混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
カズヒSide
サンタマリア級のブリーフィングルーム。
その一つで、私達D×Dメンバーはフロンズ達から事後説明を受けることになった。
「……手間を掛けさせてすまないが、ある程度の情報交換は必要だろう」
そう前置きしたフロンズは、そこから話し始める。
「とりあえずあの町と学園に関しては、星辰奏者を主体とするテロ組織によるテロ被害により閉鎖という形となる。……町の方々の移住先については、こちらも手配を支援しよう」
そうなるわけね。
流石はフロンズ・フィーニクス。現大王派の実権をほぼ握っているとも言われる、大王派が誇る新任最上級悪魔。
素早い事後処理。おそらく重要な判断をするもの以外は多数確保。場合によっては一から教育をしている可能性もあるでしょう。できる手合いが対立派閥とか、数百年後は大変でしょうね。
まぁ、幸香達にとってはこういった上司を持てるのはいい事でしょうけど。
「そうね。そして説明もしてもらえるのでしょう?」
「無論だとも、リアス嬢。それぐらいの責任は理解しているとも」
リアス部長に促され、フロンズは軽く肩をすくめる。
「……既に魔王様方には了承してもらっているが、我々は幸香達がかつていたという繋がりを通じ、旧魔王を中心に禍の団に対する寝返り工作を進めていた」
なるほどね。
敵対勢力に対する寝返り工作。戦争や対立では古今東西よく行われている手段だわ。
窮地になったから手の平を反す手合いは信用できないけれど、前もって手順や作法や段取りを踏まえているのなら一定の信頼は置ける。そういった手法は当然どこの時代でも行われるもの。当たり前の手法だわ。
もちろん種族まで違うと警戒も出るけれど、種族が同じならある程度はあり得る。そして幸か不幸か、悪魔は禍の団においても大きな派閥と化している。
「……旧魔王派を取り込めるの? ヴァーリはどちらかと言えば
リアス部長はそこを指摘する。
実際問題、ヴァーリ・ルシファーは魔王派と大王派のどっちかと言えば魔王派だ。というより、奴はあまり魔王ルシファーとしての責任までおいたがらない。旗頭にすることが困難といえるだろうし、家柄の沽券とかを特に重んじる大王派とそりが合わない。
だから部長の質問は正当だ。担ぎ出せない神輿を利用して、価値があるのかと質問は必須だろう。フロンズが分かってないはずはないだろうけど、確認は大事だもの。
そしてフロンズもそこまで読んで、小さく微笑むほどだった。
「だからこそだ。崇める神輿がないのなら、弁護と多少の保障で抱き込める余地はありそうだろう?」
「……あぁ。今の吸血鬼に近いんですね……」
ギャスパーが遠い目をしているわね。
まぁ、権威のよりどころや権威を失ったというのは思うわね。自棄を起こして暴れたり、無いものに縋って暴走したり徒もあり得る。だけどそこを指摘したうえである程度の保証を示すことで、「負けたけど守れるものはある」という逃げ道を用意したと。
まぁ、魔王派は基本的に平和主義者でお人好し。平和的に解決できるならそれを選ぶし、殲滅戦は好まないもの。私だって必要性が薄い悪行まで好き好んでやらないし、それはいいでしょう。
ただ、フロンズは少し渋い顔をしている。
「取り込みは進んでいる……が、同時に困ったことがいくつかあってね。今回もその一環といえるのだが……困ったことがあってね」
眉間にしわが寄っているわね。
いったい何があったのか。逆に興味が湧いてきたわね。
「……いったい何を引き当てたの? シャルバ達が目論んでいた代物とか、その時点で嫌な予感がするわね」
リアス部長が凄く嫌そうな顔で言うと、フロンズは何故か首を横に振る。
「いや違う。奴らは何一つ知らない地雷だ」
別の意味で嫌な予感がしてきた。
とりあえず、立ち位置とかを考えないと面倒くさいことになる相手なので、リーネスやイリナに視線を向ける。
「……もしかして、人為的に魔王を作ろうとぉ?」
「どういう事かしら? 人為的に魔王って作れるの?」
リーネスがあえて意図的に最悪な予想を語り、それにイリナが引っかかる。
そしてまぁ、説明のとっかかりとしてリーネスは頷いた。
「魔術的な手法なら、人工的に生物を作り出せるわぁ。それで悪魔を作ることも、理論的には可能といえるから、それでよぉ」
「安心したまえ。流石にそういう方向ではない」
フロンズはそう前置きし、そして続けたわ。
「どうも内乱で負けてから、ある計画が進んでいたのだ。……今の魔王血族が現魔王に負けたのなら、勝てる魔王血族を生み出せれば……とね」
ああ、なるほど。
私達全員がほぼ納得したわ。少なくとも、奴らがそういう事をするということはね。
軽く引き気味の空気に、フロンズは同意を肩をすくめて示した。
そのうえで、彼は話を続ける方向に持ち込んでいく。
「シャルバ達に反対されていたが、魔術回路保有者を抱き込んで内密に進めていたようだ。……それが良くなかった」
苦笑交じりで両手を広げると、フロンズはそのまま続ける態勢に入る。
「その過程で「多種族とあえて掛け合わせていいとこどり」などという発想もあったようで、それらが原因で因子が流出したこともあったらしい。まだ確定はできないが、ユーピやマルガレーテはそのケースと思われる」
少しため息交じりだが、これは仕方がないところもあるだろう。
ある意味でこれは地雷の発掘だ。いきなりこんな情報が出てくれば、フロンズ達も困っていたことだろう。
「そして彼女達もまた、そのケースと?」
「亜種聖杯を利用した托卵。それにより引けた当たりが彼女達だ」
肩をすくめてリアス部長に応えるフロンズは、げんなりしている様子だった。
「交渉が成立したのは数時間前だ。アジュカ様達も同席しているから確認してくれたまえ」
ため息をついたリアス部長に、フロンズはそう返す。
……どこもかしこも大変ねと言うべきかしらね。
「……ちなみに、純血の者達もいるという事かしら?」
そこは確かに厄介だ。
もし魔王血族、それも純血の者がいれば旧魔王派は盛り返す。そうなるとかなり面倒なことになる。
ただし、こちらが確保できれば切り崩すには十分すぎる。そういう意味では、諸刃の剣というべきだろう。
不安と期待が混ざり合う視線が、フロンズに集まっている。
その上で、フロンズは複雑な表情を答えにする。
「一応、数名を保護することはできた。ただそれで終わっているかどうかについては、今の情報では断言できん」
「……厄介なことね。それで、保護した方々は?」
渋い表情になりながらも、リアス部長は話を進める。
それに対し、フロンズは少し視線を逸らしながらも話す態度ではあった。
「アジュカ様、ゼクラム様、そして破壊神シヴァ様が満場一致で「この者が預かるなら」と納得してくれた者に一旦預けている。その者の要望で語れぬが、まぁ太鼓判ぐらいはアジュカ様とゼクラム様に確認できる立場だろう、貴女は」
どうやら、これ以上は聞き出せなさそうね。
リアス部長で繋ぎをとれる、アジュカ・ベルゼブブ様にゼクラム・バアル。この二人が納得しているのなら文句のつけようがないわ。
フロンズもその二人には気を遣っているでしょうし、これ以上は無理そうね。
だからこそ、私は此処であえて言う。
「……つまり、件の二人は魔王血族という事かしら?」
そこは重要な情報だから、嘘偽りは認められない。
その意志を込めた視線に、フロンズはしっかりと頷いた。
「
なるほどね。
それなりにツテを独自に持っていたと。そういう事で納得するしかない、という事でしょう。
そしてそれを知った時には、彼女達の住んでいる町は大惨事。慌てて保護できる余地を確保するべく、艦艇を派遣して突貫したと。
「……そして面倒なことだが、魔獣化事件はややこしいことになっているようだな?」
そうフロンズが確認するように問うと、ロスヴァイセさんが頷いていた。
「ええ。魔獣化した者達のオーラなどは全くの新種でした。結晶体の破片などからは、ある意味で神器に近い性質が見て取れましたが」
「……もうぶっちゃけるとねぇ? あの結晶体は埋め込まれた者の欲望に呼応し、肉体と精神を変質させるのよぉ」
引き継いだリーネスが、素早く魔法陣を操作して映像を映し出す。
「埋め込まれた者達が強く持ち抑え込んでいる欲望。それを解放して欲望のままに動く生命体に変質化させる。言葉にすれば単純だけど、聖杯に匹敵する所業ねぇ?」
悍ましい話も、あったものね。
こんな下劣なやり方で人間を破壊する。流石にちょっと納得できないわ。
「リーネス、それで治療の余地は?」
私がそれを確認すると、リーネスは首を横に振った。
「正攻法では不可能ねぇ。例えるなら、吸血鬼の城下町で邪龍になった者達と同じってところかしらぁ」
「……それは、酷い話ですわね」
朱乃さんが眉をしかめるだけのことはある。
あそこまで作り変えられれば、もう元に戻せない。例え元の形と精神性を取り戻せたとしても、ある種のスワンプマン問題といえるでしょう。
きっと、彼はそこまでは思い至らなかったのかもしれないわね。
「それでリーネス。例の亜香里に有加利といった少女達はどうなんだ?」
ゼノヴィアが、そこについて指摘する。
彼女も、彼のあの最期を見ているものね。そんな彼の、最後の頼みに思うところはあって当然でしょう。
そしてリーネスも頷くと、素早く映像を移し替える。
「……厳密には、彼女達は元に戻ったわけじゃない。強引に元の状態に戻そうとしたことが理由でしょうけれどぉ、各種生命機能があまりに衰弱していたわ。……だから」
そう区切り、リーネスは視線をフロンズに向ける。
それに対し、フロンズは苦笑すると肩をすくめた。
「堕天使化で延命を図ったというところかね?」
なるほどね。
割と火急の事態でもあった。だからこそ、手持ちに手段で即座に対応。その結果が堕天使化、と。
フロンズ達からすると、面倒ごとになるかもしれない。そういった懸念を前に、フロンズは気にしていない。
「マルガレーテの件もあるが、相手の意思が魔王の血族として生きないことであるなら仕方がない。まぁ、それに神器という聖書の神が持たした奇跡を、魔王の血を継ぐ者が持ち、堕天使として新生するのは良い事だ。和平的に美談だろう?」
「前向きな考え方で良い事だわ」
警戒心を少し出しながら、リアス部長がそう返す。
まぁ、フロンズ達は魔王を「かつて支配者だった一族」にとどめる方針だものね。だからこその九大罪王制度。別に魔王血族にハーフがいる程度はどうでもいいと。
あくまで旧魔王派の抱き込みの一環だったのでしょう。だから、堕天使になる程度は問題ではない、と。
それらを聞いたうえで、フロンズは小さく頷くと立ち上がった。
「……彼女達については、当面貴殿らに任せた方がよさそうだ。もし魔王血族として生きるというのなら、その時はこちらが引き受けてもいいがね」
どうやら、そのレベルでいいという事ね。
フロンズ達からしてみれば、決して無視はできないけどその程度。魔王として生きるにしても生きないにしても、旧魔王派の神輿にさえならなければいい。そういう感覚なのでしょう。
フロンズはそのまま帰り支度を進めるけど、その視線がイッセーの方に向いていた。
「そういえば赤龍帝、貴殿と共に二人を保護した
お前達ならこの場に連れてくるだろうに。
その程度の疑問ではあるのだろうが、フロンズはそこに首を傾げている。
……その時、私達は少し雰囲気が重くなった。
そしてフロンズはそれを妙な方向に勘違いしたらしい。
「もしや不調かね? 試作型の堕天使化を使った弊害……なら、そちらの
「いいえ。彼自身はしっかり無傷でしのいでいたわ」
リアス部長がそう訂正したので、私も言っておくべきでしょうね。
「昔の身内が
……まったく。禍の団が当分何とかなったと思ったらこれとか、勘弁してほしいのだけれどね。
和地Side
神の子を見張る者が保有する、日本国内にある医療設備。
そこの一室に横になっている少女がいた。
年齢は俺より一つ上。灰色の髪を持つ彼女は、ただ目を開いていた。
そして俺達の方を見ると、無表情で口を開く。
「自覚範囲内での体調は良好。ご命令を下さいませ」
……その何も映し出されていない反応に、俺は拳を握り締める。
そのうえで、崩れ落ちそうになる鶴羽の肩を抱き寄せて支える。
「……名簿で見つけて、もしかしてと思って探してた……」
そう小さく語る鶴羽は、明らかに消耗していた。
「想像以上に激戦で、死人も出てるから容赦もできない。学生が、教師が、改造されて死も恐れない兵士になってて……」
そして俯く鶴羽は、涙を一つ落としてしまう。
「リーダー、胴体から断ち切られてて、私、慌てて、聖杯で……治したのに……っ」
「もういい、鶴羽……っ」
俺は鶴羽を抱きかかえる。
目の前にいる少女を、俺達は知っている。
名前は
そして俺達と同じザイアに拾われた孤児で、俺達のリーダー役だった。
突出した異能はなかったが、非常時に強い精神性もあってレイダー部隊の隊長格候補。もしあのままザイアが動いていたら、俺とヒマリのサポート部隊として鶴羽を率いていただろう。割と頼りがいのある人だったしな。
ただ同時に、だからこそ自分にできないことは難しいことは理解できる人だった。平時では割と緩いところがあるからか、異形たちの共存を自分が選べる自信がないといって、記憶操作を受けることを自ら決めた人だ。
思えば、常に頼りがいがあるのはザイアという環境だったからかもしれない。ザイアという環境が異常だと、無意識で察していた可能性がある。だから、常に非常時に強い精神性が働いていた。
記憶消去を自分から受け入れたのも、そういう事だろう。ザイアの異常性を悟っていたが、同時に影響を受けていたから。そこから至った結論が、記憶消去だった。
その後はある程度の監視がつく形で、堕天使側が動いていたのは知っている。和平が結ばれた以上、より自由に動ける環境に移されるとの想像もついたはずだ。
……バラキエルさんはあえて黙っていたのだろう。万が一の可能性があったし、他にもリスクはあったからな。
ただ、鶴羽はおかげでかなり参っている。
聖杯を無理して使うぐらいで対応しているが、それでもこのざまだ。
緋音さんは、元に戻すことが不可能かもしれない。
不可逆の加工を受けている。例えるなら、ブドウをワインにしてまたブドウに加工するようなものだ。それはもう、別物だろう。
そして同様の改造人間が多数確認された。それが、例の学園で行われていた事態だった。
状況次第で自爆まで敢行する、脳を中心に改造を施された元人間。それが、夫従妻隷会の新たな手法。
どこからこんなレベルの改造技術を手に入れたのか。世界はいくらでも悪意が転がっているが、こうして目にすることになるのはやはりきつい。
……本当に、ふざけるな……っ
緋音さんには本当に世話になった。ヒマリの面倒とかで助けられたことも多いし、ダウナー気味だけど社交性は割とあった。戦術の座学とかでも指摘はしっかりしていたし、そういう意味でも、感謝している。
ったく。それが、こんな―
「……ん?」
―ふと気づくと、なんかどたばたという騒がしい足音が聞こえてきた。
首を傾げて振り向いた時、盛大にドアが蹴破られる。
「お待たせしましたの! 切り札を引っ張ってきましたわよ!」
「「ヒマリ!?」」
思わず鶴羽と一緒に声が出るけど、ヒマリが額に汗して誰かを引っ張っている。
……ってちょっと待て。
その人は―
「む~。お姉ちゃんってば強引なんだからぁ」
「「そういうのいいから」」
このタイミングで子供ぶらないでください。状況分かってないからだろうけど、割りとイラってくるから。
そんな殺意が微妙に漏れたこっちの反応に気が付いたのか、彼女は雰囲気を本来のものに切り替える。
「……ふむ、借りは返すつもりではあったが、
すぐにある程度の状況を理解する当たり、やはり傑物であるからこその地位か。
まったく、いないと思ったらこんなことしてたんだなヒマリ。
行動力の高さに脱帽だ。確かに、これはどんでん返しレベルの
「そういうわけで、ちょっと相談がありますわ、藤姫さん!」
「ふむ。安請け合いはせぬが話はまず聞いてやろうではないか」
道間家のご意見番。
道間藤姫。ここで来るか!
グレン×グレンお得意の手法、「オリジナルの魔王血族」をついに投入した感じとなる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回に関しては亜種聖杯を使用したりなどいろいろやっておりバリエーション多種多様! 最低でも「純血」「混血」「先祖返り」を原作とは別に一セットずつ用意したい所存です! 原作も最低でもアスモデウスは出すだろうしね! ほら、純血につながる異能が名前出てきてるから!
それとは別に、致命的な改造を受けている形で和地の旧知がさらに登場。前回のリーダーは彼女です。デュリオがD×Dのリーダーなので誤解を招くことを失念しておりました。マジすいません。
ちなみに和地ヒロイン関係ですが、いろいろ考えて「カズヒ1:第一部ヒロイン5:第二部ヒロイン5」もしくは「カズヒたち前世組3:懲罰メイド4:なんかすごい系ヒロイン4」にする感じにするつもりです。ちなみにリーネスは終盤で告白したので第二部に属する感じで。
……つまり、ここで祖の藤姫が来た。……つまるところそういう事です。
かつてtappeさんに相談もしているので、それ以外の底上げも考慮中です。さて、久しぶりにメッセージを確認し直すかぁ……っ!