混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部   作:グレン×グレン

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 さぁて、壮絶な戦いとなりますよぉ!


闇動神備編 第十話 神器の否定者

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景に、僕達は目を疑った。

 

 壱崎虎美の獲物は日本刀だ。異能を併用して強化しているようだが、伝説の剣のような性能はない。

 

 それが、曹操が持つ最強の神滅具をたやすく両断した。

 

 ありえない光景に目を疑い、同時に曹操の敗北を予感する。

 

 だが、そこに曹操の姿はいなかった。

 

「……例の転移の七宝ッ」

 

 リアス姉さんが悟ると共に、曹操はすぐさま壱崎虎美の眼前に現れてから攻撃を仕掛ける。

 

 壱崎虎美は曹操を探すように周囲に意識を向けていた為、あえてさっきいた場所から現れた曹操に反応が遅れていた。

 

 だがその粗のある受け流しでやすやすと聖槍はいなされる。

 

 ありえない。あの日本刀、映像を見る限りは異能で強化されてるにしても大したことはない。

 

 それが聖槍を断ち切りいなす。それも、いなした時は本領を発揮しきれてないにも関わらずだ。

 

 そんなあり得ない現象に、曹操は確かめるように聖槍を振るいながら何かに納得する。

 

『……なるほど。信じられないが、現状そう考えるほかなさそうだ』

 

 なんだ?

 

 曹操はあの一瞬の攻防で、一体何を掴んだと―

 

『君、リゼヴィムの真似事ができるね?』

 

 ―なんだって?

 

 思わず困惑する中、リアス姉さんはどこか納得している様子で画面を見ている。

 

「……女性の力を封じる七宝がたやすく突破され、その前には仲間が一瞬で倒された。まさかその一瞬で、その可能性を踏まえた試しを入れることを決めるなんてね」

 

 どうやら、リアス姉さんの推測では曹操の立ち回りはその確認の為だったようだ。

 

 なるほど。最初から突破される前提で聖槍を防御に回し、同時に転移の七宝を使うことで確認と回避を同時進行したのか。そして更に念押しする為に、あえて一撃を防御させたと。

 

 納得はできる。だが、信じられない。

 

「あのリゼヴィムと同様のことを? 人間がしたというのですか?」

 

「信じられません」

 

 朱乃さんと小猫ちゃんも困惑しているけど、それはそうだろう。

 

 どう考えてもイレギュラーだ。信じられないと言ってもいい。

 

 超越者リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。その真骨頂と言ってもいい、神器無効化能力(セイクリッド・ギア・キャンセラー)。D×Dの領域で漸く突破できる、あの恐ろしい絶対性。

 

 それを、人間が使ったというのか? 流石に信じられない。

 

 ただ、曹操と壱崎は互いに距離を保ちながら、肩をすくめ合っていた。

 

『神滅具クラスは完全無効化できないようだけど、ペルセウスがやられるわけだ。あいつの神器は盾だから、この初見殺しはきついだろう』

 

『流石は英雄派の長なだけあるわ。神器の性能頼りではないわけね。……ま、玩具ではしゃぐだけの子供じゃないのは良いことだわ』

 

 互いにそう言葉を投げかけ、その上で曹操は苦笑する。

 

『ふふ。人間という異形に比してちっぽけな存在から、英雄なんて目指すんだ。これぐらいはね?』

 

 曹操はそう言いながらも、七宝をあえて拡散させたうえで槍を油断なく構えている。

 

 壱崎虎美が本当に神器の力を殺せるのなら、神器を保有する英雄の末裔が主体の天帝の槍チームは、圧倒的に不利だ。

 

 真っ向から戦って有利に立ち回れるとすれば、監視役として女王の配役を受けている、関羽殿ぐらいだけどそうもいかない。

 

『はっはっは! 悪いが、邪魔はさせられないのでね!!』

 

『……彼さえ押さえれば、こちらが有利!』

 

『ほぅ。これだけの猛者が多数いるとは』

 

 ラツーイカが一人を連れ、抑え込んでいるからだ。

 

 ラツーイカ・レヴィアタンは蛇を使っていない旧魔王派トップの一人と同程度。イッセー君なら真女王なら余裕を持って対応できるレベルだ。最上級悪魔クラスではあっても、その上澄みというレベルではない。

 

 だがもう一人も優れた実力者だ。聖なるオーラを持った左腕の鎧と、飛翔する四つの盾が関羽殿の攻撃を凌ぎ、ラツーイカが溜めに溜めた攻撃で抑え込んでいる。

 

 他の部類でも熾烈な争いが起こっており、曹操に増援を送る余裕はないだろう。

 

 必然、曹操がピンチということが確定した。

 

『……まぁいいわ。とりあえず仕事をするとしましょう』

 

『怖い怖い。油断してると切り捨てられそうだ』

 

 そう互いに呟いたうえで、互いに距離を一瞬で詰め―

 

『『―――ッ!!』』

 

 ―壮絶な攻防が繰り広げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わず寿司を食べる手が止まるレベルの、壮絶な戦いが流されていた。

 

「……なんすかあの戦い。え、マジで?」

 

 アニルが唖然となっているけど気持ちは分かる。

 

 神器の力を削減し、聖槍すらただの異能付与日本刀で断ち切る女。元駒王学園生、壱崎虎美。

 

 そんな手合いに対し、曹操が選択したのはシンプルイズベスト。

 

 ……相手の攻撃を一切接触しない回避に徹底しつつ、溜めたオーラによる攻撃での撃破。

 

 信じられないことに、壱崎虎美は剣技に限定すればアーサー・ペンドラゴンやエヴァルド・クリスタリディの領域にあるだろう。

 

 しかも動きが明らかに早い。反応速度に取捨選択、それらまで全てが早いが故の、素早すぎる対応。あらゆる動作が早いがゆえに、曹操の攻撃をすべて回避か受け流しで捌き、傷一つつかずに反撃を行っている。

 

 そしてそれら全てを回避だけでしのぎながら、曹操は反撃すら入れている。

 

 人間水準、それもテクニックなら同年代でも上澄みの中の上澄みだろう。真剣に参考になる。

 

 そして、互いに攻撃を一切喰らうことなくギアが上がっていく。

 

 なんだこの猛攻。現状、神器に対してマウントが取られている曹操が不利ではあるのだが、それで互角に渡り合っている時点で曹操が化け物であることが証明されているぞ。

 

「……あれが、英雄派盟主の曹操ですか……」

 

「相変わらず、本当に人間か分からないんですけど……」

 

 三美さんもルーシアも、戦慄すら覚えている。

 

 ただ、それとは異なる視点の者もいる。

 

「むむむ~? でもどうやって神器を無効化してますの?」

 

 ヒマリが首を傾げているけど、確かにその通りだ。

 

 種がさっぱり分からん。神器無効化能力とか、デッドコピーであっても簡単にできることではないはずだ。少なくとも、超越者の特性を再現なんて下手な上級悪魔でも不可能だ。

 

 現実問題どうすればできる? 敵の力を封印するタイプの神器を禁手にしても、あそこまでできるとは思えないんだが……。

 

「あ、仕切り直した」

 

 と、ヒツギの言葉に画面を見れば、互いに千日手になると気づいたのか飛び退って距離を置いている。

 

 様子を伺いながら、呼吸を整えつつ、どうすればいいかを考えている。そういう睨み合いだ。

 

 とりあえず今のうちに寿司を食ってお茶飲むか。

 

 ただ、他の戦いも結構白熱しているな。

 

 ただし、既に一人倒している偉大なる冥府神の従僕チームが、防戦主体で戦っている感じだ。

 

 最悪このまま逃げ切る算段か。たった一人でそれをやる辺り、英雄派を舐めてないのは間違いない。準エースクラスを速攻で倒した余裕を生かしているともいえるな。

 

 となると、神器の無力化は誰にでもできるような代物ではないようだ。おそらく、現状の前置き付きだが壱崎にしかできないんだろう。

 

『時間稼ぎ代わりに、一つ聞いていいかしら?』

 

 と、壱崎は曹操に質問をした。

 

 一体何を―

 

『貴方達って、なんで神器を誇らしげに使ってるの?』

 

 ―ん?

 

 ちょっと何を言っているのか分からない。というか、それって時間稼ぎにしても今聞くことなのか?

 

 ただ、壱崎は本気で言ってるようだ。

 

『神器って、聖書の神が作ったシステムで()()()()()()()だけでしょう? 貴方の遺伝子にも鍛錬にも絡んでない、外野が勝手に押し付けたガチャ運程度で、なんでそこまで自分が誇らしいものと思えるのかがよく分からないのよ』

 

 お~キレッキレ

 

「……あいつ、異形側の信徒全員を敵に回す気?」

 

「遠回しに主を罵倒してないでしょうか、アレ」

 

 ヒツギとルーシアがドンビキしてるけど、それはまぁ確かに。

 

 さっすがハーデスの配下。あの状況下でよく言えるな、オイ。

 

 半分ぐらい呆れてると、曹操は苦笑を浮かべている。

 

『そんなに気にすることかい? 神すら屠る力をその身に宿し、その力を磨き続けてきたんだ。少しぐらい自慢にしてもいいと思うけどね?』

 

 曹操はそう返すが、壱崎はつまらなさそうに息をついた。

 

『……やっぱり理解も納得も共感もできないわね』

 

 そう、吐き捨てるように言い切った。

 

『私の人生に、そんな余計な設定なんていらないわ。私の人生は私の努力と生まれ持った血の恩恵で十分。慕っても崇めてもない神様に、生まれる前から勝手に押し付けられた()()()()()()なんて思われる。それのどこがいいのかさっぱりだわ』

 

 心底からうんざりしている。それが分かる。

 

 おそらくだが、壱崎虎美も神器保有者だ。その上で、彼女は神器の概念そのものに否定的だ。

 

 何かが引っかかる中、壱崎は刀の切っ先を突き付ける。

 

『だから私は、神器なんて使わないし必要ない。そしてそんなもので得意げになっている連中風情なんかの好みなんかに合わせない。……私の前で、神器で争おうなんてさせないわ』

 

 何かが二重に引っかかる。

 

 彼女の言いぐさもだが、同時に何かそれ以外が気になって仕方がない。

 

 そう思う中、壱崎は息を吐き―

 

『最強の神滅具大いに結構。切り捨てればいい見せしめね』

 

 ―その瞬間、壱崎は戦法を切り替えた。

 

 高速で移動しながらの一撃離脱。だが反転速度が速いがゆえに、半端な奴の連撃に匹敵する攻撃頻度と化している。

 

 元々、壱崎の攻撃は聖槍で防げない。加えて曹操は人間故に、防御においては脆い。そして斬撃とは基本、直撃すればそれで勝負が決まる系統だ。

 

 それを理解したが故の戦法だが、それにしたって動きがおかしい。

 

 さっきまでの動きから読めるような身体性能じゃない!?

 

「なんだよあの動き!? プログライズキーでも切り替えたみたいな動きじゃねえですかい!?」

 

 アニルが目を見開くけど、確かにそうだ。

 

 何かが決定的入れ替わっている。そう思わせるほどの動きの違い。それが曹操にも戸惑いを与え、かすり傷を与えていく。

 

 だがなんだ? あの動きは明らかに……っ!

 

「……呼吸……?」

 

 俺達が戦慄していると、三美さんが首を傾げた。

 

 思わず視線が集まる中、三美さんは映像を見て怪訝な様子になる。

 

「……呼吸の仕方が、明確に切り替わってます。まさかそれが……?」

 

 当人も半信半疑だが、ただそれだけであそこまで変わるのだろうか?

 

 いや、呼吸法は割と色々と効果があるとは聞いたことがある。リラックスの為の深呼吸しかり、出産の為のラマーズ法しかり。だがそれにしたって変わりすぎなんだが。

 

 いつからここは鬼滅の世界になった。全集〇の呼吸とか、あれって半分ぐらい異能の領……域……っ

 

「「「まさか!?」」」

 

 思わず、ヒツギやヒマリとハモって大声を上げてしまった。

 

 思いついた。だが、出来るのか?

 

 ……いや、奴自身が言っていたことだ。

 

 ―私の努力と生まれ持った血の恩恵で十分―

 

 それが、俺達に一つの答えを連想させる。

 

 あいつ、あいつはまさか―

 

『……なるほど、そういう魔術か』

 

 ―そして、それに曹操も思い当った。

 

 ここから、形勢は更に変わっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズヒSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なるほど、そういう事。

 

「……呼吸のリズムそのものを魔術詠唱とする、特殊調律された強化魔術、その手があったわねぇ」

 

 リーネスが感心しているなら、十中八九間違いない。それほどまでに、リーネス・エグリゴリことアイネス・ドーマの魔術回路保有者としての見識はずば抜けている。

 

 そして問題はそこじゃない。

 

 呼吸のリズム。それを魔術詠唱とするのはいいでしょう。

 

 音楽を利用した魔術や踊りを利用した魔術はある。芸術を利用した魔術だって存在する。ならば、呼吸のリズムや呼吸度合いで魔術を行使するのもありだろう。

 

 もちろん、一代でできるかと言われれば別問題。何世代も研鑽を詰み、最適化された魔術回路と継承した魔術刻印があってこその完成度。更に、その恩恵を生かせるだけの下地を鍛え続けてきたからこその力でしょうね。

 

 そしてそれだけでは曹操は倒せないでしょう。しかしそこに神器を弱体化させる力がかみ合った結果、曹操ですら一対一では苦戦必須の化け物が誕生している。

 

「おいおいやべぇなあいつ。どんだけ鍛えてんだ?」

 

 勇ちんが感心しているけど、まさにその通りね。

 

 あそこまで鍛え上げるのはそう簡単にはいかない。人より己を限界まで鍛え上げることに長けているからこそ、あそこまで鍛え上げることがいかに困難かはよく分かる。

 

 壱崎虎美。どうやら思った以上に気合と根性がやばいレベルの相手なようね。

 

 私みたいにそこを突き抜けているわけでも、ヴィールみたいに異常なレベルに突き詰めて言うわけでもない。だけど、十分すぎるほどのポテンシャルを限界ぎりぎりまで磨き上げている。

 

 だからこそ、曹操は追い込まれている。

 

 ただ神器の力を弱体化させているだけなら、奴ならやりようはいくらでもある。

 

 だけどあいつは、神器の無力化を手札の一つにとどめるレベルでハイスペックだ。ゆえに、曹操でも搦め手で嵌めることができてない。

 

 ……認めるしかない。壱崎虎美は間違いなく強い……っ

 

『そろそろ終わりにしましょう。というより、あんた程度に苦戦するわけにもいかないわ』

 

 壱崎は、そう言い捨てる。

 

 曹操は間違いなくハイスペックであり、才能があり、鍛えている、実力者だ。

 

 だが、彼女にとっては決して最高の到達点ではない。

 

『所詮、アンタは神器を普通に高めているだけ。貰い物で粋がってるだけの馬鹿にかかずらっているようじゃ、あいつらには遠く及ばない』

 

 ……なるほど、ね。

 

 あの女、超えるべき対象はあくまで兵藤一誠達クラスという事ね。

 

 ま、イッセーは本来禁手で終わりの神器の極みを、二段階も切り開いている。間違いなく、壱崎の対神器能力でも決定打にならないでしょう。

 

 そんな新次元に到達しているわけでもない曹操を、壱崎は舐めてはいないけどイッセーの下と判断している。だからこそ、あいつにとってこの戦いは試金石止まりだったのでしょう。

 

 ……ただ、それはちょっと甘く見すぎじゃないかしら?

 

『なるほど。確かに、俺はいまだに禁手どまりだからね。仕方がないか』

 

 曹操は確かに、阿呆というほかない迷走をしていたクソガキだ。

 

 それで大規模テロまでやっているのだから救えない。そして文字通り死んでも根本が治ってない。そりゃぁ馬鹿と見切るのも一つの判断でしょう。

 

 ただし―

 

『ただし、こっちは使えるんだよ?』

 

 ―スペシャルであることは事実。そこに対する危機感が欠けているわね。

 

 蒼い飛沫を放つ曹操を見ながら、私はこの戦いがまだまだ終わらないと確信した。

 




 虎美の種は「アンチ神器能力」といったところです。彼女も神器を保有しておりますが、生涯使わないので高位神器である以外の設定は作る気がありません。

 ペルセウスが初見頃されたのは石化攻撃ガン無視で虚を突かれ、意味のない楯防御をしてしまったことです。種が分かればしないし避ける体制も取れたので、勝算もありました。

 そして曹操相手に真っ向から渡り合うのは魔術回路。イメージとしては「全集中
の呼吸」でしたが、これをパワーバランスをつりあわせられる自信がないので、鬼滅を入れずに再現するにはどうするか……で、別件での発想から派生する形で「呼吸の仕方とリズムそのものを魔術詠唱とする一族出身」という形になりました。

 そして曹操、ついに残神。

 テクニックタイプの高みでなければ扱えない超高等技術たる残神。こいつが使えぬわけがねえ!!
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