混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
まぁ、書き溜めは多いのでまだ可能性段階ですが。
和地Side
改めて、
乳語翻訳はその性質上、手探りで新しく対抗術式を用意しなければならない存在。それも透過ですり抜けられるという、敵からすると嫌すぎるコンボ。流石に欺瞞情報を送り込むなど、異形歴新米にできることじゃない。
と、いうわけでこれで最低限の保証は確立したな。
だが同時に、情報源としては頼りないことは間違いない。
だがそれも仕方がないだろう。
「……不可逆の変貌を強引に戻すなんて離れ業を、
俺はフォローも兼ねて、その辺りをはっきり言う。
実際問題だが、あれは変貌というより加工に近い。
その性質上不可逆であり、例え幽世の聖杯があったとしても元に戻すのは不可能だろう。禁手になればあるいわといったところで、それにしたって簡単ではない。
だからこそ、記憶に障害が残って仕方がない。おそらく回帰は不完全で、様々な部分が欠落した状態だった。記憶が物理的に消失している可能性だってあるわけだしな。
「そして乳語翻訳で裏も取れた。今の君達に厳罰を下すのは、少なくとも
後天的に堕天使となり、聖書の神が作りし神器を持つ、魔王の血を引く少女達。
この時点でいろんな価値がありすぎるし、何より心神喪失に近い状態だ。シェムハザ総督もアジュカ・ベルゼブブ様もガブリエル様も、温情を出すことが必須になるだろう。
「そうだな! よかったじゃんか、二人とも!」
イッセーがほっとしてそう声を上げる。
ただ、鰐川も望月もいい顔はしてなかった。
まぁ、それは分かるだろう。
「でも、いいの?」
鰐川の方が、小さく呟いていた。
その肩は震えているし、顔色も悪い。
そして、俺達も分かっているその理由を、望月も言葉にする。
「……この町を壊して、たくさんの人を死なせたのは……私達だった者がしたことでしょ」
そう、このテントの外にある廃墟と化した街並み。
それは間違いなく魔獣化した存在が起こしたことで、その先駆けとなっていたのは二人がなってしまっていた存在だ。
そして、二人も気づいているんだろう。
「お父さんもお母さんも、もういないよ……?」
「それに、学校のみんなも、私達が……っ」
鰐川も望月も、悟ってしまっている。
この町を破壊し大量の死者を生んでしまったのなら、当然だが自分達と縁のある者達も多数滅ぼしてしまっている。その事実を悟っている。
重いだろう。真っ当感性なら抵抗を持って当たり前の所業だ。それをしてしまったという確信があるのなら、心をきしませるのには十分だ。
……だからこそ、だろうな。
「だとしても、だ」
「ああ、そうだ!」
俺は静かに。イッセーは力強く。
そこに手を差し伸べる。そういう性分なんだよ、俺達は。
誰かの笑顔を守る
そんな俺達がどうするかなんて、そこは決して揺らがない。
「悲劇を齎してしまった以上、いやでも背負うしかないことはある。君達が罪悪感を持っているというのなら、そこに対して筋を通してケジメをつけるに越したことはない」
俺はそう前置きし、そして胸を張って告げる。
「……その為の手伝いぐらいならさせてもらうさ。なにせ、最愛の銀弾が受け取った願いだからな」
ああ、そこに関しては明言できる。
カズヒ・シチャースチエが助けることを請け負った。その時点で俺も無視する道理は欠片もない。
正義を奉じる必要悪。邪悪の宿敵、祓魔の銀弾。それがカズヒ・シチャースチエの在り方だ。そう生きてこう死ぬと近い、それを実行し続ける女だ。
そんな彼女が、助けることを請け負った。なら俺も助けに動くさ、当然だ。
そして、請け負ったのはカズヒだけでもない。
「そういう事さ! リアスやゼノヴィアだって聞いてそうするって動いたんだし、俺だって力は貸すさ!」
心の底から当たり前のようにはっきり言って、そのうえで少し憮然とした表情になる。
「それに二人は悪くないだろ? 悪いのは、二人を魔獣にしてそんなことをさせた奴だ。……もし戦うことになったのなら、絶対に俺が倒してやるさ」
「ま、実際諸悪の根源はそいつだろうな。しっかり落とし前はつけさせてやる」
俺もそこには全面に賛成したうえで、ただ言うべきことは言っておく。
「まぁ、それでも背負わずにはいられない物はあるだろうしそこは止めない。……ただし!」
そう、一番言うべきはこれだ。
「背負う意義が欠片も無い物を背負ったり、許容量を超えて潰れるような真似まではしなくていい。それじゃぁ二人を助けた
「だな! 文字通りその歩人って人が二人を助けて見せたんだ。しっかり幸せになったって報告できるように生きないと駄目だって! 出なけりゃそいつが可哀想じゃねえか」
イッセーも同調して、二人はともにきょとんとしてから、力なくだけど微笑んだ。
「……そうね。ずっと沈んだままだったら、歩人君が泣いちゃいそう」
望月がそう寂しげに笑うと、鰐川の方もうんうんと頷いていた。
「分かった! とりあえず、しっかり眠ってから頑張ります!」
「うん、そういうのは俺好みだ! 二人とも色々大変だったんだし、まずしっかり休んでから考えよう!」
イッセーが鰐川に同調しかけているけど、まぁそれはいいだろう。
それはそれとして、俺は望月の方に近づくと隣に座る。
私見だが、鰐川はどちらかというと責任感が強いからこそ前向きになれるタイプだろう。イッセーみたいなタイプと絡めば、真っ直ぐ進めるはずだ。
ただ、望月の方は気負っている。これは責任感が強いからこそ抱え込んでしまうタイプと見た。
「……さっきも言ったが、背負いすぎるなよ。人にはそれぞれ許容量ってものがある」
だから俺は、釘を刺す。
はっとなる望月に、俺は目を見てはっきりと告げる。
「責任を背負うことはいい。だが背負えない重荷を無理に抱え込んでも、誰かを巻き込んで自滅するだけだ」
大抵の存在には許容できる限界がある。そしてそういうものは、限界を超えれば破裂するなり押し潰すなりするものだ。
そして、場合によっては周囲を巻き込んで大きな悲劇を生み出しかねない。そういうケースは腐るほどある。何より、俺はそんなケースで生まれた存在だ。
だからこそ、これははっきり言っていい。
「無理に限界を超えようとしなくていい。カズヒねぇもリアス部長もゼノヴィアもイッセーも、そして俺もそこまで求めない。……無理して倒れる前に、ちゃんと誰かに……いや」
ここまで行ったのなら、最低限の責任は取らないと。
「俺に言え。肩ぐらいは貸してやる」
その言葉に、一筋の涙が零れる。
……まずい、言いすぎたか?
俺はちょっと冷や汗が出てきそうになった。
「その、プライド傷つけたのならすまない」
「……ううん。そういう事言われたの、あまり記憶になかったから」
あ~。なんというかしっかり者の印象があるしな。
まぁ、それが悪いってことはない。ないが、それはそれで苦労があるだろう。
だったら―
「……ま、縁があったら少しは頼ってくれ。こっちも常に何でもかんでもできるとは言わないけど、頼めば力貸してくれる人達も多いんでな」
―少しぐらい、肩の荷を下ろせる場所があった方がいいだろう。
「……ええ、ありがとう……っ」
うん。
泣くことそのものは否定しないし、悲しい時に泣きはらせないのも問題だ。
だけどやっぱり、涙の意味は
少し止まらなさそうだし、ちょっと待ってあげるとしますか。
カズヒSide
「よろしくお願いします……ボス」
「リヴァに感化されないで頂戴」
話をし終えた後の、アフォガード……もう緋音でいいか。
緋音の第一声がこれか。リヴァの影響を悪い意味で受けてないかしら。
「そうよリーダー。ややこしくなるからカズヒをボスと呼ぶのはたまにだけ!」
「駄目だよ。むしろややこしいから……リーダーは終了」
鶴羽のズレた反論になんかズレてそうなツッコミを緋音はしている。
その上で、リーネスが用意した特別製の輸血パックから血をチューチュー飲み始めた。
まぁ、死徒は血液の補充が必須だものね。効率的なところをも魔術的に対応したリーネス印の加工済み輸血パック。これさえあれば血液関連は問題なさそうだわ。
「で……ボス。その……ありがとう?」
「いえ、お礼を言われるようなことしたのかしら?」
正直突拍子もないお礼な気がするのだけど。
そう思っていると、何故かリーネスやリヴァが苦笑している。
「瞼の裏の笑顔の誓い。あれがあるからこそぉ、和地は今の和地なのにねぇ?」
「いやホント、カズヒには感謝感激雨あられ。おかげで素敵な共有ダーリンをゲットしちゃいましたー!」
そ、そう返されるとちょっと反論しづらいわね。
私にとっても和地にとっても、あの日の笑顔に交わした誓いは原点だ。あれがあったからこそお互いに頑張れたし、成長できた。
あの日私を救ってくれた笑顔の君。彼もまた、私の笑顔に誓って生きて、私を再び救ってくれた。その笑顔が、多くの人を救ってきた。その笑顔で、多くの悪を祓い続けた。
自然と、私の頬は染まって少し緩んでしまう。
「……ええ。私達は互いの笑顔でここまでこれたもの。存分にご相伴に預かりなさい」
思わず胸を張ってそんなことを行ってしまう。
ただ、それを見るリーネスも鶴羽も、安堵している笑顔を浮かべていた。
いつもいつも、心配かけて悪いわね。大事な私の二人の親友。
これからも思う存分、和地と一緒に生きていきましょう。これからも胃に悪いことをすることになりそうだし、それぐらいはさせて頂戴。
「……ちなみに昨夜、鶴羽とボスが完全サポートでリーネスの初夜をエスコートしてました」
と、一瞬のスキをついてリヴァが余計なことを緋音に告げやがった。
視線が、視線がもの凄く微妙なものを見る目つきに!
「それはどう……なの? いや、ザイアでもそういう事あるから……鶴羽がいるならトチらないけど」
「余計なこと言ってくれたわね」
アイアンクローをそろそろリヴァにお見舞いしたくなってきた。
まぁ、それはともかく。
「とりあえず、異形には慣れそうかしら?」
私はそこを確認する。
かつてザイアの偏向教育を受け、異形を受け入れきれないと記憶を自ら消去することを選んだ緋音。
正直そこが懸念だったけれど、思ったより割り切れているのかしら。
「……私も、似たような経験が……あるの」
そう告げる緋音の頬は、複雑に歪んでいた。
「私の家族は……異形と思われる強盗殺人で殺された。でも、私だけは……助けが間に合った」
その言葉に込められた感情は、本当に複雑に入り乱れているのだろう。
「一生懸命守ってくれて……間に合わなかったことを泣きながら謝ってくれた、あの人。彼女みたいになりたいと……ザイアに入ってから頑張ってた」
「……そっか。その大前提が崩れそうになれば、それは耐えられないかもしれないわね」
リヴァがそうしんみり語る中、緋音はそれでも表情を微笑に傾ける。
「うん。きっと、和ちゃんのことが好きなったのは……同じなんだ」
なるほど、ね。
直感的に悟っていたのでしょう。
和地が瞼の裏の笑顔に誓ったように、彼女も己の在り方を誓った過去がある。
それは大前提の崩壊で崩れそうになったけれど、でも結論として、取り戻せた。
「私は、やっぱり私みたいな人を……減らしたい。その為に……この新しい人生を、使いたい」
胸に手を当てて思い出すのは、きっとあの日の原風景。
己の原点を取り戻せたのは、異形に対する抵抗心を、異形によって救われ異形になったことによるショック療法かもしれないわね。
なら、私が言うことは一つだわ。
「あまり言えた義理ではないけど、無理と思ったら素直に伝えて」
ああ、私も感謝したい。
「和地の大事な先輩なら、和地は絶対力を貸す。私だって、手が空いているならちょっとぐらいサポートするわ」
この人は、きっと和地にいい影響を与えてくれた人だ。
なら、私も彼女を守りたい。和地がそう思っているだろうからこそ、私も手が空いている時ぐらいは手伝おう。
その想いをもって、私は緋音に手を差し出す。
「貴女が手を取ってくれるなら、私達は貴女を歓迎するわ」
その手を、緋音は一瞬の躊躇を振り切って取ってくれた。
「よろしく……ね、リーダー」
その決意に敬意を。そして、これからの貴女に幸いを。
さて、和地はそろそろ帰れるようになるかしら。
「……あ」
「「「「あ?」」」」
四人揃って疑問符を上げるけど、私は今壮絶な事実に思い当った。
今和地は、責任を取る形で鰐川亜香里と望月有加利を探している。
そして、同行しているのはイッセー。
それが今かみ合って、結論が出た。
「……新入りはもう一人できるかもしれないわね」
「「あぁ~……」」
リーネスと鶴羽が心底納得し、天を仰いだ。
相当メンタル参っている可能性があるあの二人が、よりにもよってイッセーや和地に接触する。
これはあり得る。かなりあり得る。場合によってはどっちも一人でという可能性があるけれどね。
「覚悟してね、後輩ちゃぁん? カズ君は天然女ったらしの権化だから。前世の父親からすけこましの才能だけを受けついた超優良物件の権化だから」
「あ~。和ちゃん、ザイア時代でも女子人気凄かった……からね」
でしょうね。
ふっ。むしろここでそれぐらいできなくて何が和地か。
やってしまえ涙換救済。私の男ならそれぐらいはやってのけてこそと示してみなさい!
イッセーSide
ちょっとテントから出て、俺は鰐川さんと歩いていた。
「よかったのか? 望月さんを置いといて」
それとなく袖を引っ張ってきた鰐川さんについてきたけど、つまりそっとしておいた方がいい的な感じかもしれない。
だけど、ちょっとした素振りで分かるぐらいにお互い仲がいい感じだったけど。
「ん~。なんとなく、弱いところをちゃんと出してほしかったからかな? ……自分でも意外なぐらい、そう思ったの」
そう答える鰐川さんは、自分でも不思議そうだった。
ただ同時に、そこに迷いない感じだ。
「私や歩人くんにとって、有加利ちゃんはお姉さんって感じで、いつも甘えてたの。……でも、それだけじゃいけないって、今は強く思うんだ」
そう言いながら、鰐川さんは空を見上げる。
その表情は自分でも不思議そうで、悩んでいる感じだ。
ただ、同時に強い決意が見えていた。
「……うん。きっと、歩人君が遺してくれたんだね」
そう呟くと、鰐川さんは急に両手で自分の頬を叩く。
気合を入れている。そういう事なんだろうな。
実際、それを終えた鰐川さんの雰囲気はもっとしっかりしていた。
「うん、頑張る! 歩人君が繋いでくれたのなら、私はちゃんと頑張らないとね!」
「……そうだな」
ああ、俺もそう思う。
「その歩人ってやつのことは知らないけど、命を捨ててでも二人を助けようとしてくれたんだろ? だったらその分、いっぱい頑張って笑顔でいられるようにならないとな!」
「そうだよね。……うん、頑張ってそうなれるように生きてみるよ!」
元気いっぱいで頷いた鰐川さんは、そのままふと顔を逸らしている。
「あの人にも言われたしね! 結構厳しいけど、実際そうだと思うから」
「……ラムルの奴か」
後継私掠船団の新しい筆頭戦力。それも、ルシファーの先祖返りとかいうとんでもない奴。
そういや、一緒にいたな。
「何言われたんだ?」
なんつーか、あれで妙に影響力あるからなあいつら。ちょっと変なこと言われてないといいんだけど。
そんな気持ちで聞いてみると、鰐川さんはちょっとすすけているような雰囲気になっていた。
そんでもって、なんというか顔の雰囲気がラムルっぽい感じになった。
「……身内が泥被ってまで命繋げてもらったんなら、笑顔で墓参りできるように生きるべきだろ。それが嫌だっつーんなら、さっさと死んで否定しろ……って」
「き、キッツいこと言うなぁ」
前半はちょっと納得できちゃうのがあれだ。
俺もまぁ、似たようなことするしそのあと笑顔でみんなを支えて生きてほしいとか、リアス達に思ってるしな。ちょっと否定できない。
いや、後半はどうかと思うけど。ようは「残りの人生ウジウジ生きる方が失礼だし、そもそも無意味だろ」って感じなんだろうけど? それにしたって乱暴すぎるだろ。いや、後継私掠船団らしい気がするけど。
「でも、そうなんだよね。歩人君が命を捨ててでも助けてくれたのなら、歩人君が笑顔になれるような生き方をしないと……さ?」
「そうだな。そこは本当にそう思う」
だから、俺はもう一度言っておいていいだろう。
「そんな奴からリアスが君達を託されたっていうなら、俺ももちろん力になるぜ」
ああ、ここは絶対約束だ。
リアスが託されることを受け入れたっていうなら、俺は当然その力になる。それだけさ。
拳を握って突き出して、俺は鰐川さんに約束する。
「約束だ! 今度似たようなことになるのなら、俺が必ず助け出す!」
鰐川さんは一瞬きょとんとしてたけど、目に涙を浮かべながら笑顔で頷いた。
「うん! その時は、お願いねっ」
安心してくれ。俺は約束は守る男だからな。
おっぱいドラゴンはそこは裏切らないさ。例え死んでも守るからな!
『……あまり相棒を焚きつけるな。こいつは本当に死んでも守ろうとするからな』
ドライグ、空気読んでくれ―
『『『『『『『『『『……きゅー?』』』』』』』』』』』
―ん?
俺と鰐川さんが、急に聞こえてきたたくさんの声に首を傾げる。
え、どこから?
『……なるほど、これもまた縁というやつか』
ドライグ、どういう事?
『その娘が持っている神器、ドラゴン系の準神滅具だ。ヒツギやヒマリより格上のな』
「「えぇええええええええええっ!?」」
思わず揃って大絶叫して、周囲を騒がせてしまったよ。
おいおい、マジで準神滅具かぁ。世界は広いのか狭いのかって感じだな、オイ。
とりあえず、前半はこれにて終了。いったん原作の展開に戻ります。