俺、炎道一輝! コア・ゴーレムが大好きなゴーレムバトラー!
ある日、俺の仲間達と公園で遊んでたら、ヘンなヤツに話しかけられた。ソイツはいきなり、俺の魂である『レッド・フレイム』を寄越せって言ってきやがったんだ。
そんなことさせるわけねぇだろ! 俺は俺のゴーレムを守るため、ソイツとのゴーレムバトルに挑む!

次回、『コア・ゴーレム・バトルファイターズ』。
第三話『謎のゴーレムバトラー』! 
来週もまた見てくれよな! ゴーレムバトル! レディ、ゴー!

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ホビーアニメの悪役に転生したけど毎日が辛い

 

 

 

 

 『コア・ゴーレム・バトルボット』という玩具がある。

 

 プラモデルの一種で、量産型の人型ロボットを主軸に展開している人気のホビー商品だ。

 

 人型ロボットのプラモデルと言えばロボットアニメに登場する主人公機やライバル機等のユニークなロボットを1/144くらいのスケールに落とし込んで商品化するものだが、この『コア・ゴーレム・バトルボット』は違う。

 

 このシリーズ商品のラインナップは、なんと量産機のみなのだ。

 

 架空の陣営同士が戦う為に製造している人型量産機動兵器『コア・ゴーレム』。

 

 その構造は複数のパーツで構成されており、機体の胴体でありパイロットが乗り込むコクピット『コア』を中心に、頭部、両腕部、脚部、背中のブースターを組み上げて完成する。

 

 武装を装備出来る箇所は右腕、左腕、両肩の四つ。本体である機体に付属しているもの以外にも、武装や細やかなパーツのみを単独で販売することもある。

 

 そして、この『コア・ゴーレム』シリーズの最大の特徴……それは、全ての商品、全てのパーツに互換性があることだ。どのようなパーツでも同じ規格の接続部を持つので、複数の商品を購入してそれぞれのパーツを組み上げて一つの機体を作成するといった遊びが可能、というわけだな。ユーザーの中には脚部パーツのみを使って機体を組み上げるような変態も存在するとか……。

 

 語り部である私は、現代日本に住むごく普通の会社員。

 

 仕事の合間にふと立ち寄った量販店でこの『コア・ゴーレム』シリーズに出会い見事にド嵌まりした、少年心を忘れていなかった大人である。

 

 パッケージに記載されていたキャッチコピー『全ての量産機好きに捧ぐ……』『様々なパーツを組み合わせて、自分だけの量産機を創ろう!』に惹かれた私は、即座に店頭にあった数種類の商品と、合わせて売られていた初心者向けプラモデル製作キットを購入。帰宅してからは時間を忘れて作業に没頭し、組み上げたロボットを一人で眺めてニヤニヤしていた。我ながら気持ち悪いな……。

 

 SNSに投稿される職人達による機体を参考にしながら、自分だけの機体を模索する毎日。今まで趣味らしい趣味が無かった為に貯まる一方だった給料をプラモデル関係の商品につぎ込む私。最近では鑑賞用パーツと組み合わせ用パーツを分ける為に同じ商品の複数購入がデフォルトになりつつあった。

 

 そうして数ヶ月が経った頃。漸く私だけのコア・ゴーレムが完成した。

 

 古代エジプトをモチーフにした陣営『サンダラー』が製造した細身の量産機『SUG-019 スレイヴ』をメインに、陸戦強化仕様の各種追加装甲、砂地での戦闘を想定した四脚型の下半身と間接部を覆う防塵カバー、大型のランドセル型ブースターユニットを装着。武装は右手のレーザーブレード機構を組み込んだラウンドシールドと左手のビームライフル。サブウェポンとして物理ブレードのショートスピアを腰にマウントしている。両肩には武装を付けていない。追加装甲を積んでおいて何言ってるんだ、って感じだが、機動力を上げる為に少しでも軽量化したかったから(という設定)だ。

 

 白亜のボディに黄金の部分装甲を纏い、白のデスマスク型の頭部パーツに薄紫のツインアイが輝く二腕四脚の異形のロボット……私の専用機。その名は『スレイヴ・コフィン』。素体のロボットを包み込む追加装甲を棺桶(コフィン)に見立てて、そう名付けた。なんか戦場に出撃()たらそのまま撃墜されて本当の棺桶になりそうな名前だったが、まぁこれも一つの個性ってことで。

 

 SNSに画像を上げたところ、中々の高評価をいただいた私のテンションは鰻登り。ゴーレムユーザーの知り合いもできて順風満帆だ。

 

 そんな中、『コア・ゴーレム』シリーズのアニメ化が発表される。タイトルは『コア・ゴーレム・バトルファイターズ』。

 

 主に低年齢層をターゲットにしたこのアニメのストーリーは至ってシンプル。舞台はコア・ゴーレムのバトルが全てを決める世界。コア・ゴーレムが大好きな主人公の少年が、仲間達と共に並み居るライバル達と激闘を繰り広げ、ゴーレムバトラーの頂点を目指す……という内容だ。

 

 ここで、一つ問題が起きた。そのアニメを観ることが出来なくなってしまったのだ。

 

 私はアニメを殆ど観ない。精々SNSで流れてきた話題作の概要をちょっとだけ知るくらいだ。しかし、我が家のネット環境は整えてあるし、番組を予約、録画出来る機能がついたテレビもある。嵌まっているシリーズのアニメ化ということで視聴する意欲も勿論ある。

 

 では、何故アニメ視聴が出来ないのか。それは……。

 

 

 

「……貴方、炎道(えんどう)一輝(いっき)さんですね? 貴方のコア・ゴーレムを私に譲っていただけませんか? もし譲っていただけるのでしたら、言い値を払いますよ」

「え? 何言ってんだよアンタ? 俺のゴーレムが欲しいだって!?」

 

 

 

 日曜日の公園。清掃が行き届いていて、子供達が伸び伸びと遊んでいる平和な場。そこで、四人の少年少女達と一人の大人が対峙していた。

 

 赤い髪を逆立てた熱血漢の少年。アニメの主人公である『炎道一輝』君だ。

 

 一輝君に話しかけているのは、黒を基調とした紳士服とモノクルを見事に着こなした美青年。悪の組織『暗黒王国(ダークネス・キングダム)』の幹部、コードネーム『執事』。私はイケメン君と呼んでいる。

 

 

 

「しかも言い値って言ったわよ!? この人!」

「なぁ、イイネって何だ?」

「え、えっとね……ゴーレムをあげる代わりに、好きなだけ、お金をくれるってことだよ」

「マジかよ! 牛丼食べ放題じゃねぇか!」

 

 

 

 一輝君の周囲に居るのは彼の友人達。青い髪をツインテールに纏めた気の強そうな少女『清水(しみず)星良(せいら)』ちゃん。茶髪を短く刈り上げたふくよかな体格の少年『土幸(どこう)大地(だいち)』君。黒髪をボブカットに整えて眼鏡を掛けた大人しそうな少女『旋界(せんかい)風花(ふうか)』ちゃん。彼らもアニメの登場人物達だ。

 

 

 

「馬鹿にすんな! ゴーレムバトラーの……俺の魂のゴーレムが金なんかで釣り合うかよ! 絶対に渡さねぇ!」

「ふむ……でしたら、仕方がありませんね。力尽くで奪わせていただきます。この私のゴーレム……『ブラック・フラッグ』によってね……」

「ゴーレムバトルか……良いぜ! 受けて立つ!」

 

 

 

 交渉は決裂したようだ。一輝君とイケメン君が、それぞれ自分のゴーレムを手に持ち掲げる。

 

 

 

「ちょっと! あんな不審者放っておきましょうよ!」

「わ、私も、そう思う……かな……」

「おいおい、女子は弱っちいな!」

「はあ!? 何ですってぇ!?」

「せ、星良ちゃん……お、落ち着いてぇ……」

 

 

 

 大地君が星良ちゃんを挑発し、ブチ切れる星良ちゃんを風花ちゃんが宥める。なんとなく、彼らの性格や関係性が分かってきた気がする。

 

 

 

「俺達ゴーレムバトラーは戦いからは逃げないんだぜ! そうだろ? 一輝!」

「ああ! 勿論だぜ! 行け! 俺のゴーレム! 『レッド・フレイム』!」

「クックック……真の絶望というものを教えて差し上げましょう。貴方のコア……『ヒノカグツチ』は私の物です」

 

 

 

 そして、対峙する二人のゴーレムバトラーは、戦いの始まりを高らかに宣言した。

 

 

 

「「ゴーレムバトル! レディ、ゴー!」」

 

 

 

 私がアニメを視聴出来ない理由。

 

 それは、私がアニメ放映前に『コア・ゴーレム・バトルファイターズ』の世界に転生してしまったからだ……()()()()()()()()()()()()

 

 何が辛いって、アニメが視聴出来ないというのもあるが、同じ悪の組織に所属している同僚達……今、小学生くらいの少年少女達の前に立ちはだかっているイケメン君もそうだが、いい歳した大人が子供達に混ざって玩具のロボットを振りかざして遊んでいる構図を見るのがマジで辛い。見ろよ、あのイケメン君の楽しそうな笑顔を……あいつ、年齢が二十代後半なんだぜ?

 

 勘違いしないで欲しいのは、私がコア・ゴーレムを始めとするプラモデル等の玩具で遊ぶことを否定しているわけじゃないってことだ。そういう趣味の人が沢山居ることは知っているし、何なら私もその中の一人だ。

 

 だからといって、大人がガチのキッズ達に混ざるのは違くない?

 

 しかも、私がその子供達に混ざって遊ぶ大人達の組織の幹部なのが一番辛い。どうして楽しく遊んでいる子供達の間に割り込まなきゃならないんだ……誰も得しないだろ……勘弁してくれ……。

 

 そんなわけで、私は降って湧いた第二の人生に絶望しつつ、公園の端にある林に身を隠し、彼らのゴーレムバトルを見守るのだった。いざという時に、子供達を守れるように。

 

 この公園の平和は私に掛かっている。私は緊張を誤魔化すように、懐に忍ばせた愛機『スレイヴ・コフィン』に手を触れた。

 

 

 




ふと思いついたので書きました。

(続きは)ないです。

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