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LOG No01
U.C.0087.xx.xx
Confeito near sea space_
レッドアラート!
「ブリッジより各所へ、所属不明艦よりモビルスーツと思われる熱源が発射された。これより本艦は第一種戦闘配置へと移行する。繰り返す、ブリッジより各所へ――」
けたたましいサイレンの音と共に聞こえる放送を耳にしながら、部下であるパイロット二人にモビルスーツへ搭乗するよう命じた。
自分もモビルスーツへと乗り込み、いくつかの手順をスキップしながら、素早く機体を立ち上げる。
「ラット1よりラット小隊へ、これより所属不明のモビルスーツに対し臨検を行う。フォーメイションはアロー。あちらさんと違ってこっちは正規軍なんだ。エゥーゴと分かるまでは撃つなよ」
『ラット2、ラジャー』
『ラット3、りょーかいです』
立ち上げた機体を操縦し、ドッグに設置されたエレベーターまで移動させる。
『ブリッジよりラット小隊、所属不明のサラミス二隻より発射された熱源は6つ。内2つが高速で本艦へ接近中。ただちに出撃し、これを臨検。敵であるなら排除せよ』
「ラット1、了解」
機体をエレベーターに乗せると、格納庫からカタパルトのある外へと上がっていく。
辺りに広がる星々の先に敵がいるのだと思えば、鼓動は高鳴り始めた。
機体の両足をカタパルトへと乗せる。固定した振動がリニアシートまで伝わると、ライト・ディスプレイの表示が、OKに切り替わった。
『進路クリア。ラット1、発進どうぞ』
「了解。ラット1、バーザム改。出撃する!」
スラスターペダルを強く踏み込みながらスティックを前に倒すと、抗力で身体が座席に押しつけられる。
星々が後ろへと流れていく風景が映し出されるメイン・ディスプレイから目を外し、レフト・ディスプレイで味方の状況を確認する。
ちょうどラット2と3のバーザムが、母艦であるシカゴを離れたところのようで、随伴艦であるハーマンからもマウス小隊のジムⅡが出撃しようとしているところだ。
左コンソールのサブ・ディスプレイに表示される、データリンク・モニターへ目をやると、所属不明艦より発射された熱源の内ふたつが、凄まじいスピードで近づいてきていた。
『ブリッジよりマウス1、熱源はモビルスーツと判明。機種はネモ・タイプ。先頭の二機は――した、高機動型の――』
突然、通信にノイズが走り、データリンクも切断された。
おそらくミノフスキー粒子が散布されたのだろうが、それでもこちらから撃つことはできない。
ミノフスキー粒子散布下とは言え、全く通信できないと言うわけでは無いからだ。
通信が可能である以上、臨検を行わなければならない。
「エゥーゴめ……」
規則ではあるが、腹は立つ。不満をこぼしながらも直進していると、モニターの望遠モードで、光点を二つ捉えた。
「接近中の機体、ただちに停止せよ。こちらは連邦軍ティターンズ所属シカゴ――」
臨検の旨を伝えようとした矢先、二つの光点は交差するような形で左右へと展開した。モニターを望遠モードへと切り替えて、光点を拡大表示させる。
「CG補正」
音声操作を行うと、ぼやけていた敵の姿が鮮明になった。
片方はビームライフル、もう片方はショートバレルのバズーカを装備している。
しかし、そんなことよりも気になるのは――。
「このバインダーは……!」
ジャブロー降下の時にいた、金色のモビルスーツ。忘れもしない、あの化け物と同じ形のバインダーだ。それをネモが装備している。高機動カスタマイズと言うことか。
「貴機はコンペイトウ宙域を侵犯している。速やかに停止し、所属を明らかにせよ。繰り返す――!」
左右へと展開した敵機は応答の代わりとして、こちらへビームライフルを向けてきた。しかし、まだだ。まだ撃ってはいけない。
あの演説以来、ティターンズに向けられる世間の目は冷たい物になっている。これ以上、エゥーゴにティターンズ叩きの餌を与えるわけにはいかないのだ。
「銃を下ろし、ただちに停止せよ。これは最後通告である!」
射程ぎりぎりの距離まで接近すると、ついに敵がビームを撃ってきた!
敵の指がトリガーに掛かる瞬間に、機体を各部のスラスターを噴かせて、思いっきり急降下させる。
銃口から放たれた黄色い閃光が、戦闘開始の号令を告げた。
「了解した。我々は貴機らを排除する」
見上げるような状態で左右の敵にビームを一発ずつ撃ったが、あっさりと回避されてしまった。
排除すると宣言したはいいが、手練れのネモを二機同時に相手するのは難しい。しかも、
ここは素直にラット2、3の援護を待つのが最良だろう。
「ラット1、
連中も逃がす気はないようで、こちらへと向かってきている。
黄色いビームとバズーカの弾が、後ろから飛んできた。どの射撃も狙いは正確で、一歩間違えれば死ぬと言う緊張に冷や汗が頬を伝った。
「有効射程圏外でよくやる!」
左、右上、右下、左上。細かく不規則に軌道を変えながら、ひたすら逃げる。だが、敵を示す二つの赤い光点と、自分を示す緑の光点の距離は、どんどん狭まっている。
ビームライフルの予測射程内に入ろうとしたその瞬間、赤の光点はピタリと動きを止めた。
『ぎりぎりでしたね、ラット1』
ノイズ混じりに聞こえる声はラット3の声だ。レーダーに表示された、二つの青い光点。友軍のシグナルを確認したことで、自機を再び旋回させる。
「ラット1、
引き返そうと動き始めた右の高機動型ネモに、ビームライフルを放つ。
もう一機の高機動型ネモと合流しようと動く間にラット3が割って入った。
左に展開していた敵機をラット2と3が攻撃しているのを横目にしながら、目の前の敵と距離を詰める。
放ったビームを躱され、反撃で放たれたビームを躱す。互いにライフルの銃口を向け合ったまま、左手でサーベルを抜く。
至近距離で放ったビームを目眩ましに、本命のサーベルを叩きつけた。
しかし、敵のサーベルに阻まれる。
「やはり手練れか!」
互いのサーベルが干渉したまま、回り込むようにバーニアを噴かす。
月とソロモンの間でサーベルを弾きあい、ライフルを構える余裕もなく、再びつばぜり合う。
幾度かサーベルを交えていると、レーダー上に赤いシグナルが二つ増えた。
後続のマウス小隊が到着するまで、まだ数分掛かる。
今のままつばぜり合いを続ける余裕が無いと決めると、小指と薬指のファンクションスイッチを押しながら、トリガーを引く。
すると切り掛かってきた高機動型ネモに、バーザム改が蹴りを入れた!
よろめいた高機動型ネモを両断しようとした時、敵の増援――ネモが放ったビームが、バーザム改の正面を抜けた。
現れた通常のネモは二手に分かれ、ラット2とラット3が押さえていた高機動型ネモの救援にも入ったようだった。
数の不利はそう簡単に覆るものではない。
ジムⅡ小隊が到着するまで、防戦を行いつつ後退するべきだと判断するのが妥当だろう。
「ラット1よりラット小隊。
『ラット2、了解』
『ラット3、了解』
さすがに余裕がなくなってきたのか、お調子者のラット3の返事が短い。
放たれるビームを躱しながら、サーベルの刀身を縮めてシールド裏に隠し、逆手へと持ち直す。
高機動型ネモのリロードをカバーするように、ネモが立ち塞がってきた。
「そこだッ!」
飛び出してきたネモにビームを放つ。
シールドに守られていない脚部にビームが命中すると、ネモは一瞬バランスを崩した。
好機を逃がす筈がない。
頭部バルカンポッドを撃ってやると、慌てたネモがビームライフルを乱射し始める。
「うろたえ弾なぞに!」
放たれたビームをシールドで弾きながら距離を詰めて、サーベルの刀身を再び伸ばす。シールド裏から伸びたビームサーベルは、ネモの胴体からバックパックを両断した。
『たす、け……たいちょ……っ!』
混線した無線から聞こえる悲鳴を無視し、リロードを終えたばかりの高機動型ネモへと突っ込む。
「これで三対三だなァ!」
不要になったバルカンポッドをパージして機体を軽くすると、高機動型ネモへ接近しながらライフルを放つ。
しかし、高機動型ネモは後退し始めた。
「引いていくのか!?」
レーダーを見れば、ジムⅡのマウス小隊が戦闘宙域に入っていて、交戦を始めている。他の敵機も撤退を開始しているようだった。
『ラット2からラット1。敵が引いていきます、追撃しますか?』
逃がしてやる理由はない。
「奴らは地球圏を汚すスペースノイドであり、我ら連邦に反旗を翻したテロリストだ。速やかに奴らを――」
言いかけたところで、
『ブリッジよりラット小隊、緊急連絡。コンペイトウ内部でクーデターが発生した模様。戦闘の状況はどうか?』
サラミスたった二隻でコンペイトウに来たのはそういう事か。
「ラット1よりブリッジ。敵モビルスーツ一機を撃破。残り三機体は撤退、二機は後方で罠を貼っているものと思われる。陽動に付き合う必要は無いと判断。これより帰還する」
後方に待機していたのは、恐らくデータ収集用の偵察型辺りだろう。
あの高機動型ネモ。所属はエゥーゴだが、生産しているのはアナハイムだ。
「奴ら、次期主力量産機のデータ収集でも始めたか」
死の商人共が戦後を見据えていることに、強い憤りを感じる。
『ラット1、なにか?』
「いや、なんでもない。ラット小隊、
――ラット小隊はクーデター部隊を鎮圧。その他多くの部隊によって、コンペイトウのクーデターは阻止された。
それから三年が経った、UC0090。
彼らの母艦であったシカゴとハーマンは、コンペイトウ近海宙域轟沈したと記録されている。
Sugar&Rat fin.