幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果…… 作:Miurand
てか、この前のニンテンドーダイレクト見た人おる?なんか今回情報量多くてビックリした。まさかあの作品がリメイクされるとはね…。久しぶりに本気で買いたいゲームが今年は多めだなぁ。
祭りからの帰路。俺は何も考えられない。いや、考え事をする余裕がない。唐突に仕掛けられたひとりのキス…。あれはどういう意図なのだろうか?あの時のあいつの表情は、妙に色気付いていた。
俺は、なんで受け入れたんだ?ああもあっさりと…。本来ならすぐに引き離すべきだった。あいつと俺は付き合っていない。ただの幼馴染だ。あんなの間違っている。でも………。幸福を感じている自分がいるのも事実。自分自身に存在する感情だからこそ、見て見ぬふりができない。できなくなってしまった。
「………?どうしたの?」
今にも悪戯をしそうなニヤけ顔でこちらを見てくる。今までのひとりとは何か違う。いつもは過激なスキンシップはあれど、一応一線は弁えていた印象がある。でも、このひとりはそのラインを余裕で踏み越えて来そうな、なんというか……。
自信がついたようにも見える。路上ライブが成功したからか?ノルマを自力で達成できたからか?いや、それならもっと前からこの様子になってもおかしくない。変わったのは俺にキスを仕掛けてからだ。ならば、この表情の意味は恐らく………。
「……いや、なんでもない」
「そう?」
…………ダメだ。ひとりの顔を見る度に先程のことを思い出してしまう。考えないようにしても無駄。抑えようとしても、自分の意思に反して熱くなる顔。
「………顔赤いよ?大丈夫?」
そう言ってひとりはまた顔を近づけた。嘘だろ…?また仕掛けるつもりか?やめてくれ。これ以上は俺の身が持たない…………。
「………熱はなさそうだね」
あっ、なんだ。ただ熱を測ってただけなのか……。いやそれならもっと他にも方法があっただろうが。何故わざわざ顔を近づけて、おでこをくっつけた?お前はラブコメに登場する鈍感主人公か?となると俺はヒロイン……なのか?
…………いや、アホなことを考えるのはやめよう。収拾がつかなくなりそうだ。
………お姉さんは正しかった。優太君は私のことを異性として意識している。それも今すぐにでも攻略できそうなくらいに無茶苦茶。
間接キスでなんとなく手応えがあったし、直接仕掛けたら顔を真っ赤にしてだんまり。そしてさっきも敢えて顔を近づけてみたら、優太君は顔を真っ赤にして目を閉じていた。
いや〜。これはゾッコンですね。私のことどれだけ好きなんだぁ…!!私の方が卒倒してしまいそうなくらいに私のことが好きなのが伝わってしまう…!!普段自信がない私でも断言してしまえるほどに…!!優太君って隠すの下手すぎ…!!なんで私は今まで気づかなかったんだろ。思い返せば、キスマークを最終的に許してる時点で確定だったでしょうが……!!
私は罪な女です。未来ある少年を虜にしてしまうなんて……。こうなったら責任を取って優太君をお婿さんにもらうしかないよね…!じゃあ今から結婚式の場所を考えないと。ここは豪勢にハワイでやる?それとも沖縄?いや、敢えてひっそりと式を挙げるのもいいかもしれない。スターリーって結婚式場として使えるのかな?店長さんに掛け合ってみようかな?
そんなことを考えるとあっという間に家の前に着いた。しばらくこの余韻に浸りながら優太君と過ごしたいけど、優太君も友達との時間がある。それに私達は家も近いし学校も同じだし、バイト先だって同じ。いつでもどこでも一緒なんだから、これから沢山2人きりの時間を作ることができる。ここは余裕のある正妻感を出さなければ……!!
「今日は楽しかったよ。誘ってくれてありがとう。また明日ね」
「………ちょっと待ってくれ」
優太君は私の手を掴んだ。えっ?何?どうしたの?ま、まさか告白…!?いつか私から告白しようって考えてはいたけど、まさかそっちから来るなんて…!さっきのキスで我慢できなくなっちゃったか〜……!!ここは責任を取って彼の覚悟を受け止めるしかないね(歓喜)
さあ、来い!!私は準備満タンだ!!
「…………ひとり」
「は、はい…!!」
「…………お前は、もう立派になった。俺がいなくてもお前はバイトもできるし、ライブだって問題ないだろう。学校だって、もう一人で行けるだろ?」
「………あれ?」
なんか思ってたのと違う!?なんか葛藤するような表情で語ってる!?なにこれ?私の予想では告白されて私がOK出して、えんだァァアアアアアア!!!!ってなるはずだったのに!?どうしてこうなった……??
「だから、ひとり。俺から離れてくれ」
「…………えっ?」
なんで?どうしてそんなことを言うの?さっきのキス、そんなに嫌だったの?私の一方的な勘違いだったの?
「なんでそんなこと言うの?やっぱり私とするの……嫌だった?」
「いや、そうじゃない。嫌ってわけじゃないんだ……。むしろ…。いや、俺の感情なんてどうでもいい。お前はもう俺から離れた方がいい」
嫌なら嫌ってはっきり言ってよ。私は優太君と離れることなんて望んでない。例え自立できるくらいの経済力を持っても、社会に適応できるようになっても、コミュ障じゃなくなっても、私は君がいない生活なんて嫌なんだ。あの時それを思い知った。私のために役に立とうとしてくれなくていい。私は君がいてくれるだけで充分なんだ。
だから、私の側から離れないで…!!
「私のこと、嫌いになったの…?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、俺は常にお前を甘やかしてしまうようだ。厳しくしようとしても最終的には甘やかしちゃうんだ。そんなやつといたらお前はいつまで経っても成長しない。むしろお前の成長の邪魔になる。だから、これからは…………」
「…………」
「えっ、ちょ…………」
さっきは少し焦ったけど、冷静になって分かった。優太君は自分でも気づいてないだろうけど、凄く辛そうな顔をしていた。自分の意思に反してまでお互いに不幸になることはもう言わなくてもいいんだよ。分からず屋の口は口で栓をしちゃえ。
ほら、やっぱり。優太君は離れた方がいいと言いつつも、私を引き剥がそうとしない。仮に引き剥がそうとしても、私は君の側にしがみつく。
「お、お前………また…………。こういうのは本当によくない……。間違っている…!」
「何が?」
「いいから、本当に…………頼む……!」
何故か分からないけど優太君は私に離れるように何度も言う。私は別に構わないのに。…………ああ。そういうことか。さっきからお腹辺りに硬いものがある気がするとは思っていたけど、そっか。これは………。もしかして、辛そうな表情をしてたのって………。
さっきのキスで歯止めが効かなくなったのかな?私とそういうことをすることを望んでいるんだ。少なくとも優太君の体は望んでいる。………私のせいだよね、これ。なら、私が責任を持ってあげないとね………?
「…………いいよ。優太君なら」
「よくない……!何かあったら……」
「なんで?私の両親も優太君の両親も既に認めてくれてるよ?素直になってないのは優太君だけ。なんで我慢しているの?我慢なんてしなくていい。私に全部ぶつけちゃって」
「…………でも…」
「いいよ。来て………」
「………………」
ガッと、思いっきり肩を掴まれた。
「えっ?」
「………………」
ギラついた目でこちらを……。いや、身体を観察するように、私の全身を舐め回すように見ている。これから何をされるんだろうか。考えるだけでもドキドキしてしまう。それは多分、相手が好きな人だから。何されても私は許してしまうと思う。………………と言いたいところだけど、流石にここでおっ始めるのはよくないというか恥ずかしい。せめて室内にしてほしいけど…。優太君が望むなら…………。
ガクッ…
「…………えっ?」
抱きしめていた優太君の体が突然重くなった。というか力が入ってないよね?
「ゆ、優太君?おーい……?」
「」
「き、気絶してる!?死んでないよね!?生きてるよね!?ゆ、優太君!?しっかりして〜!!!」
「………ひとりちゃん、何やってるの?」
「あっ…」
どうやら、優太君は強制シャットダウンを実行したようです。あともう少しだったのに…………。
時は遡って10分ほど前のこと…。俺こと中川と西村は、何故かひとりちゃんの家で夕食をご馳走になっていた。
「いや〜すみません。ご馳走になっちゃって」
「気にしなくていいのよ〜。優太君といつも仲良くしてくれてありがとうね」
高校生の娘がいるとはとても思えないほど若そうな見た目をしている人は後藤美智代さん。ひとりちゃんの母親らしい。歳の離れた姉妹と言われた方がまだ納得できる。ちなみに何故ご馳走になっているか、簡単に説明すると…。
俺と西村は飯を求めて外に出た時、ひとりちゃんを探しに近藤の家に来た美智代さんと遭遇したのだ。
『えっ?ひとりちゃんと優太君そっちにもいないの?』
『今頃二人で楽しく祭りを回っていると思いますよ?』
『あら?君達は行かなくても良かったの?』
『いやいやとんでもない!!若いお二人さんのお邪魔をするなんて僕にはできませんよ!!!』
その一言を言ってから美智代さんとは意気投合してしまった。美智代さんも近藤とひとりちゃんをくっつけたいらしい。向こうの親公認とか最早許嫁と言っても過言ではなくね?正直羨ましいレベルなんだけど?
んで、夜ご飯をこれから食べに行く話をしたら、余り物とはいえご馳走してくれることになったのだ。
「ところでひとりちゃんと優太君は学校ではどう?」
「ひとりちゃん可愛いですよね。俺は近藤が何で未だに告白してないのか不思議でなりませんよ。あいつ全然素直になる気配がなくて、俺達は『需要のないツンデレ野朗』って呼んでます」
「あらそうだったの?やっぱりね〜。優太君も口ではよくないって言ってるけど、なんだかんだ言っていつもひとりちゃんと一緒に寝てるから、ひとりちゃんのこと好きなんだろうな〜とは思っていたんだけど……………」
「…………………はっ?えっ?」
今、なんて言った?ひとりちゃんと近藤が一緒に寝ている……だと!?そんなこと聞いたことがないぞ!!?あいつ本当にひとりちゃんと付き合ってないのか!!?
「一緒に……寝ている……だと?」
「あら?優太君かひとりちゃんから聞いてないの?」
「ひとりちゃんはともかく、あの近藤が俺に素直に話すと思いますか?」
「思わないわ」
流石、娘の幼馴染だから自分の子供のように近藤のことを理解している。
「…………あれ?」
俺と美智代さんが盛り上がっている中、西村が唐突に声を出した。あいつの視線の先には、写真……?あれ、確かこの前下北を練り歩いている時に出会った人達だ。ひとりちゃんのバンド仲間だよな?
「あー、それ?ひとりちゃんが嬉しそうに写真を印刷してたのよ〜?私もひとりちゃんに友達ができたのが嬉しくて、つい飾っちゃったの♪」
西村はしばらく写真を見ていたが、その後はすぐにゲームに戻る。あとは何も発言しなかった。そういや西村はバンドメンバー全員を見るのがこれで初めてになるのか。でもそんな珍しいものでもあったかな?喜多さんとひとりちゃんがバンド組んでることに驚いたのか?まあいいや。
俺はしばらく美智代さんとの会話を楽しんでいた。近藤やひとりちゃんの過去のあれこれを聞いて盛り上がっていた。聞けば聞くほどなんで素直にならないんだろうなぁと思っていたのは美智代さんも同じだと思う。
だが、10分もすると外が少し騒がしくなった。俺と美智代さんもなんとなく聞き覚えのある声だったので、一緒に外に出ると…………。
「………ひとりちゃん、何やってるの?」
美智代さんが、気絶した近藤を抱えたひとりちゃんを発見した。
「…………あれ?」
「よう。気が付いたか」
「中川………。って、いつの間に俺の家に……?」
「ひとりちゃんが気絶したお前を運んできてくれたんだよ」
「ひとりが…………」
危なかった……。あの時気絶していなかったら、ひとりに襲いかかっていたかもしれない。マジで危なかった……。
今日は廣井さんの助力があったとはいえ、ひとりの路上ライブは成功した。俺に頼らずチケットも売れた。だから俺が今までのように手助けする必要はないと思った。だからもう俺は必要ないと思っていた。
でも、正直舐めてた。ひとりのヤンデレってやつを。あいつはバンドを組めても、ライブができても、俺を必要としているらしい。
一度意識を落としても尚、あの感触を忘れられない。一度や二度に留まらず、帰宅途中にまで仕掛けてくるとは…。ひとりは確信している。近いうちに俺を攻略できると。でないとあんな大胆な行動には出れないはずだ。
俺がストッパーにならなければ、ひとりは必ず後悔することになる。あいつの感情は恐らく恋ではない。今でこそ友達と呼べる存在ができつつあるひとりだが、昔は俺以外にそれっぽい関係の相手がいなかった。だから勘違いしているはずだ。そうに決まっている。
「よーし!近藤も起きたことだし今からゲームやろうぜ!!ほら起きろよ近藤!!今夜は寝かせないぞ☆」
「………ごめん、今日は疲れたからもう寝る…」
「おいおいおい!!?ここで寝るとか正気か!!?どうしてそこでやめるんだそこで!!もう少し頑張ってみろよ!!!」
「悪い。寝かせてくれ…………」
俺はさっきの一件で精神的にも身体的にも疲れ果ててしまった。一刻も早く布団に飛びつきたかった。中川がうるさいけど俺はもう知らん。寝る。うるさくても寝れるくらいには疲れているから勘弁してくれ…………。
「あーそうだ近藤。
覚悟しててね♪」
「…………はっ?」
「ひとりちゃんがそう言ってた(多分)」
「余程俺を怒らせたいようだな中川」
「暴力反対!!せめてゲーム内だけに留めて!!!」
「ならゲームでボコしてやる。ほらやるぞ」
「お前のそういうところ嫌いじゃないぜ」
「…………」
結局、俺達は日を跨いで数時間ゲームに没頭していた。途中から西村が参戦して二人ともボロカスにやられた。お前強すぎるんだって………。
「…………」
今頃、優太君は友達とゲームで遊んでいるのかな?私も行きたいけど、あまり話さない人もいるから混ざりづらい…。やめておこう……。
優太君は私のことを異性として意識している。それはもう私でも驚く程に。でもなんでか分からないけど、私のことが嫌いじゃないはずなのに、私と恋人の関係になるのを嫌がっているように感じた。いや、嫌がっているというより……。恐れている………?怖がってるって言った方がいいのかな……?
なんでだろう……?他に好きな人がいるの?でもそんな素振りはない。幼馴染の私が言うんだから間違いないはず。何か私に対して負い目を感じているのかな?寧ろ負い目を感じるなら私の方なのに…。だって、私のせいで優太君はあの時………。
………いや、過ぎたことを考えても仕方ない。なんで優太君が頑なに自分の中にある気持ちに素直にならないのか分からない。でも、素直になるように仕向ければいい。今日の一連の流れでそれが案外簡単にできそうだと思った。
私らしくないのは分かっている。でもいずれ結ばれるなんて悠長なことを考えていたら、優太君は私の前からいなくなってしまう気がする。もう2度と会えなくなってしまう気がする。
「………覚悟しててね、優太君……」
「ふぁぁ……」
本日は日曜日。今度こそ何もない休日だ。西村と中川はまだ寝ているが、起こさずにリビングに降りる。手洗って顔洗って冷蔵庫にある卵とウインナーを取り出す。実に簡単な朝食だが、目玉焼きとウインナーにしようと思っている。流石に俺でも簡単な料理なら作れる。
あいつらはご飯派なのかパン派なのか分からないが、まあ嫌いなものはないはずだしどっちでもいいだろう。今日もいい仕上がりだ。
「うっす。おは〜」
「あれ?西村もう起きたのか。結構早いな」
「早いって言っても9時だぞ?って、目玉焼きとウインナーか?いいねぇ。適当にコンビニで何か買ってくるつもりだったから助かる」
「そいつは良かった」
出来上がったら西村は律儀にいただきますと言って料理に手をつけ始めた。いつもゲームばかりしてるが育ちはいいんだよなこいつ。そもそも下北沢に一軒家を構えており、なおかつ俺の家とほぼ同じ大きさという時点で親が高給取りなのは容易に想像つく。
「………で?昨日何かあったのか?」
「えっ?なんだよ急に?」
「お前、昨日祭りから帰ってきてから様子が変だったからな。大方、幼馴染ちゃんと何かあったでしょ」
手を止めて西村がそう話しかけてくる。お前ってそういうキャラだったっけ?基本的にゲーム以外は無関心ってスタイルじゃなかったっけ?
「………まあ、その……。ひとりにキスされてな……。今後どう接すればいいか悩んでいるんだ」
中川なら『付き合え!いっそ抱け!抱いてしまえ〜!!』って言うだろうが、こいつは多分まともな時はまともなのだろう。というか、まともに相談に乗ってくれるのが西村くらいな気がしてきた。だから言ってしまおう。
「ふーん……。なるほどねぇ。別にいつも通り接すればいいんじゃないの?」
「それができればそうしたいが、今の俺にそれができるとは思えん」
「………ネタで中川がよく好きだろって言ってたけど、ひょっとしてマジなの?」
「…………」
恐らく無言は肯定と見做されてしまうだろう。だが、今の俺は否定することができない。いや、したとしても恐らく態度ですぐに暴かれるだろう。最早自分を騙すこともできなくなりつつある。
「……好きなのに付き合わない理由が俺には分からない。お互いに好き合っているなら付き合えば解決じゃないか?」
「俺はともかく、ひとりはそうとは限らない」
「…………はっ?どういう意味?」
「………そうだな。順を追って話さないと意味分からないよな。少し長くなるかもしれないから、食いながら聞いてもらっても構わない………」
何分かかっただろうか。俺は西村に全て話した。何故俺がひとりと付き合わないのか。何故ひとりがあのようなヤンデレと呼ばれる状態になったのか。何故ひとりの気持ちが本物ではないと言うのか。
ぶちまけてしまった。家族にもひとりの両親にも話したことがない俺の心情を吐露してしまった。
「…………なるほどな。そういうことだったのか。ちょっとだけ納得した」
西村はそう答えた。
「………でも、あんなにアプローチしているのに本物の恋愛感情じゃないって言ってる根拠はなんだ?」
「……………えっ?」
「確かにお前が話した過去だと、幼馴染ちゃんが錯覚している可能性もゼロとは言えない。でもなんでその幼馴染ちゃんの気持ちが勘違いって断言するんだ?俺にはそれがよく分からない」
「…………それは…」
「まあ、今まで友達という友達がいなくて、家族を除くと近藤しか頼れるやつがいなかった。そんな時にお前が、一時的とはいえ
「ああ。そうだろ?だからやっぱり……」
「だけど、身近な人が死ぬかもしれない。その時に自分の気持ちに気づいた……ってパターンも考えられると思うんだが?」
「そんなのただの憶測だろ?」
「お前の勘違いってやつもただの憶測だろ?」
…………何も言い返せなかった。確かにただの憶測だった気がする。今までひとりが他の人に恋したかって言うと、そんなことはない。ひとりの正確なタイプも知っているわけでもない。故に俺がひとりのタイプとかけ離れていると判断できるわけでもない。
親からよく『思い込みが激しい』と言われては納得できていなかったが、今この瞬間納得できたような気がする。
「…………まあ。俺から言えるのはこれくらいだな。取り敢えず今まで通り接しな。思い込みを排除した上で見れば、きっと見極めることができるんじゃないのか?本心かどうかをな……」
「………分かった。努力する…」
確かに、あの件をきっかけに気まずい関係になってしまえば、ひとりはショックを受けてしまうかもしれない。あいつは優しいやつだ。だからもし俺がそんな態度を取ろうものなら、自分のせいにするに違いない………。
俺が
もし、ひとりが俺と結ばれることで幸せを享受できるのだとしたら、その時は………。自分の気持ちに素直になってもいいのかもしれない。
「………まあ、一番簡単な手があるにはあるけどな」
「えっ?」
「取り敢えず付き合ってみる。そしてひとりちゃんがなんか違うって感じ次第別れる。これが一番手っ取り早いと思うんだけどな」
「いやだよ…!それだとひとりが軽い女みたいじゃないか…!!!」
(うわ〜、面倒くせえ男だなこいつ)
この時、西村直輝はなんとなく分かった。何故優太が頑なにひとりと付き合わないのか。何故自分の気持ちに素直にならないのか。
優太は『怖い』のだ。付き合い始めた時に、ひとりのヤンデレが徐々に解けていき、優太に対する執着や依存がなくなった時、振られてしまうのではないかと。根底にそんな考えがあるのだろう。だから踏み込めずにいるのではないか?
「(……こいつ、実はビビりなんだな。そして表には出さないが自己評価が低い。これはしばらく難航しそうだな)」
とは言いつつも、西村直樹はどうにかして二人を結ばせたいと考えていた。それは優しさからか?それとも面白いからか?いや、違う。
「(正直幼馴染ちゃんが暴走する前にコイツとくっつけておきたい)」
脳内で後藤ひとりを爆弾、近藤優太を鎮火剤に例えながら、西村直輝はそう思った。
「ういっす。おはよう諸君!」
「中川。おはよう」
「飯食ったらゲームしようぜゲーム!」
「その前にいただきます言え」
「なんで西村が仕切ってるんだ…?」
えー、どうやら優太君は過去になんかあったみたいですねぇ。それが原因でぼっちちゃんがヤンデレになったとかなってないとか……。この作品始めた当初は幼馴染なんていたら絶対ヤンデレになるだろとか思ってたけど、原作読みこむにつれてぼっちはヤンデレ適性はあってもヤンデレにはならなそうだなぁ…と思うようになってしまいました。でも始めたもんは最後まできちんと書き上げないとダメっすよねぇ。ということでこのまま進み続けます。
さあ、ここからはぼっちちゃんの遠慮がなくなってまいりますぞ〜。さてさて、優太君は一体何秒で折れるんだろうね?こらこら、消化試合って言うんじゃない。