ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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26話・劇場版! 秘密結社31C!

 

━━▶︎ DAY???

 

〜『SIDE・和泉ユキ』〜

 

あたしは和泉ユキ。

セラフ部隊にスカウトされた

ハッカー組織・オーキッドの構成員だ。

 

セラフ部隊に入隊後、それなりに

経ち、31A部隊として活動するのにも

慣れて来たつもりだ。

 

そんな感じで

順風満帆な軍人ライフが送れると

思いきや、31Aの座を譲れと

言う同期の部隊……

31Cが因縁をつけてきた。

 

そうして決まった

謎の勝負……通称『シネマバトル』。

より顧客満足度が高い方が

勝利するという曖昧な基準の競争だ。

 

あたしと月歌、そして数名が

審査室という別室で

映画の視聴と審査を任された。

 

一般セラフ隊員は映画施設で

自由に視聴可能だそう。

 

途中、小道具の準備の為だけに

大掛かりな独楽勝負を始めた

ナンジャモ達には驚かされたモノだ。

 

(まぁ……八百長さえなければ、

普通にいい競争だ。

先発は31Cの作品か。)

 

「おいユッキー、始まんぞー。」

「分かってるよ……。」

 

考え事の世界から月歌に

起こされたので、

モニターの方に意識を向けよう。

 

「そうそう……

その調子だぜユッキー。」

 

 

 

━━▶︎ 劇場版31C! 

 

『〜征服魔王の人質観察伝〜』

 

かつて、魔族と人間は争っていた。

 

魔族を統治する王……

『魔王』は数多くの魔物を従え、

人類を窮地へと追いやっていた。

 

しかし人類は諦める事なく、

反撃を続けた。

 

永きに渡る戦い。

約100年という時間をかけて、

伝説の勇者が魔王を討ち。

――封印した。

 

人類に安寧が訪れた。

 

だが、長続きとまでは行かなかった。

闇に魅入られた

民の集まりによって、

魔王は封印から解かれる。

 

魔王復活後。

程なくして再び人類は蹂躙され、

人類の3分の1が誘拐。

魔王軍の奴隷となる。

 

魔王城では今も尚、

悪しき密会が開かれていた。

 

「ふっふっふ……

やはり人類は脆いわね。

世界征服は滞りなく進んでいるわ……」

 

「魔王様の手にかかれば、

世界征服なんて容易いでゲス!!」

 

「いいえ、怪人カニハンド!

アンタの手柄も大したモノよ!」

「はいでゲス!!」

 

「フッ……妾の手柄も

忘れてもらっては困るな……!」

 

朱色の布を纏った参謀が、

扇子を広げ颯爽と現れた。

 

「勿論、アンタの

活躍も忘れてないわよ。

怪人イーユイ。

アンタの軍略がもたらした

戦果は天晴れだったわ!」

「フッ……当然であろう。」

 

「役者は揃った様でゲスね!」

 

「なら、始めるしかないわね。

イーユイ、アンタが最近誘拐した

人質の様子はどうだい?」

 

「拷問もフェーズ3に入ったぞ。

もうじき折れて、

立派な奴隷に仕上がるだろうな。

……フッ。」

 

「良いわねぇ。その調子で

とことん絶望させてやりな!!」

 

魔王様がイーユイに

エールを送り、

あちきに期待の眼差しを向けた。

 

「さぁ、怪人カニハンド。

アンタも最近、

誘拐任務達成できたみたいじゃない。

私にもその話、

聞かせてくれない?」

 

「……あちき、説明に自信が

ないから日記を朗読しながらでも

いいでゲスか?」

 

「当然よ!

日記に綴るだけでも凄い事よ!

さぁ、朗読なさいっ!!」

 

「はいでゲス!!」

 

『〜グリーン観察伝〜』

 

明日は、待ちに待った

初の誘拐任務。

 

任務の日のことを考えると、

胸がドキドキして

中々寝付けないでゲス。

 

気がついたら

あちきは任務の時間より

大幅に寝坊して遅れたでゲス。

 

慌てて、任務指定された

公園に辿り着くと、

誰も居ないでゲス。

 

なんとか人質を見つけようと

躍起になって公園中を周っていると、

足を掴まれたでゲス……。

 

重たくなった足を見ると、

怪しい人間が顔を上げてきました。

 

「エナドリくれぇぇええ!」

 

謎の人間にエナドリを

あげましたでゲス。

 

緑色のジャージの胸元に、

勇者グリーンと書かれていたので……

多分それがコイツの名前でゲス。

 

何はともあれ、

あちきはグリーンにエナドリを

いっぱいあげました。

 

いつになったらグリーンは

勇者らしい姿を見せてくれるんだろう?

 

あちきは不思議で

仕方がなかったでゲス。

 

『そんなもんあげてる限り、

一生勇者らしい事しねーーよ!?』

 

――II――

 

「おいユッキー、

映画鑑賞の途中で叫ぶなよ。

思わず一時停止しちまったじゃねーか。」

 

「お前らも少しは違和感持てよ!?」

 

――▶︎――

 

「お前、勇者のくせに

何で魔族に反旗を翻さないで

ゲスか? 情けないでゲスよ?」

 

「いいかいお嬢ちゃん……

一度敗退を辿った人類は、

同じ過ちを繰り返すんだよ。」

 

『子供になんて事言うんだよッ!

しかもそれ勇者の名を冠した奴が

言っていいのかよ!?』

 

人間観察2日目。

 

同じ公園に行くと、

また勇者グリーンが木製ベンチで

寝転んでました。

 

心配なので、数本エナドリを

あげたでゲス。

それでも、彼女は目から

エナドリを流してしまいます。

 

「エナドリが不味かったでゲスか?」

「違うの……もう流さないから、

ごめんね……ごめんね……。」

 

何に対して謝ってるのか。

そんな疑問が頭の中を埋め、

今日という日が終わったでゲス。

 

人間観察3日目。

 

ベンチのそばにある植木の幹に、

小さな手作りのブランコが

出来ていました。

 

「おいグリーン、

あのブランコは何なんでゲスか?」

 

「アレはね、あたしの手作りだよ。

普通のブランコと違って、

遊ぶと首がきゅーっとして

スリル満点なんだ!」

 

嬉しそうに語るグリーン。

 

縄で作った不恰好なブランコの

何が楽しいのか分からないまま、

あちきはその日、眠りについたでゲス。

 

人間観察4日目。

 

公園に行くと、

勇者グリーンの姿がありません。

 

ここで人質を見失うわけには

行かないと思い、公園から離れて

辺りを隈なく探すと……居ましたでゲス。

 

勇者グリーンは、

線路の上で寝ていましたでゲス。

いつになったら

勇者らしい事をするんだろう?

 

どうしてそんな事しているのかと……

 

『もう止めぇえーッ!

もういいですーッ31Cーッ!!』

 

――II――

 

「おいユッキー、

2度も止めさせんなよ。

こっからが面白い所でしょーが。」

 

「何処がだよッ!?

あとコンマ数秒で

肉塊になってたよなァその勇者!?

映画施設の客に何つーもん

見せようとしてんだよ!

もう勇者も人類救えねぇ

罪悪感で自殺図ってるじゃねーか!」

 

「まぁ、落ち着けよユッキー。

31Cといえど、

そんなシーンはカットするだろ。」

 

「……いいや、あたしは心配で

ならねーな。取り敢えず

チャプターを多少スキップして、

要点を掻い摘みながら視聴しようぜ。」

 

「もー、仕方ないなー。」

 

――▶︎▶︎――

 

人間観察11日目。

 

我が家に

家族(奴隷)が1人増えたでゲス。

 

『掻い摘み過ぎだろぉぉおお!

何でグリーンが

家族の一員になってんの!?』

 

寝床を用意してやったが、

相も変わらず奴は勇者らしい

行動を見せない。

 

それもその筈……

突然の魔王の復活。

 

平和な人生を歩んでいた

純粋無垢な少女が、英雄の血族という

理由だけで戦場に駆り出され、

魔王軍に蹂躙される。

 

殺伐とした世界など知る由もない

暖かな環境で育った彼女が、

友軍が死屍累々となった戦地にて

ただ一人として生き残った。

 

この重圧と罪を、

覚悟もままならないまま

背負える訳が無かった。

 

背負いきれないならば、

押し潰され、 

怯懦で惨めな存在に堕ちるのみ。

 

正気を失った赫き瞳は

虚空をただ見つめる。

……視えるのは、簒奪と欺瞞の

跋扈する魑魅魍魎な世界の姿。

 

その様子を憐れむように。

荘厳な沖鳴りと共に

神々しく現れたグリフォンが、

天穹を舞うで下衆。

 

『字面字面字面ーーーァ!!

この1週間で豊後に何があったァ!

達者になり過ぎだろ!?

そっちの方が気になるわ!

大人の階段どころか

大人のエスカレーター

登ってんじゃねーか!

あと何で日本にグリフォン!?』

 

『何言ってんだよユッキー。

人は誰しも、誰にも見えない所で

いつの間にか

大きく成長してるもんさ。

あたしだって中学時代の中期、

難しい言葉をよく羅列させて

周りを畏怖させてたしな。』

 

『お前の普段の奇行に厨二病が

加えられたら誰だって畏怖するわ……。』

 

人間観察13日目。

 

グリーンは、路傍に設けた

犬小屋型の寝床を

とても気に入っているで下衆。

 

「……はあっ♡ 堪んないよぉ♡♡」

 

道行く人々から向けられる

蔑んだ視線が

最高に心地良いそうだ。

 

拷問のつもりで用意したが、

流石英雄の血筋……

並大抵の尊厳破壊如きでは、

そう簡単には折れないらしい。

 

『折れるっつーか

悦び見出してるよなぁ!?』

 

あちきは地面に向かって

唾を吐き捨て、悪態を吐いた。

 

「お前……見れば見るほど

惨めな存在でゲスね。」

「はいぃ♡」

 

母上からくすねてきてきた

エナドリを無造作に奴へ投げつけ、

今日も今日とて犬小屋を見下す。

 

最近、母上がグリーンを

気味悪がっている……。

 

どうやらあちきが飼い始めたのが

犬ではなく……元勇者であることに

勘付き始めているのだろう。

 

『最初から気味悪ぃーよ!?』

 

母上が男を

信用しないようになったのは

あの日の惨劇からだ……。

 

そう……3年前の『あの日』で下衆。

 

『何で日記で過去編ッ!?

何で急に母親の話に変わんだよッ!

色んな意味で追いつけねーわ!!』

 

 

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