混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
Other side
「……事態はどうなっている!!」
冥界にある後継私掠船団の監視施設という名の本拠点。
そこに速足で駆け込んだフロンズは、挨拶もそこそこに声を張り上げた。
大王派のナンバーツーとして、そして後継私掠船団の盟友として各種業務を執り行っていたフロンズだが、サウザー諸島連合の暴動が極晃奏者を生んだとなれば話は別だ。
弄奏による甚大な被害は、いまだ各勢力のどこも癒え切ってはいない。そんな時に極晃奏者が暴れ出すという事態など、下手をすれば暴動になりかねない。
必然、速やかな対処が求められるが対策班は比較的冷静と言えた。
「サルヴェイティングハウンド部隊が素早く対応した結果、極晃奏者達の抵抗は抑え込めました。被害そのものは甚大ですが、近隣国からも同プログライズキー部隊が急行して支援に入ったことで、何とか戦線は膠着しております」
「
その様子は、心からの安堵を覚えているそれだ。
極晃による被害をいやというほど知ってい者達達は、必然的に
主要な神々を隔離結界領域に送り込んだことが裏目に出たとはいえ、弄奏の時は世界最高峰の強さを持つシヴァと帝釈天すら三下一人の追い込まれる事態となり、グレートレッドが参戦しても勝てないと言い切れる事態になっていた。
それが、人間側のレイダー部隊だけで善戦。更に旧済銀神達が参戦したことでほぼ勝てると言っていい事態になっている。
この差は間違いなく明確であり、故に安堵する者は多数出てきており―
「愚か者!!」
―ゆえにフロンズは強い声で叱責する。
「それは安堵ではなく油断だ! 如何に衛奏が出てきたと言えど、それだけで確実に勝てるほど極晃星は甘くない! 気を引き締めろ!!」
『『『『『『『『『『は、はい!!』』』』』』』』』』
珍しく怒鳴ってきたフロンズに面食らい、それゆえに兵達は慌てて居住まいを正す。
それにため息をつきながら、フロンズはデータを確認する。
……実際問題、衛奏があるから極晃は大したことがないなどというわけがない。
極晃弄奏者、ミザリ・ルシファーはそれだけで勝てるほど甘い相手では断じてなかった。
大半の直下部隊は弄奏の後押しを大幅に削られたことで壊滅したが、肝心のミザリ自身は、極晃衛奏者たる九成和地とカズヒ・シチャースチエの二人との戦いそのものは勝っている。
入念な下準備と素早い対応で盛り返したミザリ個人は、衛奏だけでは倒せなかった。それすら想定した九成和地の一手及び、それを後押しした仲間達の底力があったからこそ打倒された。それでもなお、二人は即座に蘇生されたとはいえ一度死んでいるのだ。
相手がミザリほど入念な準備をしてないとはいえ、極晃星をなめてかかるわけにはいかないのである。
何より、本当に問題なのはこの後だ。
フロンズは観測班が算出した、敵極晃星のデータを確認する。
基準値:B
発動値:AA
収束性:D
拡散性:AA
操縦性:C
付属性:B
維持性:EX
干渉性:D
維持性が天元突破した極晃星。その神威は間違いなく脅威。
その力は永久戦士生成能力。味方に対する強化系の星であり、不滅の存在へと昇華させる星辰光を超えた星辰光。
全身が吹き飛ばされた瞬間にそのままの姿で復帰する不死特性。これにより、たった一人のレイダーに一個小隊規模のレイダー部隊が蹂躙される事態が発生している。
幸か不幸か、衛奏眷属化をもたらすサルヴェイティングハウンドプログライズキーの影響で、その特性は大きく弱体化。二時間そこらで数百回の死を繰り返されると追いつかず死亡し、衛奏の力をダイレクトに叩き込めるサルヴェイティングボライドの運用なら一撃で滅ぼすことも可能。九成和地に至っては流れるような連続攻撃で即死の連発をもたらしている。
また、不死であっても痛覚が残っていることから心が耐え切れず降伏や発狂により無力化することもできている。その点では比較的たやすい星に思えるだろう。
だが、これは使い手やその恩恵を受けている者達の場合に過ぎない。
此度の敵は、サウザー解放戦線。
裏の盟主である神祖を失い、政治的にも国力的にも微々たる速度だが衰退しているサウザー諸島連合。それを半端に理解したがゆえに国家の腐敗と誤認した、若手将校や学生によって結成された武装組織だ。
はっきり言えば半端に知恵がある馬鹿の暴走であり、しかしサウザー諸島連合の来歴ゆえに星辰奏者やプログライズキーの調達が比較的容易。そして流出技術から
だが、それゆえに心の強くない者も数多かった。それが死んでも蘇るという特性をかみ合いが悪く、心が先にへし折れる者が多数出てきている。
裏を返せば、
極晃の性質、そして保守的かつ視野の狭い者達が至った極晃星は、今回の状況と踏まえれば接続難易度は比較的低いだろう。
守りたい者を守るという強い意志。それを強い絆を持つ者と共にいる時に神星鉄を合わせれば。
「……ハーデスの警戒度を跳ね上げる必要があるな。それと、サルヴェイティングハウンドの追加発注にも一枚かみたいところだ」
古い保守派の集まりにとって、この極晃はフロンズが寒気を感じるレベルで相性が良い。
今後の世界情勢が更に揺れると悟り、フロンズは大きく嘆息するほかなかった。
和地Side
事態鎮圧から三日後。
「兆……超えたっ!?」
「超えたわねぇ。これでも、取り分そのものは減ってるのよぉ?」
リーネスがそう言ってくれるけど、俺は崩れ落ちた。
極奏者が新たに誕生。サルヴェイティングハウンドレイダー部隊が抑え込んでいる間に、他国からの増援部隊と共に俺が出張って敵極晃奏者を討伐。それはいい。
問題は、この事態で「サルヴェイティングハウンドプログライズキー、もっと必要じゃね?」となったことだ。
使用して焼き切れた分の補充+追加発注。しかも追加発注は、初期発注と桁が違った。これによって、俺の個人資産は億どころか兆行った。日本円で兆行った。
サルヴェイティングドッグ追加発注。これはすなわち、更新料も増えたということだ。
金……金が、減るどころか増える……っ。
「その辺にしておきなさい。というか、今回は大きく減衰してるでしょうに」
と、カズヒが俺を膝枕してくれて慰めてくれている。
これは極晃星の情報を各勢力が理解を進めたことに由来する。
衛奏の誕生は俺だけでなく、俺と想いを合わせたカズヒあっての物。それを知識として理解したことで、「ならカズヒ・シチャースチエにも取り分が発生するのでは?」という正論に気づいたらしい。
その為、前回俺とリーネスだけが貰っていた分今回カズヒが多く貰っている。
でもね? それでも兆超えてるんだよ? 今後も契約更新料が入ってくるんだよ? 毎年毎年数千億が約束されちゃったよ?
「……よし、こうなれば世界各地の孤児院に資金援助をする資産家になってやる。一か所年一で数百万ぐらいなら文句ないだろ!」
「教会系はこっちに出資させて頂戴。清貧を旨とする信徒的に、流石にこれを貯めっぱなしはちょっとね」
「そうねぇ。なら私は神の子を見張る者の技術開発部門に出資しようかしらぁ。……研究面で融通利きそうだものぉ」
俺を筆頭にカズヒもリーネスも使いどころを見極めてきている。
……とはいえ、今回は肝が冷えた。
星辰光を超えた星辰光。極晃星は、条件を揃えれば誰もが到達できる可能性を持つ。
一つ、神星鉄クラスの星辰体感応物質の保有。
一つ、極晃の基本ともいえる天元突破した資質の獲得。
一つ、人生の祈りにして勝利の答えを共有できる、運命の比翼と巡り合い共にいること。
これが成立するのなら、当然異能を知らない人間からでも到達者は出てくる。俺達はその辺りの危機感が薄かったな。
今回、到達した連中が程度の低い手合いで助かった。出なければ、被害は更に甚大になっていただろう。
だが同時に、到達した想いが「自分達の楽園を守りたい」というものだったことが問題だ。
ある意味で緩い到達条件ゆえに、何らかの方法で接続されれば同等の脅威が生まれやすい。むしろ接続者が心身共に鍛え抜かれた者達ならば、不死性によるごり押しはそれ以上の脅威となりえるだろう。
……まったく。俺が衛奏に到達していたことが不幸中の幸いだ。既存の軍事力でも対応が理論上は可能になるんだからな。
とはいえ、極晃の存在が一般大衆にも気づかれた可能性は大きい。今後、世界はかなり荒れるぞ。
そう考えると胃が痛いけど、そんな俺の頭をカズヒがなでる。
「ま、懸念事項は多いけどそこは不安視しすぎないようにしなさい」
カズヒもカズヒで渋い顔だけど、意外と冷静な雰囲気だ。
「そもそも極晃の到達は、第三条件が鬼門すぎるわ。連続で二人押し上げた私の言う台詞じゃないけれど、一生かけてもできないものが圧倒的多数派なのは間違いないでしょう」
まぁ、確かにそうだよなぁ。
第三条件が成立するほどの関係を、誰もが結べるわけがない。というより、結べる可能性のあるものとであるのも困難極まりないだろうさ。
どう考えても、宝くじで連続一等なんてレベルでは無い。……あと、普通の連中には神星鉄を獲得するのも困難極まりないし。
……まぁ、新しく極晃が出てくる点はそうなんだよな。
「問題は接続による、眷属としての極晃の担い手かしらぁ。比較的難易度が低いからねぇ」
リーネスは流石に技術的見識から警戒はしているが、まぁ難易度が高いのは事実だ。
と、なるとだ。
「これは頑張って、衛奏の到達者としてやることやるしかないか」
「「それはそう」」
ハモったね、二人とも。
アザゼルSide
「はぁっ!? もう新しい極晃奏者が出てきやがったのかよ!?」
定時連絡でそんな爆弾が叩き込まれて、俺は休憩中に呑んでいた酒を落としてしまった。
あぁ、年代物のスコッチが!?
いやまぁ、そんな次元の問題じゃないんだがな!?
『幸い、現地のサルヴェイティングハウンド部隊で対応がある程度できた為、近隣国からの増援と和地君達の突入で対応はできました。今回のデータで方向性の違う極晃について知れたので、人間世界では対極晃を視野に入れた国際組織の結成も視野に入れているようです』
アジュカは冷静に言っているが、よくすぐに対応できたな。
ミザリの弄奏だけでも、残った連中が総力を挙げて負けかねなかった非常事態だ。まぁミザリの策に完全に引っかかった所為ではあるが、本当にシャレにならない脅威だったな。
そういった要素や準備がないとはいえ、極晃を人間社会だけである程度対応できたってのはすげえ。いや、衛奏眷属が凄いのか。
データを見る限り、自分と眷属を不死にする極晃だな。衛奏によって弱体化されているうえで、下手をするとフェニックスを超える不死性を見せてやがる。
とはいえ問題は、だ。
「推定できる到達の想いから見て、今後接続する連中が増えそうだな。ハーデスの爺辺りとは相性良いんじゃねえか?」
『こちら側の対策として、サルヴェイティングアサルトドッグの運用を前提とするレイダー部隊をD×Dに配属することが決定しました。D×Dには本家本元がいるので油断していましたが、今回のケースを考えると面の対応力が必須でしょうから』
アジュカの答えを聞くが、確かにな。
まったく。不意打ちで極晃星とか、勘弁してほしいぜ。
いや、星辰光や極晃星の性質を考えれば、何時極晃奏者が誕生してもおかしくなかった。むしろ最初に誕生する極晃星が、俺達異形側でない可能性も十分すぎるほどあった。
もし衛奏が誕生する前にこの事件が起きていたら……世界が終わりかねないな。
「ったく。俺達異形も、何時の間にやら置いてかれそうだな」
思わずぼやくが、しかし半分頼りがいもある。
九成達衛奏の存在がある今なら極晃が来ても対抗はできる。その安心感は確かにある。というか、俺達が出張っても勝てない可能性は十分あるからな。
いっそのこと、向こうのごたごたを解決してから増援を送ってきてほしいもんだぜ。
……いやまったく、インフレが激しいにもほどがあるな、オイ。
ちょっと酔いが回って頭が回らないので、極晃星の説明だけで終わります!
☆
基準値:B
発動値:AA
収束性:C
拡散性:AA
操縦性:B
付属性:B
維持性:EX
干渉性:D
サウザー解放戦線で誕生してしまった極晃星。のちに星辰国奏者と称されることになる極晃の一角。
天元突破した維持性を持つ星が持つ権能は永久戦士創生能力。維持性が許す範囲内の存在から、自分にとって都合のいい存在を不滅の存在へと作り替える星辰光。
半永久的に最高峰の星辰奏者クラスの身体強化に、全身が吹き飛ばされても瞬時に再生する不死性を会得させた軍団を作る異能といってもよく、高い拡散性から戦術単位で無敵に近い圧殺が可能。たとえ核爆発に呑まれようと死ぬことのない軍勢は、間違いなく危険な存在といえる。
不死性に限定すれば神祖やその使徒を超え、さらに数百人を同時に不死にしても問題が発生しない力は、亜種でない極晃の真骨頂。まともに戦えば極晃以外はほぼほぼ確実に負ける難敵といえる。
ただし、それは本来の性能を発揮できればの話。衛奏により不死性が神祖にすら劣るレベルにとどまり、普通の手段でも短いサイクルで何百回も殺されれば耐え切れず永遠を維持し続けれなくなり死に至る程度が限界になっており、直接的に衛奏の力を叩き込める精神衛奏者やサルヴェイティングハウンドプログライズキーの力があれば、一撃で死滅させることも可能。致命傷の激痛を何度も繰り返すことで心が先に折れるものも出ており、死にたくても死ねない生き地獄から発狂したり投降する者が多数出る形で、何とか鎮圧に成功する。
……だが、一度特異点に焼き付いた極晃は消えることはない。そしてこの極晃は「自分たちの楽園を守りたい」という祈りから生まれているため、大切なものを守ろうとする強い意志で高位次元に接触することができれば、高い確率で国奏の眷属となるリスクが生まれてしまっている。
不幸中の幸いは、この星があくまで守勢に特化したものであること。そして正規国家の精鋭部隊を壊滅させるだけの力をそれでも持っているという事実は、世界各国各異形勢力の極晃に対する関心と警戒を跳ね上げることになる。
コンセプトとしては「ラスボスも主人公も張れない極晃星」といったところでしょうか。
シルヴァリオにおいてラスボスの極晃星は「極晃星戦闘そのものは勝つ」ものであり、主人公の極晃は「ラスボスの極晃のアンチテーゼ」といった側面があるとみなしております。国奏はそのどちらも晴れないが極晃として反則級にヤバイレベルにしてみました。
弄奏のコンセプトである「滅奏よりクソ」があまり成立してなかったので、そういう意味では試験策となっております。