ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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13話・World's End Hourglass

 

━━▶︎ DAY12 17:30

 

あれから眠っていたらしく。

基地にヘリが到着した辺りで

目が覚めた。

 

否、タマ氏に起こされた。

 

戦果などを司令部に

報告しないといけないので、

司令室へと一同で入室した。

 

「さて、まずは初めての任務達成、

ご苦労様。初めてのミッション

としては素晴らしい出来よ。」

 

「…………。」

 

「あとは……無線でのやり取りを

聞いていたのだけど、Aを巡る勝負は

討伐数が多い方が

大加点としていたようね。」

 

「…………」

 

「そして31Cの討伐数のほうが

結果として多い。つまり31Cの大加点。

という事でいいのね?」

 

「あちゃー、負けちゃったかー。」

 

「……よくない。」

「あら、どうして?」

 

「どのような理由があれど、

私たちの任務は

この世界を守ること……。」

「そうね。」

 

「今回の戦い、この私は

そのことを見失っていた。

31Aに負けたくない……

その一心で戦闘をこなしていた。」

 

どうやら、

ボクの寝てる間に

何かあったらみたいだ。

 

イヴ氏を改心させられる人なんて、

同じ31Aの仲間でも、

結構限られてる。

 

「ルカ氏、なんかした?」

「あ、あたしは何もしてねーぜ?

な? ユッキー。」

 

「あからさまな態度やめろよ。」

「濃厚確定バレバレですね!」

 

騒つく31Aを無視して、

イヴ氏は言葉を続ける。

 

「でもそれじゃ守りたいものも

守れないってことを痛感した……。」

 

「多くの人みな、自分と

自分の周りの幸福を守るだけで

手一杯になってしまうわ。

けれど、セラフ部隊にはより高い

要求が課される。」

 

「…………。」

 

「自分を守り、仲間を守り、

そして世界を守る。それが

あなた達の使命なのよ。」

 

「私が未熟でした。

……この勝負、私たちの負けです。」

「おめでとうございます♪

あなた達が31Aです♪」

 

「やったーーー!!」

「すげー喜ぶな……

どれだけAがよかったんだよ……。」

 

「負けてしまいましたかー♪」

 

 

 

━━▶︎ DAY12 ???

 

報告を終え、一同共々

部屋で休息をとっていた。

暫くして、寮部屋にノックがきた。

 

ルカ氏がその音に

いち早く気がつき、扉を開ける。

 

扉の前で待っていたのは、

31Cの隊員でありながら、

ショップの店員も兼任している少女。

 

佐月マリ……マリ氏だった。

 

名簿の確認中、様々な特技を

有してる事に目を付け。

 

一応役者の候補として

考えていたが、

彼女の多忙さを加味して

リストからは除外していた。

 

そんな彼女が、何の用だろうか。

 

「こんばんはー♪

本日はお疲れ様でした♪」

 

「ん? どうした? 何かあった?」

 

「実はぶんちゃんのことで

話があります。」

 

「あれ? 

やけに真剣な表情だな。」

「真剣な話ですから。」

 

真剣な顔になったマリ氏は、

少し苦しさの交じった声で

お願いをした。

 

「出来れば皆さん、私たちの

部屋までお越し頂きたいのです。」

 

「みんなで?」

「行くしかないだろ……。」

 

「うん……。」

「はい!」

 

「わかった。じゃあ行こう。」

 

………………。

 

……。

 

伏目がちにマリ氏は進み、

2分ほどして31Cの寮部屋へと着く。

 

「どうぞ。」

 

部屋の中では、哀愁を漂わせ、

ただ俯きに直立する

イヴ氏の姿があった。

 

その視線の先では、

弥生氏が気持ち良さそうに

寝息を立てている。

 

「ぶんちゃんの記憶が

これから消えます。」

 

「え!? なんで!?」

 

「周期的に訪れるものなんです。」

「それはどのくらいの

記憶が消えるんだ……!?」

 

「ここにやってくるまで。」

 

「じゃああたしらと

出会ったことも、戦ったことも……

映画撮影で競ってることも?」

 

「はい。

新しい記憶は更新されません。

忘れてしまいます。」

 

ユキ氏が納得したように、

口を開く。

 

「だからだったのか……。」

「え? ユッキー、何が……?」

 

「あたしとコイツ、毎回のように

同じやり取りを繰り返していたろ……。」

 

ここの数日を頭の中で

振り返ってみると、確かにそうだった。

 

「毎回記憶を失っていたから、

コイツにとっては

毎回初めてだったんだ……。」

 

「そんな……。」

 

「だからぶんちゃんは今も、

ごっこ遊びの途中なんです。」

「ごっこ遊び……?」

 

「マッドサイエンティストごっこです。」

 

「もしかして、山脇が言ってた

世界を滅ぼすってやつか……?」

 

「はい。ふたりは幼馴染でした。

幼い頃に始めた

マッドサイエンティストごっこが

今も続いているんです。

遊んでいる途中にキャンサーに

襲われた日から……。」

 

「…………。」

 

「一命は取り留めましたが

記憶障害が残ってしまい、

深い眠りにつくたび

記憶を無くすようになった……。

目覚めるたびに、

イヴァールちゃんの僕でいるんです。」

 

終わらない、終わる世界。

その惨状を嫌でも

見せつけられる彼女ら31C。

 

きっと、途轍もなく苦しい。

でも……何も言えない。

 

「イヴァールちゃんは

成長していくのに、

もう遊びなんて辞めたいのに、

目覚めるたびにぶんちゃんは

イヴァールちゃんの僕なんです。」

 

まるでそれじゃ、

生きた砂時計みたいじゃないか。

 

「今日はどうやって

世界を滅ぼすでゲスか、けっひっひ。

と、ぶんちゃんは

無邪気に笑うのです。」

 

「そんな……

だからワッキー、

あんなこと言ってたのか……。」

「悲しすぎます……。」

 

「私たちが勝ちたかったのは、

司令官に認められたかった

からだけじゃない……。」

 

「それって……」

 

「ええ。もっと先を見ていたのです。

昇進を続けて、

キャンサーと戦う技術力を

生み出した科学者たちに、

直接訴えかけたかったんです。

――ぶんちゃんを

治してくれませんか、と。」

 

「…………」

 

「もう、ごっこ遊びを

終わらせてあげませんか、と。」

 

「だったらAを譲るよ!」

 

「いいえ。間違いなく、

あなた達の方が私たちより強いです。

だから、昇進した暁には、

それを科学者に伝えてほしいのです。

私たちの代わりに……。

ナンジャモさん、

それに31Aのみなさん……

お願いできますか。」

 

「分かった。

ボクらが伝えてみせるよ。」

 

「……ありがとうございます。」

 

 

 

━━▶︎ DAY12 18:15

 

31Cの真の目的を知り、

ボクら31Aは

彼女たちの寮部屋から立ち去った。

 

部屋の外からも聞こえる

イヴ氏の号泣に、目を伏せて。

 

そうして廊下を歩く中、

エントランスで手塚氏が

待ち構えていた。

 

「茅森さん、ちょっといいかしら。

バンド関連の

主導者はあなたでしょう?」

 

「ん? なに?」

 

「31Aにライブ開催を命じます。

作戦が終わった直後で悪いけど、

もうひと頑張り

してくれないかしら?」

 

「え、急になんで……?」

 

「司令部は、キャンサーに襲撃された

新宿ドームを始め、

不安を抱えるドーム住民を

慰撫するべく施策したのよ。」

 

「いぶ……? せさく……?」

 

「要は、心のケアよ。

あなた達の音楽なら、

それが可能だと判断したの。」

 

「え……そんなことが……。」

 

「やるの? やらないの?」

「やる! 

そんなのぜってーやります!」

 

「そう。助かるわ。

準備含めて頼んだわよ。」

 

………………。

 

…………。

 

「という訳で、ライブを

やることになったんだけど……

みんな……演れる?」

 

「演るよ。ボクは、

少しでも民間人の気持ちを

楽にしてあげたいからね。」

「ナンジャモ!」

 

「もちろん、お付き合いします!!」

「おタマさん!」

 

「緊張するけど、頑張る……!」

「かれりんも!」

 

「わたしも力を貸すわ。」

「つかさっち!

じゃ、早速準備しよーぜ!」

 

「あたしが答えてねーわ。」

 

「え……? 演らないの?」

「……やるに決まってんだろ。」

 

「よっし、ドームの人たちに

向けて、初ライブだ!」

 

………………。

 

……。

 

ライブに備え。

 

カフェテリアで

準備をあらかた終えた頃。

ふと周囲を見ると、

想像以上の人集りが出来ていた。

 

ルカ氏も、思わずリアクションする。

 

「あれ? 告知でもしてくれた

かのように人が集まってる!」

 

「しかもドローン撮影で

日本中に生で中継されるからな。」

 

「凄くドキドキする……

口から心臓が飛び出そう……。」

「はー……わたしも落ち着かないと。」

 

「バシッと決めよう。タマ氏……!」

「はいっ!!」

 

「じゃ、行こう。開演だ!

聴いてくれ!

――『Burn My Soul』!」

 

 

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

皆様、こんなカオスな作品に
13話(一章完結)まで付き合って
下さりありがとうございます。

楽しんで貰えたなら、
毎日駆け抜けた甲斐があります。

突然ですが、
モチベがあまりよろしくない&区切りがいいので
これからは不定期更新にしようと思います。

シネマバトルも今後続きます。
ではまたいつか、何かの拍子に
お会いしましょう。

よろしくお願いします。

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