ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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10話・アマドとの邂逅

 

━━▶︎ DAY6 ???

 

ボクは、

怪しいおじさんの正面へ座った。

 

「よーし。先ずは自己紹介からだな。

俺はアマド。木の葉の里に 

亡命した研究者だ。」

 

「……はい。」

 

「どうした急に、

俺がそんなに嫌か?」

「ちっ、違うんです!

わけがわからなくて

唖然としてるっていうか……」

 

「確かに、いきなりこんな場所に

連れてこられたら困惑するだろうな。

気持ちは充分理解できる。

だが安心しろ。

お嬢さんの質問には、

この俺が何でも答えてやる。」

 

何でも……?

この人、どこまで知っているんだ?

 

それよりも、まず聞くべきは。

 

「ここって、何ですか。

ボクは本当にチャンプルタウンに

瞬間移動したんですか?」

 

「いやいや、

そんな事は俺でも出来んよ。

ここは、お嬢さんの記憶を基に、

俺が新たに構築した座標だ。」

 

「座標……?

イッシキ氏も言ってたけど、

座標って何です。」

 

「座標。君にも分かり易いよう

定義するのならば……

『チャンネル』と言ったところだ。」

 

「……チャンネル。」

 

「そうだ。

俺たちは大筒木・イッシキが

永久に甦らぬよう、

2代目火影・扉間が遺した禁術

『口寄せ・座標墓灊』を

大蛇丸と密かに協力し、奴に施した。」

 

「その術って、

具体的に何をするの。」

 

「術の印が付いた肉体が

機能しなくなった場合、対象の魂を

無限に存在する座標の中に、

永久に口寄せし続ける術だ。」

 

全然分かんないや。

 

「とりあえず、

魂を閉じ込める術って事?

でもボクは出られたよ?」

 

「あぁ、本来は魂を

永久に閉じ込める術な訳だが、

実はいくつか抜け出すルートが

作られている。

お嬢さんは、扉間が用意した

正規ルートを辿ったから甦れたのさ。

……いや、イッシキにそうするよう

偽の術を教えたまでだがな。」

 

「アマド氏たちは、

どうしてイッシキ氏に

そこまで酷い仕打ちをするんですか?」

 

「酷い仕打ちだって?

あんな奴、されて当然だろ。」

 

「でもほらっ! 

イッシキ氏はボクの仲間を

守る為にこの力をくれたんです!!

そう言ってました!!

この『楔』がなければ、

ボクはとてもじゃないけど戦えないっ!」

 

ボクは、楔を彼に見せつけて

イッシキ氏を庇った。

 

すると

アマド氏はプルプルと震え出し、

弾けるように大笑いした。

 

「がーっはっはっはぁ!!

イッシキが!? アイツがそんな事を!?

最っ高におもしれーじゃねぇか!!

カワキに恨まれて死んだ事、

よっほど後悔してんだなぁ!!」

 

「あ、あのー。」

 

「ああ。すまない。

少し取り乱してしまったな。

だが、勘違いするなよ。

楔はそんな都合のいい力じゃない。

お嬢さんは、

イッシキに騙されている。

アイツの思い通りに

利用されているだけだ。」

 

「……え?」

 

「例えばの話だが、

今君の電子軍人手帳が物理的な

衝撃で修復不可能なまでに

大破したとしよう。君はどうする?」

 

ボクが、

仮に壊してしまったら。

 

「司令部に新しい端末を

手配してもらうように

要請する……かな。」

 

「ああ、それが最善策の第一工程だ。

まずは、君のアカウントを

完全に引き継げる膨大なデータ容量メモリ。

それほどのスペックを持ちうる

端末を用意しなければいけない。」

 

「はい。」

 

「次に、君はどうする。

アカウントを一から生成し直すか?」

「しない。」

 

「だよな。

少なくとも君のアカウントデータは

司令部管理下の莫大なサーバに

必ず残っている。

後はそれを復元……適合する端末に

バックアップすれば、

新端末で元通りそのままの

アカウントを運用し直せる訳だ。」

 

「その通りだけど、どう言う事?

それは、楔と関係のある話?」

 

「大アリだ。では、先程の話に

合わせて続きを説明しよう。

まずは復習がてら質問だ。

アカウントを復元する為に

必要なのは何だ?」

 

「アカウントに適合する端末と、

アカウントデータが残っているサーバ。」

 

「グッド。では楔の話に戻ろう。

要するにだ。

大筒木・イッシキという

アカウントに適合する端末……

それこそが君の肉体。『器』だ。

次に、アカウントを管理し、

復元してくれるサーバ。

もとい、大筒木一族の

バックアップファイルこそが楔なのだ。」

 

「そんな……じゃあボクは既に。」

 

考えたくない。

楔がそんな恐ろしいモノだなんて。

 

「当然、既存の

データアカウントを復元するには

必ずロード時間がいる。

このロードを

奴らは『解凍』と呼んでいる。

そして、解凍の速度は

現代のインターネットほど早くはない。

だが、時が経つにつれ

君の身体が大筒木に

なっていくのは事実だ。」

 

だから、日に日に楔が

ボクに馴染んで、

ボクの身体が強くなるのか。

 

戦闘力が上がってるのも、

彼が積んできた戦闘経験値が

徐々に反映されてきているから……

なのかな。

 

「もし、解凍が完全になったら

ボクはどうなるんですか。」

「君の肉体と魂は消滅し、

大筒木・イッシキが完全に復活する。

楔とは、そういうものだ。」

 

「……そう、ですか。」

 

「そう落ち込むな。

そうさせない為に俺がいる。

そして、この術があるのさ。

さっきも言っただろう、

この術には抜け出すルートが

いくつもあると。」

 

「え……まさか。」

 

「そう。楔による転生は、

この術に用意された

脱出ルートには含まれてない。

完全に解凍が進み、奴が転生しようとも

無限にある座標に魂が

強制口寄せされるだけだ。

それほどまでに、

この術の効力、制約は強い。」

 

「…………」

 

「やつはもう、復活する手立てを

完全に失ったのだ。

だから心配は要らん。

……存分に使うといい。

イッシキ亡き今こそ、

純粋な武器としての『楔』を。」

 

「……良かった。」

 

アマド氏は、微笑んで立ち上がった。

 

「安心してもらえて何よりだ。

さて、もうここを維持できる時間も

そんなにない。

また明日の夜、

ここで話そうじゃないか。」

 

あれ? 急に瞼が重い。

視界がだんだん歪んで……

 

 

 

━━▶︎ DAY7 5:50

 

「……きて……下さいっ。

……ンジャモさんっ……!」

 

「ん……?」

 

揺さぶられる身体と、

呼ばれる声で目が覚めた。

 

ボクを揺さぶって起こしたのは、

タマ氏だった。

 

「ん……あ、おはようタマ氏。」

「ようやく起きましたね!

ナンジャモさん! 

おはようございますっ!」

 

「ナンジャモさぁ……

おタマさんにめっちゃ懐かれてない?

羨ましいんだけど。」

 

「月歌みたいな暴れん坊に

誰が懐くかよ。

もし懐かれたとしても、

極度のヤンデレやメンヘラとか、

そんなんじゃねーの。」

 

「ユッキーは、あたしの味方だよね?」

「まぁ、同じ部隊だしな。

あたしはここの全員味方だと

思ってるぜ。」

 

「むぅ。

ユッキーの奴は察しが悪いなあ。」

 

「……ひゃひゃっ、砂利と本気で

ケンカする大人がいるか?」

 

「なんかカレンちゃんが

あたしに辛辣なんだけど!?」

 

「お前らの大好きなマダラ構文だろ。

散々マダラ呼びするから

とんでもねぇ形で

仕返しされてんじゃねぇか……

しかも多分

使い方間違ってるからな。」

 

「じゃあみんな、

張り切って点呼行こうか。

あと、ユキ氏。

後でセラフ隊員の名簿も

貸してほしいんだけど、いいかな?」

 

ユキ氏は、

頷いて承諾の意思を見せた。

 

「ああ。名簿の件は

あたしに任せとけ。

顔写真付きのを用意してやる。

ほら、隊長が指示してんだ。

お前らも点呼行こうぜ。」

 

「分かったわ。」

 

「ひゃっひゃ、今日の獲物も

楽しみじゃのォ……

パイロット田中ァ……!!」

 

「私はパイロット田中では

ありませんが!

なんなら元艦長ですが!!」

 

「カレンちゃんお前、

人違いされまくってるの

根に持ってるだろ……。」

 

「やっぱユッキーも

ナンジャモの味方だぁぁああー!!」

 

 

 

━━▶︎ DAY7 13:45

 

「「ガラガラ……ぺっ!」」

 

「うーん! 

ナンジャモさんと一緒に

歯磨きうがいして口元もスッキリ!

さぁ、今こそ行ったりましょう……!!」

 

「だね。

まずは人が集まりそうな

ナービィ広場でも寄ってみる?」

「いいですね! ディスイズ広場!!」

 

妙に活発なタマ氏と共に、

ボクら2人はナービィ広場へ向かった。

 

辿り着いて早々。

 

駆け回れそうな広場の中央で、

深呼吸をし、

何かの準備をしている少女が居た。

 

シノビ装束を着た、しのぶ気のない

金髪を靡かせる少女が。

 

(ん?

この子って確か、

31Cの連れだった気が……)

 

「奥義! 影分身の術……!!」

 

 

 


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