【完結】龍教団物語   作:ターキィ

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30話:闘技大会 その2

 

さて数日後、巡礼団はブサンティオに到着していた。

「勝てよみんな!巡礼団の物資も賭けるからな!」

おい、院長!誰か止めろよ!

出場メンバーはルーナ、ギヨーム、セヴェロ、そして私だ。いつメンである。

キョーコも出ればいいのだが、彼女はマシニッサの世話で忙しいらしい。

まあ出たくない人を無理して出すわけにもいかないだろう。

受付を済ませると、怪しげな集団と目があった。

「フッ、カモが来たようだな。なぁ、輪廻の戦士よ」

「カモって今日日言わないだろ髑髏導師」

変な服装をした東洋の人類種華人の男と、豪華なローブを着たアンデットがいた。

「貴様ら、無駄話は後にして敵情視察だ」

階級の高そうな鎧を着た金髪の小さな少女が彼らを咎める。

「そうだよ、どんなパンツ履いてるのか見なきゃだろ」

「いや、そうじゃないだろう」

軽薄そうな華人と巨大な盾を持った華人も現れる。

東洋から来たのだろうか、彼らも出場するのだろう。

「悪いが、優勝は我々のものだ」

小さな少女将軍はこちらを威嚇するように啖呵を切る。

「ケッ、てめえらなんかぶっ潰、ぶっ殺してやるよ」

「だからギヨーム、物騒なこと言わないで」

「競技ですから、お互い精一杯戦いましょうね!」

「……チッ」

舌打ちをして去っていった。

「めちゃくちゃ強そうですね……私、ワクワクします!」

「あんたそんな性格だっけ」

ルーナは病が治って以来、随分と前向きな性格になった。いいことだ。

なお、この怪しげな五人は一回戦で敗退した。

「クイズとか聞いてないよ……」

彼らは泣きながらトボトボと帰っていった。何なのあの人たち。

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

さて、クイズは難なくクリアできたので、いよいよ戦いだ。

帝国時代に作られたコロセウムの中に入ると、大勢の観客たちが見えた。

『クイズも終わったことでいよいよお待ちかね!闘技大会です!司会はこのわたくし、実況兼解説のダビデがお送りします!』

観客席から歓声が上がる。音の増幅魔法により司会の声がよく聞こえる。

申請したサイズの木製の武器を渡され、会場には魔法弱化結界が張られている。

『さあ、早速試合を始めましょう!東の方角からは三人の戦乙女、初恋ガールズだぁー!」

紹介と同時に現れた三人に観客たちは盛り上がる。

『続いて西の方角からは龍教団クピド派の修道騎士たち、チームともだちの入場です!』

「だ、ダサっ!登録名がダサい!」

「そ、そうですか……?」

ルーナの案だったようである。

「別にいいじゃねーか、チーム名なんて」

ギヨームは早く戦いたくてウズウズしているようである。

「では両者、前へ!」

司会の合図とともに両者は中央へ進み出る。

「修道士どもに負けたら初恋ガールズの名折れだね」

「どうして初恋ガールズなの?」

「そうね。まず、こいつら2人は私の戦場での友人」

「うへへへ、ひひ、ぴよぴよぴぴよ」

「私はぁあなんでぇ、なんで頷いてしまったのよぉぉお」

チームともだちは面食らった。私も。無理もない。

「酔っ払ってる方の剣士はドロレス。幼馴染の想い人をパーティーから追放され、記憶も消されたけど光の剣を手にすることにより記憶が戻り、記憶を消した男を八つ裂きにして故郷に戻ったら想い人が自分の妹と幸せな結婚生活を送っていて脳が破壊されて以来酒瓶が手放せない女」

「ひんっ!!コリンっ!!好きだっ!!」

「コリンというのはその想い人の事よ」

「は、はあ……」

「そしてもう一人の泣いてる方の魔術師はアリーチェ。優しくて気が回るけど少し頼りない剣士に恋心を抱いていたけどパーティー内で彼が足手まといだから追放しようという時に彼の安全を考えて頷いてしまい結局彼は追放されてそれをずっと悔いていてある時決心してパーティーを抜け出し剣士の元へと向かったらもう別の冒険者と旅をしておりしかも魔術師の女と恋仲になっていて更にその魔術師に追放したことを責め立てられて脳が破壊されて以来情緒が壊滅的に不安定な女よ」

「あ、あ、あ……なんで……どうして……私は……ジュリアス……」

「ジュリアスというのはその剣士の名よ」

「ど、どうも……」

「そしてリーダーの私、ステラは戦場で頼れる剣士に心を奪われたけど彼は戦場で敵の女騎士と恋に落ち、脳が破壊されたわ」

「もう初恋ガールズの名前折れてるわよ……」

「うるさいわね!もうどうでもいいのよ何もかもが!」

なんというか、お労しい人たちであった。

そこへ、大きな鐘の音が会場に鳴り響いた。

『試合開始の合図です!さぁ、戦いだぁ!』

司会者の声と共に戦闘が始まった!

歓声が上がるとともに、双方一度距離を取った。

「彼女たちの心を救ってあげたいですね」

「それはそうね」

クピドは彼らを憐れむであろうが、今は対戦相手だ。

防御を固めて遠距離攻撃が基本的な戦い方だが、人間相手ではそれだけで勝利するのは難しいだろう。

「光よ!我らを守り給え!」

私の呪文により光の玉が私達を包み、痛みや衝撃を緩和する障壁となる。

同時にギヨームとルーナは盾を構えながら前進する。

「ドロレス!行くよ!」

「いえっさぁ~、まむさぁ~」

間延びした酔っぱらった声とは裏腹に俊敏な動きで斬りかかるドロレスに対し、盾を構えたギヨームは防戦一方である。

「くっ、やりにくいなこいつ……!」

ドロレスの攻撃パターンは単純ではあるが、盾で防げない角度から鋭い一撃を放ってくるので攻めに転じることができないのだ。

「しゃがめ、ギヨーム!」

「火炎よ!」

私の声とセヴェロの呪文が、慌てて身を伏せたギヨームの上を通り過ぎていく。

「熱っ!?あっぶねぇ!?」

セヴェロの魔法によってドロレスは大きく吹き飛ばされた。しかしダメージは大きくなさそうだ。

「ぐふふ、やってくれるねぇ~」

「ちっ、しぶといな」

ギヨームは舌打ちをした。セヴェロも悔しそうに顔を歪めている。

その一方で、ルーナとステラは激しい剣戟を繰り広げていた。

「なかなかやりますね……!でも、私だって負けません!」

ルーナは華麗に攻撃を盾で防ぎながら的確にダメージを与えていく。

「くぅ、やるじゃない!アリーチェ!」

「”ファイアクレスト”!」

途端に、ルーナの足元から火が吹き出し彼女を襲う!

「わぁっ!あ、熱い!?どうして!?」

彼女は慌てて飛び退いた。

「あんた病気治ったからでしょ!」

「ああそうでした」

とぼけたことを言うので平気そうだ。

「一気に畳み掛けますか?」

「そうね。かったるい戦闘シーンが長引くのは」

「それ以上いけない」

神の領域に達しそうになりながらも、私たちは攻勢に打って出ることにした。

 

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