ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

41 / 41
38話・終結の黎明

 

 

「何やってんだよカレンちゃんっ!

あたし達仲間だろ!!

こんな事していいのかよッ!」

 

「仲間だとォ……?

茅森、何を言ってるんだ貴様は?

ワシは貴様らの仲間になった

覚えなどないわ。……忘れたか?

――ワシは只の殺人鬼よォ!

あーひゃひゃひゃひゃぁあああっ!」

 

「ふざけんなよ!

蒼井が身を挺して

前に立ったってのに……

こんな事したら

全滅するってくらい分かるだろ!

カレンちゃんはそれでもいいのかよ!」

 

「茅森の言う通りだッ!

死にてぇのかテメェはよォ!!」

 

ルカ氏、いちご氏が説得を試みるが。

カレン氏が離れる気配は一向に無い。

 

「ひひゃ……それもまた一興じゃ。

殺しの美学に従い殉ずる。

それこそ、殺人鬼冥利に尽きる

事だとは思わないか。」

 

「……コイツ、

マジで狂っていやがる……。」

「カレンちゃん! 目を覚ませよ!」

 

「………………。」

 

「落ち着け2人とも!」

「そうだ! ユッキーも

何か言ってやれよ!!」

 

ユキ氏は、いつになく冷静だった。

 

「あたしは少なくとも、

カレンちゃんが無策で

こんな事をする奴だとは思わねー。」

「……え?」

 

「答えろ朝倉。

お前の目的は何だ?

そしてそれは……『誰』の差し金だ。」

 

カレン氏は数秒沈黙し、答えた。

 

「差し金だと?

この行為はワシ自身の殺戮衝動が

体現しただけの事じゃ。

それ以外の理由などないわ…………。」

 

カレン氏……

どうしてボクを庇う真似を?

 

違う。聞いていた話と全然。

 

全てはボクの差し金だ。

 

(……止めなきゃ。

この争いも。敵の攻撃も。)

 

「――正解だ。

全てはボクの差し金だよ。」

 

「どういう事だよ……ナンジャモ。」

 

ユキ氏は、見透かしたように

口を開いた。

 

「だろうな。しかしナンジャモ。

いくら何でも『楔』の力を

過信しすぎなんじゃねぇのか。」

 

「ユッキー、さっきから

何言ってんだよ……。」

 

「月歌。お前も分かってるだろうが、

蒼井は既にBREAK状態で、

残存してる

デフレクタ総量も残り僅かだ。

そんな状態で障壁を展開しようが、

助かる可能性は殆ど無い。」

 

……そう。

 

えりか氏は

ここまで敵を追い詰める為に、

『楔』で吸収出来ない

針のような投擲攻撃を

何度もセラフで防いでいた。

 

「…………。」

 

「ならどうするか。

この場で最もデフレクタ残量に

余裕を持ち、

尚且つ『楔』の力を持った

ナンジャモ自身が攻撃を防ぐ。

これが今の『最善策』だ。

時間が無いから、多少強引な

形にはなってしまったがな。」

 

(ユキ氏、やっぱり鋭いなぁ。)

 

「じゃあ、カレンちゃんは

最初から……」

「ああ、裏切ってなんかいねぇ。

事がおさまったら

全て明かすつもりだったんだろうな。

で、どうするよ部隊長さん。」

 

説明ありがとうユキ氏。

おかげでボクも行動に集中できる。

 

「ボクがあの攻撃を楔の力で相殺する。

後でどんな罰でも

受けるつもりだから、

今だけはボクを信じて欲しい。

みんなは攻撃がおさまった後に、

すぐ反撃できるようポジショニング

してくれると助かる。」

 

「分かった。ポジショニングの

指示はあたしに任せろ。」

「宜しく頼んだよ。」

 

『来るぞ……小娘』

 

「うん。」

 

シュウィィン……ドバァァアアア!!

 

収束した赤黒いエネルギーが、

RED Crimsonから放たれる。

 

「――『超・大玉螺旋丸』ッ!

はぁぁああああっ!!」

 

衝突する蒼い巨球と、赫い光線。

高威力の圧縮エネルギーが、

互いの威力を相殺し合っている。

 

……が。

 

(……重い。想像してたより遥かに。

これが、敵の最後の底力。

気を抜いたら、腕が千切れ飛びそうだ。)

 

「……夢で見たものと、同じです。

……蒼井が見た。『蒼い星』と。」

 

ん? 誰だろう。

ボクの手の甲に手を重ねてきたのは。

 

「ナンジャモさん!

不詳私めもお供します!!」

「すもももいるにゃ。

あの時の借り、

今こそ返してやるにゃ!!」

 

(タマ氏、それにすもも氏……

下手したら

自分たちも死ぬかもしれないのに。)

 

どうしてだろう。

こんな状況なのに、嬉しくて堪らない。

そして……

 

(今は、負ける気がしない……!!)

 

「「「――はぁぁああああっっ!!」」」

 

シュゥウウウッ……。

 

……攻撃が、止んだ。 

 

大砲撃で怯んだその隙を、

ユキ氏は見逃さなかった。

 

「月歌、今だッ!!」

 

「ああ!!

――終わりにしようぜ……」

 

ルカ氏が二刀の刃で

縦横無尽に斬りつけ、

REDCrimsonに虹色の閃光を描く。

 

「……ざっとこんなもんだぜ!」

 

バリイィィィン!!

……ズドドドドォ!

 

敵の身体が散り散りに砕け散り、

瞬く間に白き柱が建った。

 

全てが、終わった。

長い長い戦いが。

 

皆が緊張を解き、休もうとする。

その空気が出来始めそうな……

そんな時だった。

 

 

「考えねぇとな……

朝倉とナンジャモの今後の対応をよォ……」

 

いちご氏の怒りは、

全く収まってなどいなかった。

 

「……考えるって、どういう意味だよ。」

 

ルカ氏も、

訳も分からず疑問を口にした。

 

「決まってんだろ!

仲間を手にかけたんだぞ!?

事情が事情だったとはいえ、

何の躊躇も無しに……!」

 

「ナンジャモやカレンちゃんが

した事は、2人だけの責任じゃねぇ……」

 

「かもな。だが問題なのは、

あの2人が目的の為なら手段を

選ばねぇ奴らって事だ。

今回の件で、それがハッキリした……。」

 

「だったら、どうするってんだ?

セラフ部隊じゃ手に余るから、

村八分にして

除隊させようって言うのかよ……」

 

「一方的に責任を放棄するつもりは

ねぇが、セラフ部隊にも顔ってモンがある。

正式な裁きにかけるのが相当だ。

2人だけ特別扱いする訳にはいかねぇ……」

 

「けれど、2人も大事な仲間だ。

一緒にここまで来れたのも、

そのおかげだろ。

ここで仲間を信じてやれねぇのは、

同じセラフ部隊としてどうなんだよ……。」

 

いちご氏が苦しい表情で応える。

 

「そいつは本心か茅森……?」

「…………」

「今でも2人は

大事な仲間の一員だって……

心から本気でそう思えんのかよ?」

 

「……やめろ…………。」

「殺されかけてんだぞ!?

蒼井をよォ!!」

 

「やめろっつてんだろぉおお!!」

 

「……茅森。お前ならあたしを

理解してくれると思ったが……

どうやら見当違いだったみてェだな。」

 

カチャッ。

 

いちご氏が、ボクに向かって

銃口を向ける。

 

「え……何してんのいちご……」

 

「まだ分かんねぇのか茅森。

お前が腑抜けてんなら、

あたしが裁くしかねぇだろ。

……見せしめだ。

今からナンジャモの指を

あたしの拳銃で詰める。」

 

バンっ!!

 

銃弾が、上の空へ飛んだ。

 

それもその筈……

えりか氏が彼女の手首を掴んで

上に向けたのだから。

 

「蒼……井?」

 

愕然としたいちご氏が

手元から拳銃を落とし、

それはかつんと

音を立てて地面に接触した。

 

と同時、えりか氏が掴んだ手を離し……

 

バッ! ……ぎゅっ!

 

抱きしめた。

 

「――ッ!?」

「いちごさん……

もう……もう良いんです。」

 

「どうしてだよッ……

どうして蒼井は、信じられんだよ……」

 

「みんなとの『確かな過去』が

在るからです。

今の出来事だって、遠い未来の中で

いちごさんと一緒に笑い話に

出来るくらい……蒼井はみんなと

楽しい思い出を創っていきたいんです。

だから……全部水に流して、

一から、

私たちをやり直してみませんか。」

 

(いちご氏が……泣いてる?)

 

「……ああ。」

 

彼女は穏やかな瞳となり、

優しく抱き返した。

 

それを祝福するかのように

日が昇り、明るくなっていく……

 

先ほどの殺伐とした

空気が嘘みたいに沈み、

今は涼しい風が吹きながらも

暖かい空気に満ちている。

 

「いやー、ユッキーもあのくらいの

アプローチはして欲しいモンだよ。

あたし……結構人気者なんだぜ?」

 

「……誰が狙ってるって言ったよ。」

 

「こりゃぁ、

戻ったら例の祝勝会だな。」

「おい、話聞けよ。

アプローチって何だよ。」

 

「蒼井っ!」

「はい。何でしょう月歌さん?」

 

「帰ったらさ。

あたしらにとびっきり美味しい

クリームソーダを

ご馳走してくれねぇか?

みんなで楽しく乾杯したいんだ。」

 

えりか氏は、

満面の笑みを浮かべ。

とても嬉しそうに、幸せそうに答えた。

 

「はいっ! 

蒼井に任せてくださいっ!」

 

 

 

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

祝5500UA突破! 
皆様ありがとうございます!

そして、ここまで付き合って下さり
誠にありがとうございました。

当初は、ヘブバン好きだし
ヘブバンベースの二次創作
なんか書きテェってなって。

何故か、ナンジャモ×
大筒木イッシキ×ヘブバンの
混沌セットを詰め込んでしまって。

大して見られないでしょ(笑)
くらいのノリでやったのに、
ここまで行けて
ホントびっくりしてます。

……ですが。
2作品を並行で更新し続けるのは、
あまりにキツいので。 

ひとまず、
『ナンジャモと
大筒木の居るセラフ部隊』は、
season1〈完〉という形で
締めさせて貰います。
(season2以降の実装は微レ存。)

――お疲れ様でした。

と言いつつ。
こちホロの方は、
まだまだ続きます。

まったりやっていくので、
今後とも
よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。