灼焔の呪術師   作:辛味噌の人

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オリジナルの話って難しいね(2回目)
三人称視点も難しいね


幼魚と逆罰【裏】–弐

 

 

 無限に呪霊を産む特級呪霊を前に、茜屋一行は苦戦を強いられる。多勢に無勢の状況、少なくとも禪院真希と伏黒恵は多数の1級呪霊を前に勝つことのできる手段は持ち合わせておらず、また祓う速度よりも生まれる速度の方が早いことも相まって、このままでは多勢に無勢で押し切られることが目に見えていた。それどころか、仮に本来の適正メンバーである1級術師複数が来ていたとしても結果は変わらなかったであろう。

 

 

 「チッ、仕方ない、切り札を切る!」

 

 

 ──だが、ここに例外が存在する。

 

 「切り札!?そんなもんあるのかよ!」

 

 「切り札のひとつやふたつやみっつもなしに1級術師やれるかってんだよ!」

 

 茜屋刃は祖父である茜屋仁太郎(あかねやじんたろう)のもと、幼い頃から呪術師としての修練を積んだ結果、高専1年生にして1級術師にまで上り詰めた。しかしそれは努力のみではなく本人の才覚あってのものである。五条悟や乙骨憂太が『異能』であるなら、茜屋刃は『天才』に分類される人間だ。

 

 「真希パイセン!伏黒連れて下がってください!巻き込んじゃうんで!」

 

 「何する気か知らねえがやるなら思いっきりやれ!恵下がるぞ!」

 

 「うおっ」

 

 茜屋の声を聞いて伏黒を引っ掴み全力で後退する真希。それを確認した茜屋は不敵に笑う。

 

 「ここ最近なんかツキが悪くてなあ……色々と不完全燃焼だったんだよ。こないだの熊のときだって真希パイセンにいいとこ見せたかったのにやたらと苦戦しちまったし……まあ何が言いたいかって言うとだな」

 

 まあつまるところ、本来並の1級術師が束になっても苦戦は免れないこの母体呪霊が相手であったとしても──

 

 

 

 「ストレス発散&真希パイセンにいいとこ見せるためのサンドバッグになれや」

 

 茜屋刃にとってはものの数ではないということである。

 

 

 

 

 領域展開

 

 

 煌劫屍燎原(こうごうしりょうげん)

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 燃える、燃える、燃える。

 

 赫々とした炎が燃える、真白く輝く太陽の下で燃える。

 現れたるは死の荒野、あらゆる生命の生存を許さぬ地獄の大地。

 

 地平線は炎に包まれ、砂漠のそれより熱い日差しが地面を焼く。

 その中央に立つのはこの領域の主、茜屋刃。

 

 そしてこの領域に巻き込まれた多数の呪霊たちは……皆、業火にその身を焼かれていた。

 

 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

 

 茜屋刃の術式、柳炎煌火は、色々と省いて言ってしまうならば、己が呪力を燃料とすることで、自由自在に操ることのできる超高温の炎を発生させるというものだ。

 そして、この領域『煌劫屍燎原』の内部では、その性質が茜屋以外にも適用される。

 

 すなわち、呪力の燃焼である。流石に一種の領域である体内には手出しできないものの、呪力というものはどう足掻いても()()()ものだ。そしてその漏れた呪力はこの領域内では素晴らしい燃料となる。

 まさしく必中必殺、呪力を持つものが彼の領域に侵入することは、全身にガソリンを浴びた状態で火災に突っ込むことと同義である。

 

 「おーおーよく燃えるねえ、絶景かな絶景かな」

 

 燃え盛って消えていく呪霊たちを眺める茜屋。その表情は晴れやかでスッキリとしたものであった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 「ふう、一丁あがりってわけよ」

 

 呪霊全てが燃焼しきるまでおよそ1分弱、領域を解除した茜屋は伸びをしつつ周囲を見回す。

 そこに一度退いていた伏黒と真希が近づいてきた。

 

 「やったな茜屋……お前領域展開とかできたのか」

 

 「手の内はできるだけ隠すのが呪術師ってもんだろ?伏黒もなんか切り札あるなら軽々に使ったり言いふらしたりはしない方がいいぜ、余計なお世話だろうけどな。できれば今日見たことも口外しないでもらえるとありがたい」

 

 「……そうだな」

 

 茜屋の軽口に何やら意味深に頷く伏黒。その不審な様子に、茜屋は少し問い詰めようとしたが、その前に真希が遮った。

 

 「お疲れ、さすがだな刃」

 

 「あっ真希パイセン!どうです見てました俺の勇姿!どうでしたかカッコよかったですか惚れましたか!?」

 

 「ああ、惚れ直したよ。流石は私の刃だ」

 

 「えっ」

 

 労いの言葉に冗談半分半分本気半分の軽口で返したところ、想定外の答えが返ってきて硬直する茜屋。

 

 「でもまあ……」

 

 その間に真希は茜屋の後ろに回り込んで、手にした刀で一閃。

 

 

 

 「油断は禁物、だな」

 

 そして茜屋の背後から忍び寄ってきていた呪霊を一刀両断した。おそらく領域展開した時にはあの場にいなかった個体だろう。

 

 「うおっ油断してた……クソーッまたなんか締まらねえ〜っ!」

 

 「まあ次も頑張れよ、ちゃんと見といてやるから、な?」

 

 「は、はい!」

 

 悔しがって叫ぶ茜屋を宥める真希。稀代の天才も憧れの先輩の前ではただの可愛い後輩に過ぎなかったのだった。

 

 

 

 「……?」

 

 ちなみに玉犬をモフモフしながらそのやり取りをずっと後ろから見ていた伏黒は宇宙の真理を目撃した猫のような顔をしていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ちなみに領域の中にいたわけじゃないからお前が何してたかは私たちからするとよくわかんなかったりするんだな」

 

 「なん……だと……!?」

 

 「ドンマイ茜屋」

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 任務の帰り道、茜屋のトイレ休憩中にて。

 

 「禪院先輩ちょっといいですか」

 

 「真希って呼べって。んで、なんだよ」

 

 「なんで茜屋にはあんな感じなんですか?まさかガチ惚れしてるわけでもないでしょう」

 

 「ハハッ、あいつの反応面白いからなあ、先輩風吹かせるのも楽しいし。それにまああいつもガチで言ってるわけじゃないだろうしな。()()()()()()を後輩とやるのもなかなか楽しいんだよな、これが」

 

 「そう、ですか……」

 

 (これかなり無慈悲な話じゃねえか……?)

 

 愉快そうに笑う真希を相手に、茜屋の内心をなんとなく把握している伏黒は微妙な顔をするしかなかったのだった……

 

 




 ちなみに主人公の術式より領域展開の方を先に思いついてたりする。(設定おかしかったりしないよね、大丈夫かな?)

 真希さんにいいようにあしらわれる?主人公の恋路の行方はどっちだ!?

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