灼焔の呪術師   作:辛味噌の人

8 / 12
お気に入り500突破アンドUA20000突破ありがとうございます

オリジナル回って難しいね……


幼魚と逆罰【裏】

 

 

 「はあ、特級任務ですか」

 

 始まりは、俺の間の抜けた声からだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 「廃病院で確認された推定特級仮想怨霊及び多数の1級呪霊の殲滅、ですか」

 

 『そうそう、1級術師複数人であたるような任務なんだけどね、ほとんどの1級術師が出払ってるんだよね〜』

 

 「で、俺にお鉢が回ってきたと」

 

 『そゆこと〜』

 

 出張中の五条センセからの電話に出た俺は、またなんか厄介ごとに巻き込まれたと言うことを即座に理解した。

 

 「で、なんで任務の話が五条センセからくるんです?」

 

 『ほんとはねー、僕が行ってパパパッと終わらせてくる予定だったんだけどねー。出張してる間に成長しちゃうかもってことだったから誰かに行ってもらわなきゃいけなくなっちゃったんだよね』

 

 それで俺にお鉢が回ってきたということか……特級と1級の群れねえ……勝てないことはないだろうが、厳しいことになりそうだ。だがまあ、それもいい経験か。

 

 「わかりましたよ、承ります。なんか注意事項とかあります?」

 

 『特にないよ。気をつけてねー、お土産買ってくるからねー」

 

 あっ一方的に切られた。

 

 ……

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 「と、いうわけでして。誰か同行してくれます?1人か2人。流石に1人じゃ手に余るんで」

 

 その後高専へ出た俺は、皆に相談を持ちかけていた。1級術師複数で当たるような任務に俺1人というのはいささか厳しいものがある。

 そういうわけで皆に話を持ちかけたのだが……

 

 「すまん俺ら任務ある」

 

 「しゃけしゃけ」

 

 「あっ私も」

 

 と、いうわけでパンダパイセンと狗巻パイセンに釘崎は任務があるとのことで無理だった。まあ他2人はともかく釘崎に関しては特級案件に行くには実力不足なのでちょうど良かったが。しかし狗巻パイセンには同行して欲しかったなあ……

 

 「じゃあ真希パイセンお願いしていいですかね」

 

 「おう任せろ、こいつの試し斬りにもなるしな」

 

 俺が以前譲渡した無銘の刀を見せながら快く引き受けてくれた真希パイセン。ありがたやありがたや……

 

 「……俺も同行していいか」

 

 そこに声をかけてくるのは伏黒。ううん、伏黒か。実力不足気味ではあるが……

 

 「一応言うが、命の保障はできんぞ?」

 

 「何を今更」

 

 それもそうか。

 

 「じゃあこの3人で行こう。準備して1時間後に出発な」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 そして到着しました○○県××市にある廃病院。

 

 「いるな」

 

 到着と同時にかなりヤバめの気配を感じる。危険なので補助監督さんには帳だけ張ってもらってとっとと離れてもらった。

 

 「玉犬」

 

 伏黒の召喚した玉犬が先行して索敵を行う。それについていきながら、俺たちは今回の任務の確認を始めた。

 

 「今回の任務の内容は特級呪霊一体と多数の1級呪霊及び2級呪霊の殲滅だ。各個撃破されるのを防ぐためにまとまって行動すること、特級とやり合う時は無理せず場合によっては撤退すること。OK?」

 

 「おう」

 

 「了解」

 

 安全確認を行ってから廃病院へと入っていく俺たち。中は特級の生得領域になっているものとばかり思っていたが、いざ入ってみれば普通の廃病院のままであることに少々驚かされる。

 

 「お出ましだぜ」

 

 真希パイセンの声にそちらを振り向けば、2級呪霊と思しき芋虫人間のような呪霊が3体こちらへ向かってきていた。きっしょ。

 

 「ここは俺が……」

 

 そう言って指を組み式神を呼び出そうとする伏黒だったが……

 

 「シッ!」

 

 いきなり突貫した真希パイセンが手にした刀でずんばらりんと3体まとめて両断してしまった。かっこよ……

 

 「いいなこれ、気に入った」

 

 「……」

 

 「ドンマイ伏黒」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 まあそんなこんなで最初は順調だったものの、次第に暗雲が立ち込めていくこととなる。

 

 「おい恵!これで何体目だ!?」

 

 「1級2級合わせて40超えてます、それに1級の比率が上がってる……!」

 

 探索を進めれば進めるほど呪霊がわんさか湧いてくるのだ。事前調査によると1級が6、7体に2級が20体弱とのことだったはずだが……。

 

 「わんさか出てきやがってクソァ!」

 

 1級呪霊を炎で吹き飛ばしつつ、悪態をつく俺。1級呪霊の強さも上がってきており、最初の方はカスみたいな術式のやつしかいなかったものの、だんだんと厄介な術式持ちのやつが増えてきたので見つけ次第俺が瞬殺するようにしている。ちなみに今のやつは腐食系の術式持ちだった。

 

 「伏黒!余裕あるか!?」

 

 「まだいけるが長くは持たない!」

 

 ……これ以上長期戦になるのは避けたい。撤退するのにも体力を使うのを考えると、一度ここらで退いて作戦を練り直したほうが……

 

 「ッ──!禪院先輩!茜屋!」

 

 伏黒の声にそちらを向くと、そこにはボロボロになった玉犬を回収する伏黒。そして、

 

 

 ずるり、ずるり

 

 

 「ジュジュツシ、カ」

 

 

 「特級、呪霊──!」

 

 まずい、いやしかし不幸中の幸いだ。多少の消耗はあるとはいえ、こちらはまだまだ十分に余力を残している。それにこの呪霊は感じからして特級の中では大したことのない部類に入りそうだ。多分スペックならこないだの熊の方が高いだろう。

 

 「伏黒は後方支援!パイセン合わせてください!短期決戦で──」

 

 しかしまあ、現実はそううまくはいかないもので。

 

 「ジュジュツシ、コロス……」

 

 ずろおぉ……

 

 「んなっ」

 

 こちらが攻めようとした瞬間、ハエと芋虫と人間が混ざったような姿の特級呪霊は、その醜悪な口を開くと……。

 

 「呪霊を、吐き出しただと!?」

 

 口の中から1級と思しき呪霊を吐き出したのだ。おそらく謎の呪霊大量発生はこれが原因だろう。これがこいつの術式か。

 

 「マジでさっさと決めないとマズいぞ!」

 

 1級呪霊を前に一旦退く真希パイセン。迂闊に突っ込んでいい相手ではない……が。

 

 ずろぉ……ずろぉ……ずろぉ……

 

 そうこうしている間にも凄まじい勢いで増えていく呪霊。そいつらの術式と思しき炎やら氷やらも飛んできて、だんだんと追い詰められていく俺たち。

 

 「クソッタレ、数が多すぎるだろ……!」

 

 「どうする茜屋、このままじゃ──!」

 

 際限なく増えていく呪霊を前に、控えめに言って俺たちは窮地に立たされていた、

 

 

 

 

 

 「チッ、仕方ないか。切り札を切る!」

 

 というわけではなかった。

 

 




一般通過クソ厄介な特級呪霊

感想評価よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。