「――『辺爆』」
ボゴォォンッ!!
「まずは一人、トいった所か……
さぁ、順序よく始末していくとしヨ……
――ッ!?」
ギィンッ!
突如、匣の足場が消え
咄嗟に着地するイモータルセル。
爆風の中心部が晴れた場所には、
何かを握りつぶした手を伸ばす
イッシキ氏の姿があった。
頭部からは螺旋状の角が露出し、
楔は紅く明滅している。
それに大きな疑問を抱いたのか、
イモータルセルが叫んだ。
「貴様ァア!
その『楔』を何処で手にしタァアッ!!」
「それを答えなかったお前に、
俺が答えると思うか?」
「調子に乗ルなよ下等種が!!」
「只の器ごときが、一々煩いな。
どれ……器としての質を見てやろう。
まずは800本だ。」
ギィンッ!
イッシキ氏が片目を
琥珀色に輝かせた瞬間。
無数の黒い杭みたいなモノが、
彼目掛けて飛びかかってくる。
「――コマンド:Lance!
クソがァアっ!!」
電磁力操作によって、
即興で槍を生成し、彼は弾幕を捌く。
ズガガガガッ!!
「ほう……見事な槍捌きだ。
では、組み手の方はどうだ?」
ギィンッ!
「武器が消えただとッ!」
武器の消滅に驚くイモータルセルに
一気に詰め寄り、イッシキ氏が
肉弾戦を仕掛ける。
彼はイッシキ氏の猛攻を
辛うじて受け流す一方で、
全く攻めに転じられていない様子だ。
「クソクソクソぉッ!!
俺がこの程度の小娘に蹂躙される
など……あってはならんのダァッ!!
――グハァッ!?」
腹に蹴りを入れられ、
彼は後方へ吹き飛ぶ。
すぐ受け身を取るが……
「さっきの威勢はどうした?」
「調子に乗るなヨッ! 貴様ァア!」
ギィンッ!
イモータルセルの頭上から、
突然黒い匣が現れた。
ズドォォンッ!!
「……俺の予想が正しければ、
ああ、正解か。」
「……ハァ……ハァ、ナめやがって。」
「この積雪……やはり、秘術・雪時雨。
お前、『カサシキの器』か。
積雪した嵩的に、時を消し飛ばした
時間は6秒くらいだな。」
「ごちゃごちゃウルせぇゾォ!!
次で終わらせてやルっ!!
――コマンド:Death Punch!!」
黒い匣の上で
激昂したイモータルセルが、
拳に黒い雷を纏い、飛び掛かる……が。
ギィンッ!
ズザァンッ!!
彼は一瞬にして、
無数の鉄骨の串刺しになった。
「……何が……起きタ…………ッ」
「――秘術・大黒天。
お前の使っていた
不恰好なオブジェが、たった今。
お前の墓石となった。」
「何……ダとッ。」
「皮肉なモノだな。
自分の武器が、
自分の首を絞める結果になるとは。
……今貴様、どんな気分だ?」
「不快ダ……だが、
これで俺を拘束した気になルなよ……」
「なら、貴様お得意の電気操作や
雪時雨で逃げてみろ。」
「何故ダ……帯電器官や
時飛ばしが使えんッ!?
貴様ッ! 一体何をしたッ!」
「この俺が、考えなしに
肉弾戦を仕掛けると思うか……。
遅効性ではあるが、
お前に有用な『点穴』は既に塞いだ。
あと数時間は動けないと思え。」
「………………。」
「ふっ……偶然しては良い収穫だ。
解凍は73・7……いや、8割9分か。
十尾の生贄としては充分だ。」
「………生贄ダと?」
「貴様は生きたまま食われるんだ。
十尾の生贄としてな。
それ以外の価値など微塵もない。
所詮貴様は、大筒木カサシキの
模造品として生涯を
終えるだけの……家畜だ。」
「つけ上がるナよ小娘がァア!」
「……さて、
俺を楽しませてくれた礼だ。
直に大黒天送りにするが、
遺言くらいは聞いてやろう。」
「…………。」
「聞こえないな。」
イッシキ氏が余裕の表情を
浮かべて、聞き取るために
イモータルセルへと歩み寄る。
……そして。
「フッ、フハハ……
掛かったな。愚か者。
――コマンド:Diver」
ザバァッ!!
地中から突如現れた
キャンサーが大口を開き、
イモータルセルを呑み込み
地中へと潜っていった。
イッシキ氏は見透かしたように、
後方へ回避していた。
「チッ……逃したか。
次こそは、間髪入れず
大黒天送りにしてやる。
待ってろよ、十尾の生け贄。
必ず俺の手に収めてやる。」
イッシキ氏が悪態を吐いた瞬間。
ボクの意識が、千切れた糸のように
フッと消えた。
*
━━▶︎ DAY??? ???
〜SIDE『國見・タマ』〜
地中から現れた
謎のキャンサーの奇襲を
回避したナンジャモさんは、
何かを言って空中で気を失った。
慌ててトランスポートで移動し、
彼女をキャッチする。
スタッ。
「ふぅ……危なかったですぅ。」
「國見! ナンジャモは無事かにゃ!?」
焦燥した顔で、すももさんが
安否確認をしてくる。
「は、はい……気を失ってるだけで
息はあります……」
DeathSlugの時と同じだ。
セラフとは違う『強力な異能力』を
使って、身体がその負荷に
耐えきれず気を失う。
おそらくは『楔(カーマ)』由来の力。
私たちが力不足故に、
ナンジャモさんは嫌でもその力に
頼らざるを得ない……。
まだ、どんなリスクがあるかも
分かってないのに……。
……強くなりたい。
ナンジャモさんだけが
重荷を背負わなくていいよう。
私たち31Aのみんながもっと……
「國見、どうかしたのかにゃ?」
「なっ、何でもありませんよ!?
早く独楽を完成させたりましょう……!」
「その心がけはいいけど、
いつまでナンジャモをお姫様だっこ
してるつもりにゃ。」
「地面に置いて
汚したくありませんので!」
「隊長への愛が強すぎるにゃ。」
「あなた達、ナンジャモさんと
イチャついてる
場合じゃありませんわよ。」
「「――イチャついてない!!」」
「それにしても、地面から現れた
キャンサーは何でゴザろうか……?」
「地中を掘削して移動する
大型キャンサー。
かつての任務資料で
見覚えがありますわ。」
「真でゴザルか!?」
「ええ。資料では確か、
『Rotary Mole』という名で
明記されてましたわ。」
「ロータリーモール……
見るからに強そうな
キャンサーだったでゴザル……。」
「強いには強いでしょうけど、
彼らにとっては、単なる鞍馬に
過ぎないと思いますわ。」
あの怪物が。
「そんな……。」
「國見さん、その抱え方では
腕が保ちませんわ。
キャロルさん、代わりに彼女を
おんぶしといて下さいまし。」
「OKよ!」
仕方なく、私はナンジャモさんを
キャロルさんに譲った。
「國見もキャロルも……羨ましいにゃ。」
「ん?
どうかしましたかすももさん。」
「何でもないにゃ!
それより早く31Eの援護に……」
「お待たせしましたみなさーん!
何かデカイ爆発音がしたんですけど
無事ですかー!」
ベストなタイミングで、
大島屋御一行が駆け寄って来た。
「はいっ! 私たちは無事です!」
「あら、大島屋さん一行では
ありませんか。
キャンサーが
群がった気配がしたのだけれど、
そちらは大丈夫なのかしら?」
「心配いりませんよ菅原さん!
あたし達大島屋の手にかかれば、
そこらのキャンサーはパパッと
掃討できるから!」
「無茶言うなよむーあ。
あたいはすごい疲れたぞー。」
「確かに、敵影は見えませんし、
気配は残ってませんわね。」
「ねぇねぇ菅原さん達!
いい素材探してるんだよね?
あの洞窟とか
いい鉱石ありそうだよ!」
「いや、拙者たちがあそこに
参るのは……」
「……アリですわね。」
「oh!? 正気なのMs.菅原!」
「正気も何も、
行かない手はありませんわ。
あなた方も、
ナンジャモさんの勇姿を無駄に
したくないでしょう?」
「安全という根拠はあるのかにゃ?」
「イモータルセルの援軍が
一切ここに来なかった上に、
彼自身が撤退を選んだ事。
考えられるのは、
洞窟内にキャンサーが生息せず、
やむなく集めた援軍が大島屋一行に
運悪く掃討されてしまった。
……という感じでしょうか。」
「それなら、納得できるにゃ。」
「それともう一つ。彼が、
工業地帯や建築地帯でもない
この森林地帯で、どうやって
『鉄骨』を集めたのか……」
淑女然として微笑み、
菅原さんが洞窟内に指を差した。
「その洞窟内が実際に運用されていた
炭鉱地で、そこから電磁力によって
引きつけた鉄骨だとしたら、
全ての辻褄が合いません事?」
「そ、そういう事だった
のでゴザルか……」
「す、凄い。
これが先輩部隊の洞察力……
感服いたしまする……!!」
「さて、ここからが本番ですわよ。
始めましょう。
あたくし達の炭鉱を。
そして、勝利を手にしますわよ!!」
「ヴァウッ!」
「「「「おーーー!!」」」」
どうも、たかしクランベリーです。
昨日の生放送。最高でした。
しかし最高すぎるが故に、
もう我慢できません。
『逢川めぐみ』登場させないから
めぐみんアンチだろと
思われてそうですが、違います。
むしろ大好きすぎて
登場させられません。
彼女に
エセ関西弁(作者の技量問題)を
喋らせたり、
本編通りの曇らせなんて
させたくないくらい好きなんです。
……ですが、来週の水曜日は
4章後半の実装を記念して、
めぐみんを加えた特別回をやります。
(月曜更新も普通にします。)
エセ関西弁が炸裂すると思いますが、
(出来るだけ気をつけます。)
よろしくお願いします。