ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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19話・報復の雷

 

「黙らっしゃい!!

アンタは一体、何者ですのッ!」

 

対峙する怪物は、

見下すように嗤った。

 

「ふっ……フハハァ。

我々が何者であルか……だって?

お前らが名付けた名前だが、

案外気に入ってルぞ。

我々は『イモータルセル』。

すなわち、不死の細胞。

癪ではあるが、

我々に相応しい銘だ。」

 

「手裏剣! 影分身の術……!!」

 

間髪入れず、無数の手裏剣が

イモータルセルと名乗る存在を

斬りつけていく……が。

 

シュゥゥウウッ。

 

煙のようなものを出し、

即座に切り傷が癒え、再生していく。

 

「愚か者か貴様ラ。

そのような芸当でこの俺が……」

 

バッ。

 

3人の神崎氏が素早く

取り囲み、印を結ぶ。

 

胸部に溜め込まれた

エネルギーが『炎』となって

三方向から吹き込まれた。

 

「「「火遁・業火球の術……!!」」」

 

ボウゥウッ!!

 

「待って待って待ってー!

なんかバトルの世界観違いますぅう!」

 

タマ氏が堪らず

ド正論なツッコミを叫んだ。

 

「貴様ラ、あの武器すら使わずに

俺に挑むとは、本当に

舐めていルようだな。」

 

続けて、

火だるまとなった

イモータルセルが怒り気味に言う。

 

「燃えてるのに、

そんな余裕かましてる場合かにゃ?」

 

そうだ。

すもも氏の言うとおり、

彼は燃えている。

 

既に勝負のテンポは此方が掴んでる。

爛れた身体で戦闘続行なんて

出来るはずない。

 

「まるで分かってなイな。」

 

ズズズズズッ……

 

「なッ……!? 

炎が手に吸収されてるでゴザル!」

 

「嘘にゃ……あれって……」

「どうしてあなたが

楔を持ってるんですか!」

 

すもも氏とタマ氏が驚愕するが、

イモータルセルはただ嗤う。

 

「そんな事、今から死ぬのに

知ってどうする?

……答えはただ一つ。

これが俺と貴様ラの

格の違いだという事だ。

貴様ラは所詮、

愚か者の集まりに過ぎん。さて、

そろそろ此方も反撃に……ッ!?」

 

彼は、身動きが取れない状態に

なっていた。

 

目に映るのは、

彼を物理的に縛り、

拘束する6つの『帯』。

 

それは、ちえ氏のセラフが

変形したモノだった。

 

「――秘術『イノセントワイルド』。

可愛いの極意にして、

あたくしのみが許された『セラフの真価』。

触れた対象を『虜』にする力ですわ。

大好きな母親に抱きかかえられ

喜ぶ赤子のように、

あなたはあたくしのセラフに

魅了され、一切の身動きが

取れない状態でしてよ。」

 

「……小賢しいマネをッ…………」

 

「本当に愚かなのは

貴方でしたわね。

あたくし達が、無策で

行動を起こすとお思いですの?

生捕りにして、

全てを話して貰いますわ。」

 

「フッ……」

 

「何が愉快ですの?

その内セラフ部隊の増援が加わって、

貴方は本当の意味で詰みに

至るのですわよ?」

 

「この程度で詰みにしたつもリか?

俺はワザと乗ってやったのに、

ここまでしかできないなんて、

拍子抜けにも程があルぞ。」

 

「ワザと……?」

「こんな見え見えの陽動に

掛かル事自体、違和感を覚えないのか。

試しに上でも見てみろ。」

 

「負け惜しみも程々になさいッ!」

 

「フッ、負け惜しみかどうかを

決めルのは俺じゃあない。

そこのカチューシャ女、

代わりにコイツの

頭上を見てやってくれ。

『何』がある?」

 

「すももに指図するとか、

化け物のクセに図々しいにゃ。

どうせ罠に決まってるから、

ついでに見て……にゃ…………。」

 

「すもも氏、どうしたッ!?」

 

余裕の表情を見せていた

すもも氏が、

すぐさま顔面蒼白となった。

 

まるで、

絶望を見せられたかのように。

 

「ナンジャモも、見てみるにゃ……」

「分かった。

……待って、これはッ!?」

 

そこには、俄には

信じられない光景があった。

 

ちえ氏の頭上に集まっていく、

多数の鉄骨。

 

先程、電気を操る能力を

披露したが……ここは森林地帯。

何をどうやって鉄骨を集めたのか、

説明がつかない。

 

「皆さん、騙されないで下さいまし!

きっと意図的に

起こした幻覚の類いですわ。

あたくしに構わず、攻撃なさいな!」

 

「いつまで都合のいい夢を

見てるつもリだ?

そんなに死にたいなら、

試しに一本だけ使ってやろう。」

 

バチバチバチ……

 

一本だけ鉄骨が分離し、移動を始める。

 

「まずはそこのカチューシャ女からだ。

……『コマンド:Steel frame』」

 

一本の鉄骨が、すもも氏

目掛け素早く飛びかかってくる。

 

(この距離。

ダメだ……楔の身体能力強化や

トランスポートでも間に合わない……)

 

ん? 鉄骨よりも速く、一つの影が

飛び込んで来てないか……?

 

「――にゃっ!?」

「風遁・烈風掌……!!」

 

シュワァンッ!

 

飛び込んだ神崎氏が、

掌から突風を発生させ、

すもも氏を吹き飛ばした。

 

だが、代わりに……

 

ズドォォンッ!!

 

揺れで土砂が舞い上がり、

彼女は犠牲となる形で姿を消した。

 

すもも氏は、即座に

受け身を取っていた。

 

「神崎氏ぃぃいい!!」

 

「ナンジャモ殿、心配ご無用……

拙者の影分身が飛び込んだ

だけでゴザル……。

しかし、拙者もチャクラと

デフレクタを消耗し過ぎたで

ゴザル。これ以上の援護は……」

 

「充分だよ。おかげでボクらはまだ

戦線を維持できてる。」

 

「これで理解しタか。

俺の力が本物だというコトを。」

 

「ええ。本物なのは

間違いなさそうですわね。

ですけど、あたくしが拘束を解く

脅しとしては不十分でしてよ。」

 

「つまりは貴様、死を覚悟している。

……と言うノか。」

 

「ええ。貴方を野放しにすれば、

人類は確実に敗北の一途を辿る……

今は、その芽を潰せる

絶好の機会ですもの。」

 

「………お前が今から歩む結果は

犬死にに他ならん。理解に苦しムな。」

「あなた方には、

一生理解出来ない感情でしてよ。

この命一つ、人類存続の為なら

喜んで心臓を捧げますわ。」

 

「これが模倣された心臓の末路か。

人類め、とことん腐ってやがル……

せめてもの慈悲ダ。

同じ外宇宙生命の誼として、

この俺が心臓の

呪縛から解放してやろう。」

 

「心臓の呪縛……?

貴方、さっきから何をぶつぶつと……」

 

「安心しろ。我々と同じく、

貴様ラが人類の為に

戦う必要などナい。

今解放し……『戻してやる』。

――『コマンド:Steel frame』」

 

大量の鉄骨が、落ちていく。

このままでは、ちえ氏が……

 

――わたしたち、

ずっと一緒だから……ね?――

 

(いやだ……またボクは救えないのか……

誰も救えないまま、終わるのか?)

 

「ちえ氏ぃぃぃいいい!!」

 

ギィンッ!

 

「何ッ! 鉄骨が消えタだとッ!

ふざけるのも大概にしろヨッ!

模造品共がァアーーッ!!」

 

「何が模造品だ!

仲間を手にかけた事、

ボクは絶対に許さないぞ!」

 

ギィンッ!

 

ズドォォンッ!!

 

突然現れた大きく黒い匣に、

イモータルセルが押し潰された。

 

……が。

 

「……ほう、

貴様は他と違うようダな。」

 

彼はいつの間にか、匣の上に居た。

 

「あの黒い匣……

何がどうなってますの?」

 

「俺にも分かラん……だが、

これでようやく自由に動けル。

さて、仕留め損ねた奴を

片付けるとすルか。

――『コマンド:Thunder』。」

 

掌に電気エネルギーを集め、

球状に形作っていく。

その照準は、

すもも氏に向けられていた。

 

神崎氏は息が上がって

とても動ける状態じゃないし、

他のみんなは群がるキャンサーの

掃討で手一杯。

 

やはり……ボクが守るしか無い。

 

放たれる蒼き電撃弾。

ボクは、その射線に先回りした。

 

「ナンジャモ……何のつもりにゃ。」

「すもも氏……31Aのみんなには、

よろしく頼んだよ。」

 

「ダメにゃ! 

こんなの間違ってるにゃ!」

 

「――『辺爆』」

 

「ハッ!?」

 

この薄暗い景色に、足に伝わる砂の感覚。

……座標だ。

 

「随分と面白い存在に出会ったな。

……小娘。」

「イッシキ氏、なんでこんな時にッ!?」

 

「座標に居るのも暇だ。

偶には会いに来てもいいだろ。」

 

「時間の概念はないけどさ!?

もっとこう……タイミングあるよね!?

DeathSlugの時もそうだけど!」

 

「喧しいな。

どうでもいいだろ、そんな事。」

 

「で、イッシキ氏は何でボクに

会いに来たの?」

 

「楔を持ったあの化け物に

興味があるだけだ。

だからお前にも更なる『楔の力』を

与えてやった訳だが、

使い方がなってないな。」

 

「使い方……?」

「秘術・少名毘古那と

秘術・大黒天だ。まぁ……

6割程度の解凍ではこんなモノか。」

 

「イッシキ氏……?」

 

「偶然だが、奴を生捕りにするという

目的は俺の利害と一致している。

今の状況からして、

お前のように、生半可な実力で

捕獲できる相手じゃ無い。

……少し代われ。ついでに

力の手本も見せてやる。」

 

 




どうも、たかしクランベリーです。

更に、原作改変の狂気度が増しました。
ノリと勢いに全振りにした結果が、
これです。

はい。もう完全に暴走してます。
それでも続けます。
よろしくお願いします。

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