緋色の欠片 ー私は、緋の眼の代理出品者でしたー   作:秋田慶

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凌辱と屈辱 二

「おい。この女持っていけ」

「団長、また派手にやったね」

 

 声のやりとりが頭上で聞こえる。目を開けると、あの着物の女が見えた。

 

 あれからどれだけの時間が経ったのだろうか。

 

 ぐったりと力が抜けて身体が動かない。

 身体を纏っていた衣服は大きく裂けていて、蝋燭の光で自分の太ももにテラテラと液体が光っているのが見える。

 風が当たると、ひんやりと冷たかった。

 

「この女はいい玩具になる。生かしておけ」

 そうクロロは言うと、その場から立ち去っていった。

 その場に残ったマチが、力なく横たわる私の腕を掴んだ。

 

「ほら立ちな!」

 マチは腕をぐいっと掴んで立ち上がらせようとする。

 よろっと足元がふらついたが、なんとか自力で立ち上がった。

 立ち上がったと同時に何か液体が太ももを伝うのがわかった。

 

「これからうちらは団長と一緒に鎖野郎を追う。アンタはここでシャル、フランクリン、フェイタン、フィンクスと一緒に大人しくいること」

 

 マチがそう言うと、シャルナークがマチの後ろから顔を出した。

 

「凄いね団長、派手にやったなぁ」

 

 シャルナークが私の姿を見ながら言った。視線が上から下へ、下から上へと動くのがわかった。

 この男はあの噴水広場の近くで私を捕らえた男。

 ニッコリとした明るいその顔は、裏にある感情を読み取らせない。

 

 どこまで自分が派手にやられたのかわからないが、髪はぐちゃぐちゃだし、太ももを伝う液体、そして僅かに上半身にも冷たい液体を感じるし──多分、無惨な姿なんだろうと思った。

 

 でも不思議と涙は出なかった。

 

 目を閉じればまだあの時の感覚が蘇る。多分、何度もやられた。

 腕に残る、掴まれた時の青あざ。足を押さえつけられた時の青あざ。

 そしてこの太ももに伝うもの、ひんやりと感じるこの液体は何なのか想像に難くない。

 

 ぎゅっと噛んだ唇は、血が滲んで鉄の味がした。

 

 

 ***

 

 

 私は、あの後身体を洗うことも許されず──といってもこんなところにシャワー等あるわけがないのだが、とりあえず部屋の隅にうずくまる事しかできなかった。

 

 伝っていた液体は乾いてパリパリしている。それを手で払った。

 妊娠したらどうしようという不安の反面、いやあの団長の子供を身篭ったらとんでもない使い手が産まれるか? なんて意外にも呑気な事を考えていると、突然シャルナークの携帯電話が鳴った。

 

 シャルナークは険しい表情をしたと思ったら突然、

「団長が捕らえられたって!?」

 と大声で立ち上がった。

 

「うん。わかった、すぐ行く」

 シャルナークが電話を切ると、待機組であるフェイタンとフィンクスが部屋から出て行った。

 

「フランクリン、人質を頼む」

 やたら図体のでかい男、フランクリンにそういい残してシャルナークは足早に去っていった。

 

(何があったの……?)

 

 アジトの隅で、ボロボロの衣服を身に纏ったままうずくまっているだけの私には何がなんだかわからず、ただ目でシャルナークの背中を追った。

 唯一残ったフランクリンと呼ばれた男のみが残され、アジトは二人きりになった。

 

「俺は何もしねーから安心しろ」

 意外にもこのフランクリンという男、穏やかな声で言う。

 

「団長が鎖野郎に捕らえられた。しばらくここで二人で待機だ」

 

(クラピカが……?)

 ドキっと胸が高鳴った。

 クラピカが、いま……動き出している。

 

 

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