灼焔の呪術師   作:辛味噌の人

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むずいよーエミュむずいよー


雨上がり、涼しい夏

 

 

 「長生きしろよって……自分が死んでりゃ世話ないわよ」

 

 「同感だ。カッコつけやがってあの野郎」

 

 少年院での一件の後、呪術高専にて。全快した伏黒と釘崎と共に、俺は反省会のようなものを開いていた。

 

 「……アンタ達仲間が死ぬの初めて?」

 

 「同級生(タメ)は初めてだ」

 

 「同じく」

 

 呪術師をやっている以上犠牲には慣れっこだが、同い年の奴が死ぬのは初めてで流石に堪える。

 

 「その割に平気そうね」

 

 「死ぬときは死ぬ。覚悟なんざとうに決まってるからな」

 

 「ああ……というか、お前もな」

 

 「出会って2週間の男が死んで泣き喚くほどチョロい女じゃないのよ」

 

 釘崎はそう言うが、強がりが入っていることくらい俺にもわかる。というか15で完全に割り切れるやつがいたらぜひお目にかかりたいものだ。

 

 「暑いな」

 

 「そうね、夏服はまだかしら」

 

 「いやいやむしろ涼しいくらいだろ」

 

 「「えっ」」

 

 「えっ」

 

 

 …………

 

 

 「おいおいお前がそんな面してるなんて珍しいな刃。お通夜かよ」

 

 「真希パイセン」

 

 しばらく黙り込んでいた俺に声をかけてきたのは2年の禪院真希パイセン。俺が一番仲良くしている先輩で、よく一緒に特訓をしたりしている。真希パイセンは等級でいえば4級術師だが、それは実家がらみの云々のせいで、実際の実力は2級〜準1級クラスはあると俺は思っている。おそらくそう的外れでもないはずだ。

 

 「なんだ?なんか悩みでもあるならとりあえず一発闘「真希!真希!」

 

 心配の仕方がだいぶ脳筋な感じの真希パイセンの発言を遮ったのは──

 

 「マジで死んでるんですよ、昨日!1年坊がひとり!」

 

 「おかか!」

 

 パンダパイセンと狗巻パイセンだった。なんか木の幹に隠れてるけどなぜ……?

 

 「早く言えや!これじゃ血も涙もねえ鬼みたいだろ!」

 

 「実際そんな感じだぞ!?」

 

 「ツナマヨ」

 

 そのまま漫才みたいなやりとりを始めるパイセンたちに思わず笑みがこぼれる俺。なんだかパイセンたちに救われたような気がする、気のせいかもしれんが。

 

 「何あの人(?)たち」

 

 「2年の先輩」

 

 「呪具の扱いなら学生一の真希パイセン、語彙がおにぎりの具しかない呪言師の狗巻パイセン、パンダのパンダパイセン」

 

 「あとひとり乙骨先輩って唯一手放しで尊敬できる先輩がいるんだが」

 

 「乙骨パイセンいま海外にいるんだよなあ……」

 

 「アンタらパンダをパンダで済ませるつもりか」

 

 いやだってパンダパイセンはパンダとしか言いようがないし、ねえ?

 釘崎にパイセン方を紹介しているうちに漫才が終わったのか、パイセンたちがこっちにくる。そしてパンダパイセンが手を合わせて謝りながらも提案を寄越してきた。

 

 「いやーすまんな、喪中に。だがお前たちに『京都姉妹校交流会』に出てほしくてな」

 

 「毎年恒例の京都にある姉妹校との交流会なんだが……」

 

 「でも2・3年メインのイベントですよね?」

 

 だから俺たちの出番はないと踏んでいたんだが……

 

 「その3年のボンクラが停学中なんだ。人数が足んねえ、オマエら出ろ」

 

 「2日間かけて行われる団体戦と個人戦なんだ」

 

 真希パイセンとパンダパイセンの説明に釘崎は驚いて、呪術師同士で戦うのかと尋ねる。まあ田舎だとそもそも術師が少ないだろうしそういうこともないだろうし、戸惑うのも無理はない。だがこれは殺し以外なんでもありの楽しい楽しい呪術合戦だ

 

 「まあそんなわけでお前たちがうっかり殺されないようにミッチリしごいてやろうってわけだぜ」

 

 「ちょうど忙しい時期も終わるしな、刃の予定も空くだろうよ」

 

 おおっようやくまとまった休みがもらえるのか!ここ最近働き詰めで休みのやの字もなかったからありがたい限りだ。

 

 「1級術師ってのは忙しくてなあ……」

 

 「「イヤミか」」

 

 事実だよ。

 

 「で、やるだろ?」

 

 「仲間が死んでんだもんな」

 

 ……ああそうだ。俺はもっと強くならなきゃいけない。あの場で一番戦えたのは俺だ。俺がもっと強けりゃ宿儺をどうにかして虎杖を治療させることだってできたかもしれない。

 

 「「「やる」」」

 

 ──己の無力を思い知るのは、一度で十分だ。

 

 「いいねえ、そんくらい生意気な方がやりがいあるってもんだ、なあ?」

 

 「おかか」

 

 そうして俺たちは、それぞれの決意を胸に、強くなることを誓うのだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 「さて、なんかいい感じに決意してもらったところ悪いが……一つ問題がある」

 

 「なんですか一体」

 

 せっかくいい雰囲気だったのに水を差してくるのはパンダパイセン。問題と言われても特に心当たりはないのだが、伏黒や釘崎がなんかやったのだろうか。

 

 「なんか知らん顔してるけどお前のことだぜ、刃」

 

 えっ俺!?おかしいな何も悪いことなんか、悪いことなんか……してないはずだが。

 

 「いやさあ、強くなるのは結構なことなんだけどもさ、現状今一番強いのお前なんだよね」

 

 「しゃけしゃけ」

 

 「あっ」

 

 言われてみればそうだった。なんか流れでパイセンたちにしごいてもらうつもりであったが、俺より強いの2年だと乙骨パイセンしかいないんだったわ。

 

 「えっなにアンタそんな強かったの」

 

 「1級なめんなって話だよ。しかしどうすっかなあ、五条センセも暇じゃないだろうし、他の1級の人たちは忙しいだろうし……どうしたもんかね」

 

 真希パイセンと近接格闘の特訓でもするか?いやしかし近接格闘でも大体互角だから教えられることないだろうしなあ……あっそうだ。

 

 「じゃあ俺はこっちで勝手にやることにしますよ」

 

 「そりゃあいいけどよ、何すんだ?」

 

 いやなに、あのハゲジジイの遺産に頼る時がついにきたと言う話だ。癪なことこの上ないが、使えるものは全て使って強くなると決めたからな。

 

 「地獄の山籠りですよ。死にかけてでも強くなってきます」

 

 「へえ、面白そうじゃん。私も混ぜてくれよ」

 

 えっ真希パイセンも!?

 

 




次回、真希さんとのドキドキ()夏合宿!ポロリもあるよ!
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