灼焔の呪術師   作:辛味噌の人

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メインの小説を書かずに別のを書く作者の屑


炎の天才

 

 

 燃える、燃える、燃える。

 

 赫々とした炎が燃える。昏い帷の内で、真っ赤な炎がめらめらと輝く。

 その炎が照らし出すのは、無惨にも焼却され灰となった残骸の群れと、その中心に立つ男。

 

 

 「ク、クハハ、クハハハハハ!アーッハッハッハ!」

 

 

 男は笑う、嗤う。狂ったように笑う。屍の山の上で笑う。

 まさしくこの世の地獄、その顕現。地獄の業火に包まれる中、ただ男の狂気の雄叫びだけが響き渡っていた──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アーッハッハッハ!!よっしゃこれで俺も1級術師じゃあっ!2級呪霊の群れと1級呪霊複数体がなんぼのもんじゃい!あっもしもし五条センセ!?聞こえてますかー!?任務終わりましたよーっ!いやっホーイ!!」

 

 『えっなにそのテンション、怖いんだけど』

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 俺が呪術というものにふれたのはちょうど物心ついたくらいの頃だったと記憶している。ようやっと言葉が話せるようになった俺が、時々視界に映る気持ち悪いナニカ──呪霊について父親に尋ねたとき、父親がとんでもなく驚いていたのはぼんやりとだが覚えている。

 

 これは後から知ったことなのだが、俺の祖父はそれなりに腕のある呪術師だったらしく、現役の頃はかなり有名だったらしい。しかし一人息子だった父親は呪術の才能がこれっぽっちもなく、呪術師として生きるのを諦めて一般人の母親と結婚したのだとか。

 呪術師の息子にも関わらず呪霊もろくに見れない才能なしの自分と正真正銘一般人の嫁から生まれてきた息子が呪霊が見えていると知った時の父親の驚きは推してしるべしと言ったところか。実際、俺の上には姉が2人いるのだが、どちらも呪術師としての才能はカケラもなかったらしい。

 

 

 それからというものの、俺は祖父に引き取られ、呪術の才能を磨く日々が始まったのだった。父親は猛反対したらしいが、祖父が俺を一人前の呪術師にすると言って聞かなかったらしく、無理矢理連れて行ったそうな。とんでもない人でなしである。その結果として、俺のそれ以降に家族と会った回数は両手の指で数えられる程度しかない。

 

 そんなわけで俺は家族というものにとんと縁がなかった。唯一長い付き合いのハゲジジイは祖父というより師匠の面が強かったので家族カウントはしていない。というかしたくない。

 

 まあそんな生活も半年ほど前、正月早々だってのにも関わらずハゲジジイがあっさりくたばったことで終わったのだが。

 てっきり父親が引き取りに来るものだと思っていたが、俺を引き取りに来たのは謎の白髪目隠し男──五条悟だった。

 

 「やあはじめまして。君が茜屋 刃(あかねやじん)くんでいいかな?」

 

 俺が五条センセと初めて会った時の印象は「なんだこいつ性格悪そう」というなんともアレなものであったが、事実でもあった。今となっては第二の師匠として慕ってこそいるものの、俺の中での評価はこの日から一度たりとも変わっていない。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 「おっかえり〜、どうだった?1級昇格試験兼ねた任務」

 

 「楽勝……とまではいかなかったけど余裕持っていけましたよ。今更1級呪霊複数に苦戦するわけにもいきませんし」

 

 「それは良かった。……ところであの電話の時の謎のテンションなんだったの?やたらとテンション高かったけど」

 

 「そこは突っ込まないでくださいよ。若気の至りは見逃すのが大人ってもんでしょう」

 

 任務を終えて帰投した俺を待っていたのは、五条センセの労いとからかいだった。

 いやあの異様なハイテンションは熱やら興奮やらにやられたせいで一時的に頭がおかしくなっていたのだと思う。できることなら忘れてもらいたいものだが、この性悪男にはそれは望めないだろう。

 

 

 「刃、任務お疲れ。一級昇格おめでとう……俺も早く追い付かないとな….」

 

 「おっ伏黒じゃん、おっすおっす……どっか任務でもいくのか?」

 

 「ああ、ちょっと仙台にな」

 

 ちょうど声をかけてきたのは現状では俺含め2人しかいない呪術高専一年のもうひとり、伏黒恵だった。なにやら物々しい雰囲気で、遠出の任務にでもいくのかと思ったが、俺の予想は当たっていたようだ。

 

 「へー、何しにいくの?結構重要な任務っぽいけども」

 

 「ああ、特級呪物『両面宿儺の指』の回収だ」

 

 両面宿儺と聞けば呪術界で知らないヤツはモグリだと言われる程の超大物、その指の回収とあってはいくら呪物化して周囲に害は及ぼさないといえども二級術師である伏黒が行くのは妥当と言ったところか。……まあ、それはそれとして。

 

 「へ〜、そうなんだ。……ちょっと面白そうだな。五条センセ、俺もついて行っていいスか?」

 

 「アッハハ、相変わらず好奇心強いねえ。いいよ……って言ってあげたいところだけどダメだよ、任務の報告はちゃんとしないと。一級昇格とり下げられちゃう」

 

 「ちぇー、仕方ないっスね」

 

 実物は俺も見たことがなかったので同行させてもらおうと思ったものの、あえなく却下されてしまった。まあ俺もせっかく掴み取った昇格チャンスをふいにするのは流石に憚られるので、大人しく引き下がっておくが。

 

 「そんじゃあまあ俺は報告行ってきますわ。センセはまた後で、伏黒も気張っていけよ」

 

 「んなこと言われなくてもわかってる」

 

 そうして俺は踵を返し任務報告へと向かった。胸中に残る謎のモヤモヤが消えないままに。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 「呪術師になってから半年で1級昇格……やっぱ天才ですよあいつ」

 

 「まあそれ以前から活動してたのを差し引いても天才だと思うよ、僕ほどじゃないけど。それにそれは恵だって同じことでしょ?あんま気にせず任務頑張っていこう!」

 

 「……はい」

 

 

 

 

 「あっお土産もらってなかった、後でもらいに行こう」

 

 「色々台無しですよ」

 

 




五条と伏黒のエミュむずすぎんだろ!
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