ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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11話・スカウト大作戦!!

 

━━▶︎ DAY7 13:55

 

「奥義! 影分身の術……!!」

 

ボンっ!!

 

シノビ装束の少女が、

左右に1人ずつ増えた。

 

「ホントに増えたっ!?」

「……あれは。」

 

決まった。

絶対この子には

ポケモン役を演ってもらう。

 

これ以上に、

ゲッコウガ役が合う人なんて

そうそういない。

 

「ナンジャモさん……?」

「あ、ごめんタマ氏。

ちょっと考え事してた。」

 

「よ、持ってきたぞナンジャモ。

これでいいか。」

 

「ありがとう。ユキ氏。」

 

「気にすんな。今の立場が

あんなよく分からん奴らに

黙ってとられるよりはマシだからな。

テーマに合う役者、

しっかり吟味してこいよ。」

 

「うん。」

 

「ユキさん! 

ご協力感謝致しまする……!!」

 

「こりゃ現31Aみんなの問題だ。

協力しなくてどうするよ。

國見、お前も

ナンジャモのサポート頼んだぞ。」

 

「承りました!!」

 

その先を託すような笑みをして

頷いたユキ氏は、

トコトコと去っていった。

 

早速、31Cの名簿を確認してみる。

 

神崎・アーデルハイド

忍術に優れ、

セラフ部隊にスカウトされた少女。

 

……か。

 

つまり、目の前で起きてるのは、

錯覚を利用したマジックでも

なければ、ホログラムでもない。

本物の忍術ってことだよね……。

 

益々、興味が湧いた。

行こう。

 

「おーい、そこの忍者氏ーっ!」

 

「「「ヤー。これはこれはナンジャモ殿。

もしや、拙者の忍術に

興味津々でゴザルか……?」」」

 

「ぎぃぇえっ!!

どの神崎さんに声をかけたらいいか

分からないですぅ……!!」

 

「「「おっと、

それは悪かったでゴザルな。」」」

 

ボンっ!

 

気を遣って、神崎氏が分身を解いた。

 

「……で、改めて。

拙者に何の用でゴザルか?」

 

「神崎氏、昨日のアリーナで

決まった勝負内容、覚えてるかな?」

「えーっと……ショートな映画を

撮って、より面白い方が勝ち。

っていう、お話でゴザルか。」

 

「それです!!」

 

「でさ、ボクらは

設けられた特別ルールに則って

現31Cから1人役者を選ばなくちゃ

いけないんだ。」

 

何かを察したのか、

神崎氏が口元を緩め、息を上げ始めた。

 

「もっ、もしかして拙者は

選ばれたのでゴザルか……

これは、最高に目立てる……

ぐへ……チャンスでゴザルなぁ……」

 

「神崎氏!?」

 

「ハッ!

なっ、何でもないでゴザルよ!

特にやましい気持ちなどは

ないでゴザル!」

 

「濃厚確定バレバレですね!!」

 

うん。やましい気持ちが

ダダ漏れしてるのは間違いない。

 

「そういう訳なんだけど、

……いいかな?」

 

「ヤー! 拙者で良ければ

全然助太刀するでゴザルよ!

ナンジャモ殿、

改めてよろしくでゴザル!!」

 

よし。

特別ルールの1人は決まった。

 

けれど。

 

トレーナー同士の

熱い青春バトルを演出するなら、

トレーナー役に各一人ずつ。

 

各トレーナーに

ポケモン役2人必要だ。

 

「ナンジャモさん。

次はどこに行って

仲間を増やしますか?」

 

▶︎メイン通りに行く

▶︎裏通りに行く

 

「裏通りに行ってみようか。

密かに特技を磨いている人が

いるかもしれないし。」

 

「面白ろそうでゴザルな!」

 

次なる役者探しの為、

歩き出したその時だった。

 

「ヴァゥゥウッ……。」

 

リラックスをしている虎のような

鳴き声が耳に入った。

 

「凄い……!

この基地には虎の鳴き声を

忠実に真似る特技を持った人が居る!?

ワクワクしますね!!」

 

「む……。拙者的には本物っぽく

感じるのでゴザルが……。」

 

「行ってみよう。

予想だけじゃなにも進まないしね。」

「ですね!!」

「御意!」

 

みんなで、

虎の鳴き声が聞こえる方へ

こっそり近寄る。

 

いい感じに近づけたものの、

生い茂る長草のせいで

様子が確認出来ない。

 

仕方がないので、

思い切って突破し茂みから抜けた。

 

あとの2人も続く形で

茂みから飛び出た。

 

「ヴァゥゥウッ……。」

 

そこに居たのは、

グルーミングされている

本物のホワイトタイガー。

 

今にもウトウトしていて、

とても気持ちよさそうだ。

 

「凄いっ! モノホンっ!!

ディスイズホワイトタイガー!」

「やっぱり拙者の勘は

当たったでゴザル!!」

 

一同が虎に注目しているからか、

グルーミングを施している少女が

警戒気味に此方へ声をかける。

 

「お前ら、ビャッコに何の用にゃ。」

 

「ボクらは動物の鳴き声が

気になってきただけだよ。

特に用が

あったわけじゃないけど、

今出来たかな。」

 

紫の瞳をより鋭くし、彼女は問う。

 

「すもも達をどうするつもりにゃ。

プロフェッサー権限で任務に

連れ出す気かにゃ?」

 

「んー。ボクもリラックス中の

隊員を借り出す趣味はないよ。

ただ、あるイベントに

協力して欲しいんだ。」

 

「……イベント?」

 

「ショート映画を撮影する

イベントをやってて、

ビャッコと君には

その役者になってほしいんだ。」

 

「つまり、すももはお前らに

スカウトされたって事かにゃ。

当然お断り……」

 

「よぉすもも!

おいおい、映画の撮影に

スカウトされる

なんてすげぇじゃねぇか!

折角だから参加してみろよ。

良い経験になるかもしんねーぜ?」

 

「ねっ、姉さん!?

でっ、でもすももは……」

「やるよな……な!?」

 

すもも氏は、姉? 

らしき人物の圧に押され始めた。

 

「……や、やってやるにゃ。」

 

「やりましたねナンジャモさん!」

 

いい。

今日は凄いハイペースで役者が

決まっていく。

 

後は、ポケモン役1人。

トレーナー役1人、ってところかな。

 

「ナンジャモ殿、

次は何処に向かうでござるか?」

 

▶︎ふれあい通り

▶︎メイン通り

 

「一旦、メイン通りに戻ってみようか。

今まで寄ってきた中で、

一番隊員が

多く出歩いてた場所だからね。」

 

「御意でゴザル!」

「行ったりましょう……!」

 

「面倒だにゃ。」

「ヴァウッ。」

 

みんなを引き連れ、

メイン通りを散策し始める。

 

散策し始めてすぐ、

カフェテリアのテラス席に

ビビッと常人ならざる気配を感じる。

 

その方へ目を向けると、

一切の音を立てず、

華麗にアフタヌーンティーを

嗜むセラフ隊員の姿があった。

 

優雅に白を着こなす彼女は、

正しく求めていた逸材だ。

 

「あのー、そこの君。

ちょっとお話いいかな?」

 

彼女はボクらを静かに見つめ……

 

「…………」

 

「「「……?」」」

 

「何の集まりですのッ!?」

 

キレ気味に問いかけてきた。

 

「実はボクら、

映画を撮る話になってて

役者集めの最中なんだ。

出来れば君にも協力してほしい。」

 

「あたくしは、映画撮影の役者として

スカウトされている……

ということかしら?」

 

「そうだにゃ。」

 

「お断りですわ。」

 

「そこを何とか……!!」

 

「だって、あたくしがそれをする

メリットが一切な……あら、

あなた達よく見たら

顔も整ってますし、体格的にも

似合いそうですわね。」

 

「……なんの話でゴザルか?」

 

「忍者モドキと獣には

興味ありませんわ。」

 

「拙者が……忍者モドキ。」

「ヴァウウウッ。」

 

「そこのお三方。」

 

「え、ボク?」

「何でしょう?」

「にゃにゃ?」

 

「あなた達が今度の休日、

あたくしの啓蒙活動に

協力してくれると

約束して下さるなら、

喜んで映画活動に協力しますわよ。」

 

見ず知らずの隊員に

借りを作るのは

あまりしたくないけど、

現31Aの存続がかかってる今、

そうも躊躇して居られない。

 

後でどんな活動に

巻き込まれようとも、

映画の勝ち筋を取る方が大事だ。

 

「どうします。ナンジャモさん?」

 

タマ氏が心配気味に聞いてくるが、

目の前にいる勝ち筋を

捨てる気はない。

 

「分かった。約束するよ。

ボクは31A部隊長のナンジャモ。

改めてよろしく。」

 

「あたくしは、

30G部隊セラフ隊員の菅原・千恵。

こちらこそ、改めてよろしくですわ。」

 

「凄い! 役者さんが次々と決まっていく!

ディスイズ! 

スーパースカウティング!!」

 

「では、ナンジャモ殿。

残り1人はどうするでゴザルか。

國見殿を役者にする気は

無いのでござろう?」

 

「……え?」

 

「あはは、ごめんタマ氏。

神崎氏の言う通りなんだ。

ここまでサポートしてもらっといて、

役者までさせるのは酷だからさ。」

 

「お気遣いありがとうございます!

それで、私は何をすれば

良いのでしょう!」

 

「コイツ、メンタル化け物かにゃ?」

 

「タマ氏には、役者ではなく

裏方のサポートを

最後まで続けてほしい。

例えば、シナリオ構成の

見直しや細かな修正とか……ね。」

 

「お任せあれっ!!」

 

「む? だとしたら、ルール通り行くと

あと1人役者が足りんでゴザルよ。」

 

「大丈夫、その点は気にしないで。」

 

そう。トレーナー役のもう1人は

すでに決めていた。

 

正義という役回りが最も合う人物。

彼女はもう、RINNEで呼び出している。

 

「Hello! Ms.ナンジャモ!

呼ばれてきたわよ!!」

 

「キャロルさん!?」

 

「あら、Ms.國見に……

面白いメンバーが勢揃いじゃない。

これで役者は決まりって事かしら?」

 

「まだです!

キャロル氏、正義の人間として

ボクらの映画に出演してほしい!!」

 

「私は裏方ですから!!」

 

「ふーん。なるほどね。」

 

少し考えるように黙り。

ニカッと笑った。

 

「OK! アタシ達で

最高のエンターテイメントに

していきましょう!!」

 

 


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