酒でね。どうか青空の下で飲みたいっていう願いを込めて造られた酒なんだ。まあ、これの由来を知ってるのはもう僕だけだと思うしブルーウィッシュもコレが現存する最後の一本だよ。」

 

 

「へぇ。確かに今にピッタリだね。」

 

 

 

萃香は空を見上げて言う。

 

空は雲一つない青天だ。

 

下もどんどん賑やかになってくる。

 

すると萃香が此方に向けて少し盃を掲げる。

 

 

 

「よし、私達の友情と青い空に!」

 

 

「うん。僕達の友情と青い空に!」

 

 

「「乾杯!!」」

 

 

 

僕と萃香は盃を打ち合わせた。

 

それと同時に博麗神社での宴も始まった。

 

あ、諏訪子とレミリアに何も言わずに来てしまった。

 

ヤバっ。

 

・・・まあ、いいか。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

あの後、ブルーウィッシュを開けた僕達は萃香が持って来たとびっきりの酒(普通の人間が飲んだら即死)を飲んだり、下でやっている宴会の料理を二人でつまんだりして楽しんだ。

 

今は屋根の上に腰掛けて萃香と下らない事を話したりしている。

 

萃香が一番驚いたのは嫁が祟り神と吸血鬼なことだった。

 

萃香曰く「びっくりだよ!」とのこと。

 

偶には宴会もいいよね。

 

因みに『烏』を呼んで諏訪子達に博麗神社での宴会に居るという伝言を頼んでおいた。

 

いやぁ、安否不在は不味いでしょ。

 

クランは今は下で料理を食べている。

 

『烏』によるとそろそろ諏訪子達も来るらしい。

 

噂をすれば。

 

 

 

「黒ぉ〜!!」

 

 

 

空から諏訪子が降ってきた。

 

僕は諏訪子を優しく抱き締める。

 

 

 

「心配したんだよ?何か言うことは?」

 

 

「・・・すいません。」

 

 

「よろしい。」

 

 

「黒、尻に敷かれてるねぇ。」

 

 

 

その後、レミリアも突撃してきて大変だった。

 

萃香と諏訪子達はあっという間に仲良くなっていた。

 

類は友を呼ぶってやつかね。(諏訪子はウワバミ(大酒飲み)

 

そうして僕と萃香に加えて諏訪子とレミリアで屋根の上で酒を飲む。

 

暫くすると霊夢が現れた。

 

 

 

 

「あんたがこの異変の黒幕ね!って師匠?!」

 

 

「黒って博麗の巫女の師匠だったの?」

 

 

「うん。ちょっとした知り合い経由でね・・・。」

 

 

「・・・おい、師匠と其処の鬼(酔っ払い共)。説明位しなさいよぉ!!」

 

 

 

その後、無視されてちょっと涙目になった霊夢にお祓い棒(僕謹製)で叩かれて屋根の上に正座する羽目になった。

 

そうして後に春宴異変と呼ばれる異変?(死傷者0名、二日酔い多数、後片付けで霊夢がダウン)は博麗の巫女により無事に解決された。

 

因みに諏訪子とレミリアはいつの間にか下に避難していた。

 

解せぬ。

 

 

 




黒:今回の黒幕(発案者、萃香の手段が少しぶっ飛んでただけ)。萃香に加えて諏訪子とレミリアとも花見酒を楽しめたので満足。萃香からお揃いの伊吹瓢(酒虫を使って造られた酒の出てくる瓢箪)を貰った。

萃香:黒と馬鹿騒ぎをできて満足。紫を誘い忘れて後で喧嘩したとか。黒の種族が気になっている。酒により諏訪子と仲良くなった。レミリアは友達の嫁。妖怪の賢者曰く「存在がインチキ」と言われる程強い模様。

諏訪子:黒が散歩から帰って来なくてめっちゃ慌てた。『烏』から伝言を受け取った後直ぐに黒に突撃しに行った。萃香と飲み友になった。

レミリア:慌ててる諏訪子が可愛いと思ったのは秘密。諏訪子を追いかけて黒に突撃した。霊夢に怒られる未来を察知して諏訪子と退避した。

霊夢:今回の一番の被害者。後片付け(萃香と紫の喧嘩も含む)が大変だった。黒と萃香に無視されて少し涙目になった。お祓い棒は黒謹製の100cm位の黒塗りの棒。

ゆかりん:師匠と酒が飲めなかったし萃香に忘れられていて激おこぷんぷん丸。博麗神社で萃香と喧嘩した。しれっと霊夢の説教からは逃げた。二次被害はデカい。

『烏』:最近は影が薄い。しかも『烏』と呼ばれすぎて自分の名前を忘れかけている。それを椛(元部下)に指摘されたが「今の私は主様の『烏』」と言った。

ブルーウィッシュ:黒が友の救世の旅に同行していたときに人を助けたお礼として貰ったもの。僅かではあるが神酒の性質を持つ。青い空の下で飲むと少しの好運が貰える。紀元前からあったものを貰ったため黒と萃香が飲んだのは二千年もの。
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