混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
和地Side
卒業式の日。俺は校舎裏で緋音さんに電話をしていた。
聖杯で可能な限り回復させるだけでなく、死徒化まで併用することで何とか自我を取り戻した緋音さんだが、元々異形に対する抵抗を消しきれなかったから記憶の方を消していた人だ。
最終的には「そこまでしたなら責任も持ちなさい」と俺達で面倒を見ることになったが、それまでに慣れが必要だと判断されている。
……兵藤邸はメンバーの異形率が半端ないからな。記憶を消した数年間が抵抗を和らげ、死徒化がショック療法としても機能した。それでも抵抗が全くないわけではない。
だからこそ、改めて異形の側や異能の側から人間と異形についての関係性を見つめ直している。それがあれば、ある程度は行けるだろうとカウンセラーからも判断されている。
「……それじゃぁ、もうすぐ退院できるのか?」
『うん。まだ異形には慣れないけど……良い人達だね』
その返答に、俺はホッとしつつも安堵する。
緋音さんならイッセー達とも良い付き合いができるとは思っている。ただしザイアで刻み込まれた異形=邪悪という図式が邪魔をしている形だ。
それを分かっているから、緋音さんは記憶消去を選んだ。それはつまり、理性でそれが間違いだと分かっても感情が納得できないという事。知識としては理解はできているからこそ難儀な問題だ。
それが純人間の組織にあんなことになり、異形に救われる形で異形になった。正直精神面においては不安すぎたが、結果的に上手くハマってくれたようで良かった良かった。数年間の記憶を消した日々がインターバルにもなったわけだ。
「それで、退院後はそのままか?」
『どう……だろ? 少しだけ……ならしてからの方が、いいかな?』
まぁ確かに。
刷り込み的なものはだいぶ薄くなっているが、いきなり異形との生活は心労が酷いだろう。兵藤邸は純粋な人間が殆どいないからな。割ときついか。
となると、ある程度のお試し期間がいるか。その辺りも考えておかないと進められるものも進められないな。
ただまぁ、思ったよりスムーズに進んでいるようで何よりだ。
「緋音さんが、前向きに異形になれてくれて良かったよ。あいつら基本的に、困ったところはあっても良い奴だからさ」
だから、それはホッとしている。
……あれ? 返事が返ってこない?
『だ……だって、和ちゃんも異形に……なってるし』
………。
ああ、なるほど。
そういえば俺との再会から俺が堕天使化したことについて、インターバルあったな。
あれが効果的ってことか。そっかそっか。なるほど。
「っしゃぁ!」
『何を……大歓声してるの!?』
いや、だってさぁ?
「愛の力が心の縛りを解き放つとか、テンション上げずにどうしろと?」
いやぁ~。モテる男はつらいな~。
そっかそっかー。俺ってば、俺に惚れることで潜在意識レベルの苦手すら克服に尽力しちゃうか~。無自覚に人の心をときはなっちゃうか~。
よっし! この調子で日々成長! カズヒにもインガ姉ちゃんにも春っちにもリヴァ先生にもベルナにも鶴羽にも、誰に対しても胸を張れるように頑張るか!
『もう、その辺に……して。ほら、そろそろ学校も……始まるでしょ?』
うん。これは顔が赤くなっている緋音さんの雰囲気が分かる分かる。
実際そろそろ教室に戻った方がいいしな。とりあえずこの辺にしておくか。
「確かに、今日は卒業式だしな。先輩方に悪いし準備をしておくよ」
……ここに来てからは半年そこら。だが濃密な時間だった。
なんだろうか、感慨深く感じてしまう日になったもんだ。
カズヒSide
式直前で体育館に移動する前に、念の為に用を足しておいた。
そして手を洗って改めて向かえば、見知った顔を見つける。
「……サイラオーグ・バアル?」
「カズヒ・シチャースチエか。リアス達の節目なので祝いにな」
まぁ、親戚ではあるからいいのかしら。
しかし彼までくるとなると、これは相当のメンツがきそうね。
……アジュカ・ベルゼブブ様まで来たりするのかしら。いえ、流石に彼は来ないでしょう。仕事忙しでしょうし。
「ちょうどいい。既に兵藤一誠にも言ったが、お前にも伝えておこう」
そう前置きすると、サイラオーグ・バアルは強い意志を込めた目で私を見る。
「国際レーティングゲーム大会。俺も出る。お前達も出るといい」
何も取り繕わない、シンプルな宣言。
彼なら出るとは思っていたけれど、まさかこんなことを言うとわね。
「こんな機会は滅多にない。神々も出るだろうからこそ、その力をぶつけ磨くいい機会だろう。何より、お前のような強者がぶつかり合ってこその催しだろう」
「安心しなさい。一応出るつもりではあるわ」
私はそれを素直に返すと、その上で小さく微笑んで見せる。
「言っておくけど、優勝を狙っているから。私に挑むのならそれぐらいする気概で来ることね」
「それはいい。あのヴァーリ・ルシファーすら下して見せたお前となら、滾る戦いができそうだ」
なるほどね。
まぁ、別に問題はないでしょう。
お祭り騒ぎは楽しまないと。同じ阿保なら踊らにゃ損と。
だから私も言うべきね。
「お互い楽しんでいきましょう。バカ騒ぎは笑って楽しんでこそよ?」
「……面白い。なら、勝利の大笑を上げるとするさ」
そう言葉を交わし合い、私は先に体育館に向かう。
そして少ししてから始まった卒業式。
予想通りというべきかしら。かなりのメンツが集まっていた。
グレモリー夫妻、バラキエルさんといった卒業生の親族が、泣いたり笑ったりとしている。
そこのグレイフィアさんの姿もあって、少しほっとした。彼女は最近姿を現してなかったから、引き籠ってないのは良い事だもの。真剣な表情なのがちょっと気にはなったけれど。
だけど、私はとても感慨深いものを感じていた。
……私も来年、卒業式に出るのだろう。
かつて私は出れなかった。最後の月に誠にぃは行動を開始し、私はそれから瞼の裏の誓いが為に全てを賭けた。
それでも結局、たくさんの人達を道連れにして破滅した。私の業は背負うしかなく、だから卒業式なんて行けなかった。
私は来年、そこに居ていいのだろうか。そう思う。
そこに居てもいいだろうと、せめて容認されるような生き方をしよう。そう願う。
だから、私は卒業証書を受け取る彼らの姿を目に焼き付ける。
来年はそこに私がいる。それを、成し遂げることを決意する為にも。
「……ぅ……ぐずぅっ! ひぃ……っぐ…!」
少し離れたところで感極まりまくっている、鶴羽にはあとでティッシュを渡しに行こう。
和地Side
卒業式を終え、卒業証書を持ったリアス部長と朱乃さんは門から外に出た。
それを出迎えた俺たちは、三人の決意を見届ける。
「……リアス姉さん」
「リアス姉様……」
「り、リアスお姉ちゃん!」
そんな風に部長を呼ぶのは、木場に小猫にギャスパー。
初期からリアス・グレモリー眷属であり、リアス部長から家族として接されてきた三人。
少し前から二人以外のメンバーは相談されており、俺達は賛成している。
……あ、リアス部長感激している。
「ふふ、もう一度呼んで頂戴?」
「あまりからかわないように。これでだいぶ緊張してるのよ?」
ちょっとはしゃいでいるリアス部長をカズヒがたしなめるが、まぁこれぐらいはいいだろう。
「……あらあら。なら私も呼んでくださいません?」
「あわわわわっ! い、今はリアスお姉ちゃんだけで限界ですぅううううう!?」
あらら。朱乃さんの方までは無理だったようだ。ギャスパーはそろそろ限界っぽいな。
ま、それはいいだろう。
「ふふふっ。三人とも、前から覚悟してきてましたものね?」
「そうですね。朱乃さんもとなると、また覚悟する期間が必要そうです」
ヒマリやルーシアが小さく笑うと、皆に笑いが伝染する。
そんな中、イッセーがこれまた緊張した様子で一歩前に出る。
俺達がちょっと見守る体制に入っていると、視界に割と何人か見てきてる人が見えている。
ちょっと気を利かせて気配遮断の結界でも張った方がいいだろうか。そう思った俺は、その直後に目を見開いた。
……金の髪と薄紫の髪の二人の少女。こちらではなく学園を見ている子達だけど、仲が良い外国人だと一瞬思う。
問題は薄紫の方。俺はその少女を見た時、思考が真っ白になりかける。
そのまま去っていくその少女は、まるでカズヒのようで―
「……和地? どしたの?」
―その声に、ハッとなって振り返った。
「なにやってんのさ? 今盛り上がってるよ?」
ヒツギがこっちにいぶかし気な表情を向けている。
……ちらりと視線を戻すと、もう姿はなくなっている。
「悪い、ちょっと疲れてるのかな?」
「おいおい勘弁してくれよ。俺今、一大決心した宣言したんだぜ?」
イッセーに憮然とされるが、愛の告白とかなんて再確認だろうに。
そう思った俺だったが、アニルがちょっと慌て気味だった。
「和地先輩。イッセー先輩、自分のチームでアザゼル杯に出るそうですぜ!?」
え、マジか。
「……そのあと本格的に愛の告白だってしてたってのに、お前完全スルーとか疲れすぎだろ」
「すまんイッセー。だが思い切ったなぁ」
俺は何というか感心したけど、だがなんていうか……面白くなってきたな。
「実は俺も、アザゼル杯に参加したいって思ってるんだ」
『『『『『『『『『『おぉ』』』』』』』』』』
ちょっとびっくりされるが、まあそうだろう。
「何というか、極晃を否定した責任? 極晃が無くても世界を守れるように、俺自身がどこまでできるか試すいい機会と思ってな」
「因みに私とも競い合いたいそうよ? ふふ、少し楽しみだわ」
カズヒも乗っかってくれるけど、これは実に楽しそうだ。
ああ、今年もきっと騒がしく、だけど楽しい時のある一年になりそうだ……な。
Other side
「どうしたの、シルファちゃん」
「何でもないわ、お姉ちゃん」
「そうなの? さっきどこか別のところを見てた気がするけど」
「いえ、視線を感じたような気がしたから。……でもまぁ、日本は単一民族国家だから私達目立つわよね」
「それもそっか。でも、駒王学園は他国からの留学生も多いんだって。ちょっと楽しみかも」
「飛び級入学せず、年齢通りにハイスクールの三年から転入するものね。……私はお姉ちゃんがいればそれでいいけど」
「もぉ~。そういう事ばっかり言ってたら駄目だよ? 折角の新しい世界なんだから、楽しまないと」
「だから頑張ろう? ザンブレイブ・チルドレンだからこそ、日本に留学できたんだし」
「そうね。ハルトナイン・オーシャン様様だわ」
『……アジュカ。それで彼女達はどうするのですか?』
「結局のところ、駒王町の結界には引っかからなかったが油断はできません。シェムハザ総督もガブリエルも、最低限の警戒は怠らないように」
『そうですねぇ。あの二人が無関係でも、ハルトナイン・オーシャンがサウザンドフォースと無関係であることは意味しませんし』
『そうですね、ガブリエル。……アキシオン同盟及びナインハルト・コーポレーション。直接的な繋がりはサウザンド・ディストラクション後ですが、だからこそ、調べる必要があります』
「アザゼル元総督がイッセー君の子供達と接触したことで、この世界における大きな異分子があることを知れた。そこから逆算したいくつかの要警戒対象」
『アキシオン同盟とハルトナイン・オーシャンは可能性としては中堅ですが、サウザンド・ディストラクション後に同盟を結んでいることから警戒対象から外れせません』
『他の方々も調べてくれますけど、わざわざハルトナイン・オーシャンのザンブレイブ・チルドレンが駒王町に来るのなら、そこを調べるのは私達ですよねぇ』
「オカルト研究部の者達にも情報はある程度統制しなければね。……杞憂で済めばいいが、万が一があるから……な」
いろんな連中がいろいろと動き出す伏線も張りつつ、卒業式は無事終了。
……さぁ、ここから激戦と爆笑の渦が巻き起こるぜ……っ!!