混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部 作:グレン×グレン
Other side
「そういえばよ? サード・スコードロン、初試合がおっぱいドラゴンとデュナミス聖騎士団だとよ?」
「そうか。それは実にありがたい」
「ありがたいぃ? どう考えてもちょっと邪魔な雑魚どまりだろ? ある意味デビルレイダーの価値が下がるんじゃね?」
「あれは化け物に負けさせる経験を積ませるのが目的だと言っただろう? むしろ調子に乗って暴走させないよう、神クラスが出てくるような試合を経験してもらいたかったのでな」
「……ま、あれは一個中隊や一個大隊、それこそ連隊規模や師団規模の運用を視野に入れてるからな。統率をとる集団戦術に変な野心はあると困る」
「そう。デビルレイダーはいうなれば、雑兵の蹂躙や人海戦術による圧殺が本命だ。つまるところ、野心や功名心で変な動きをしない者達に与える武装なのでね」
「だからこそ、少数でヤバい連中に挑むなんて考えを捨てさせるってか? 怖いねぇ、フロンズは」
「ふふ。分ったうえで兵士を調子に乗らせたのは君だろう、ノア」
「後継私掠船団みたいな光極めたメンタルならともかく、有象無象は鼻っ柱が粉砕されるような挫折経験があった方がいいだろ。命令を順守して余計なことをしないってのが、数担当の連中には必要だからな?」
「そういうわけだ。精々、冥界の英雄と教会の精鋭集団には彼らの増長するリソースを削ってもらおうか」
和地Side
俺達が見守る中、ついに試合は始まった。
デビルレイダー部隊はそれぞれ分隊に分かれつつ、外周を囲むように展開し中央部に向かって動いていく。
包囲の形をとることで、あえて乱戦を避ける狙いだろう。またこの形式が本質的に二チームの争いである以上、イッセー達やデュナミス聖騎士団は連携をとるという選択肢は取りにくい。その心理的圧迫も含めているな。
やはり、このルールはデビルレイダー部隊の訓練を兼ねているな。そうでなければ、二チームが決着をつけることを重視しない自分達が両方倒すような策はしないだろう。
さて、イッセー達はどう動くかと思ったとき。デュナミスの新生チームに動きがあった。
『おぉっとぉ!? デュナミスの新生チーム、全力で後退しております!? どういう動きでしょうかぁ!』
デュナミスの新生チームは凄い勢いでフィールドの端に移動している。
……なるほど、そういう事か。
「背水の陣、という事か?」
サイラオーグ・バアルも気づいたようだが、おそらくそうだろう。
ただ、マグダランさんの方は首を傾げている。
「背水の陣は知っていますが、レーティングゲームでする意味がありますか?」
言いたくなる気持ちは分かる。
レーティングゲームは限られたフィールドでお互いが競い合う競技だ。背水の陣以前に逃げることがほぼ不可能であり、態々そんなことをする意味が薄く感じるだろう。
だが違う。あれにはもっと意味がある。
「マグダランさん、実は背水の陣は堅実な策なんです」
そう、あの策は案外理に適っている。
「元になった逸話では、あれは敵を城からおびき出すのが目的の一環。その後別動隊で城を落としたそうです」
そう、背水の陣は逃げ道を断って気合を入れさせるだけではない。
むしろ川を後ろにするということは、逃げることができない代わりに敵に後ろをとられる余地も薄くなる。そうなれば集中して戦うことができ、別動隊が城を落とすまでしのぎやすい。
そう、フィールドが制限されるということは、後ろをとられない場所をとれるということになる。
加えて―
「自分達は後ろをとられない中で、攻めに転じた兵藤一誠達と攻撃を仕掛けるデビルレイダー部隊が入り乱れたところを攻撃できる、という事だろうな」
サイラオーグ・バアルはその辺りをしっかりと読んでいる。
自分達が乱戦になることを避け、敵の仕掛けてくる方向を制限する。ある意味で正当な作戦だろう。
さて、イッセー達はどう出る―
『喰らえ∞ブラスタァアアアアアッ!』
―と思ったら、盛大に大火力砲撃がいきなりぶっ放された!?
そして砲撃はそのまま一片を吹き飛ばす。
巻き込まれたデビルレイダー部隊は瞬く間にリタイアし、安全地帯が完成してしまった。
大味な作戦だが、これは読み切れなかったかもしれないな。
なにせ、疑似龍神化は一分も持続できない切り札中の切り札。可能ならある程度取っておきたいと思うだろう。雷光チームとの闘いでも、速攻で使ったりはしなかった。
だからこそ、速攻の発動は想定外になる。
そして一方向を盛大に吹き飛ばしたことで、イッセー達も安全地帯を確保したようなものだ。
既にそこに向かい進軍してから、時計回りにチーム一丸になって走っている。
やっぱりあの火力、反則じみているな。
今後イッセー達のチームと戦うのなら、あの火力をどうにかする手段かイッセーを完全に抑え込める戦力が欲しいところだ。出なければ、圧殺されるのが目に見えている。
となると、俺達の場合は俺がイッセーを抑え込むしかないだろう。しかしそうなると、俺とキャスリングの組み合わせをブラフにすら利用する俺達のチーム的に扱いが難しいところはある。
やはり人材の確保は急務か。今後を踏まえると、俺一人が極点ではいけないということは確定的に明らかだしな。
そんなことを考えていると、どうやら各チームはそれぞれが集まっているな。
二個分隊ほど吹っ飛ばされたデビルレイダー部隊は、あえて圧殺される可能性を覚悟して一回合流。そのまま移動を開始する。
イッセー達はそのまま時計回りに移動し、しらみつぶしでデュナミスの新生チームを探している。
さて、既に待ち構える形のデュナミスの新生チームはどう動くか。
そんなことを考えながら、俺はちょっとだけ目を閉じる。
ヒマリ・ナインテイルとヒツギ・セプテンバー。俺の母親たる道間乙女の成れの果てともいえる、二人の少女。
長年ザイアで相方になっていたヒマリや、出会ってからすぐに苦労人な感じで同調していたヒツギ。二人の少女がイッセーに恋い焦がれていることは分かり切っている事実だ。
だからこそ、俺は二人の方を応援している。
勝ち負けはこの際置いといて、悔いが残るような無様はさらすなよ。そう願う。
さて、どうなるかな?
そう思った時、デュナミスの新生チームも動きを見せた。
……へぇ、そう来るかっ!
カズヒSide
試合は序盤から大技が飛び出すような、インパクトのある展開になっている。
最もそこから少し落ち着いているけれど、デビルレイダー部隊を含めた全チームが集まり、そこからといったところね。
「……デビルレイダー部隊に引っ掻き回されることを避けた、といったところかしらね」
私が映像を見ながらそう呟くと、隣の鶴羽も頷いている。
「ま、複数勢力が入り乱れるなら挟み撃ちとかは避けたいしね。当然っていえば当然?」
「安全地帯を確保してから、そこまで集まって囲まれるリスクを減らす。ま、適格だわなぁ」
勇ちんもそう言うけれど、まぁそう来るわね。
……レイヴェルの作戦傾向は、自分達の強みを如何に押し付け続けるかに集約されている。
弱みをカバーする為にリソースを割くより、長所を押し付け続ける為にリソースを集中する。一つの選択肢ではある。
まぁ実際、明確な強みがあるならそれを押し付け続けるのは有利だもの。それを押し付け続ける戦術ドクトリンはある意味で正道。覇者の在り方といえるだろう。
態々相手の土俵に付き合ってやる義理はない。どちらかと言えば私よりだけれど、そこにどう折り合いをつけれるかが今後を分けるかもね。
そう思いながら試合を見つつ、私は視界に映るオトメねぇに意識を向ける。
「で、オトメねぇはどう? 大丈夫?」
「その言い方は、おかしくないかな?」
ちょっと不満顔だけれど、この辺りは色々と考え込まざるを得ないから仕方ないもの。
ヒマリとヒツギは、かつての乙女ねぇが分かたれて生まれた存在。そしてイッセーはそんな二人の心を射止めている。
だからこそ、気にしないのも無理があるだろう。というより、少しは気にして当然だ。
「ま、どう転ぶかは分からないけどねぇ? それでも、イッセーの場合は安心よねぇ」
リーネスもそう言うけれど、オトメねぇは寂しげに笑いながら首を横に振る。
「彼はその……そういう風には見てないから。いい子なのは分かるけどね?」
ふぅん。
ま、誰も彼もがイッセーに夢中になるわけじゃない。というより、普通の人間にはモテてるわけじゃない。
とはいえ、もうちょっと気にしてもいいかと思ったけれど。
思わずまじまじと見つめていると、オトメねぇは少し俯き気味だった。
「私には、ちょっと明るすぎるかな?」
……。
誠にぃは落ち着いているタイプだ。イッセーとは反対の方向性といえる。
そんな誠にぃを愛していた乙女ねぇからすれば、イッセーは食指が動かないのかもしれない。私が和地というまた違ったタイプと添い遂げたことから、ちょっと失念していたかしら。
そう思っていると、映像の方で湧き上がるような大歓声が響き渡った。
視線を戻すと、デュナミスの新生チームも激突を選んだらしい。既に燚誠の赤龍帝チームとぶつかり合っている。
やはりやるわね。というより、大火力砲撃を封じればデュナミス側の勝率は大幅に上がるもの。
更なる追加砲撃がくるより先に、一気に接近して制圧にかかる。そういう判断に映ったという事でしょう。
さて、イッセー達はどう動くかしら?
今後の参考も兼ねて、しっかり見させてもらうわよ?
イッセーSide
くっ! そう簡単に思い通りにはいかねえか!
デュナミスの新生チームは俺達に対して真っ向勝負を仕掛けてきやがった。それも、文字通り全チームでだ。
「そう来ましたか。確かのこの位置取りなら、デビルレイダー部隊が仕掛けてきても乱戦になりにくい。こちらより早く気付きましたわね」
レイヴェルも歯噛みするけど、なるほどな。
俺達は今フィールドの外延部にいる。一方向だけでもシャットアウトすることで乱戦になりにくくする為だけど、相手もそれを考えて動いていた。
そして俺の∞ブラスターで部隊も三分の二になっているから、デビルレイダー部隊は全方位からの圧殺なんてしたくてもできなくなる。純粋に戦力を分散させて対応できる質じゃないからだ。
そしてこの試合は俺たち2チームのどちらかが勝つかという戦いだ。なら、比較的危険度が少なくなったこのタイミングで仕掛けるのは当然。
こっちもゆっくり時計回りで移動しながら対応するつもりだったけど、対応はあっちの方が早かった。
流石は精鋭部隊が母体のチーム。こういう時なノウハウや経験の差が出るってか。
だけど、なぁ!
「真っ向勝負は望むところさ!」
俺達の戦いは、そっちの方がやりがいがあるからな!
真正面から打ち破る。いいじゃねえか、お祭り騒ぎにはもってこいだ!!
だからこそ、俺は拳を握り締める。
「行くぜ皆! こうなれば、小細工無用でいくべきだ!!」
「そうだな! こちらの方が私達らしいというものだ!!」
「ははぁっ! 我が主達の望むとおりに!!」
俺に応えるように、ゼノヴィアとボーヴァもついてくれる。
ああ、この方がいいってもんだろうさ。
勝つ為の作戦は大事だ。だけど、やるなら真っ向勝負の方が性に合っている。
それに、俺もぶつかるべき相手ってのがいるだろうしな!!
「さぁ、かかって来いよ……ヒマリ、ヒツギ!!」
俺はそう言い、そして拳を握り締めて突っ込んでいく。
そんな俺に、小さく微笑んでいるのが分かる二人組。
ヒマリとヒツギがそこにいて、そして―
「よかろう! だがこの戦いはチーム戦である!!」
―降り立った騎士団長。ストラス・デュランさんがメイスを振り上げる。
「何より貴殿は、女体相手にはめっぽう強い! 一人ぐらいは補佐がおらんとな!!」
「ぐうの音も出ないのでOKです!!」
ああ、それぐらいはかまわないさ。
何より相手も
さぁ、本格的な戦いを始めようか!!
勘違いされる傾向が多かったのですが、このルールの本命は「トップクラスの連中がいかに化け物か、実戦前に体に叩き込む」なフロンズ達です。
ボトムアップされた軍勢こそがデビルレイダー部隊なので、調子に乗って独断行動をとられる可能性は避けたい。そしてレーティングゲームは基本的に少数精鋭の戦術を視野に入れている。
これによりトッププレイヤーやその眷属という、「精鋭の集団」相手を一個中隊如きのデビルレイダー部隊で挑むのは大変なんだよと、死なない形で骨身にしみこませるのがフロンズ達の定めたこの特殊ルールの真相です。
フロンズ達はかなり先を見据えて動いており、よほどのことが無ければ派手なことは起こしません。ただ相当のブレイクスルーがあれば事を起こすことも視野に入れているため、調子に乗らない統率のとれた軍勢は少しでも多く欲しいところ。
……精鋭? 何のためのGFと後継私掠船団だと?