時は現代。
天才科学者篠ノ之束によって、世の中の全ての女性が忍術を扱えるようになり、宇宙進出用のISを忍術制御用に転用し、世界の中心は忍術とISになっていった。

混乱に陥る世界の裏で、闇の忍者軍団・虹蛇が着々と力を蓄えていた。
世界を掌握しようとしている虹蛇に、たった1人の忍者が立ち塞がる!

その忍者は、篠ノ之束の手によって忍術が蘇る前から唯一忍術を行使できた『ガマノ流』の後継者。

伝説の忍者『仮面ライダーシノビ』である!!






注意

①ISと仮面ライダーシノビのクロスオーバーです
 苦手な片はブラウザバックを。

②IS学園入学前(一夏が中学生)の話です。

③性格や立場、関係性が原作とは異なるキャラが居ます。

④この作品は読み切りです。

二次創作なら何で良いという方のみ、ご覧ください。

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なんとなく思い付いたシリーズ第7弾です。

去年(2022)に思い付ければ完璧だった。
いや、このクオリティーなら完璧では無いかもしれない。

そんな感じの今作ですが、最後まで読んでくださると嬉しいです!


IS TIME 仮面ライダーシノビ

忍者。

 

 

影に潜む者たちに、世間一般では、どのようなイメージがあるだろうか。

 

 

火や水などを自由自在に操る?

煙と共に一瞬で姿を消す?

自分の分身を大量に作れる?

 

 

こう特徴をあげる人が、多いのではなかろうか。

だが、こういったイメージは後世の創作物によって生まれたものである。

 

 

遡る事、江戸。

この時代にて活動していた忍者と呼ばれていた者たちは、只の雇われスパイだった。

依頼主に従い、情報を持ってきたり、時には対象を暗殺したり……

創作物によってもたらされるイメージとは、全く異なるものが()()()()()

 

 

そう、殆ど。

物事には何事も例外はある。

9割9分9厘の忍者が雇われスパイである中、ほんの一握りの忍者は、創作物のイメージと同じような力……『忍術』を、実際に振るっていたのだ。

 

 

そんなごく少数の忍術を扱う流派の1つが、『ガマノ流』。

ガマノ流は五行を操り、竜巻や水流、炎などを発生させることを得意とする。

 

 

そんなガマノ流には、1つ受け継がれる力がある。

仮面と鎧を身に纏い変身する。

『仮面ライダー』と呼ばれる、その力が。

 

 

ガマノ流を受け継ぎし者は、仮面ライダーへと変身し、悪を成敗し、日夜戦うのだ。

江戸から続くこの力は、後世にもずっと引き継がれていく事になる。

 

 

時が流れていくにつれ、元々少数だった忍術を使用できる流派は更に数を減らしていく事になる。

後継者不足だったり、襲撃によって命を落としたりなど、理由は様々だ。

他流派とは言え、忍術を扱えるものは非常に少ない。

なんとか後世に残していけるように、ガマノ流も力を貸したりしたのだが、結局願いは届かず。

ガマノ流以外の忍術流派は絶滅してしまった。

 

 

そこまで時が流れると、世間はガラリと変わるもので。

幕府は解体され、文明開化が起こり。

戦争を経験し、現代日本が構築されていった。

 

 

そして、現代にて忍者は創作物の中の概念となったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

…………ある時までは。

 

 

現代になってから、ある程度の時間が流れたとある日。

宇宙へ行く事を目標の、天才にして天災科学者『篠ノ之束』。

 

彼女の研究の副産物によって、ある日唐突に、滅んだはずの忍術が一斉に蘇った。

しかも、それだけでは無い。

今まで、修行など一切行っていないはずの現代人でも、年や国籍関係なく行き成り忍術を使えるようになった……ただし、女性だけが。

 

 

そう、女性のみが忍術を使えるようになったのだ。

そんな状況になったら、瞬く間に世界は混乱へと向かって行くに決まっている。

 

 

忍術が使えるようになったからとはいえ、忍術を使いこなせるという訳では無い。

世界各国で、忍術の暴発による事故が多発した。

 

 

その事態を重く見た篠ノ之束は、宇宙に行くために…自分の夢の為に開発をしていたパワードスーツ(空への翼)、インフィニット・ストラトス通称ISを、忍術を制御する為の装置として転用した。

それを使用する事で、忍術は安定して行使できるようになった。

しかし、忍術を安定させる為に必要なISは、世界各国からの需要が爆発するに決まっている。

ISを巡っての争いが起こりかね無いこの状況に、篠ノ之束は467個目のISのコアを制作した後、世界から失踪した。

 

 

そうして、世間一般にて忍術が広く浸透していった。

忍術世界一を決める忍術大会『モンド・グロッソ』が開催されたり。

忍術、並びにISを学ぶ為の学園、IS学園が設立されたり。

 

 

世界の中心は忍術と言っても過言では無くなっていた。

忍術を使用する為の資格試験だったり、軍事利用の規制だったりを定めた条約『アラスカ条約』が制定された。

 

 

また、忍術を使える女性の方が、男性よりも優れているという女尊男卑の考えが充満していく事になる。

無論、忍術があったとしてもできない事は多く、そもそも修行を積みISを使用しないと安定して扱えない。

そしてそのISの整備には男性も関わっているので、男性抜きで忍術は成り立たないと言っても関わらず、だ。

 

 

全員が全員女尊男卑に染まっているという訳では無いが、やはり一部の過激派が騒いでいるのが現実である。

 

 

そんな大忍者社会ともいえる現代で、話さない訳にはいかない人間が3人いる。

 

 

1人目は、先に述べた篠ノ之束。

この忍術を蘇らせた科学者である。

 

 

2人目は、『織斑千冬』。

忍術大会モンド・グロッソの初代優勝者であり、ブリュンヒルデと呼ばれる人物である。

幼少期から文武両道で優秀だった彼女は、篠ノ之束の親友であり、忍術が蘇ってからはその能力を飛躍的に上昇させ、世界でも片手で数えられる程しかいない、『ISを使用しなくても生身で忍術を使用できる』女性でもある。

 

ブリュンヒルデたる彼女の影響力は絶大で、一国の大統領などをゆうに上回る程の発言力を持つ。

ブリュンヒルデそのものはただの称号であり何の権力も発生しないのにも関わらず、だ。

 

 

そして、3人目。

この人物は先の2人とは違い、本名は知られていない。

いや、本名どころか、その人物に関するほぼ全ての情報が無い。

 

忍術の名の通り、影に忍び、忍術やISを悪用しようとしている違法組織や研究所を襲撃し、成敗しているその人物。

成敗し、拘束した人間たちの元に添えられている犯罪行為が纏められている資料に記されている、自称の名前だけが、その人物の唯一の情報だった。

 

 

伝説の忍者『仮面ライダーシノビ』

 

人は、そう呼ぶのだった。

 

 


 

 

「♪~~♪~~」

 

 

とある休日の朝。

何処にでもあるような、ごく普通の住宅街。

そこに位置する一軒家のキッチンにて、1人の少年が鼻歌を歌いながら朝食を作っていた。

 

 

少年の名は『織斑一夏』

15歳の中学3年生であり、織斑千冬の弟である。

 

 

彼が朝食を作っている理由は、織斑家の家族構成にある。

織斑家には、親というものが存在しない。

一夏が物心つくころには、姉である千冬、そして双子の妹の3人暮らしだった。

 

 

千冬が頑張って働いて生活費を稼いでくれていたので、せめて家事での負担は掛けないようにと、担当するようになったのだ。

当初は妹も手伝っていたのだが、些か家事に向いていなかったのかミスを連発しており、一夏が1人で行った方が早いし出来も良いので、何時しか全部の家事を一夏がするようになったのだ。

 

 

「よし、これで完成だな」

 

 

朝食を作り終えた一夏は、茶碗などによそっていく。

本日のメニューは白米に味噌汁、焼き鮭にたくあんといった、ザ・和食といったもの。

どれもこれも完成度はかなり高く、見ているだけで食欲をそそる。

机の上に配膳をすれば、準備完了だ。

 

 

「さて、何時もなら起きてくる時間なんだが…起こしに行くか?」

 

 

手を洗いながらそう呟く一夏。

未だに寝ている妹を起こそうと視線をリビングの扉に向けた時。

 

 

ガチャ

 

 

「ふぁぁあああ……おはよぉ……」

 

 

まるで狙っていたかのようなタイミングで扉が開き、一夏に似た顔立ちの少女が、眠そうに目を擦りながら入って来た。

 

 

「おはよう、マドカ」

 

 

「うん…お兄ちゃん、おはよう」

 

 

その少女は一夏と千冬の妹、『織斑マドカ』

千冬をまるでそのまま若返らせたんじゃないかと言うほどそっくり。

なお、似ているのは顔だけでなく、得意な物や不得意な物まで似ており、同年代の中では忍術に対する理解も深い。

年齢が若く、経験が浅い為千冬のように完璧に扱えるという訳では無いが、しっかりとした修行を重ねれば、千冬に勝るとも劣らない忍者になれるだろう。

 

 

なお、かなりのブラコンである(隠していると思っているが、実をいうとバレバレ)。

実は家事を全部一夏に任せている事が、相当に申し訳ないと感じているので、裏でいろいろ練習している。

 

 

「取り敢えず、朝ご飯は出来たから顔洗ってきな」

 

 

「うん、そうする…」

 

 

マドカは一夏の言葉に素直に洗面所に向かい、顔を洗い、改めてリビングに入って来る。

 

 

「スッキリしたか?」

 

 

「うん。改めておはよう」

 

 

「ああ、おはよう。早く食べるぞ」

 

 

「は~い」

 

 

一夏とマドカは席に座り、

 

 

「「いただきます」」

 

 

朝食を食べ始める。

姉である千冬は、モンド・グロッソに出ていた頃から、忙しさのあまり家に帰って来る事がだんだん少なくなっており、もう現役を引退した今は、何処かで泊まり込みの仕事をしているので、実質今織斑家は2人暮らしなのだ。

 

 

食べ始めて数分後。

 

 

「マドカ、そんなにソワソワするな」

 

 

「しょうがないじゃん!受験、今週なんだよ!?」

 

 

やけに落ち着きが無いマドカに一夏が注意すると、マドカはまくしたてるようなテンションで反論する。

 

そう、今週はマドカの志望校である、IS学園の受験があるのだ。

忍術とISを学ぶ専門の学園は、IS学園1校しかない。

本当だったら世界各国に建てたいのだが、ISの絶対数に限りがあるため、1校しか設立が出来なかったのだ。

 

 

そして、世界の中心ともいえるISを学ぶ学校、しかもそれが1校しか無いのならば、全世界に入学希望者が沢山いるに決まっている。

そんな訳で、IS学園の倍率はえげつない数値になっているのだ。

マドカが緊張するのも無理はない。

 

 

「お前が一般生徒だったら『そうだな』とか言えるんだけどな。マドカならよっぽどの事が無かったら落ちないだろ。一般生徒と違って、もう忍術を使った事があるんだから」

 

 

一夏のその言葉に、マドカはピタリと動きを止める。

何度でも言うが、忍術を安定して扱うにはISが必要である。

そして、IS学園は高等学校に当たる学校であるため、中学生以下の女子はISを動かせない…ひいては、忍術を扱えない訳だ。

だが、物事には何にも例外がある。

 

 

そう、IS学園に入学する前から、ISに触れ、忍術を行使する方法があるのだ。

それは、国や企業、組織に所属する事だ。

 

 

国への所属は、国家代表、もしくは代表候補生と呼ばれる。

モンド・グロッソへの出場などが仕事であり、名の通り国の代表として活動するのである。

 

企業への所属は、基本的にはテストパイロット、並びに広告塔を担当する。

忍術をより安定させるために、そして、更に発展させる為の様々なIS用装備をテストするのだ。

 

組織とは、軍や特殊部隊などの事を差す。

違法行為などをしている輩を取り締まったりするのが主な仕事である。

 

 

そして、マドカは3番目。

組織所属なのだ。

 

 

「いや、そりゃあ、さ。確かにそうだけど…正式所属って訳じゃ無くて、まだ見習いだし…そもそも、所属が出来たのも、スコールと仲が良いからっているおこぼれだし……」

 

 

「もしそうだったとしても、入ってから脱退とかさせられずにいるじゃないか。認められてるって事だよ」

 

 

「お兄ちゃん……」

 

 

「ま、俺に忍術だのISだのへの興味はないけど」

 

 

「ちょっと感動したのに!返して!」

 

 

「失礼だな。俺は奪ってない。お前が勝手にそう感じただけだ」

 

 

「も~う!」

 

 

マドカは怒りましたと言わんばかりのコミカルな動作をし、一夏は興味が無さそうにご飯を食べるのを再開する。

だが、2人の表情は共に笑顔であるあたり、このやり取りを楽しんでいるようだ。

 

 

「まぁ、頑張れよ」

 

 

「うん!お姉ちゃんや、シノビ様みたいな忍者になってみせる!」

 

 

そんなこんなで。

朝食を食べ終わり、一夏が後片付けをし終わった。

一夏が食後の珈琲を飲みながら新聞を読み、マドカがスマホを弄っている時。

 

 

ピーンポーン

 

 

チャイムが鳴った。

休日の朝、朝食直後というかなり早めの時間帯。

宅配便などはどう考えても来ない時間だし、来客が来るにしても早すぎる。

 

 

「はいはい」

 

 

だが、一夏は特に何も思わず珈琲と新聞紙を机の上に置くと、そのまま玄関へと向かう。

一夏がこんな反応をするの単純明快。

この時間の来客を知っているからである。

 

 

ガチャ

 

 

玄関の扉を開いた先にいたのは金髪ロングの美人女性と、オレンジ髪のこれまた美人女性の2人。

 

 

「どうも、今日は来てくれてわざわざありがとうございます。スコールさん、オータムさん」

 

 

「はぁい、一夏。元気そうね」

 

 

「おう、来てやったぜ」

 

 

一夏の挨拶に、金髪美人…『スコール・ミューゼル』とオレンジ髪美人『オータム・アミューレア』が各々そう返答する。

スコールとオータムは、共に忍術国際機関『亡国企業』の実働部隊『モノクローム・アバター』のメンバーである。

亡国企業、並びにモノクロ―ム・アバターは、マドカも所属している部隊であり、マドカはここで忍術の訓練を行っていたのだ。

 

亡国企業はIS、並びに忍術を悪用している組織を取り締まるため事を目的とした国際機関であり、実働部隊はその名の通り違法研究施設などへの攻撃を担当する。

モノクローム・アバターはその中でも、トップレベルの戦果を誇る優秀なチームである。

因みに、亡国企業という機関名は『亡くなった国なんて忍者にピッタリじゃない!』という上層部のノリで決まったとかなんとか

 

 

そんな所に所属している2人は、かつて第1回モンド・グロッソにて千冬と優勝を争い合った忍者である。

大会後、千冬は現役を続け第2回に出場したのに対し、2人はそのまま引退。

亡国企業に所属する事になる。

 

 

そんな2人は、千冬から家庭事情を聴き、織斑家に顔を出すようになっていく。

食費を負担してあげたり、一夏と共に家事をしてあげたり、時には遊園地などのレジャー施設に連れて行ったりもした。

その結果として、2人はかなり織斑家の親密な関係になり、マドカが所属する運びになったのだ。

 

 

「どうぞ、入って下さい」

 

 

「「お邪魔します」」

 

 

一夏に促され、2人は織斑家に入っていく。

2人がこんな朝っぱらから来た理由は、マドカの受験直前なので勉強を見に来たのだ。

 

 

「わざわざすみません。マドカの為に」

 

 

「気にしなくて良いぜ。やりたくてやってるだけだからな」

 

 

オータムは一夏の頭をワシャワシャと思いっ切り撫でる。

撫でられた箇所を少し恥ずかしそうに自分で押さえる一夏。

 

 

「おいおい、可愛い反応するじゃないか」

 

 

「そ、それは…///」

 

 

「うふふ、オータムだけじゃなくて、私にも意識は向けてよね」

 

 

「わっ!?」

 

 

そんな一夏に、スコールが唐突に後ろから抱き着いた。

その豊満な胸を一夏に思いっきり押し付ける。

 

 

「ちょ、ちょ!?スコールさん!?何してるんですか!?」

 

 

一夏は背中に感じる柔らかい感触だの、感じる匂いだのに急速に頬が赤くなっていく。

そんな一夏の反応を見て、テンションが上がったのかスコールは

 

 

「ふぅ……」

 

 

と、一夏の耳に息を吹きかけた。

 

 

「っ!?!?!?」

 

 

さっきまでよりも、更にくっきりと、耳まで赤くなっているのが分かる一夏。

 

 

「マ、マドカはリビングにいるのでぇ!!」

 

 

一夏は逃げるように2階の自室へと走っていく。

 

 

(こ、これだからあの2人は!!!)

 

 

その道中に、一夏はそんな事を考える。

 

 

織斑家と仲のいいスコールとオータムではあるが、正直一夏は2人の事が苦手だった。

理由は単純明快。

先程のような悪戯を定期的にされているからである。

 

 

2人は織斑家に泊る事も多く、部屋が余っていたという理由で専用の部屋まであるのだが、そこの掃除を一夏に頼んでおきながらわざと下着を出しっぱなしをしたり。

一夏がシャワーを浴びているのが分かっているのに、全裸で突入したりするのだ。

中学3年生、思春期真っただ中の少年には刺激が強すぎる。

 

 

スコールとオータムが一夏にちょっかいを掛ける理由は、ただただ反応が見たいというものでは無い。

2人は一夏の事を気に入っており、実を言うとloveの方で好いているのだ。

 

 

親がおらず、姉も家に帰ってこない。

そんな状態で、妹の為に弱音を吐かず家事を淡々とこなしたり、時にはスコールとオータムがいる亡国企業の日本支部局に差し入れを持ってきたリもした。

真面目で自分に出来る事を精一杯に行うその姿に、年が離れている事を理解していても、恋心を抱いていてしまったのだ。

 

 

「「かわいいなぁ……」」

 

 

逃げていった一夏の背中を見ながら、2人は同時にそう呟くとリビングに入っていき、マドカと共に勉強を始めた。

 

 

そこから時間は流れ、10時。

勉強の休憩として、一夏が飲み忘れた珈琲の残りを誰が飲むかの論争をしている3人がいるリビングに一夏が入って来た。

ただし、先程までとは違い外行きのリュックを背負っていたり、腰に銀色のヒョウタンのようなものをぶら下げていた。

 

このヒョウタンは少し前から一夏が外に行く場合絶対に持っていくもので、何時、何処で入手して、何故持っていくのかはマドカも知らない。

以前聞いた事があるのだが、はぐらかされ逃げられたので、一夏から情報を得るのは無理だと判断したのだ。

 

 

「あれ?お兄ちゃん外出るの?」

 

 

「ああ。昼飯の材料が無い。買ってこないとご飯抜きになっちゃうからな」

 

 

「そっか。いってらっしゃい」

 

 

「いってらしゃ~い」

 

 

「酒買って来てくれ!」

 

 

「買えないです!はぁ…いってきます」

 

 

オータムのリクエストに突っ込みを入れた後、一夏は玄関に向かい、そのまま外出していった。

言葉の通り、何時も良く行っているスーパーの方に向かって歩いていく一夏。

だが。

 

 

「……」

 

 

一夏は周囲に人が居ない事を確認すると、裏路地に入っていく。

懐から1つの手のひらサイズの玉を取り出すと、左手の人差し指と中指を立て、顔の前に持ってくる。

 

 

「……」

 

 

そして無言で玉を地面に叩き付ける。

 

 

ボォン!!

 

 

音と共に、白煙が発生。

一夏の身体を包み込む。

数舜後、白煙が晴れた時。

一夏の姿はもうそこには無かった。

 

 


 

 

とある場所の、とある部屋。

蛙の画が描かれた掛け軸が特徴的なこの部屋で、2人の男性がお茶を啜っていた。

 

1人は首から茶色の首掛け数珠を着用しているガタイの良いおっちゃん。

もう1人は、足や腰に包帯を巻いている青年。

 

 

「いやぁ、3ヶ月ぶりの緑茶はいいのぉ!」

 

 

「この間も似たようなこと言ってませんでした?」

 

 

おっちゃん…『ガマノ師匠』の言葉に、青年…『神蔵蓮太郎』がツッコミを入れる。

 

 

「そういうなよ蓮太郎…腕と足は?」

 

 

「最近になって漸く日常生活が出来るくらいにまでは動くようになってきましたよ。運動とかは、まだ無理ですけど」

 

 

ガマノ師匠の言葉に、蓮太郎は苦笑を浮かべながらそう返す。

 

 

ガマノ師匠はその名の通り、篠ノ之束が忍術を蘇らせる前、現存していた唯一の忍術流派ガマノ流の師匠である。

本名や出身地、年齢などの情報は一切語らず、誰も知らない。

普段は部屋の掛け軸の蛙の画を通して会話しているが、時たまこうやって人間の姿を、弟子2人に見せる事もある。

 

 

神蔵蓮太郎は、ガマノ師匠の1番弟子で、かなり正義感が強く妹思い。

ガマノ流の後継者として、以前までは当然生身で忍術を扱えていたのだが、子供をかばって事故にあってしまい、その結果として身体を自由に動かせなくなってしまうくらいの麻痺が残ってしまった。

今現在ではリハビリにより、なんとか日常生活程度ならば問題無いくらいには回復したものの、それでもやはり全盛期よりの8分の1くらいだろう。

 

 

「にしても、最近は余計にISがもてはやされてんなぁ」

 

 

ガマノ師匠は湯呑を置くと、側に落ちていた新聞を回収し、そう呟く。

 

 

「まぁ、仕方が無いんじゃないですか?俺達みたいに、長い歴史受け継ぎ修行してきた者か、ブリュンヒルデのような天才じゃないと、この忍術()は扱いきれません」

 

 

蓮太郎も湯呑を置きながらそう返答する。

その表情は何処か悔しそうだった。

だが、それもそうだろう。

自分達ガマノ流は、長い年月をかけ技術を継承し、修行を重ねる事で忍術を扱えるようになっていった。

 

 

だが、近年の女性たちは篠ノ之束の手によって簡単に忍術が使えるようになった。

忍術に対する思い入れも、使った時間もガマノ流と比べたら天と地の差。

しかも、世界で片手で数えられる人数以外はISに頼らないと忍術が安定しないと来たものだ。

そりゃあ自分達が積み上げて来たものを馬鹿にされていると感じても仕方が無いだろう。

 

 

「全くだ……ISを使用しないと扱えない忍術など、忍術では無い!!」

 

 

ガマノ師匠は新聞をまた、またそこらへんに新聞を置く。

 

 

「…誤った力の使い方をする者が、増えてしまった……」

 

 

蓮太郎は拳を握りしめながらそう呟く。

暫くの間、この場を静寂が支配する。

 

 

ガラッ!

 

 

「師匠、蓮太郎さん、お待たせしました」

 

 

そんな静寂を破るように扉が開き、1人の人間が入って来た。

ガマノ師匠と蓮太郎は、同時にその方向を振り向く。

そこにいたのは、リュックを背負い腰に銀色のヒョウタンを腰からぶら下げた人物……そう、一夏である。

 

 

実を言うと、一夏はガマノ師匠の2番弟子。

当然の様に生身で忍術を行使する事が出来、その練度は姉の千冬を余裕で上回る。

蓮太郎が事故で動けなくなってからは、実質1番弟子のような扱いをされているものの、一夏自身は蓮太郎を兄弟子として慕っている。

なお、当然ではあるが一夏はこの事を家族の誰にも喋っていない。

 

 

一夏がわざわざマドカ達にスーパーに行くと嘘をついてまで此処に来た理由。

それは単純明快で、ガマノ師匠に呼ばれたからである。

 

 

「一夏、座れぃ。大事な話がある」

 

 

「はい」

 

 

ガマノ師匠の正面に座る。

そんな一夏の事を、2人はジッと観察する。

師匠と兄弟子という憧れの人物たちに見られて、一夏は内心滅茶苦茶動揺するも、それは表に出さない。

 

 

実を言うと、一夏が動揺しているのは、ガマノ師匠と蓮太郎にはバレバレだった。

だが、それを表に出さないようにしているという事は、かなりの高等技術。

2人は一夏の成長に、笑みを漏らす。

 

 

「いい顔をするようになったのぉ」

 

 

「そうですかね?」

 

 

「ああ。十分一人前の顔になってるぞ」

 

 

蓮太郎は若干震える手で一夏の頭を数度撫でる。

頭を撫でられ終えた一夏は改めて真面目な表情を浮かべると、ガマノ師匠の方向を向く。

 

 

「それで師匠、話とは?」

 

 

「ああ。次の任務の話だ」

 

 

「っ……」

 

 

その言葉を聞き、更にピリピリした表情を浮かべる一夏。

固唾を呑んでガマノ師匠の言葉を待っていると、衝撃の一言が飛び出した。

 

 

「お前の、妹がピンチだ」

 

 

「………………え?」

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

IS学園の試験日前日の深夜。

日本のとある山奥に、一夏の姿があった。

 

 

その姿は、普段着用している中学校の制服でも、私服でもない。

黒を基調とした、ザ・忍者といった格好をしており、手には唐草模様と可愛らしい蛙の顔があしらわれた双眼鏡を持っていた。

その視線の先には、1つの施設。

明かりが漏れているあたり、まだ人間がいる事が分かる。

 

 

だが、この施設は労働基準法を守っていないレベルだったら、まだかわいく見えるレベルの真っ黒な施設である。

 

 

『闇の忍者軍団・虹蛇(にじのへび)

 

 

世界のありとあらゆる場所で忍術やISに関する違法研究を行っており、亡国企業が此処数年追いかけている違法軍団である。

その目的や規模などの詳細は謎に包まれている。

一夏の目の前にあるこの施設は、虹蛇の研究施設である。

 

 

「それにしても…マドカがピンチ?どういう事だ?」

 

 

双眼鏡を使い、施設の中の様子を確認している一夏は、不意にそう言葉を漏らした。

思い出されるのは、ガマノ師匠からの任務を受けた時の言葉。

 

 

「……」

 

 

一夏は無言で懐からワイヤレスイヤホンを取り出し、右耳に装着する。

もう既に盗聴器を持たせた小型サポートメカ『クロガネコガマ』を侵入させている。

そろそろ会話が聞こえる時間だろう。

 

そう思っていると、狙い通り施設内の会話が聞こえてきた。

一夏は再び双眼鏡を構え、中の様子を確認しながら会話に耳を澄ませる。

 

 

『準備は完了したか?』

 

 

『はい、問題ありません。風忍様』

 

 

(風忍…今現在此処にいるメンバー内だったら、コイツがリーダーだな)

 

 

観察している視線の先には、9人。

全員女性で、恐らくアジア人。

その中で唯一他のメンバーとは違う、やけに豪華な服を着ている人物がいた。

風忍と呼ばれていた者が口にした内容と、その人物の唇の動きが略一致しているので、ほぼ間違いは無いだろう。

 

 

『よろしい……』

 

 

コツ、コツ、コツと、通信越しでも分かる程の足音を立てながら風忍が室内を移動する。

そうして、風忍と残りの8人が向かい合う形で並ぶ。

 

 

『明日、我々は虹蛇の姫君様を取り戻す!』

 

 

『おおおおおおお!!』

 

 

風忍の言葉に、部下達が雄叫びをあげる。

 

 

(なんだそれ…全然忍者じゃねぇ…)

 

 

その態度に、一夏は内心悪態をつくも、監視を続ける。

 

 

『姫君様は、我々の姫君であるという事実を知らない。だからこそ!我々の元へとお連れし、真実をお教えしなければならないのだ!!』

 

 

風忍は、徐に懐から巻物を一軸を取り出し、バッと開く。

そこに描かれていたのは、とある人物の顔。

 

 

『我々の姫君!織斑マドカ様を!!』

 

 

「なにっ!?」

 

 

その巻物に描かれていた顔と、風忍の言い放った名前……それは、一夏の妹の、マドカのものだった。

流石の一夏でも、自分の妹が虹蛇の連中に姫君と呼ばれていたら動揺する。

 

 

(マドカが、虹蛇の姫君だって?そんな馬鹿な。だが、今こうやって奴らが話しているのも事実…マドカは姫君である事実を知らない…駄目だ、考えても纏まる訳が無い。いったん放棄だ)

 

 

一夏は思考を巡らせるも、今こうやって考えている場合では無いと思考を中断する。

 

 

(師匠の言ってた事はそういう事か…今分かるのは、何故だか分からないが、マドカは虹蛇の姫君だが、マドカ本人はそれを知らない。そして、虹蛇はマドカを迎える事を目的としている、か)

 

 

『姫君様は明日、IS学園の受験であられる!我々は受験会場を襲撃し、姫君様を奪還する!!』

 

 

一夏が現状の確認をしたと同時に、風忍が改めて宣言する。

その瞬間に一夏は思わず手に力を籠めてしまい、双眼鏡がミシッ…!!と悲鳴を上げる。

 

 

「姫君を奪還する……それにどんな意味があり、どれほどの気持ちを込めているのかは、俺には分からない。もしかしたら、お前らにとっては命を賭けてでも、達成したい者なのかもしれない。けどな……」

 

 

一夏は双眼鏡を懐に仕舞い、イヤホンを耳から外す。

 

 

「明日、受験会場に集まる人達の事も巻き込むその姿勢…絶対に許せない。その忍術()の使い方は、間違っている!!」

 

 

そう叫んだ一夏は、腰からぶら下げている銀色のヒョウタン…『シノビヒョウタン』を右手で掴む。

シノビヒョウタンは物体を収縮させ保存する能力を持ち、所持者の脳波を読み取り、任意のガジェットを取り出す事が出来る。

 

 

「マドカの事は、俺が守ってみせる!」

 

 

一夏はそう叫ぶと、シノビヒョウタンの蓋を

 

キュポン!

 

と音を立てて開け、中身を取り出すように傾ける。

中から紫色の液体のようなものか零れ、一夏の腰回りを1周した後。

何処かの魔王や救世主が使用しているベルトと酷似した外見の漆黒のベルト『シノビドライバー』と紫色の個体識別装置『メンキョカイデンプレート』に変化。

シノビドライバーは腰に装着され、メンキョカイデンプレートを左手で掴む。

 

 

「はぁ~~~」

 

 

和風の待機音が辺りに響く中、息を吐きながらポーズを取り、メンキョカイデンプレートを前に突き出す。

そして、叫ぶ。

その言葉を。

 

 

「変身!」

 

 

メンキョカイデンプレートをシノビドライバーにセットし、巨大な四方手裏剣型スタートキー『シュリケンスターター』を回転させる。

 

 

《誰じゃ?俺じゃ!忍者!》

 

 

シノビドライバーから背後に巨大な機械仕掛けのガマガエル、『クロガネオオガマ』が出現。

口から防具を吐き出し、一夏の身体に装着されていく。

 

 

《シノ~ビ、見参!》

 

 

変身が完了し、背後のクロガネオオガマが消える。

 

 

その場に立っていたのは、紫を基調とした忍装束の衣装に、仮面に装着されている手裏剣型のアンテナ、風にたなびく首元のマフラーが特徴的である。

 

 

伝説の忍者、仮面ライダーシノビ。

織斑一夏が、ガマノ師匠、そして神蔵蓮太郎から受け継いだ、ガマノ流忍術の力である。

 

 

シノビは地面を蹴ると、施設に侵入。

天井裏を伝い、風忍たちのいる部屋へと辿り着くと、天井を蹴破り室内に侵入した。

 

 

バァン!

 

 

天井裏に溜まっていた埃や汚れなどが舞い、視界を奪う。

 

 

「何だ!?」

 

 

「わ、分かりません!」

 

 

風忍や部下達が混乱の声をあげる。

だが、しょせんは埃。

直ぐに晴れ、視界は戻る。

 

 

「なっ!?貴様は!!」

 

 

風忍のその声と同時に、部下達が懐から短刀を取り出し構える。

 

 

「忍と書いて、刃の心!仮面ライダーシノビ!!」

 

 

ポーズと取りながら、名乗りを上げるシノビ。

仮面ライダーシノビの名は、もはや全世界の人間が知っていると言っても過言ではなく、それは虹蛇も同様。

 

 

「伝説の忍者様が、何の用だ?」

 

 

「しれた事。貴様らの野蛮な行為を妨害する。それだけだ」

 

 

「……それは大層な事で。だが、我々は9人。たった1人で勝てるとでも?」

 

 

「貴様らのような誤った力の使い方をする者どもに、負けはしない」

 

 

「そうか…かかれ!!」

 

 

風忍の号令に、全員が一斉にその身にISを展開、身に纏う。

 

 

「それは…疾風の再誕か」

 

 

世界シェア3位の企業が開発した量産機。

疾風の名の通り、風遁のサポートが得意な機体だが、他の忍術のサポートも可能な万能機である。

 

 

『くらえっ!!』

 

 

ビュウ!

 

ゴウゥ!

 

バシャア!

 

 

部下8人がシノビに向かって忍術を放つ。

疾風の再誕の特性上、半数は風遁だが、残りの4人の内2人は火遁、残り2人は水遁を放つ。

虹蛇に所属しており、尚且つ明日姫君を連れる為にIS学園の受験会場を襲撃しようとしていたが故、術の完成度はかなり高く、下手な国家所属の忍者よりも、明らかに練度が高い。

 

 

だが、それは一般人の視点で見た場合の話だ。

江戸の頃より唯一続く、ガマノ流の後継者であり、伝説と称されるシノビからすれば、この程度なんの障害でも無い。

 

 

「はあっ!」

 

 

忍術の隙間を搔い潜り、床や天井を走り1人に肉薄する。

 

 

「早っ…!?」

 

 

《忍ッポォォウ!キリステ!》

 

 

シュリケンスターターを回転させ、技を発動。

 

 

「ハァア!!」

 

キィィン!ガキィン!ガキィンガキィン!!

 

腰から忍者刀『シノビブレード』を出現させ、素早く切り裂く。

動揺から、防御態勢も取れなかったその人物は攻撃を全て受けてしまう。

本来宇宙に行く事を想定されていたり、忍術をぶつけ合う事を想定しているISには搭乗者の保護機能が備わっている。

シールドエネルギーがゼロになり、纏っている疾風の再誕が強制解除され、生身で転がっていく。

だが、胸が軽く上下に動いているので生きているのは確認できる。

 

 

「まだまだ行くぞ」

 

 

シノビはそう呟くと、地面を蹴り、仲間が一瞬にしてやられたという事実にまだ放心している部下達に接近する。

 

 

「っ!迎え撃て!!」

 

 

風忍の号令によって、忍術を発動させようと構えるも…

 

 

「遅い!」

 

 

《ストロング忍法!》

 

 

「ハァアアア!」

 

グォォン!ゴォォォォ!!

 

「きゃぁ!?」

 

 

「なんだ!?」

 

 

紫色の火炎を放ち、忍術の行使を妨害する。

 

 

《メェーーガトン!忍法!》

 

 

「シェアアア!」

 

ヒュゥゥゥーーー…!

 

「うわぁ!?」

 

 

「ぐぅ!?」

 

 

紫色の巨大な竜巻を発生。

この部屋が少々広いとはいえ所詮室内。

吹き飛ばされた部下達は壁に当たって跳ね返り、部屋の中央に倒れ込んでしまう。

 

 

《フィニッッシュゥゥ!忍ッ法ゥゥ!!》

 

 

「これでもくらえ!!」

 

キュゥゥーン…キュゥゥーン…キュゥゥーン!チュドンチュドォォーン!!

 

『きゃああああああ!?!?』

 

 

最後に、フィニッシュ忍法を発動。

目にもとまらぬ速度で回し蹴りや連続切りなどの攻撃を叩き込む。

部下達7人は立ち上がろうとした瞬間に攻撃をくらい、機体が強制解除。

最初の1人と同じように吹き飛んでいく。

 

 

「これで、1対1だ」

 

 

シノビは最後に残った風忍に視線を向け、シノビブレードを構えなおしながら言い放つ。

 

 

「フン…良いだろう!その仮面、這いでやる!」

 

ビュォオオオオオ!

 

風忍は名前や機体の通り、風遁を得意としている。

一瞬にして大きな風の爆弾を作り出し、シノビに向かって放つ。

 

 

「フッ!」

 

 

だが、そんな直線的な攻撃シノビには通用しない。

身体を捻る最低限の動きだけで風の爆弾を避けると、風忍に肉薄しシノビブレードを振るう。

 

 

「甘い!」

 

 

風忍も、虹蛇の一部隊の隊長を任されている実力者。

そう簡単に攻撃を受けてはくれない。

両手に鉤爪のついた籠手状の武装を展開し、シノビブレードを受け止める。

 

ガキィン!!

 

金属音が室内に大きく響く。

 

 

「ぐぅうううう…!!」

 

 

「このぉぉおおおお…!!」

 

 

少しの間、シノビと風忍が鍔迫り合いをする。

シノビは空いている左手を、左側の大腿部装甲『ダイプロテクター』に描かれているクナイにかざす。

このクナイ『スティッキークナイ』は手をかざすことで実体化する事が出来る。

 

 

「ハァ!」

 

 

「何ッ!?」

 

 

予想外の攻撃に驚き、少し体制を崩す風忍。

そして、そんな好機を逃すほどシノビは甘くない。

シノビブレードを持つ手に、思いっきり力を籠め鉤爪をへし折ると、そのまま胸の装甲に斬撃を入れる。

 

 

「ぐはぁ!?」

 

 

「っ!」

 

ガキィン!バキィ!ザッ!ドゴォ!

 

シノビは連続で攻撃を風忍に与えていく。

 

 

「こ、のぉ!」

 

ビュォオオオオオ!!

 

風忍は先程よりも小さい風の爆弾を数個作り、シノビに向かって飛ばす。

シノビがそれを回避した瞬間に、今出せる最高瞬間速度で移動しシノビから距離を取る。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

 

風忍は肩を上下させながら呼吸を行う。

それに反し、シノビは息が少しも乱れていない。

実力差は明白。

 

 

「大人しく拘束されろ。殺すつもりはない」

 

 

シノビは投降を風忍に向かって促すが、

 

 

「そんな事…する訳無いでしょうがぁ!!」

 

ビュォオオオオオオオオオオ!!!!

 

風忍はそれを拒否。

ずっと温存していた超巨大な風の爆弾を生成。

シノビに向かって放った。

 

 

「っ!?」

 

 

その速度は今までの比ではない。

風の爆弾はシノビをも飲み込み、壁に着弾。

 

ドガァアアアアン!!

 

爆発音と共に、壁を突き破った。

空に輝く星と月の光が室内に差し込んでくる。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…はははは、はははははは!!伝説の忍者も、最後は呆気ないものだな!」

 

 

風忍はフラフラと姿勢を整えながらそう笑い声をあげる。

極限状態で、目の前に立っていた強敵が姿を消した。

それにより、風忍は気が付かなかった。

さっきまで目の前にいた件の強敵が、天井に立っている事に。

 

 

「終幕の時間だ…いざ参らん!!」

 

 

《ビクトリィィーー!忍ッ!術ゥ!!》

 

 

「なっ……!?」

 

 

「ハァアアアアアアアア!!」

 

ヒュッ!ヒュッ!キィィン!ガキィン!チュドォォーーン!!

 

天井から地面に落下する際に、エネルギーを纏ったシノビブレードで、風忍の背中を切り裂いた。

完全な意識外からの攻撃に、風忍は成す術もなくその攻撃を受け入れてしまった。

 

 

身に纏っている疾風の再誕が解除され、風忍はその場に倒れ込んだ。

戦闘開始から、約3分でシノビはこの場を制圧した。

 

 

「……」

 

 

シノビは無言で懐からロープを取り出すと、風忍たち9人を拘束。

施設に潜り込ませていたクロガネコガマを回収し、シノビヒョウタンに格納する。

任務前にガマノ師匠から受け取っていたこの施設の違法情報と、クロガネコガマが持っていたレコーダーを拘束した近くに置き、『仮面ライダーシノビ』と書き記してから、シノビは影に姿を消した。

 

 

「任務完了」

 

 

そうして風忍たちは後日亡国企業に発見され、監獄に入れられる事になったのだった。

 

 


 

 

IS学園の受験は無事に終了した。

そして、その2日後に行われた一夏の受験も無事に終了した。

そんな日の週末。

 

 

「「一夏、マドカ、受験お疲れ様!!」」

 

 

パァン!

 

 

「ありがとうございます」

 

 

スコールとオータムが一夏とマドカに向かってクラッカーを撃った。

顔に掛かった紐を外しながら一夏がお礼を言う。

今日は2人の受験が無事に終了した事を祝う、お疲れ様会だ。

机の上には奮発したスコールとオータムが用意した豪華な料理がズラッと並んでいる。

 

 

だが、そんな中で素直に喜べない人物が1人。

 

 

「…あのさ。結果出てないから素直に騒げないんだけど」

 

 

そう、マドカである。

 

 

「マドカ、今から焦ってもテストの点が変わる訳じゃ無い。それと、前にも言ったと思うがお前なら大丈夫だ。どっしり構えてろ」

 

 

「なんでお兄ちゃんも受験生なのにそんなに余裕なのかな!?」

 

 

「今言っただろ?焦って何かが変わるなら俺も焦るが、変わらなないならば焦る必要は無い」

 

 

「お前、随分と肝っ玉座ってんなぁ」

 

 

「ブリュンヒルデの弟やってたらこんなの余裕ですよ」

 

 

まぁ、本当は仮面ライダーシノビとして活動しているからなのだが、そんな事馬鹿正直に言える訳無いので、それっぽい理由を並べた。

 

 

「私もそうなんだけど」

 

 

「……そりゃ知らんす」

 

 

そう言うしか無かった。

 

 

「ふふふふ、取り敢えず食べましょう?」

 

 

「そうですね」

 

 

折角の料理が冷めてしまったら勿体ない。

 

 

「「「「いただきます」」」」

 

 

4人は手を合わせると、そのまま料理を食べ始める。

なんだかんだで美味しそうに料理を頬張るマドカを見て、一夏は安心したような息を吐くと、思考を巡らせる。

 

 

(マドカが虹蛇の姫君…それは本当なのか?マドカ本人は何も知らなそうだし…だが、風忍のいう事が正しければ、その事は虹蛇も承知済みという事なんだよな…そして、仮にそれが本当だった場合、なんでそんな事になってるんだ?…駄目だ、幼少期の記憶が殆どないし、あっても千冬姉と3人暮らしの記憶しかない)

 

 

「?お兄ちゃん?どうかした?」

 

 

(なんでこのタイミングになってマドカを狙ってきた?もっと幼い頃の方がいろいろと楽なような気もするが…マドカが成長するのを待ってた?なんのために?)

 

 

「一夏?どうしたの?」

 

 

「おい一夏?一夏!」

 

 

(師匠は師匠で絶対何か隠してることがありそうだし…それに、失踪してる束さんも絶対何か企んでるし…あああ、もう!考えなきゃいけない事が多いんだよ!!)

 

 

「「「お兄ちゃん!!/一夏!!」」」

 

 

「はいっ!?」

 

 

3人から叫ばれ、一夏は現実に戻ってきた。

 

 

「もう!さっきからずっと呼んでるのに!」

 

 

「ずっと黙り込んでどうした?」

 

 

「え?あ、ああ、いや、ちょっと考え事してて」

 

 

マドカとオータムのその言葉に、反射的にそう返答する。

 

 

「もう、直ぐに返事しないのは駄目よ一夏」

 

 

「すみません」

 

 

「ふふふ、素直に謝れるのは良い事ね。はい、あーん」

 

 

「っ!?」

 

 

スコールは一夏に向かって、自分の使っているスプーンで料理を差し出す。

間接キスだの、体勢で(大事な部分は大丈夫だが)胸元が露出していたりなど、少々衝撃が強い攻撃をするスコール。

 

 

「スコール!胸胸!お兄ちゃんに見えてる!」

 

 

「あら、マドカ。はしたないわよ?」

 

 

「どの口が!」

 

 

「大丈夫、一夏にしか見せないから」

 

 

「そういう問題じゃない!」

 

 

「ふ、2人とも落ち着いて…」

 

 

「野蛮な奴らだよなぁ。気にせず食って良いぞ?」

 

 

「お、オータムさん!?あの、その…!」

 

 

「おい!お兄ちゃんに胸を押し付けるな!」

 

 

「一夏にしかしないから問題ねぇ」

 

 

「ある!問題ある!もう!お兄ちゃんは渡さない!」

 

 

「もう!喧嘩するなぁあああああ!!」

 

 

仮面ライダーでも、この状況はどうする事も出来ない。

一夏の絶叫が、織斑家に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今現在、世界は忍術とISが中心であり、世界は混乱に陥っている。

そんな混乱を逆手にとり、虹蛇を始めとした違法軍団が蔓延っている。

 

 

だが、いや、だからこそ。

彼は影となりて、誤った力の使い方をする者を成敗する。

 

 

彼…織斑一夏の、仮面ライダーシノビとしての戦いは。

闇の忍者軍団・虹蛇との織斑マドカを巡る戦いは。

これからが本番である。

 

 

 

 

簡単な設定

 

 

〇世界観

 

江戸の頃に活動していた忍者の中の極少数は忍術を行使していたものの、時代が進むにつれガマノ流以外全滅してしまう。

篠ノ之束の研究の副産物により、全ての女性が忍術が使えるようになったものの、上手く制御が出来なかったのでISを忍術制御用のパワードスーツに転用した。

 

亡国企業は表向きでも活動している対犯罪忍者機関。

闇の忍者軍団・虹蛇という軍団が裏社会では有名な違法軍団で、世界掌握が目的らしい。

 

 

〇織斑一夏

 

主人公。

ガマノ流後継者にして、伝説の忍者仮面ライダーシノビの現変身者。

 

師匠と兄弟子が現在戦えない身体なので、現役の中では唯一の純粋にして男性の忍者。

その忍術の扱いは、忍術世界大会モンド・グロッソ出場者を軽く超えるほど。

しかし、師匠と兄弟子に比べるとまだまだ粗削りな面があるのも事実。

その為普段から家族や親しい人たちにバレないように普段から身体を鍛えまくっている。

 

まだまだ2人には追いついていないと感じているようだが、2人は一夏を十分一人前だと認めている。

 

最近の悩みは、仲良くしてもらっている年上2人の過激な悪戯。

 

 

〇神蔵蓮太郎

 

一夏の兄弟子。

ガマノ流後継者であり、先代の仮面ライダーシノビ。

 

かなり正義感が強く、妹思い。

子供をかばって事故にあってしまい、全身に麻痺が残ってしまい満足に身体を動かせなくなり、一夏にシノビが託された。

今現在はリハビリによって日常生活レベルだったら問題無いくらいまで動くようになった。

 

また、ガマノ流後継者という事もあり、忍術も行使できる。

今現在は麻痺のせいでそこまで上手く扱えないが、全盛期は一夏の3倍は強い。

 

まだ15の一夏に戦わせる事を負い目に感じている。

 

 

〇ガマノ師匠

 

一夏と蓮太郎の師匠。

本名は不明。

 

普段は掛け軸に描かれた蛙の姿をしているが、時たま掛け軸から出て人間の姿になる事もある。

人間の姿は一夏と蓮太郎にしか見せない。

 

ガマノ流の師範という事もあって、忍術の扱いは一夏と蓮太郎よりも上。

 

何故ガマノ流だけが江戸時代から残った訳、シノビヒョウタンの謎、自身がどんな人物などか一夏や蓮太郎に説明していない事も多い。

 

 

〇織斑千冬

 

一夏の姉。

忍術大会モンド・グロッソ2連覇の優勝者。

仮面ライダーシノビこと一夏の次くらいに忍術が得意。

 

一夏達が幼い頃から千冬が働いてお金を稼いでいて、あまり姉として家族と関われなかったのが心残り。

一夏が家の家事全てを担っている事に関してはありがたいと思う反面、姉としてのプライドがボロボロに傷つけられている。

 

IS学園勤務の事を、一夏達には教えていない。

 

 

〇織斑マドカ

 

一夏と千冬の妹。

亡国企業実働部隊モノクローム・アバターの見習い隊員。

 

IS学園入学前から忍術の行使、並びにISの使用をしており、中々に優秀。

千冬とシノビに憧れを抱いている。

それとは別に一夏が大好きなブラコン。

 

実は闇の忍者軍団・虹蛇の姫君。

だが、マドカ本人はその立場であるという事も、なんでそういう事になっているのかも知らない。

 

 

〇スコール・ミューゼル

 

マドカの上司。

モノクローム・アバター隊長。

 

原作では半アンドロイドだったが、今作では真人間。

男性も女性も恋愛対象になる。

 

一夏に恋してはいるが、少々年が離れているせいでちょっかい掛けるお姉さんになっている。

 

 

〇オータム・アミューレア

 

マドカの上司。

モノクローム・アバター隊員。

分かっているとは思うが、苗字は創作。

 

スコール同様、男性も女性も恋愛対象。

一夏が好きだが年が離れている為、ちょっかい掛ける姉貴になっている。

 

 

〇篠ノ之束

 

みんな大好き天才科学者。

忍術を蘇らせ、ISを作り世界を混乱に陥れた張本人。

 

どのようにして忍術を蘇らせたのかなど、詳しい事は一切不明。

世界から逃亡している中で、ガマノ流の存在を知る。

一夏がシノビとなってからは、ガマノ師匠に匿名で依頼をしたりしている。

 




いかがでしたでしょうか?

書いていた最初の方は1万字くらいで終わるかなぁ?とか思ってたら1万7千くらいになってしまった。
最近読み切りがとても長くなってるので、なんとかしないと…

もしよろしければ、ご意見や感想、アドバイスなどよろしくお願いします!

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