灼焔の呪術師   作:辛味噌の人

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呪胎戴天

 

 

 「あー1級術師って忙しいなあ!」

 

 廃ビルの一件からしばらく経って、俺は凄まじく忙しい毎日を送っていた。西へ東へ飛び回り、多種多様な任務をこなす日々。準1級であった時と比べて倍以上の任務には流石にストレスも溜まる。五条センセはさらに忙しい日々を送っていると考えると尊敬の念も湧く。

 

 幸いというべきか、今のところ任務の数はともかく質は昇格前と大差ない。おそらく新米であるが故にある程度配慮してもらっているのだろう、ありがたいことだ。まあ、大したことのない任務ばかりで術式を使うことすらほぼないのは少々退屈であるが。 

 

 

 とまあ2級呪霊の大群と準1級呪霊二体を祓い、高専に戻った俺を待っていたのは。

 

 

 

 

 「──は?特級案件?」

 

 ──最悪の報せであった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 「はあ!?なんであいつらが特級案件なんざ行ってんだよ!?」

 

 「お、落ち着いてください茜屋さん」

 

 補助監督をとっ捕まえて事情を聞いたところ、1級以上の術師は皆出払っていて、動けるのが虎杖伏黒釘崎しかいなかったそうな。

 

 「せめて俺が帰投するまで待てば良かったのに……!おい!俺を現場に連れて行ってくれ!」

 

 「に、任務の終了報告は」

 

 「んなもん後でいい!早くしてくれ!」

 

 (頼む……間に合ってくれ……!)

 

 補助監督に無理を言って車を出させている間、俺はひたすらに三人の無事を願うのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 「伏黒!釘崎!」

 

 「茜屋!?なんでここに……」

 

 現場の少年院に到着した俺を待っていたのは、負傷し伊知地さんの車に乗せられた釘崎と、無事な伏黒だった。

 

 「良かった2人は無事だったか……虎杖は?」

 

 だが残り1人の虎杖がいない。伊知地さんを帰らせてから伏黒に聞くと、虎杖は宿儺を出すと言って時間稼ぎに中に残ったらしい。

 

 (あの馬鹿……!)

 

 虎杖は確かに強いが特級相手は厳しいどころの話ではない。救出に向かおうとした瞬間、領域が消えた。

 

 「生得領域が消えた!特級が死んだんだ」

 

 伏黒の言葉から考えるに、虎杖が宿儺に代わって特級呪霊を殺したと言うことなのだろうが……何か嫌な予感がする。

 

 「ッッッッ!!」

 

 瞬間、俺の背筋に凄まじいまでの悪寒が走る。本能に従い振り向いた先には……

 

 

 

 「虎杖(ヤツ)なら戻らんぞ」

 

 「両面……宿儺……!」

 

 体に紋様を浮かび上がらせ、髪を逆立てた虎杖……両面宿儺がいた。

 声を出したのに反応して伏黒も遅ればせながら振り向き、構える。

 

 濃密な死の気配。長いこと呪霊やらなんやらを相手にしてきたが、ここまで明確な「死」を感じたのは()()()()以来だ。

 

 「そう怯えるな今は機嫌がいい。少し話そう」

 

 俺と伏黒が動きかねていると、両面宿儺が語り出した。

 

 「何の縛りもなく俺を利用したツケだな。俺と代わるのに少々手こずっているようだ」

 

 「しかしまあそれも時間の問題だろ。そこで俺にできることを考えた」

 

 そういうと両面宿儺はおもむろに服を破り捨て──

 

 「虎杖(こぞう)を人質にとる」

 

 虎杖の心臓を、抉り出した。

 

 (クソッタレ!これで虎杖と俺たちのどちらかの死亡が確定した!悪辣な野郎……!)

 

 「俺は心臓(コレ)なしでも生きていられるがな、虎杖(こぞう)はそうもいかん」

 

 「俺と代わることは死を意味する。更に──駄目押しだ」

 

 そういうと宿儺は指を取り出し、飲み込んだ。おそらく殺してきた特級呪霊が取り込んでいたものだろう。感じる圧がさらに高まったような気がする。これで俺たちの生存はさらに絶望的になったと言っていいだろう。

 

 「さてと、晴れて自由の身だ。もう怯えていいぞ」

 

 「殺す、特に理由はない」

 

 「……あの時と、立場が逆転したな」

 

 伏黒の呟きの意味は、俺には理解できなかった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 「虎杖は戻ってくるその結果自分が死んでもな。あいつはそういうやつだ」

 

 「買い被りすぎだな。こいつは他の人間より多少頑丈で()()だけだ。先刻も今際の際で脅えに脅え、ごちゃごちゃと御託を並べていたぞ」

 

 伏黒と宿儺が会話している間、俺は考えをまとめていた。俺たちが唯一完全勝利できるルートは、宿儺に虎杖の心臓を治させること。そのためには少なくとも心臓なしでは勝てないと思わせる必要がある。

 

 (できるのか?いくら不完全とはいえ呪いの王相手に?)

 

 いいや、できるできないの話ではない。

 

 (やるんだよ!)

 

 「合わせろ伏黒!」

 

 術式解放 柳炎煌火(りゅうえんこうか)

 

 「ほう、炎か」

 

 術式の開示はしない。今必要なのは火力ではなく意外性だ。

 

 「シッ!」

 

 拳に炎を纏わせ、伏黒と共に近接格闘を仕掛ける。伏黒が掴みかかった隙に一撃入れるものの、大したダメージにはなっていないようだ。

 そうしているうちに伏黒が吹き飛ばされたので俺も一旦距離をとる。瞬間地面に展開された伏黒の影から大蛇が飛び出し、宿儺を拘束する。

 

 「構うな茜屋!大蛇ごとやれ!」

 

 十種影法術は一度破壊された式神は再生できない。故に俺は大蛇ごと攻撃するのを躊躇ったのだが、伏黒当人が言うならば遠慮はいらない。

 

 「了解!」

 

 灼焔赫砲(シャクエンカクホウ)

 

 両の手を合わせた間から、超高温の火炎砲をぶっ放す。その火炎は宿儺を拘束している大蛇ごと飲み込んだ。しかし──

 

 「ッ、伏黒!後ろだっ!」

 

 「んなっ」

 

 「火力はなかなかだが……足りんな」

 

 宿儺は瞬間的に伏黒の背後に回り込んでいた。ところどころ黒く焦げているが、大したダメージにはなっていなさそうだ。

 宿儺はそのまま伏黒を引っ掴むと放り投げ、追撃に跳んだ。

 

 「くそッ、伏黒!」

 

 1人取り残された俺は、呪力強化全開で後を追うのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 「あー悪い、そろそろだわ」

 

 「伏黒も茜屋も釘崎も、五条先生……は心配いらねえか」

 

 「長生きしろよ」

 

 

 

 

 

 

 「……クソッタレ」

 

 




初の本格戦闘が負けイベのオリ主がいるらしい
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