混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部   作:グレン×グレン

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戦愛白熱編 第十八話 

和地Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づけば、ちょっとした飲みの席になっていた。

 

 最も酒はないが。俺も三美さんも、年齢や立場もあるからジュースにしている。

 

 で、適当に用意したスナック菓子を摘まみ代わりに、俺は三美さんの過去語りを聞くわけだ。

 

 うん、しっかりと聞いて、しっかりと受け止めたいところだな。

 

「私の家は、昔から芸術家志望が多いうえ、実際になる人も多い家です」

 

 そう言うと、三美さんはメモ帳にさらさらと綺麗な字を書く。

 

 行舩→ゆきふね→雪舟

 

 その図式を書くと、小さく苦笑していた。

 

「平民が苗字を名乗れるようになった時に、こんな感じでつけたと言われてます」

 

「……ああ! そういうことか!」

 

 ちょっと反応が遅れたけど、何とか思考が追い付いた。

 

 確か、涙でネズミを書いたら本物と間違われたとかいう絵の得意な坊主だったな。雪舟(せっしゅう)って!

 

 雪舟の文字をゆきふねと読む形で捻った苗字なのか。芸術だけじゃなく勉学にも理解がある人だったんだなぁ、三美さんの先祖って。

 

 そこから芸術家の多い家柄になるってことは、倒幕や明治維新の前からある程度は力があったのかもしれないな。まぁ、今現在になるまでに色々あるだろうからそこはいいか。

 

 名字の由来も眉唾物だろうし。話のタネとかその程度でだしたって考えるべきだな。

 

 なので頷くことで促して、俺は話を先に進めてもらう。

 

「……私が生まれた時も、父も母も芸術が縁で結ばれて生まれたので期待はされました。名前の由来も、そういうところが大きいみたいですね」

 

 まぁ確かに。三美……美が三つだしな。

 

 そんなに珍しくなるような名前でもない気がするけど、考えてみるとインパクトも大きく成りえる名前だ。芸術家一族がそんな名前を付けたというなら、その辺りの願いは強かったのかもしれないな。

 

 それが転生悪魔、それも武闘派か。

 

 何があったのか分からない。そして、それをこれから語るんだろう。

 

 その上で、こんなことで語る以上は重いものがあるとは察していた。

 

 だからこそ、下手に続かずに話を聞く。

 

「芸術って独創性とかが必要ですけど、その辺りが全くなかったんですよ……私」

 

 そう言う三美さんは、さらさらとメモ帳に絵を描く。

 

 シャープペンシルで綺麗に書いている気もするが、どことなく……コピー機のような印象を感じた。

 

「昔から、風景画や模写ばかりが得意でして。芸術には独創性は重要ですけど、その辺りが全然駄目でして」

 

 ああ、なるほど。

 

 つまりこの絵も、どこまで見たものを正確に再現しているだけなのか。

 

 そういえば、そんなことを言っていたような気もするな。

 

 これはこれで凄いとは思うけど、芸術家という観点で見れば凹むところはあるか。

 

 芸術家とは、作る者だ。オリジナリティが多分に重要視される業界である以上、ある物の模倣ばかり上手では自信はつかないだろう。

 

「父も母も、残念には思っても愛してくれたんですけどね。……ただ、生まれた時から感極まって、「未来の三美」なんて言うシリーズを作られていたので……ちょっと重く感じてました」

 

「それは、プレッシャー感じそうですね」

 

 何やってんのご家族の方々。

 

 しかもシリーズって、いくつも作ってたのか。まさかと思うが一歳ごとに未来予想図を作ってたのだろうか。下手したらグレるぞそれは。

 

 正直ちょっと頬が引きつっているが、三美さんは気にせず話を進める構えだ。

 

「今でも電話で話すぐらいには、繋がってはいるんですけどね。一念発起して武闘派(転生悪魔)に切り替えたことで、私も家族も踏ん切りがついたので」

 

 そう空気を変える様に、三美さんは言う。

 

 ただそれは、そこまでしないと生き方を切り替えられなかったという事だ。

 

 実際、今でも気にはしているみたいだしな。長年のコンプレックスだろうし、人は気にしてしまうことはある物だ。仕方ないとは言えるだろう。

 

 だからあえて深く聞かず、俺は小さく頷いた。

 

「……踏ん切りがつくまで、大変だったでしょう」

 

 家族関係も、ギグシャクしていた時期があったのではないだろうか。

 

 そんなことを思いながら俺は労り、三美さんも頷いた。

 

「幼馴染の子とか、中学から付き合いのあった後輩は才能があったので尚更ですね。表に出さないぐらいはできましたけど、我慢できずに海に向かってバカヤローって叫んだりとか本当にしちゃったこともあります」

 

「……想像するだけでメンタルがゴリゴリ削れそうですね」

 

 自分が欲してやまない物を、近くの人達が何人も持っている。

 

 想像するだけでストレスが溜まりそうだ。実際、そういった理由で腐る人も多いだろう。

 

 考えようによっては、カズヒ(道間日美子)もそうだといえる。

 

 カズヒの方がどす黒いし、呪われているといえる。これはどう客観的に見てもそうなるだろう。

 

 だが、カズヒ自身が言っていたことがある。それは、俺のような立場にとっても大事なことだ。

 

 ―下には下がいることと、今下にいるという事実は別のこと。

 

 それはとても大事なことだ。より不幸な者がいるのなら、今不幸にいる者をないがしろにしていいわけではない。何故なら不幸であることは変わらないのだから。

 

 涙の意味を変える者として、そこはないがしろにしていいわけがない。それは、とても大事なことだ。

 

 少なくとも、三美さんは鬱屈した感情を抱えそうになる状況だった。それはまごうこと無き事実だろう。

 

 それを胸に刻み込んだうえで、俺は真っ直ぐに三美さんの独白に向き合う。

 

 それぐらいしかできないからこそ、そこをいい加減にはしないでおこう。

 

 その意識をもって、俺は彼女に向き合う。

 

「……ただ、色々あって限界がきて、美大は自主退学しました。その時にかつての主と会って、自分を変える為に転生悪魔になったんです」

 

「そう、ですか」

 

 思い切りが良すぎる気もする。例えるならゼノヴィアみたいだ。

 

 ただ、ゼノヴィアにとっては聖書の神が実は死んでいるという事実の直後だ。精神的にかなりの衝撃を受けていたことは間違いない。

 

 だからこそ、三美さんにとっても大きな衝撃が走っていたのかもしれない。そう思えてしまう。

 

「……今日はこの辺にしましょう。その、寝る前に聞いていい気になる話ではないですから」

 

 そう、三美さんは話を打ち切る。

 

 こっちを気遣っているのか。それとも、話す勇気を持てないのか。もしくはそのどちらかか。

 

 まぁ、俺も強引にしなくていいところを強引にするのはちょっとな。

 

 気長に少しずつでいいだろう。少なくとも、今急ぐ理由が無いのならな。

 

「ええ、今度時間が空いた時にでもじっくり聞きます」

 

 俺はそう返すと共に、しっかりと時間を空けておくことも決めている。

 

 最低でも週に一時間は開けておこう。それをしているかどうかでだいぶ変わるだろうしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つ、疲れた。

 

 もう今日は一人で寝る。たまには一人の時間が欲しいから。

 

 それぐらい、壮絶な死闘だった。命の危機を感じそうになったよ。

 

「大丈夫かい、イッセー君」

 

 木場がそう言ってくれるけど、本当に大変だった。

 

 リアスもヒマリも星を振るうし、互いに高ぶったのか「「専用異空間()出ろ!」」なことを言い出すもん。他の子達も参戦状態で、シャルロットすらちょっと冷静じゃなかったし。

 

 最終的にカズヒ降臨(いつもの展開)で収まり、罰としてヒツギ以外は俺との接触を今夜禁止されることに。

 

 そしてヒツギはヒツギでオーバーヒート気味で、俺と同じで一人で寝たい状態だった。

 

 ……お互い、今夜は大変だったな。

 

 ベッドに倒れこんでいるだろうヒツギを思い、俺は共感して涙した。

 

 そして今夜も結局、俺は初体験無し。まぁそんな精神的余力もないけど。それはそれとしてまたお流れかぁ。

 

「俺、何時になったら童貞を捨てれるんだろう」

 

 ぽつりと、俺はそんなことを言ってしまう。

 

 おっぱいいっぱい夢いっぱい。ハーレム王に俺はなる。そして、出来ることなら最強最高のハーレムを。

 

 それが俺の夢だ。色々あって他にもいろんな願いや決意はあるけれど、この願いは割と根幹で悪魔をやっている。

 

 でも童貞だ。

 

 そして俺は今、嫁に来てくれる子達まで何人もいる。グレモリー本家の婿もほぼ確定だ。九割がた、この夢は叶っていると言ってもいい。

 

 でも、童貞

 

 むしろ俺を取り合い、最初に俺とエッチをしたいと考える女の子達は数多い。男としては処女にロマンを感じることもあるし、もはや夢とロマンにあふれた日常を過ごしているかもしれない。

 

 でも……童貞なんだ……っ。

 

 周りのお偉いさんも割と応援してくれている節がある。グレモリー家は今になって考えれば、かなり前から俺を婿にする方向で話を進めてたし。天界だって、天使であるイリナが俺とエッチしても問題ないよう、専用のアイテムを作り上げた。堕天使側だってそれをコピーし、朱乃さんが持っている。むしろ俺の周り、お偉いさんが俺のスケベに理解を持ってくれるどころか、かぁなぁりエロエロな人も多い。環境は整っている。

 

 でも……まだ……童貞なんだ……っ

 

 俺は耐え切れず、崩れ落ちた。

 

「イッセー君!? 大丈夫だよ、絶対時間の問題だから!」

 

「具体的にどれぐらいなんだよ。教えてくれ……っ」

 

 分かってるならまだ耐えれる。

 

 でも分からないんだ。いつか来るって、何時なんだ。教えて……くれよ!

 

「畜生。きっと今頃、九成は女の子といい雰囲気になってるんだろうなぁ。そして、俺の住んでいる家の敷地内でエッチしてるんだろうなぁ」

 

「いや、九成君は決してそこまでがっついてないし、一人の時間もちょくちょくとってるからたぶん大丈夫じゃないかな?」*1

 

 そういうことを言ってるんじゃないんだよ、木場ぁあああああっ!!

 

 うわぁああああん! 早く非童貞になりたぁああああっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズヒSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう本当に、いい加減にしなさい」

 

 正直いい加減にうんざりなので、私はハッキリ言っておくことにする。

 

 いや本当にいい加減にしろ。なんで童貞を捨てたい男と、そんな男とエロいことをしたいと考える女がゴロゴロいてこうなのか。

 

「イッセーが可愛そうでしょう。まず順番を決めなさい。そしてそれを順守しなさい」

 

「え~? それを横からかっさらうのがオツなんじゃなットォッ!?」

 

 妄言を吐き散らかそうとした黒歌に魔力弾を叩き込んでおく。

 

 まったく。もうちょっと秩序を保ちなさい、アンタら一応政府側でしょうが。

 

 これはもう、釘を刺しておくべきかしらね。

 

「あんまりグダグダやるようなら、和地の許可をとったうえで私がイッセーの童貞を食べるわよ」

 

「な、なんだと!? お前正気か!?」

 

 ゼノヴィアがなんか絶叫するけど、なんでそんなことを言われなければならないのだろうか。

 

 なんで全員全裸になってイッセーと一緒にエロゲをするなどという、変態としてもハイレベルな行為をする奴に言われないといけないのかしら。……あ、真剣に殺意が湧いてきそう。

 

「まぁ別に私じゃなくてもいいのだけれど。このままだと拉致があかないからハニートラップ専門部隊と連携をとるって手段もあるし」

 

「え、ちょっと待って!? 私初耳!?」

 

 イリナが話に割って入ろうとするけど、私は流れるように華麗にスルー。

 

 世界規模の組織となると、綺麗ごとだけでやっていくのは困難なのよ。人数も多ければ腐敗もあるし、そういった手段は持っておくに越したことはない。清濁併せ呑む度量を今後とは鍛えることね。

 

 っていうかダーティジョブ専門部隊があるなら、ハニートラップ専門部隊だってあるでしょうに。想定しなさい。プルガトリオ機関は幅広いニーズに応える暗部組織なのよ。

 

 まぁそこは置いといて。

 

「そもそも未経験同士の初夜なんて、トチってもおかしくない定番だもの。更に初物を取り合って不毛な争いで無駄に時間をかけている以上、原因を取り除きつつ失敗のリスクを減らすのは理に叶っているでしょうに」

 

 その当たり、はっきりと釘を刺しておく。

 

「言っておくけど、本気でシャクってるからね? 実際初体験がグダグダになってギクシャクするって話もあるし、いっそのこと気持ちのいい初体験を得るためにいさかいの元を排除してもらうのはありでしょう?」

 

「そんな! イッセー君の童貞を頂きながら処女をささげたいのに!?」

 

 朱乃までそんなことを言うけれど、ロマンにあふれすぎて現実を見てないわね。

 

「事前学習無しの未経験に夢を求めすぎよ。誠にぃだって、私が童貞を頂いた時はされるがままで割とすぐ出るんだし。経験と知識と技術はある程度あるに越したことないのよ!」

 

「こちらに非があるのは事実ですが、なんか素直に受け取れないですね」

 

「……ヘビーすぎる過去を持ち出さないでください」

 

「経験に基づく意見ですが、その経験は出さない方がいいと思います」

 

 比較的良識のあるシャルロットや小猫にロスヴァイセさんがそう言うけれど、だったらもうちょっと滑らかなルート構築をしてもらいたいものだな。

 

 こっちだって人のエロ関係にここまで強引に割って入るのは不本意よ。なんでそんな下世話なことをしなければいけないのか。

 

 グダグダかつ騒がしいのが悪い。もうちょっとこう、滑らかに進める為の努力をしてほしい。

 

「ったく。次の試合は色々と頭が痛いってのに、こっちに頭痛の種を増やさないで頂戴」

 

 そういうと、周囲が一瞬静まり返った。

 

 まぁ、確かに静まり返るわね。

 

 次の試合で私のチームは、あのグレイフィアさんの率いるチームと戦うことになっている。

 

 純血の魔王一族を三人も加えたチーム。フロンズの手が入った、グレイフィアさんのチーム。

 

 あの人も一体何を考えているのか。ガブリエル様達も思惑が掴めず、対応に苦慮していると聞く。

 

「……お義姉さまは、一体何を目的としているのかしらね」

 

 リアスも苦慮しているのは分かる。

 

 私にとっても、あの人はただの他人ではない。それなりに付き合いもあるし、気になることは数多い。

 

 だからこそ、だ。

 

「ええ、いい機会だし拳で語り合ってくるわ。……そういう意味ではいい催しね」

 

 まったく、勘弁してほしいわよグレイフィア・ルキフグス。

 

 貴女の真意、探らせてもらうから覚悟しなさい。

 

*1
現実は非情である




 次回より、カズヒVSグレイフィア編……というべき流れになるでしょう。
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