ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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一章『〜楔と氷結の簒奪者〜』
1話・ナンジャモの居る入隊式


 

「なぁ……おい。」

「……ん?」

 

(寝てたのか……?)

 

「……このように本基地は学校としての

体裁が整っています。詳細は後ほど

あなたたちの担当教官から説明があるので

確認しておくように。」

 

演台からのアナウンスにうんざりしたのか、

眼鏡をかけた少女がボクに声をかけて来た。

 

「偉い人の挨拶ってやたら長いよな。

……退屈だから、話しねーか?

でないと、寝ちゃいそうだぜ。」

 

「話?」

 

「そうだよ。ただのお話。

ここって、なんか凄い才能を持った人たちの

集まりなんだろ?

あんたは何が凄いのか、興味あるなぁ。」

 

「ボクは別に自分が凄いなんて思ってない。

趣味で配信活動をしてるだけ。

他にやってる事と言ったら、

ジムリーダーくらいだよ。」

 

「ジムリーダーって……

称号からして只者じゃねーじゃん。」

 

静かに嬉々とした表情を浮かべる

彼女の横で、

呼応するかのように隣の子も喋り始めた。

 

「何が凄いかって? 何も凄くないよ。

あたしは普通の何処にでもいる人間さ。ただ……

音楽にかける情熱は誰にも負けない。

それだけさ。」

 

「いやお前誰だよ。

急に自分語りしてきて怖えーよ。

あたしが声かけたのはあんたじゃないって。」

 

「まぁまぁ、良い機会なんだし。

あたしの話もついでに聞いて頂戴な。」

 

「ったく、しゃーねぇな。

少しだけ聞いてやるよ。……いいか?」

 

申し訳なさそうに、眼鏡の少女が

ボクに了承を求めた。

俄然興味が湧いてきたので、

ボクも頷いて了承の意を示した。

 

「そっちの子もOKみたいだし、

話を続けさせてもらうよ。

あたしはな、

ギターを弾いて歌う事が得意なんだ。

バンドではギターとボーカルをやってたんだ。」

 

「案外、学祭のノリで来れるんだな。」

 

「あんたは?」

「もう自分語り終わりかよ。

許可取ったからにはもっと喋れよ。

許可取った相手に失礼だろ。」

 

「……あんたは?」

 

「正しい選択肢選ばねーと

進めない系ゲームのNPCかお前は!?」

 

「お前は……トリコ?」

「勝手に美食四天王にするな。

パターン少し変えたからって誤魔化せねーぞ。

ちなみに言うなら、

あたしの名前は和泉・ユキだ。

美食四天王じゃねーからよく覚えとけよ。」

 

「ほげー」

「こう見えて、腕利きのハッカーさ。

オーキッドというハッカー集団の名は

聞いた事あるかな?

世界的に有名なんだけどさ。」

 

「オーキッド! 

あんたオーキッド好きなのかい!?

あの伝説の激情バンド、

ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

って叫び散らかして魂を震わせる!!」

 

「違うよ……

なんだよそのテンションの変わり方……

それに、ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

って叫び散らすバンドなんて嫌だよ。」

 

「いやいや何でさ!? イライラが溜まってさ、

もうどうにも自分がコントロール

出来ないってなった時、お前どうすんだよ!?」

「どうするって、そりゃあ……

ちょっとは他人に当たるかもなあ。」

 

「ええー!? 普通、

ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

って叫ぶだろ!?」

 

なんか気付かない内、

ボクが蚊帳の外になって

騒がしい話してるけど……注意されないのかな。

 

「叫ばねーよ!? 

叫んでも、その言葉だけは選ばねーーよ!?」

「でも黙るってこともないだろ。」

「そりゃ、クッソー!

くらい言うかも知れないけどよ。」

 

「それほとんど、

ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

じゃねぇか。」

「いやいや、クッソー!と

ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

には天と地ほどまでとは言わないけど、

相当な差があるよ!?」

 

「え? あんま変わんないじゃん。」

「どこがだよ!?

もういいわ! いい加減オーキッドの話させろ!」

 

「――そこの3人、ギャーギャーうるさいぞ。」

 

(え。何でボクまで巻き込まれてるの。)

 

注意された事が気に食わないのか、

自分語り少女は反抗的な目で演台の方へ

視線を向けた。

 

「ギャーギャーなんて一言も言ってねぇよ。

ギャイアグレイーイボドドドゥドオーー!!

だぁぁああーーーー!!

魂の叫びなんだよ! このクッソが!!」

 

「……何あの人。」

「司令官に向かって、あの言葉遣い……」

 

「いやいや、周りが引くほどキレるな!

初日から悪い意味で目立ちすぎだから!」

「ごめん。ちょっと興奮しちゃったみたい。

もう大丈夫。」

 

「ふぅ……お前そんなキャラだったのか。

クールキャラだと勘違いしてたよ。

ひとを見た目で判断するんじゃないな。」

「サンクス」

「まったく褒めてないからな。

少しはあたしの隣の奴を見習って

欲しいくらいだよ。」

 

「ボクも配信では騒がしいタイプだから、

あまり気にしなくて良いよ。」

「優しいね君ぃ……この後、

あたしとお茶でもどうだい?」

 

「おいおい、こんなイカれた奴

フォローしても得なんてしねーぞ。」

 

キーン! キーン!!

 

不安感を煽るサイレンが、突如鳴り響く。

赤いランプは眩く光り、明滅を繰り返していた。

 

「うん? 何の音だ?」

 

「全員、防衛態勢へ移行してください。」

「防衛態勢? なんだ。戦争でも始まるってか?」

 

短髪の少女が疑問を口にしてる間に、

着席してた一同はその場から走り去っていく。

 

ボクらも彼女たちの後を追う形で駆け出した。

 

「おいおい、戦争なんて経験した事ないぞ……」

「戦争!? ボクだって

ポケモンバトルくらいしかやった事ないよ!?」

「何だよポケモンバトルって……

よくわかんねーが、急いで外にでよーぜ。」

 

状況がよく掴めないまま走ってると、

演台に立っていた軍服の女性と鉢合わせた。

 

「――そう。

あなた達、そこで立ち止まりなさい。」

 

「何だよ急に。」

 

「良い機会だから

あなた達に後方支援をしてもらおうかしら。

急いで出撃準備を整えて。」

 

「あたしら!? 嘘だろ!?」

「ん? あの人だれ?」

「それすら聞いてなかったのかよ!

セラフ部隊を統括する手塚司令官だよ!」

 

あの威圧感強い人、

手塚っていう名前なんだ。

ごめん。ボクも今初めて知った。

 

「時間もないから、

すぐにブリーフィングを行うわ。

よく聞いておくように。」

 

「出撃って?」

「そのままの意味よ。これから出撃して、

敵を足止めしてもらうわ。」

「んな無茶な。」

 

「安心なさい。

私も近くで指示とサポートをするわ。

万が一の時はすぐ助けられる位置で。

――では、出撃!」

 

 

 

 

――緩衝地帯。

 

空を飛ぶタクシーとは違う

謎の航空機に搭乗し

たどり着いたのは……

ビル群が荒廃した街だった。

 

その殺風景な街の姿に。

思わず、短髪の子も口を開いた。

 

「ずいぶんと寂れた場所まで来たな。」

 

「安心しなさい、ここは激戦区ではないわ。

あなた達の役割は、あくまで後方支援。

集中して戦えば、命を落とす危険はないわ。」

「そんなの、何の気休めにも……

――って、アレはもしかして。」

 

冷や汗をかきながら、

眼鏡の子が走り出した。

ボクらも気になって、彼女に続く。

 

「なぁ……向こうにいるのって……」

「あれがあなた達の敵、キャンサーよ。」

 

3メートルくらいはある

黒塗りのアメタマに向かって、手塚氏は言う。

テラレイド個体より二回り小さいだけで、

これといった危険性は感じない。

 

しかし、周りの人たちは警戒心を

剥き出しにして構え始めた。

 

「データでしか見たことなかったけど、

目の当たりにするとでけーな……」

「あんなのに対して、

なにで戦えって言うのさ。」

 

「こちらへ来なさい。戦う術を教えるわ。」

 

ここでようやく、ポケモンのレンタルと

ポケモンバトルの指導ってこと?

それにしては、

ちょっと教え方が強引な気がする。

 

「あなた達はセラフという武器を扱えるよう、

既にこちらで手配済みなの。」

 

え、セラフって何。

 

「あとは電子軍人手帳を天にかざし、

セラフィムコードを口にすればいいだけ。

それぞれのセラフが

あなた達の元に舞い降りるわ。」

 

「いきなり中二病ワードが

ポンポン飛び出してきたな……。」

 

「あのー手塚氏、

ポケモンのレンタルは……?

これってポケモンバトルの特別演習だよね?」

 

「ポケモン……特別演習。何を言ってるの?

これはれっきとした支援戦闘よ。」

 

「はいはーい! 質問質問!

電子軍人手帳っていうのは、

この電子機器のことですかー!」

「その通りよ。他の2人もさっさと

ブレザーのポケットから取り出しなさい。」

 

これが……電子軍人手帳?

新型のスマホロトムってそんな名前で

呼ばれてるんだ。

 

「各々のセラフィムコードは

電子軍人手帳に記載されているわ。

さぁ、唱えてみなさい。」

 

「あたしのセラフィムコードはこれか……?

『Hello world』。」

 

ブワァァンっ!!

 

眼鏡の少女が唱え終えた瞬間、

上空から謎の穴が出現し

武器が降りて来た。

 

「うわ! うわああぁぁーーーーー!!」

「なんだ、ブラックホールか?

そっからなんか落ちてくるぞ?

武器のような形をしているな。」

「最新のスマホロトム凄ーっ!?」

 

「それがあなた達の武器……

最終決戦兵器・セラフよ。」

 

「あたしのセラフィムコードは、これ?

えーと、『あたしの伝説はこれから始める』。」

 

ブワァァン!!

 

「でてきた!! えー、なんだよ、

そのクソダサいセラフィムコード!!」

 

「ほら、あなたも突っ立ってないで

唱えなさい。」

 

やっぱりか。流れ的にそうなるよね。

 

「……お、『おはこんハロチャオ〜!』。」

 

ブワァァン!!

 

「あなた達なら意のままに操れる筈よ。

行動開始!!」

 

手塚氏の指示通り、

セラフを手にして戦おうとしたその時。

 

ジュゥウウ。

 

「――ッ!?」

 

掴んだ方の手から灼けるような痛みが奔り、

紅いアザが腕全体に昇るように拡がっていった。

あまりの激痛に、声が出た。

 

「――ぅぁぁあああっ!!」

 

「どうしたッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

ようやくナンジャモの
セラフ部隊としての物語スタートです。

ナンジャモのセラフィムコードは
思いついた時から
これにする予定でした。
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