ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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18話・四ツ葉と手帳(U140イベ軸)

 

━━▶︎ 『U140』DAY??? ??? 

 

〜SIDE『大島・四ツ葉』〜

 

あたいは、ぐーたらするのが好きだ。

特に深い意味はない。

 

人々はみな、

リラックスに導かれる為に生き。

働き、動くのだから。

 

みんなは怠惰というだろうけど、

あたいは他者よりも少しだけ……

ほんの少しだけ、

リラックスを謳歌したいだけだ。

 

ちょっとだけ踏ん張って、

そのあとに食らう

ぽてちとこおらで優勝できたら、

それでいい。

 

いい筈だった……

 

なのに、

成り行きの謎メンバーで

廃棄された研究所へ行くことになった。

 

その特別部隊のリーダーになった

丸山という奴は、

使命感と自信こそ特段強いが、

行動の殆どが空回りしてる。

 

正直なところ、

どこか頼り甲斐のない

リーダーという印象を受ける。

 

そもそも、一千子姉以上に

リーダーシップとカリスマに

優れた人などいない。

 

考えれば一瞬で分かる……

やはり、

考え方が贅沢になってるな。あたい。

 

はてさて。

 

より研究所の深くを調査する為、

電気システムを

復旧してくれるらしいが、

結果はどうなる……?

 

「これをこうして……こうすれば……。」

 

『非常電源、

エコロジーモード起動で起動します。

空調システム起動……。」

 

お? うまくいったか。

 

「おお、やりましたね。」

「まあ、ボクのセンスにかかれば……。」

 

『基地内に空気汚染を確認。

セキュリティシステム起動、

隔離用防護壁作動、

レーザー感知システム作動。』

 

(まーた、やらかしやがった。)

 

「「「「「………………。」」」」」

 

「な、なんだその目は!

ボ、ボクのせいじゃないぞ。」

 

「電源が通った事で

警備システムが復旧しただけでしょう。」

「空気汚染と言っていましたが、

先程の硫化水素ガスの事でしょうか。」

 

「換気システムまでは

起動しなかったようだな。」

「し、下の階層に向かうぞ。」

 

つぎは換気システムを

起動させる為に下行くのかー。

……めんどくせー。

 

あ、思ったより近いな。

 

「見事に封鎖されていますね。

どうしますか?」

 

「くっ、換気システムを起動させて、

下層のガスを

排出してしまえばいいんだ。

……どこかにスイッチがあるはず。

それを探そう。」

 

「おーい。このフロアでも結構

部屋があるけど、

一斉行動で調査したら 

埒があかねーんじゃねーの。」

 

「そっ、そうだな。

四ツ葉の言う通りかもしれない。」

 

「そーだそーだ。

6人で分担して各部屋を 

調査した方がいいぞー。

効率も6ばいだぞー。な、ブリ。」

 

「ええ。

6倍なのは間違いありません。」

 

おし、ブリも味方につけた。

 

あたい一人の意見ならともかく、

数字の得意そうなブリが

こちらに加わるなら、勝機はある。

 

「……成る程、悪くない。

一度分担して各部屋を調査していこう。

いいか皆、20分後にここへ

集合してくれ。」

 

やったぜ。

丸山、まんまと

あたいの罠にハマりやがった。

 

よしよし。

さっさと手頃な部屋見つけて

10分くらいゴロゴロするぞー。

 

「ワシが言うのもなんだが……

四ツ葉、お前なんだか嬉しそうだな。」

「だってお前ら、

今日の任務終わったら

ぽてちゴチしてくれるんだろ〜。」

 

「せんわー!」

「お前は山脇様お手製の

ポイズンポテトでも

食らってろでゲス!!」

 

自称、稀代の魔術師と悪の手下に

叱られた。

 

31Cの連中って、

各々が自由してるイメージだけど、

根は意外と真面目なのかー。

 

「よし、みんな。

準備はいいか……それでは、散。」

 

「「「「「おー。」」」」」

 

「じゃ、あたいは一番近い部屋から

探索するぞー。」

 

ギィィィ……バタン。

 

「ふぅ……これであたいを

邪魔するものは居なくなったな。

お、丁度いいとこに

ソファーあるじゃんか。」

 

結構時間が立って傷んでるけど、

少しの仮眠に使うなら

問題なさそうだな。

 

「ごろごろ〜……すぴー」

 

(あ……いい、これは寝れるぞー。)

 

「四ツ葉さん。そのまま私が

永眠させてあげましょうか?」

 

「――ッ!?」

 

イキナリ声をかけられて、

バッと身体を起こした。

 

声の方を向くと、

殺意剥き出しの麗人が

額に銃口を向けていた。

 

「お前は確か……丸山んとこの……」

「執事の柳です。」

「柳かー。よろしくなー。」

 

「平静を装っても無駄です。

貴女、今何をしようとしてましたか?」

 

「ソファーの隙間を覗いて、

必要資料を探してたんだぞー。」

 

「冗談は程々にして下さい。

貴女はこの期に及んで今、

仮眠を摂ろうとしていましたよね。」

「…………。」

 

「イエスがノーで答えて下さい。

沈黙や嘘をついたら、すぐさま

その脳天に風穴を開けます。」

 

「……いえす。」

 

「よく言えました。

では、なぜ私が憤っているか

理解できますか。」

 

「眠ろうとしたからか?」

 

「いえいえ。私は任務中

無許可で仮眠を摂るのは

悪い事だと思いません。

寧ろ、任務中に疲弊し寝てしまった

お嬢様をおんぶして

任務続行しても良いくらいです。」

 

「へー。

柳は丸山が大好きなんだなー。」

 

「ええ。私は同性愛者では

ありませんが、お嬢様と一緒に

森の中の丸太小屋に

住みたいくらいには慕っております。」

 

「プラトニックな執事だな。」

 

「だからこそ、貴女が許せないのです。

お嬢様の命令に背くのは、

立派な反逆行為に他なりません。

今は目に入ってないでしょうが、

反逆行為を続けるようであれば、

貴女はお嬢様の気分を害し続ける

害虫と判断します。」

 

「…………。」

「害虫を駆除するのは、

人間として当たり前の行為です。

果たしてそこに、情などは

ありますでしょうか。」

 

(何、この執事……怖すぎだろ。)

 

「分かったよ柳。

あたいも真面目に調査するから、

おおめに見てくれー。」

 

「理解して頂けて何よりです。

では、そのソファーから

離れて下さい。」

 

「……え?」

 

「四ツ葉さん。貴女の勘は、

どうやら私を上回る成果です。

それを加味して、今回の件は

水に流すと致しましょう。」

 

ソファーからあたいが

離れたのを確認し、

拳銃の弾を入れ替える柳。

 

そして狙いを定め……

 

バババンッ!!

 

『認証、完了。

資料ファイルを開封します。』

 

……パカッ。

 

「何だー。ソファーが開いたぞー。」

 

「これは紛れもなく貴女の成果です。

さぁ、有用な情報を抜き取り、

お嬢様にお届けしま……ッ!?」

 

「どうした柳。」

 

あたいも硬直する柳を追って、

開いたソファーに詰められた

大量の資料を見る。

 

「プロジェクト: Immortal cell……?

何の話だよ。訳わかんねーぞ。」

 

「四ツ葉さん。

あまり言いたくないのですが、

これは『隠蔽すべき情報』です。」

 

「なんでだよ。」

「これが周知されれば、

私たちセラフ部隊の常識が

覆るからです。」

 

「覆る? さっきから話が

見えてこねーぞ。」

 

「人類は生み出してしまったんです。

人間と同様の知性を持った

人型キャンサーを。

セラフが生み出される前の、

対キャンサー決戦兵器として。」

 

「嘘……だろ。

そんな奴が今でも活動してたら、

あたいら人類に勝ち目は……」

 

「ええ。生きてない事を

祈るしか、今はできません。

他の資料にも目を通しておくので、

四ツ葉さんはこの

『イルゼンの手帳』に

目を通しておいて下さい。」

 

あたいは、柳から例の手帳を

手渡された。

 

「分かった。あたいが読んどくぞー。」

 

 

 

━━『イルゼンの手帳』

 

私は、イルゼン・ファギロン。

イタリアの海洋生物を

専門とする研究者だ。

日本に派遣されて5年。

 

この度、

プロジェクト: Immortal cellに

参加する事を余儀なくされた。

 

未来の糧になると思い、

ここに手帳を残す事にする。

 

人類は今、地球外生命体の

侵略行為によって多くの生活圏を

略奪され、危機に瀕している。

 

当然、研究者や科学者といった

存在は対抗兵器を発明する為、

キャンサーの実験などの

仕事に従事することとなる。

 

プロジェクト: Immortal cellも、

その一環だ。

 

キャンサーの不死性を利用し、

人類が捕獲したキャンサーを

改造、洗脳し戦闘兵器として

利用するプロジェクトだ。

 

当施設では、成功個体が

既に3回ほど出荷されている。

56号、77号、92号……

 

比較的新設された施設であるが

故に、新型の完全体イモータルセル

培養は順調だ。

 

彼らは、昆虫のように変態しながら

完成体に至る。

 

始めに、胎児のような姿をした幼体。

まだ呼吸や帯電に慣れておらず、

定期的に放電したり、鳴いてしまう。

 

刺激を与えると、身体中の眼球色が

緑から赤へと変貌する。

科学者らによると、怒りや警戒の意が

込められているそうだ。

 

蛹の状態。

通称『ロアーノッカー』

 

地球上の物質に当て嵌まらない

謎の白繭に身を包む。

生理的な放電はしないものの、

幼体と同じようによく鳴く。

 

経過観察中、インコのように

科学者の声を真似る事が発覚し、

知能の劇的進化が起きてる

状態だと判明した。

 

科学者ら曰く、この時期に

人語のインプットと

洗脳を行うらしい。

 

完成体。

蛹から成体となると、

全長5メートル程の巨人となる。

帯電器官の操作を完全にモノにする。

 

醜悪な頭部に劣等感を抱いているのか

電気操作と周囲の金属融解により、

ペスト仮面のようなものを精製、

素顔を隠す。

 

更に、幼体で見られた多数の眼球は

数を減らし、胸部、背中に2つ。

太ももに一つずつ。計6つだけとなる。

 

ここまで行けば、

ようやく生体兵器としての

運用が認められる。

 

『ナービィ』という

擬態型の生体兵器よりも、

遥かに優秀な生体兵器である事を

政府に証明してやる。

 

それこそが、

除け者にされた科学者……

我々が持つ存在意義だ。

 

……何。

 

任務中に損傷した108号の

洗脳が解け、暴走しただと?

 

本当の親は我々人類ではなく

『マザー』だと言ったのか。

同族殺しをさせた我々人類に

報復するだと?

 

直ちに当施設と観察中の201号を

廃棄しろだと……?

 

ふざけるな。

201号の管轄主任はこの私だぞ。

チッ、もう政府の手が回ってたか。

 

仕方ない。

表向きで廃棄という形にしよう。

未来の希望である

201号は『廃棄しない』。

 

政府関係者の侵入は絶対にさせない。

当施設に硫化水素ガスを充満させ、

一旦、手を引くとしよう。

 

待ってろよ201号。

いずれ我々が『完成』させてやる。

それまでの辛抱だ。

 

 

 

 

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

ついに明かされる
イモータルセルの知られざる姿(大嘘)。
完成された彼らを前に、
大島屋同盟はどう戦いを展開してくのか。

次回、ヤベェ原作改変は、
更にエスカレートしていきます。
よろしくお願いします。

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