春の日俺は彼女と出会った。ただそれだけのことなのだ。



注 バリバリ深夜テンションで書きたくなったので書きました。宮古島にはいったことないです。

1 / 1
春のある日の出来事

「へい少ー年。何黄昏ているの?」

 

 堤防の上でボケーと海を見ていると1人の少女がそこにいた。

 

「誰ですか?」

「まあまあま、それは置いといてね。何があったの?」

 

 少女は何の躊躇いもなく俺の横に腰を下ろした。

 まるで天使のような白い金髪がすぐ横にきた。横眼には彼女の美少女と言って過言じゃない顔が見え、なんか嗅いだこともないいい匂いが鼻孔をくすぐってくる。

 俺は横にずれた。

 

「いや、知らない人とは話すなと言われたので」

「まあまあまあ、いいから話してみなよ。こういうのって知らない人だから話しやすい事もあるからさ、お姉さんにはなしてみなよ!」

 

 彼女は胸を張って自信満々に言ってきた。あと、1つ俺に近づいてきた。

 

「いやお姉さんって、歳俺と同じか1つしたでしょ」

 

 俺はさらに横にずれた。

 

「そういう細かいことはいいの!ほら話してみなよ」

 

 彼女もさらに横にずれた。

 

「いや、本当にそういうのいいんで」

 

 彼女は「むー」と頬を膨らませて唸ると堤防の上から降りた。

 やっと諦めたか、と思って肩の力を落とした瞬間彼女が腕を握ってきた。

 

「よし、なら私と観光しよ観光!君ここに住んでいるんでしょ。ならなんか穴場スポットとか有名な喫茶店とか教えてよ!」

「はあ、ちょっ、はあ⁉」

 

 俺は彼女、錦木千束とこうして出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 錦木千束に連れまわされた。口では案内しろと言い張っていながら錦木は水を得た魚の如く俺をつれました。それはまあ色んなところに連れまわした。俺も最初の一時間は反抗もしていたが無意味だと悟り、従順な従者の如く後ろを歩いた。これが出来る男というものなのだろう。多分。

 

「いやー、まさかお前に彼女が出来るとはなあー」

「だから違うっつーの。今日会ったばかりだぞ」

 

 俺はそういいながらこのblue tutleの店長に返した。この人は俺の親戚で一応アルバイト先の店長でもある。店長の歳が30くらいと若いということもあり、俺の話し相手に良くなってくれていた。

 

「おっ、店長ここのコーヒーとてもおいしいじゃないですか!」

 

 錦木がそういうと店長はキラッと目を輝かせた。

 

「え、何分かってくれるの君?」

「はい、私も喫茶店で働いてますからコーヒーは大好きなんですよ」

「いやーうれしいなー。ここはレストラン&バーとしてやっているけどコーヒーにも力入れているんだよ」

 

 俺はコーヒーを飲みながら二人の盛り上がりを見ていた。俺はそこまでコーヒーに興味がないからこのコーヒーも缶コーヒーとは少し違う程度しか分からない。

 

「へー錦木ちゃん東京から来たんだ。ここには観光?」

「そうなんですよ!前々から行きたいなーと思っていたので思い切って!」

「いい事じゃん。そういう思いっきりは大切だよな。俺も脱サラしてこの店始めたんだよ。今回は休憩時間だけど今度はランチタイムにでも来てよ!サービスするし、今ならこいつも働いてるから1」

 

 店長がそういうと錦木はぐわっと俺に身体を寄せ付けてきた。ちょっ、近いってなんかいい匂いするって。

 

「えっ、なんでそんな大事なこといわないの!」

「いやだって、聞かれなかったし」

 

 いいなー、と叫びながら俺のことを揺すってくる。

 

「はっはっはー。それならもしよければ錦木ちゃんもここにいる間だけでも働いてみない?ちょうど最近1人やめちゃったし。ちゃんとバイト代も払うし」

「えっ、嘘!いいんですか?」

 

 錦木は目をキラキラさせて店長の手を握りしめていた。

 

「いや、錦木いいのかよ。観光で来たんだろ。なら今後の予定とかホテル代の事か色々あるだろ」

 

 そういうと錦木はバツの悪い表情をし始めると椅子に座った。

 

「それならお前の家でいいじゃん。あの家無駄に部屋あるし」

「はあっ!」

「えっ!嘘いいんですか?」

「ああ、叔母さんと叔父さんには俺から電話しておくから大丈夫だろ」

 

 店長と錦木はあれよあれよと話を持っていき、俺が止める合い間もなくなぜか俺の家に錦木が住み込むことが決定した。何故だ!

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、おいしかった!」

「・・・あー、それはよかったよ」

 

 あの後俺の両親も盛大に錦木のことを盛大に迎え入れ、錦木が持つそのコミュニケーション力によって気が付けば俺がアウエーにすらなっていた。けしからん。

 夕食も終わり後は寝るだけだとなると彼女は俺のベッドの上に横になり漫画を読み始めた。

 

「てか、錦木はいいのかよ」

「えー、なにがー」

「なにがーてっ、お前一応見ず知らずの男と同じ屋根の下で暮らすことになるんだぞ。それで本当にいいのかよ」

 

 俺がそういうと錦木はあろうことか笑い始めた。下賤。

 

「えー、なにっー。もしかしてそういう目で見てたんだー。やらしいー」

 

 錦木は自身の身を守るように丸めて俺から笑いながら距離をとった。」

 

「バッ、ちげーよ。これは一般論としてだよ。なんだ、東京の女はやっぱり貞操観念薄いのか?」

「あっ、そういうこというのよくないんだー!サイテー。それに私こう見えて結構強いんだからね。君くらいなら楽勝だから」

 

 右腕を持ち上げて筋肉があるように見せてきた。確かにそれとなく筋肉があるように見えるがそれでも女性らしい綺麗で美しい腕だった。

 

「あーそうかよ。とりあえずもう遅いしさっさと自分の部屋行って寝ろ。明日からバイトやるんだろ」

「ちょっとまってよー。もーまだ読んでる途中なんだらさー」

 

 錦木の摘まみ上げて部屋からつまみ出す。

 

「もー、わかったよ。それじゃあおやすみ」

「ああ、おやすみ」

 

 錦木は楽しそうに部屋から出ていく。

 部屋には俺1人が残った。家具の配置も、積み重なれている教科書もなにも変わらないのに何処か物足りなさを感じてしまう。

 そのなんとも言えない感覚を忘れようと、俺は部屋の電気を消してベッドに倒れこむ。ベッドからは何処となく今までしなかった香りがしてきた。

 

「「はああー、ままならねー」」

 

 結局しばらく眠ることはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 錦木が来てからかれこれ三週間が過ぎた。一週間がたつ頃には錦木と暮らすという違和感も消えていた。なんならずっと暮らしていたと勘違いするくらいだ。

 

「今日も忙しかったねー」

「まあ、今は春休み出ししかたねーよ」

 

 未だに空は青いがうっすらと空の端では赤みがかってきている。

 すぐ横で寄せては帰ってきている波の音を聞く。

 多分これをいうのはもっと後なのだろう。もっと完璧に空が赤みがかかってきた方が、それとも空に赤なんて混じらない真っ青の時の方が場にあっているのだろう。だが、あいにくそんなものが分かっていれば、あの時あんな失敗なんてしてないだろう。

 

「なあ、ちょっといいか」

「んー、なにー」

 

 白いワンピースに白い帽子をかぶる錦木は全体的な白さから病弱だと勘違いしてしまう。

 錦木は目をつぶりながら波の音に耳を傾けている。俺になんて全く意識しているとは思えない。

 

「千束、好きだ付き合ってくれ」

 

 千束はしばらく歩き続けていると急に止まり俺の方を振り向い。その顔はとても赤かった。

 

「へっ、いや、へっ?」

 

 急にあたふたし始めると思ったら急に俺にタックルしてきた。

 

「おまっ、急にぶつかってくるなよ。いてーよ」

「・・・ねえ、もう一回行ってよ」

「もう一回って・・・」

「いいから言って。好きだ付き合ってくれ」

「ちがうっ!それもだけどその前も!」

 

 俺は空を見上げはー、と息を吐き千束を覆う。

 

「好きだ千束。お前が何でここに来たのかも、お前が何を隠しているのかもそんなことはどうでもいい。ただただ好きだ。千束」

 

 千束からの反応はない。ただ感触として胸に頭を押し付けられていることだけがわかる。

 

「あのー、なにも反応がないのはちょっと困るんだけど。さすがに何か言ってくれません?」

 

 反応はなく、とりあえずはがそうと小さい肩を掴むとようやく反応があった。

 

「ばか!ばかばかばかばか!」

「いやお前なー、ばかって。もしかしてこれ暗に降ってる?」

「ばか!そういうところが本当にバカ!私だって好きじゃなきゃこんなことしないよ!私も君に何回も言いたくなったけど何回もやめたんだよ。それをさあ、なんともない風に言わないでよ!」

 

 千束はようやく俺の胸から頭をどかすと彼女の目じりは少し赤みがかっている。

 

「私も君のことが大好きだよ!」

 

 その瞬間に俺と彼女の距離はゼロ距離になった。

 一瞬のそれに俺の思考が止まってしまった。

 永遠にも感じたそれは気が付いたら終わっていて千束は踊るかのように砂浜にいた。

 その姿はとても幻想的であった。

 俺はそんな彼女にスマホを向けた。

 

「「はいっ、チーズ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わたしさあ、実は心臓動いてないんだよね」

 

 暗い部屋の中。窓から差し込む月光のみを頼りにしながら彼女は俺の体を引っ張った。俺の耳がちょうど彼女の胸元に当たった。

 確かにそこに音はなかった。

 

「私さあ、つい数か月前まで余命数か月って言われていたんだ。それがこの人工心臓の寿命だって。私はそれに仕方がないって諦めていたんだけどね。でも結局たすかちゃった。だから、なんかとりあえずここまで逃げてきたんだ」

「なんかとりあずって」

「でも、こうして君と出会えた」

 

 そうだな、と俺は笑った。

 

「それならその助けてくれた人に感謝しなくちゃだな」

「うん、そうだね。今度は君の番だよ」

 

 俺の番てなあ、特に何もないのだが。

 

「お前と会った。日の前日にな卒業式があったんだよ。そこでな、一個上の先輩に告白したんだよ。先輩とは学校でこそそこまで付き合いはなかったけど、バイト先が同じだったんだよ。それで先輩が本土の方の大学に進学するからと最後に告白して振られたよ。今思えばこうして千束といられるのは彼女に振られたからだな」

 

 そうだね、と千束は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺と千束が付き合い始めて数日が過ぎた。

 距離感は確かに変わったが、それでも決定的な何かが変わったかというとそんなことはなくいつもと同じ時間が流れた。

 だからこそ、なんにでも終わりがるようにこれにもこの出会いにも決定的な終わりが存在するのだ。

 彼女はそれを持ってきた。

 

「何やってんの?芋虫のモノマネ?」

 

 俺は彼女たちが地を這う姿を見ながらとりあえず写真を撮った。

 

「ちょっ、写真なんて取らないでよ恥ずかしい」

「いやだって、面白いし」

「うーー、ダーリンのばかー」

「おまっ、ダーリンなんて言うなよ恥ずかしい」

 

 千束が地面で縄を解こうとしているともう一人の芋虫が縄を解いて立っていた。

 黒い髪を靡かせて彼女は俺の事なんて見ることなく千束を木に持たれかからせると写真を撮っている。

 

「なあ、とりあえず縄を解いてやってもいいんじゃないのか?」

 

 俺が言葉を出した瞬間彼女はこちらをギロっと睨みつけてきた。

 

「あなた、千束のなんなんですか?」

「いや、なんなんですかって一応こいつの彼氏だけど。そういうあんたこそこいつのなんなんだよ」

 

 黒い彼女に相対するために視線を強める。

 

「私は千束の相棒ですけど。彼氏なんて誰の許しを得て語ってるんですか」

「誰の許しって・・・。俺は千束に告って付き合っているんだよ。そういうお前は何様のつもりで相棒なんて名乗ってんだよ」

 

 ギロリ、と俺も彼女も睨み視線交らせる。

 

「ちょっと二人ともすとっぷーーーー!」

 

 千束は大きな声をあげて俺たちの間に入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へへー、そーなの相棒なんだー」

 

 千束は店長と話している。

 俺はという千束に無理やり席に座らされ彼女、井ノ上たきなと向かい合っていた。

 

「それで、井ノ上さんだっけ君は家出中の千束を連れ戻しに来たということでいいの?」

「ええ、そうですね。それで間違いないですよ」

 

 井ノ上の事をチラリと見るとそれに合わせてあちらが眼光を鋭くしてきた。

 

「もー、二人とも。睨まない睨まない。仲良くしてよ」

 

 店長と話終わったのか千束はこちらに来て俺の横に座った。井ノ上の視線が少し強まった。

 

「もーたきな、そんな目をしているとかわいい顔が台無しだよ。それでたきな、どうしてここがわかったの?」

 

 千束がそう尋ねると井ノ上は一つの写真を見せてきた。それは海辺で取られたカップルのツーショットだった。もちろん俺と千束ではない。

 

「へー、この二人まだ続いているんだねー。・・・てっ、まさか!」

 

 あちゃー、っと千束は椅子に持たれかかった。何事だと思いもう一度画面をのぞき込むと写真の奥の方に彼女がいた。白いワンピースを身に纏って踊っている千束がそこにいた。それは俺が彼女に告白した時の写真だった。

 

「いつかあの二人は妖怪でも撮っちゃいそうだね。こりゃあ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギィ、と音を立てて扉が開く。千束が部屋に入ってきたようだ。

 

「どうした?」

「たきなが眠ったから」

 

 あの後、千束と同じように井ノ上もまたうちの家まできた。千束の友達だと説明すると我が両親は嬉しがり井ノ上の事もまた盛大に迎え入れた。そろそろ真面目に我が親ながら心配になってくる。振込詐欺などに引っかからないだろうか。

 千束が俺の横に座り何分が経過しただろう。今まで黙していた千束がポツリと言葉を吐いた。

 

「さっきさあ、たきなと話したんだ。そうしたら今まで出来なかったことをやればいいって」

「何がやりたいんだ?」

 

 指を開いて一つ一つ数えていった。

 

「日本全国色々な所をめぐりたいし、またリコリコに戻ってボードーゲームもした。それこそハワイとかの海外にも行きたいよ。それをたきなに言ったら一緒にやろうって言われたんだ。でもね・・・」

 

 千束の肩が震え始めて涙が見える。

 

「でもね、これら全てに君はいないの。そんなの・・・いやだよ・・・。君とももっともっともっと居たいよ。でも、ここだと私のやりたいことができないよ!」

 

 俺は彼女を抱きしめる。

 

「俺も千束と一緒に居たい。でも、お前のやりたいことはここじゃできないのだろ。ならハワイでもどこでも行って来いよ」

「私がいなくてもいいの・・・?」

「ばか、ちげーよ。俺も一緒に居たいって言ってるだろう。でも、だからこそお前はやりたいことをしてこいよ。それによくよく考えてみろ。どうせどこ行こうが飛行機を使うんだ、それがただ国内か国外かの違いだけだろ。だから行って来いよ。どこへでも会いに行ってやる」

 

 千束はただただ泣いていた。

 俺と千束は抱き合いながら一晩を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまで気温はかわらねーな」

 

 初めて乗る飛行機と使い慣れない言語を使ってくたくたになりながらようやく外に出れた。燦々とこれでもかと浴びせてくる日光を感じながらとりあえず待ち合わせ場所でまつ。

 暑さと共に待つこと数分。ベンチに座りながらボケーとしていると足音が聞こえてきた。

 

「へい、少ー年何黄昏れてるの?」

 

 そこには白い少女が立っていた。

「彼女と会うのを楽しみにしていただよ。さあ観光案内してくれよ」

 

 そういい、俺は千束の腕をとり歩んでいった。

 

 

 

 

 




読んでくれてありがとうございます。好評だったら多分続き書きます。一応考えているので。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。