ナンジャモと大筒木の居るセラフ部隊   作:たかしクランベリー   

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3話・セラフの役割

 

━━▶︎ DAY1 5:50

 

PON! PON! Clash!

PA! PA! PA!

 

ラッパーみたいなアナウンスに、

目が覚める。

 

目が覚めて早々、

ボクは掌の菱形模様を見ていた。

 

「楔(カーマ)か……。」

 

独りでに呟いた瞬間。

アナウンスする音声が、変わった。

 

『起床時間です。起きてください。

0605までに廊下に整列して、

点呼を受けてください。』

 

「ぐがー。」

 

他のメンバーが眠た気に起床する中、

ルカ氏は呑気にイビキをかいていた。

 

「おい茅森、起きろよ。」

「揺すっても、全然起きない。」

「胸を揉んでも起きないわ。」

 

「なんでちょっとセクハラしてんだよ。」

 

「朝からどうしたんですか?」

「奇跡だ! 褒め称えよう!

その帽子凄い!」

 

「ぐがー。」

 

「どっ、どうしよユキ氏!?

ルカ氏がこのまま起きないと

罰則とかきそうだよ!?」

「そうね、どうしよう……」

 

「落ち着けナンジャモ。

あたしが今思いついた方法で多分起こせる。

但し、みんなはそれなりの覚悟がいるぞ。」

 

「ふっ、わたしは諜報員になった時から

覚悟は決まっているのよ。

凡ゆる手段をもちいようとも、

それは何の脅しにもならないわ。」 

 

「私も艦長に任命されたあの日から、

どんな苦痛にも耐える覚悟は出来ています!」

 

「そうか。じゃあ始めさせて貰うぜ。」

「え? 何が始まるの?」

 

ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!!

 

激しくも鈍重な叫びが、

突如スピーカーから大音量で流される。

鼓膜が破れそうな程の音圧だ。

 

堪らず、つかさ氏とタマ氏が

苦しみの声を漏らした。

 

「うわぁっ!!」

「耳がー!!」

 

「お前らさっきまで

散々カッコつけてた割に、貧弱すぎだろ。

情けねーわ。」

 

ルカ氏の方は、上機嫌な表情で

目を見開いて暴れ出した。

 

え、待ってこっちの方に……

 

「あっがるぅーーー!!

やほーーー!! ボドドドドゥゥー!!」

 

「ちょっ、痛たたっ!? 

なんでボクに突っ込むの!?」

 

「よし、目覚めたな。」

「なんだったの……?」

「耳がーー!」

 

「コイツの好きな音楽流して、

ハイにしてやっただけだ。」

 

「茅森さん……侮れない存在ね。」

「え? 何かあったか?」

 

「とりあえずお前がモッシュした。」

「寝てたのに出来るわけがないだろう?

馬鹿か?」

「じゃあナンジャモを見てみろ。

寝起きのあたしらが隊長に向かって

あんな事すると思うか。」

 

ルカ氏は、スッとボロボロになった

ボクを見る。

 

「お、おはよールカ氏……」

「だっ、誰にやられたんだナンジャモ!?」

「ルカ氏に……」

 

「そんな……ッ」

 

「これで分かっただろ茅森、犯人はお前だ。

これから真面目に起きる気がないのなら、

毎朝ナンジャモが傷つくが、

それでいいんだな?

お前の中にある良心ってのは、

その程度って事でいいんだよな?」

 

「うっ……それは。ごめん。」

「分かってくれればいいよ。

おかげでボクもシャキッと目が覚めたし、

そろそろ点呼行こう?」

 

 

 

━━▶︎ DAY1 6:05

 

一同でエントランスへ行くと、

士官が待ち構えていた。

 

「壁際に整列したのち、

点呼を開始してください。」

 

「いーち。」「にー。」

「さん。」「しー。」

「ごー。」「ろく。」

 

「問題ありません。なお今後、

点呼の時は隊長が最後に、

総員6名現在員6名、欠席ありません。

と言ってください。」

 

「了解です。」

 

「では自室の清掃後、0630までに

カフェテリアに集合してください。」

 

指示通り、ボクらは清掃を済ませ

カフェテリアへ向かった。

 

配膳された朝食を見るなり

不機嫌な表情を浮かべ、ルカ氏が文句を垂れる。

 

「朝食はバイキングじゃないんだな。

デザートもないじゃん。」

「朝からデザートは要らんだろ。」

「甘いものを食べたいお年頃なんだよ。」

 

「みかんあるじゃん。」

「そんな年寄りくさいもんじゃなくてさ!」

「だったらなんだよ。」

 

「ロールしてあるケーキ。」 

 

「お前ロールケーキ好きなのかよ。

まぁ、確かにあれうまいもんな。

シンプルかつクリーミーな甘味を味わえる……

朝食にはもってこいってか。」

 

デザートに期待を寄せるボクらの前に、

また士官が現れた。

 

「改めておはようございます。

念の為に、朝食後のアナウンスをしに来ました。

朝食後は、課業カリキュラム等の

ガイダンスがあります。なので食後、

自室に戻り教材等の準備を済ませたら

クラスルームに来てください。」

 

「待て、今朝は教材とか置いてなかったぞ。」

 

「我々セラフ部隊の整備員が

今準備しています。これをする理由は、

クラスルームでの課業等を円滑に行う為です。

各自教材を分配したのち、

デンタルケアを行なってから

課業に臨むようお願いします。」

 

「おい、ちょいちょい現れるお前っ。」

「私ですか?」

「お前以外誰がいる。これからも

ちょいちょい現れるなら、

名前くらい名乗っておけよ。」

 

「士官の七瀬七海と申します。」

「いい名前持ってんじゃないか。

これからは、

ななみんと呼ぶことにするよ。」

「はあ。」

 

「いってよし。」

「はい。」

 

 

 

 

━━▶︎ DAY1 8:30

 

クラスルーム内に一同が入ると、

教室で待っていた手塚氏が帽子を被り直した。

 

「揃っているようね。

まずはあなた達が立ち向かう敵ついて

知っている限りの事を教えておきます。

各自着席が済んだら、

キャンサー教本のページ1を開きなさい。」

 

言って。手塚氏はモニターの電源を入れ

キャンサーの生態図を画面に表示した。

 

「敵は宇宙という名の

体内に発生したがん細胞。

そこからキャンサーと呼ばれているわ。

東城さん、続きを読み上げなさい。」

 

「キャンサーには、

これまで人類が生み出してきた

兵器による攻撃が一切通じなかった。」

 

「東城さんストップ。

次、朝倉さん。続きを。」

 

「サンプルを採取し、現代兵器を用いて

耐久テストを行った。

凡ゆるレーザーや爆弾による攻撃を加えたが、

決して傷つくことはなかった。」

 

「次、和泉さん。」

 

「幾重にもよる攻撃実験により、

当サンプルが攻撃後、

音速以上の速さで

完全再生を行っている事が判明した。」

 

「ストップ。朗読はそこまででいいわ。

では次のスライドに映ります。」

 

手塚氏がリモコンを押し、

文字通り画面を次のスライドに変えた。

 

「研究学会の調べによると、

この仕組みについては諸説ある。

その為、教本には載ってないわ。

現段階で最も有力視されている説は、

我々人類が

感知できない高次元エネルギーを

供給されているというものよ。」

 

「ふーん。」

「ちょっとは驚けよ。そいつと戦うんだぞ?」

 

「セラフだけはその次元にまで到達し、

供給源ごと断つことのできる唯一の兵器なの。

セラフの召喚によって、

あなた達の身体能力は飛躍的に向上する。

だからあなた達は、

キャンサーと戦えるのよ。」

 

「かがくの ちからって すげー!」

「すげーのは認めるが、

序盤の町にいるデブのモブキャラ

みたいな反応するなよ……。」

 

「そしてセラフには、キャンサーに対して

供給遮断を行う攻撃以外にも機能がある。

……次のスライドに行くわ。」

 

ポチッ。

 

「その機能を我々は、

デフレクタと呼んでいるわ。

デフレクタは

キャンサーの攻撃の方向を逸らし、

ダメージを軽減または無効化してくれる。」

 

「じゃあさ司令官。

あたしらってただ突撃して

キャンサーを倒せばいいの。」

 

「残念ね茅森さん。

それ程セラフは無敵じゃないの。

デフレクタは

一定量のダメージを受けると消失する。

その状態で継戦すれば、

生身で被弾する事になる。」

 

「つまりは、甲冑と面無しで

剣道をしているようなものね。

とても危険だわ。」

「なんでこういう時だけ

呑み込み早いんだよ諜報員。」

 

「そんな……」

 

「これは紛れもない事実よ。

デフレクタが消失したら、即退避。

厳命なので、よく守りなさい。」

 

「それさえ守りゃ

バンバン薙ぎ倒していいって事か。

よしナンジャモ、

あたしらでやっちまおうぜ!」

 

「いいえ。繰り返すようだけど、

セラフは無敵の兵器じゃない。

1日に使えるデフレクタ量は限られている。

闇雲にデフレクタを消耗すれば、

最悪死に至るケースもあるわ。」

 

「どゆこと?」

 

「では、次のスライドに映るわ。」

 

ポチッ。

 

次に映る画面は、凄く痛々しい画だった。

 

「休まずセラフを使い続けていると、

鼻血が出ます。

それはとても危険であるというサインです。

鼻血を確認したら、

即座に安全圏まで撤退しなさい。

一晩休めば回復します。」

 

「要するに、戦場では

臨機応変に対応しなさいって事ね。」

 

得意気につかさ氏は言った。

 

「東城さんの言う通り、

一言に纏めるならそんな感じよ。

さて、いい時間になったわね。

一旦、休憩時間を10分程設けるから、

次の座学に備えなさい。

私からは以上。解散。」

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

久々にゲームセンターの筐体で
遊んでみましたが、中々思うように勝てません。
以上です。

ではまた明日も、よろしくお願いします。

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