「「「「「「――ご馳走様でした!」」」」」」
「ふぅ……流石高級品ね。
ここまで満足感を得られるとは
思わなかったわ。」
「あたしも、まさかカニの鋏に
心の扉を開けられるとは
思わなかったよ。」
「カニカマとは美しさや旨みが
段違いでした……。
この私の美しさを以ってしても、
口に含むまで見抜けったかった。
これが、本物のカニなんですね。」
姉さん達があまりの美味さに
驚愕してる。
とても美味いのは分かるけど、
オーバーリアクション過ぎない?
かれこれ
3分くらい余韻に浸ってるよ。
(仕方ない……あたしが起こそう。)
「起きて一千子姉、
二似奈姉、五十鈴姉!」
「「「――ハッ!?」」」
「おー、お目覚めだなー。」
「四ツ葉姉もさっきまで
寝てたよ!?」
「そんなん、
どーでもいい事だろ〜。
折角の休日なんだ。
みんなでゴロゴロしようぜー。
陽だまりのベンチで
うたた寝すると、
最高に気持ちいいんだぞー。」
「ダメです四ツ葉!」
「なんでたー?」
「六宇亜の映画の
活躍を忘れたんですか!
やっと時間が取れたのよ。
今日全力で祝わなくて、
いつ祝うの!!」
「そ、そこまでしなくていいよ
一千子姉ぇ。あたし達の映画、
結局負けちゃったし……。」
「「「「「…………。」」」」」
待って。何で5人とも
そんな申し訳無さそうな
顔してるの。
一千子姉。
何であたしの両肩掴んで
キリッとした目線を向けるの。
「……いい?
映画の価値観は十人十色。
六宇亜の映画は
負けてなんかいないわ。」
「…………。」
「わたし達家族にとっては、
六宇亜が一番輝いて見えた。
一番素晴らしい映像作品だったと
胸を張って言えるわ。
そうでしょ? みんな。」
姉ちゃん達、
澄ました顔で頷かないでよ。
どう応えていいか分からないよ……。
「だから、わたし達家族に
改めてお祝いさせて。」
「……分かった。」
「よし! じゃあ一旦部屋に戻って
デンタルケアを済ませたら、
みんなでフレーバー通りを
練り歩きましょうか。」
*
━━▶︎ DAY19 10:30
――フレーバー通り。
いつもなら、大島屋営業の為に
立ち寄る時間帯だけど。
今日は特別な休暇。
夕方以降でしか
娯楽に費やせないその場所が……
今は午前の楽園。
「やっぱ平日のこの時間となると、
閑散としてるなー。
ぐっすり寝られそうだぞー。」
「ダメよ四ツ葉、
祝勝会を全力で催すって
言ったばかりでしょ。」
「そーいやそーだったなー。」
いや、そもそも
勝ってもいないんだけど……
うーん。
この反論は胸にしまっておこう。
「で、どう祝うんだい一千子。
あたしが肩揉みして、余った部位を
皆で揉み解せばいいのか?」
「ダメよ五十鈴。
それは部屋でも出来るわ。
午前中のフレーバー通りでしか
出来ない何かをしなければ、
ここに来た意味が無くなるわ。」
「そうか……」
「という事で、祝いの品を
わたし達が各々で買って
プレゼントするなんてどうかしら。
きっと六宇亜も喜ぶわ。」
「そうですね!
この美しい私が、美しい逸品を
ご覧に入れましょう。」
「ボクも賛成だよ!
最高のプレゼント、お届けー♪」
「みんな賛成みたいね。
では始めましょうかしら。」
「待って一千子姉。
みんながプレゼントの
用意をしてる間、
あたしは何をしてればいいの?」
「……そうね。六宇亜、
結構基地を走り回ってたでしょ。
ミエミエの浴場で疲れを落として
行ったらいいんじゃない?
準備が整ったら、
わたし達から連絡を入れるわ。」
「うん!」
………………。
…………。
――フレーバー通り、娯楽施設・ミエミエ
シャワーで一通り髪と身体を洗い流し、
ミエミエの大浴場に浸かる。
「ふぅ、ひとっ走りした後の
入浴は気持ちいいなぁ。」
大島屋営業後に
家族みんなで浸かるのが
ここ最近の楽しみだった。
平日の真っ昼間に、
貸切で利用しているのは
今のあたしくらいだ。
(なんか、新鮮だなぁ……。)
身体が温まってくにつれ、
溜まっていた疲れが
湯水に溶かされていく。
本当に、気持ちがいい。
(でも、あたしが求めてるのは
こんな軽々しい気持ち良さじゃない。
ミエミエに来たら……)
「……97、98、99、100っ!」
ザバァンッ!
水飛沫ならぬ、
湯飛沫をあげ、立ち上がる。
「ミエミエに来たら、
サウナでしょ!!」
更なる気持ちよさを求めて、
サウナへと向かった。
扉の窓越しに、人影が見える。
この時間帯にサウナ?
31Dの誰かかな。
いいや、考えても始まらない。
むしろ。
誰かが居てくれた方が好都合だ。
意を決して扉を開けてお邪魔する。
そこに居たのは……
「ふぅ……誰かと思えば、
六宇亜ではないか。
うぬまで休暇を貰っていたとはな。」
「映夏ちゃん!?」
「良い機会だ。
最強人権キャラ同士、
共に語り合おうではないか。」
「何の話!?」
「妾とうぬが手持ちにいる時点で
勝ち組確定だと言っておろう。
妾とうぬが手を組めば、
大抵のスコアタが玩具同然じゃ。」
「だから何の話!?
連撃オーブと心眼オーブ来たら
あたし達降格するよ!?」
「……だ、大丈夫じゃ。
妾には単体防御ダウンと
先駆がある。
ゆ、故に妾の需要は終わらぬ……。
と、取り敢えずサウナの話に
戻ろうぞ。」
めちゃくちゃ動揺してる。
軍師らしからぬ慌てようだ。
「それで、どうして映夏ちゃんは
サウナに足を運んだの?」
「心頭滅却すれば火もまた涼し。
シャロの勧めで31X全員と
寄ったことがあってな。
気付いたらこの良さに嵌って、
度々寄るようになったのだ。」
「…………。」
「まぁ、共に来た
シャロとヴリティカは
既に上がってしまったが……」
「へー。そういう事かぁ。」
「邪魔であったか?」
「いいよいいよ。
折角だし、一緒にサウナ楽しも?」
「……そうだな。」
ん? 今日はセルフ式みたいだ……。
「こうしてうぬと
再び会えたのも何かの縁だ。
まだまだ妾も経験が足りぬ。
うぬなりの、このサウナの
更なる使い方を教授してくれぬか。」
「映夏ちゃんが良ければ
全然良いよ。それじゃ、始めよっか!」
「待て。何をどう始めるのだ。
葉の束みたいな奴は初見で使ったが、
あの積まれた石達や
無造作に吊るされてる
柄杓や団扇はどう使うのだ?」
あー。
確かに、よく見たら
不思議なアイテムばかりかも。
「それじゃあ、説明を交えながら
実践していこうか。
あたしが柄杓にアロマ水を
汲んでくるから少し待っててね。」
「……うむ。」
柄杓にアロマ水を汲んで、
サウナ室に戻る。
映夏ちゃんは柄杓に溜まった
アロマ水を興味津々に見ている。
「ほう。これが噂のアロマ水か。
中々に良い香りがするではないか。」
「でしょでしょ!
映夏ちゃん、さっきの石積みの用途
気になってたよね?」
「……うむ。」
「あれはサウナストーンって
言ってね。このアロマ水を
かけて蒸発させる役割があるんだ。
この行為をロウリュって言うんだよ。」
柄杓から、サウナストーンに
アロマ水を一気に注ぐ。
瞬時にそれは立昇る蒸気と化し、
芳醇な香りを放つ熱源となって
此方に襲いかかってくる。
「熱ぢぢぢぢぢぃぃいい♡♡」
「熱ぢぢぢぢぢぃいいいいっ!」
※良い子はマネしないで下さい。
火傷してしまう可能性があります。
※アロマ水は
一気に注ぐものではありません。
※彼女らは訓練された軍人です。
(これだよこれぇ……♡
あたしを蒸し焼きにするような
この暑さ……堪んなぃよぉ♡)
「はぁっ……♡
今日も良いアロマミストだったぁ……」
「蒸し暑いわッ!
妾を蒸し焼きにする気かッ!
一瞬自分が小籠包になると思ったわ!
あと何故うちわを手渡す!?
見た事ない注釈テロップまで
出てきおったぞ!?」
まだだ……
こんなんじゃ終われないよ。
「細かい話はあと! 蒸し暑い内に、
あたしをそれであおいで!」
「分かった!」
ブウンッ……ブウンッ!
(キタキタ来たぁーー!
この熱波だよ! 求めていたのは!)
「くふぁーっ♡ イイっ!
もっとあたしにおかわりしてぇぇっ!」
「ホントにこれで合ってるのか!?」
数分して、映夏ちゃんが
あおぐ手をとめた。
「凄いよ映夏ちゃん。
熱波師の才能あるんじゃないかな……。」
「妾は軍師じゃぞ。そんな才能不要だ。
で、さっきの追い討ちみたいな
行為は何だ? 何の意味があるんだ?」
「あれはアウフグースって言って、
サウナをより楽しむ為の行為だよ。」
「愉しんでたのはうぬだけじゃぞ。」
「そっかー。
映夏ちゃんは楽しくなかったかぁ。」
「……う、ま、まぁまぁ良かったぞ。」
「なら良かった!
じゃあ次は、あの葉の束……
ヴィヒタであたしの身体を力一杯
ビシバシ叩いて貰おっかな。
その時はこのチャーシューがぁっ!
……って、大きな声で
言いながらやってね。」
「シャロの時は力一杯叩く
やり方では無かったぞ!?
明らかにうぬの私情が
混ざっておるよなぁ!?」
「私情なんて混ぜる訳ないじゃん!
ウィスキングっていう
大事な行為だよ!」
「妾の知るやつと
違うと言っておろう!」
ピリリリリリンっ!
もうっ、今から一番楽しい所なのに。
「六宇亜、
電子軍人手帳が鳴っておるぞ。」
「分かってるよ。」
呼ばれてしまっては仕方ない。
「映夏ちゃん、
このまま水風呂と外気浴して
一緒に上がろっか。」
「ああ。妾も
そろそろ上がろうと思ってた所ぞ。」
……………………。
…………。
受付でGP会計を済ませ、
ミエミエから着替えて外に出る。
外では既に、荷物を抱えた
家族みんなが待っていた。
「お待たせみんな!
おかげでさっぱりしたよ!」
「それは良かったわ。
じゃあ、あの噴水広場で
プレゼント発表会と行きましょう。」
「うん!」
噴水広場に移動し、
一千子姉から順に横並びになった。
「さぁ、一斉に見せるわよ。
六宇亜、準備はいい?」
「バッチリだよ!」
「「「「「――じゃじゃーん!」」」」」
意気揚々と家族が見せてきた
プレゼントは……っと。
一千子姉は蟹のバッジ。
二似奈姉は蟹のスノードーム。
三乃里姉は、
蟹のシルエットが付いたシューズ。
四ツ葉姉は、
デフォルト調なデザインのカニ枕。
五十鈴姉は、カニのキーホルダー。
辺り一面、カニ。カニ。カニ。
「――全員毒されてるじゃん!!」
━━【第2章最終回、予告】
(※最終回は次回ではありません。)
(※予告の為、台本形式の
ダイジェストでお送りします。)
カレンちゃん
「じゃが、一度きりの大博打じゃ……
失敗は許されんぞ。」
ナンジャモ
「……分かってる。
ありがとう、2人とも。」
2人が密に交わした『手段』とは……
和泉ユキ「答えろ朝倉。
お前の目的は何だ?
そしてそれは……『誰』の差し金だ。」
何かを察する和泉ユキ。
そして、
月歌の核心を突くいちごの発言。
水瀬いちご「そいつは本心か茅森……?」
月歌「…………」
水瀬いちご
「今でも2人は
大事な仲間の一員だって……
心から本気でそう思えんのかよ?」
月歌「……やめろ…………。」
蒼井
「……夢で見たものと、同じです。
……蒼井が見た。『蒼い星』と。」
蒼井が夢で見た『蒼い星』の正体とは。
大筒木イッシキ
「諦観したか?
なら、その身体を今すぐ明け渡せ。
俺が解決してやる。」
ナンジャモ「――断る。」
裏で交代を促す『大筒木イッシキ』の
真の目的とは……。
物語は、
刻一刻と終わりに向かっていく……
オペレーション・プレアデスの
行末は如何に……。
――Coming soon