ゆるキャン3巻とボッチザロック5巻全部買ったの、まじで痛すぎる出費でしたわ……
注:既にpixivに上げたバレンタインの時の作品です。作者本人が出していますのでそこのところよろしく。
バレンタインデー。普段、気持ちを伝えられない恋人達が自分達の愛を確かめる日と定義されている。
もちろん、後藤さんにはきちんとチョコレートをあげたよ。それも割と本命に近い様なものにね。その時に後藤さんがスライム状になったのはいつも通りの話、無事に私の気持ちを伝える事ができた。それが私にとっては後藤さんと中を深める大きな一歩でもあった。
そんな事があったのは、つい昨日の話、今日はその翌日でいつも使っている下北のライブハウスに向かっている。
後藤さんはライブハウスのアルバイトの為に先に行っていて、ちょっとした予定があって後を追いかける様に
最近は大分開発も落ち着いている駅周辺から徒歩数分程にある拠点のライブハウスに入った途端、レジ裏に立っていた後藤さんの顔が崩壊していた。
「あばばばばばばばばば」
「後藤さんがいきなり壊れてる!?」
多少ファンが増え最近はいい感じに成長していると思っていた矢先、目の前に広がるのが変顔のオンパレードと言う。いや、いつも通りと言えばいつも通りだけれども、なんの拍子もなく顔面崩壊はいつぶりなんだろう。
「……いつものことじゃん」
リョウ先輩がどこか憂鬱そうな表情を浮かべている。
「なんか、リョウ先輩、体でも崩したんですか?」
あーっとカウンター前の丸い机の椅子に座っている伊地知先輩のお姉さんである店長が声を上げる。
「昨日、お金がなくてそこら辺に生えている雑草を食ったんだってさ、本当にどこの馬鹿と同じことする奴が現れるとは思ってなかったよ」
欠金なのは知っている。前に後藤さんからお金借りて返し忘れて、店長に叱られたのも知っている。でも、どうして、そんな強行に?
「い、伊地知先輩、本当の事ですか?」
思わずウェイターをしていた伊地知先輩に視線を向けると、伊地知先輩は首を縦に振る。
「うん、トイレで嘔吐してたから多分本当」
「え、えぇ……って、待ってください、リョウ先輩、実家暮らしなのに雑草なんて食べる必要ありますか!?」
核心をつかれたのかどこか気まずそうにリョウ先輩は視線を逸らす。
反応からして、多分、草は食べていないけど、様子からして伊地知先輩の言う通りお腹を下しているのは間違いなさそう。でもなんで、リョウ先輩は草なんて食べたって嘘ついたんですかね。
一連の流れに興味なさそうにフンッと鼻を鳴らした店長はカウンター内から出てきた顔が崩壊している後藤さんのことを見る。
「ところで、ぼっちちゃんはどうして変顔しっぱなしなんだ?」
「え、あ、き、きのう、わた、私はなにも、渡せなかったから、その……」
後藤さんが変顔している理由はなんとなく理解はした。
昨日、バレンタインでチョコを渡したのはいいものの、後藤さん自体がそう言うイベントとは無関係でチョコを持ってきていないって落ち込んでいたからそれに気を負っていると言ったところだと思う。
「あーだから、後藤さん、昨日、大丈夫だって言ったよね?」
「ど、どどどど、どうせ、私は、私はあまばばばばばば」
スーッとお化けの様に横移動した後藤さんはすっぽりとゴミ箱の中に入る。
「あ、あは、あははは、はは……せ、青春は怖い、コミュ陽キャ怖い」
「だから、なんでそーなるの!?」
「私は蝉、蝉なんだ、ミーンミンミンミンミーン……」
「時期外れてる、時期外れてる」
なんで蝉なの、なんで、今、冬だよ、蝉なんてとっくの昔に死んで空の向こう側に行っちゃってるから。え、もしかして後藤さん、自分が蝉のお墓作ったの忘れ……
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
「ちょ、後藤さん!?後藤さん!?」
「……みじんこになりたい」
いきなり発狂したかと思いきやしゅんっとゴミ箱の中から後藤さんの姿が消える。
慌ててゴミ箱に近寄り中を見ると、後藤さんは本当のみじんこなっていた。
「後藤さん!?」
流石にこれは初めてかもってそう言う話じゃない!待って、待って、みじんこになるなんて聞いた事ないよ!棺桶とか、蝉の墓とかいきなり作り出してたのはみたことあるけど!?
「ち、ちょっと待って後藤さんが、みじんこになっちゃったんですけど!?」
「……そんなのどうでもいい、お腹痛い」
「どーでも良くないですよーー!!」
今日も今日とてここのライブハウスは騒がしいものです。