混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
和地Side
「……初っ端から凄い事になってるな、オイ」
画面越しに繰り広げられる戦闘は、まさに壮絶レベルになっている。
極覇龍状態のヴァーリを相手に、今カズヒは優勢に立ち回っている。
既にジャッジングサマエルで突貫したカズヒは、聖剣二刀流でヴァーリを相手に押している。
なにより驚くべきは、聖剣そのものがすぐに砕け散っている点。
おそらく大量生産が前提なんだろうが、それにしては高性能過ぎないだろうか。
そういう関心を覚えながら、俺は戦闘を逐一観察する。
戦闘の傾向は、カズヒが高速で動き回り、ヴァーリに迎撃を敷いている状況だ。
堕天使化したことで飛行能力を高いレベルで得たとはいえ、生まれついての混血悪魔であるヴァーリとの戦闘では不利になるのは明白。結論として、カズヒの選択肢は「機動力の勝負に持ち込ませない」が大前提になっている。
徹底的に四方八方から襲い掛かり、相手に反撃の隙は与えても離脱の隙は与えない。
それ以外の勝負に持ち込まれることは覚悟しても、圧倒的に不利になる機動力の勝負には持ち込ませない。その意志がここからでも見れてくる。
「生まれついての混血悪魔と、なりたての転生堕天使。空中戦闘の土俵においてどっちが手馴れているかなど言うまでもありません。その点で考えれば的外れな戦闘ではないかと」
黒狼が冷静に指摘するけど、まぁ確かに。
一橋の言い分を全肯定するつもりはないが、こういうのはどうしても年期で差が出てくるからな。だいぶ慣れていけば差は誤差になるかもしれないが、まだ俺達レベルだとどうしても粗が出る。
となれば、空中戦必須の高機動戦闘を避けるのは合理的か。
「なるほどな。で、問題はあの大量のデュランダル擬きだよ」
納得気味のベルナがため息交じりで指摘するのは、カズヒが使っている聖剣。
確か、量産型デュランダルのデュリンダナってのが開発されていたな。ウルバヌスが乗っ取ったクーデター連中に持たせてたという。
作ったはいいがエクスカリバーに比べると人工的に適性者を見繕えない。その難点が割と残っていたと思うんだが。
「気合でデュランダルって扱えるようになるの?」
「流石にないと思うけれど……?」
顔を見合わせてインガ姉ちゃんと三美さんが困惑している。
流石に体質的な問題だしなぁ。精神論でどうにかできる類のことでもない気がするが、ん~?
俺もちょっと首を傾げるが、ふと閃いた。
「あ、リーネスが剣と因子をどっちも特注品で作ったとかはどうだ?」
「……それだ!」
「どれよ。特注品にしては数が多すぎないかしら?」
指を鳴らして納得するベルナと提案した俺に対する、ツッコミがシルファから向けられた。
う~ん。確かに正論なんだけど―
「リーネス、神の子を見張る者の準最高幹部に据えられてるし、カズヒが絡むならやりかねないからなぁ」
「あはは……。
「まったくだ。あの組織、ノると何するか分からねえしな」
俺もインガ姉ちゃんもベルナも、その辺りはもう経験として知っている。
あの趣味人帝国、神の子を見張る者の準最高幹部ともなれば、思い付きを周りが押し立てるぐらいのことはあり得るだろう。
ましてカズヒ関連及び卵かけご飯が絡むと、暴走しそうな気配は時折していたからな。……真面目に少し不安だ。
「順当に教会側から支援を受けた可能性じゃない? ほら、あの人教会最高戦力の一角は間違いないし」
「確かにそうだね……」
文香と文雄が後ろで真面目にそんなことを言っているが、その可能性も十分あるか。
教会は大規模クーデターの影響もあって、色々苦労しているわけだしなぁ。何かしらで盛り返したいとは思っているだろう。
……いや、それをガチガチのダーティジョブを利用してするか?
「推察するに、あれは強力だが脆いのではなく脆くする代わりに強力にしたのでしょう」
と、黒狼は黒狼で冷静に状況を推察していた。
なるほどな。技術的難易度とリソースの限界を考慮して、「ならたくさん作って使い捨てる形式にすればいい」という発想か。米国面*1}か? B-29*2か?
とはいえ、だ。
カズヒとヴァーリの戦いは半ば拮抗している。これは事実だ。
問題は、今カズヒが使っているデュリンダナが消耗品で、数にも限界があるという点だ。
元々カズヒは短期決戦が基本指向。長期戦に向いていない以上、拮抗している状態だといずれ負ける。
ならば、勝算はそれ以外。
さて、どうなる……?
カズヒSide
現状においては私は拮抗している。つまり、私が不利ね。
今回の戦闘において、拮抗を成し遂げているのはシンプルに一つ。
教会が開発した新型聖剣、デュリンダナ・ロスト。
新生糾弾同盟に利用された、量産型デュランダルの研究成果であるデュリンダナ。技術的ハードルや使い手のハードルが未だ高い部類ではあるが、ある程度の生産性を確立している。
その更なる発展として、開発されたのがデュリンダナ・ロスト。
必要技術・性能・使い手の獲得。この三つの要素を高水準にまとめる為の試行錯誤した結果、導き出された結論。すなわち、「使い捨てを前提に、剣本体に負荷を押し付ける」。
更にリーネスが特注で用立ててくれた人工聖剣因子。そこにジャッジングサマエルを全力で運用し、私はこうして渡り合えている。
……そう。使い捨ての集中運用で漸く渡り合えている状況だ。
極覇龍を当たり前のように通常形態として扱えるヴァーリ。そのポテンシャルは文字通り凄まじく、まともにやりあうのは魔王クラスでも困難。ジャッジングサマエルにデュリンダナ・ロストを併用してなおの結果である以上、地力も大きく向上されている。
互いにかつての戦いの焼き増しも慣行中である以上、間違いなく今のままではこちらが競り負ける。
故に、私の勝機はシンプルに一つ。
私が抑え込んでいる間に、他のメンバーが敵を打倒できるか否か。
だからこそ。それまで私は抑え込む!!
イッセーSide
カズヒとヴァーリの激突、まじやべぇ。
いや、あいつら二人とも、更に強くなってるのは分かってた。
分かってたけど壮絶だぁあああああ!
「凄まじい戦いですね。……とはいえ、D×Dがある以上ヴァーリの方が上手になるのですが」
「カズヒ相手にそれってやっばいね! 大丈夫なの?」
唸るシャルロットにアルティーネが訪ねるけど、まぁ大丈夫じゃないよなぁ。
光を極めたカズヒの覚醒もあり、かつての戦いではカズヒが勝った。でもそれは、メタを張ったうえで更に禁手まで使っての結果。今では更に上乗せしてなお、ヴァーリは防戦気味だけど凌いでいる。
あいつ、本当に強いよなぁ。
『あれが天龍、白龍皇アルビオンを宿したルシファーの末裔……っ』
同じドラゴンだからこそ分かるのか、ボーヴァも目を見開いている。
ああ、そうだろうさ。あれがドラゴンの最強格だ。
なんたって、あのグレートレッドを真っ向から打ち倒せるようになりたいんだからな。
そんなヴァーリを相手にカズヒもよく戦ってる。
でも、かつての戦いだって一瞬だったけどギリギリの攻防だった。入念な準備や徹底的な挑発。それを踏まえた決戦兵器二つの上乗せで勝ったんだ。
……D×Dの壁は厚いってことだな。これ、不利だな。
そう思った時、フィールドの各地ででかい爆発が起きた。
そうだ。今回の試合、気になることがあった。
フードを被った新規メンバーが二人いて、名前も「ミス・B」「ミス・A」で誤魔化していたっけ。
多分隠し玉なんだろうさ。なんたって、接木さんの部下の代わりを二人で担当してるんだ。どっちも駒価値4で、アザゼル杯換算だと準神滅具保有者クラスはいるだろう。
裏を返すと人数差を仕掛けられない。それだけの価値があるってこと。
そこが気になって、その方向を見る。
そして、俺は面食らった。
「……なんと」
ゼノヴィアも唖然としている中、相対しているゴグマゴグが、思いっきり宙を舞う。
奴を吹っ飛ばしたのは絶大な魔力。その奔流が、ゴグマゴグを打ち上げた。
そして余波でフードが吹き飛び、姿が現れる。
広がる三対ずつの悪魔の翼。
フードが吹き飛び見えるのは、十代後半の少女の姿。
っていうか―
『行くわよ、亜香里っ!』
『うん、有加利ちゃん!』
―亜香里と有加利さんじゃんかぁあああああああああっ!?