混沌世界のプロローグ―好き勝手準備後自滅した神様転生者のせいで全方位魔改造されるけど、おっぱいドラゴンが新たな仲間と共に頑張る話・第二部   作:グレン×グレン

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 死闘終了。

 そして小休止の時間です。


戦愛白熱編 第二十四話 銀の激突の後に

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 す、凄い短期決戦で終わった……。

 

 思わず戦慄するほどの戦いだったけど、掛かった時間は十五分そこら。間違いなく、ライトニング・ファストであることを踏まえても短時間で決着がついただろう。

 

 強者同士の戦いだと、逆に一瞬ってのがあるらしい。これってつまり、そういう事なんだろう。

 

 なんというか、衝撃的すぎてちょっと何も言えなかった。

 

 後継私掠船団(ディアドコイ・プライベーティア)の連中も、割と沈黙してるからな。コイツラに沈黙させる試合とか、そうそうないだろ。

 

「……え、っと……凄い戦い……なの?」

 

「ああ。割とマジで凄いな」

 

 亜香里が訪ねてきたので、俺はそこは答えておく。

 

 思わずラムルとかが頷いている辺り、やっぱり後継私掠船団も衝撃を受けているんだろう。

 

 いや、壮絶な戦いだった。というより、あのカズヒを一蹴とか信じられない。グレイフィアさん、マジでスゲェ……。

 

「フロンズ殿も面白い物を用意したわね。九大罪王そのものは魔王派中心にしつつ、その専用武装でこっそり発言力……かしらね」

 

 エペラがそんなことを言うけど、それを聞いて納得だよ。

 

 フロンズの奴、ちゃっかり発言力を高める為の動きはしていたってことか。いや、もとからそのつもりで開発研究は進めさせていたんだろうな。あいつはそういうことをする奴だ。

 

 本当に、本当に油断できない! あの男本当に油断も隙もないな!

 

「まぁ、それぐらいできなければ困る。あの幸香の名目上とはいえ主になっているのだからな。こちらも超えがいがないものだ。……さて、食後のコーヒーだ」

 

 そしてユーピはしたり顔で頷きながら、そっと俺達にコーヒーを渡してくる。

 

 ……なんだろう。よく分からんが美味いというか良い香りというか。第三征王(ナーディル・イスカンダル)って、どんだけ才能があるんだよ。

 

「あの、良い香りですけど……もしかして豆から?」

 

「そうだろうね。豆そのものより挽き方がいいね」

 

「まったくね。こんなところも優秀だなんて」

 

「だな。こいつ才能ありすぎだろ」

 

 と、有加利さんもラツーイカもエペラもラムルも感心している。

 

「そんなことはあるとも。ふふふ、才能が豊富すぎて本当にすまない」

 

 こいつ、いろんな才能ありすぎない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズヒSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ~。負けたぁ~。

 

 思うところはあるとも。負けて悔しいことある。

 

 ただ、全力でぶつかり全力で叩き潰された。その過程により、分かったこともある。

 

 彼女が本気だという事だ。

 

 おそらくだが、フロンズは彼女に引っ張られる形で協力している。推測するに罪王就任、その要望に応える対価として要請されたことをアザゼル杯の成果によって叶える形だ。

 

 それが確信できただけでも、十分価値がある。勝てなかったのは残念だけど、あのグレイフィアさん相手に負けるのは客観的に見ておかしなことでは断じてない。

 

 むしろ、帝釈天相手で使わなかった隠し玉。それを使わせたのなら価値がある。それぐらいは分かるのが私だ。

 

 状況は色々と変わるが、それでも使わせたことに意義はある。少なくとも使わせたという事実だけで、分かる識者には評価もされるだろう。

 

 だから総合的にはマイナスではない。ゆえに、無念はあれど悔いはない。

 

 もとより私はそういう女だ。精神論でどうにかなることは絶対にどうにかできる。気合と根性で精神的な負担は大概どうにかできる女だ。

 

 とはいえ、そんなことが良い事なわけがない。

 

 どんなことも精神論でどうにかする。そんなことはできる方が少数派で、大半の者はできないのだ。それを当たり前に行使し続けることは、目にした他人に悪影響を与えかねない。

 

 だから、リフレッシュする機会があるならきちんとするべきだ。私個人で見ればマイナスが目立っても、皆にとってはそちらの方が健全かつプラスに働くと確信している。

 

 だからこそ―

 

「こういう時の温泉の元ね。あ~、癒される~」

 

「俺は癒されすぎて何かがプッツンしそうだけどね!?」

 

 ―和地と一緒に、温泉の元を入れてお風呂に入っている。

 

「ぱらっぱらららららら……ぁ~」

 

「あ、あうあうあうあうあうあ~」

 

 ちなみに鶴羽とリーネスはバグを起こしかけている。一人で入るのはちょっと悪いと思ったけれど、この二人にこれは刺激が強すぎたかしら。

 

 それとなくバグっている二人を溺れない様に位置を変えつつ、和地は軽く苦笑してきた。

 

「ま、そういうところもしっかりしてるけどな。とはいえ、これは俺にとってこそメリット多すぎないか?」

 

「win-winならそれに越したことはないでしょう? ま、お礼をしなくていいのは気が楽ね」

 

 そう苦笑しながら向き合う形でお風呂でぬくもる。

 

 世間一般のバスタブより面積が大きいからこそ、温泉の元も二袋ほど入れている。まぁ、おかげでリフレッシュはできているわね。

 

 とはいえ、こういう時間はいい物でしょう。

 

「で、そちらは準備できてる? 相手がリュシオンだと苦戦は必須よ?」

 

 私は今回負けた。それはまぁいいでしょう。

 

 ここから立て直す余地は十分ある。だから問題はその次だ。

 

 そして和地達にも試合はある。それも、あのリュシオンという、壮絶な試合が確定する相手だ。

 

 他の皆だって、楽な戦いばかりなわけがない。今後は神クラスやそれに類する相手との戦いも増えるだろう。ある意味で本番はまだ先なのだ。

 

 それを思いながら湯に浸かっていると、和地も天井を見上げながら微笑んでいた。

 

「ま、そこは俺なりに頑張っていくさ。……負える責任は背負いたいからな」

 

「そうね。私もここで止まる理由はないしね」

 

 小さく、互いに苦笑を交わし合う。

 

 互いに難儀な理由で参戦したけれど、それが私達であることに否はない。

 

 だからこそ、半端で済ますつもりはない。私達が私達として、これからこの世界を生きる為。それを成すことに意義はある。

 

 極晃星(スフィア)を否定した責任。それを必要とした責任。そこから逃げることを私達は良しとしない。

 

 極晃星抜きで世界はどうにかなると示す為。罪人が今の世界を生きることを容認してもらう為。互いが互いに考えた、その上での決断だ。

 

 だからこそ、私ははっきりと宣言しよう。

 

「お互い、まだまだここからね」

 

「ああ、まったくだ」

 

 さて、そろそろ難しい話はしないで素直にいちゃつくとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

 そう、小さく息を吐く。

 

 兵藤邸のリビングの片隅で、九成オトメは一人ゆったりとしていた。

 

 ちびりちびりとお茶を飲みながら、クッキーを食べる。

 

 そんな一人のティータイムだったが、お茶を飲みほしたことに気が付いた。

 

 お代わりを入れようと思った時、お茶の葉とはまた違った香が届く。

 

 見上げると、そこには男性が一人ティーポットを持ちながら近づいていた。

 

「これ以上は眠りにくくなります。ハーブティーを入れましたので、こちらにするべきかと」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 微笑みながらそれを受け取っていると、更にリビングを覗き込む人がいる。

 

「お? オトメじゃありませんの」

 

 ヒマリ・ナインテイルが二人に気づき、ニコニコしながらリビングへと入ってくる。

 

「あと黒狼さんですわね? 和地がいつもお世話になってますの」

 

「あ、それもそうだね。……本当にお世話になっております」

 

 その言葉に、オトメもそれを思い出して微笑みながら会釈をする。

 

 武山黒狼は、涙換の救済者チームの戦車。すなわち、和地が率いるチームに属しているメンバーだ。

 

 相応にゲームの経験もあることから、チームのブレーンを担当しているところもある。その観点で言えば、和地と縁が深い二人からすれば、お礼の言葉の一つは言うべきだった。

 

「いえいえ。私達は懲罰従者ですし、和地様は優秀な方ですから」

 

 そう返す黒狼は、その後少し寂しげな表情を浮かべている。

 

「それに、何かしらの目的を持てるのはいい事ですから。虚無的な人生を送るよりはね」

 

 その言葉は、意識的に出したものではないのだろう。

 

 だが何かが溜まっていて、それがふとした拍子に少し漏れ出てしまった。つまるところはそういう事だ。

 

「どうしましたの? お悩みでも?」

 

 ヒマリがそれに悟ったか否かはともかく、何かを感じ取って首を傾げる。

 

 そこで初めて、自分が言ったことに気が付いたのだろう。黒狼はハッとなる。

 

 ただ、黒狼はそこで小さく苦笑を浮かべていた。

 

「お忘れください。燻った物を、別の何かで発散しようとしているだけです」

 

 それで話を終えるつもりだった。彼にとってはそのつもりだろう。

 

 ただ、それをオトメは良しとできなかった。

 

「……聞かせてください」

 

 そう、彼女は自然と口にする。

 

 それに黒狼とヒマリがきょとんとする中、オトメはカップに視線を落としながらも言葉を終わらせようとしなかった。

 

「息子のチームで要といえるあなたが悩んでいるのは、いい事じゃないですし」

 

 そこまで語り、しかしオトメは首を横に振る。

 

 今のは誤魔化しだと、そう自分をたしなめる動き。嘘ではないが、もっと重要な理由があると、自分を見直す動作。

 

 それをとったうえで、オトメは小さく寂しげな微笑を浮かべる。

 

「たぶん、この眩しすぎる所では言い難い事ですよね? 私もありますから、お互い愚痴って発散しましょう?」

 

 そう。それが本音だ。

 

 普段抑えている本音を、語り合える相手かもしれないと思った。だからまず、自分の方から聞くべきだろう。そういう理由だ。

 

 ヒマリはキョトンと首を傾げるが、黒狼は小さく微笑むとソファーに腰を落とす。

 

「そうですね。ぜひ、話をさせてください」

 

 その言葉に、オトメもまた小さく頷いた。

 

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