幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果……   作:Miurand

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 今更気づいた。きくりさんと路上ライブする時には推定夏休みに入ってるって話なんやな……。やらかしたぁ。じゃあこの世界線はぼっちちゃんに幼馴染が生えてるという特異性を利用して、ギリギリ夏休みに入ってないということにしよう、そうしよう()

 ガッツリR-15注意。えっちコンロ引火注意。



流石に想定外

やはりお湯だと気持ちいい。シャワーだけにするつもりが、美智代さんに湯船に浸かった方が健康に良いと、異様に強く勧められたために湯船に浸かっている。何故あそこまで押しが強かったのか疑問に残るが、気持ちいいから別にいいか。

 

……まあ、ひとりに関する悩みさえ流せれば、心の底からリラックスできるんだけどな……。しかし自業自得でもあるから誰かの力を借りるわけにもいかない気がする。というか、借りようとしたら『とっととくっつけ!』と言われるのが目に見える。エピタフを使うまでもない。いや、俺は使えないけど。

 

………ん?なんで風呂場の中に飲み物が用意されてるんだ?しかも熱中症対策に有効なスポーツドリンク500mlが6本も。普通風呂場に保管するものか?

 

……とにかく、今は気持ちを落ち着かせよう。風呂の中くらいはリラックスしたいものだ。多分長風呂する人がいるからこその備えだろう。

 

だが、不意に風呂の扉が開く。何故?俺が入っているのは父さんは分かっているはず。もしかして、どこぞの手フェチの如く、『一緒にお風呂でも、入らないか?』ということか?もしかして、俺爆破される?いやいや、うちの父親が手フェチなんて聞いたことが……。

 

「お、おおおお、お邪魔しましゅ……」

 

………聞こえてきたのは、当然っちゃあ当然だが、聞き覚えのある声だ。今、俺が顔を合わせてはいけないと思っている人物。

 

流石にタオルは巻いているようだが、そのタオルを外せば、間違いなく無防備な生まれたままの姿になってしまうだろう。何故このタイミングで入ってきた?いや、考えるまでもないな。

 

ひとりのやつ、調子に乗ってやがる…!でも無理もない。俺があんなことをしてしまったのだから……。一周回って正常なのかもしれない。

 

「な、ななな、なんで入ってきてるんだよ、お前!!!?」

 

「いや、えっと……。あの……。その………」

 

なんかこういうひとりを見るのは新鮮だ。ひとりはコミュ障であるが故に、他人相手にはこのようにどもりまくるが、幼馴染である俺に対しては常人と大差ない対応になる。

 

だが、今やってることは流石に恥ずかしいのだろう。キャパを超えた羞恥によって、俺の前でもコミュ障ぼっちちゃんと化している。ならむしろ好都合。このひとりなら、先程のように積極的になることはない。

 

でも、それと俺が落ち着いていられるかは別問題。さっきプッツンしたばかりなのに、またプッツンしてしまったらどうなるか分かったもんじゃない。もう少しゆっくり湯船に浸かりたかったが、ここは早く出た方が良さそうだ。でないと何をやらかすか本当に分かったものではない。俺は俺自身が信用できなくなりつつあるのだ。

 

「ま、待って!!」

 

俺は、両手で大事なところを隠すように抑えていた。故に、ひとりは俺を止めるために腕を掴みづらい。その為、抱きつくようにして動きを止められたのだ。

 

「うへっ…」

 

情けない声が出てしまった。だって仕方ないじゃん。普通にしてれば容姿良し、スタイル良しな女の子に抱きつかれたら、そんなの……ねぇ?理性が和らいじゃうよ?タオル越しだからまだ良かったものの………。

 

「な、なんだよ………?」

 

「その、一緒にいてほしい……」

 

「……ここ以外なら、別にいいぞ」

 

「いや…」

 

「いやいや、『いや』じゃないのよ。この状況分かってる?」

 

所謂混浴状態。こんなの、同性の幼馴染や友人ならまだしも、異性の幼馴染同士でやるのは正気の沙汰ではない。15歳未満に見せてはいけないことをひとりにした俺が何を言っているんだとなるかもしれないが、もう2度とあんな誤ちは犯さないと決めたのだ。

 

「とにかく、俺は出るからな」

 

「…………やだ」

 

可愛らしくそう言うが、今の俺は甘やかすつもりは全うない。

 

「私、昔の夢を見たの」

 

「………………昔って、あの時の?」

 

「うん。優太君が事故に遭う夢……」

 

……そう。俺がひとりを甘やかすようになった要因の一つに、コレがある。俺が事故にあってからひとりはおかしくなった。あの時から、ただの幼馴染だった2人の関係性がおかしくなり始めたのだ。

 

でも無理もない。今のひとりは俺以外にも友人と呼べる存在がいる。でも、あの時のひとりは俺しかいなかった。なんなら、一番友人に近い俺でも家族という認識の方が強かっただろう。

 

だからだろうか。俺を失う可能性に強い抵抗を感じた。というより、強いストレスを感じたに違いない。だからこそ、このようにヤンデレと呼ばれる状態になったのではないかと、俺は考えていた。

 

しかし、最近の様子を見るとそうでもない気がするのだ。キスのこともそうだが、結束バンドメンバーと親しくなっても尚、俺への依存をやめることはしない。和らいでいるが、ひとりの方針が揺らぐことはない。だから俺は困惑している。もしかすると、自分の都合の良い展開が待っているのではないかと、淡い期待も挟まって一層…。

 

「たまに夢に見るの。どの夢も、最後には優太君が死んじゃって、2度と会えなくなる。その悪夢から目が覚めて、隣に優太君がいると安心できるんだ。でも、今日はいなかった。怖かった。もう2度と会えないかと思ってた」

 

「……………」

 

もしかして、いつも一緒に寝たがったのって……。そういうことだったのか?

 

って、待て待て待て。本当ならシリアスな雰囲気になるところなんだが、風呂で片やタオル1枚。片やハンドガードで大事なところを隠すほぼ全裸。

 

よくない。ほんっっとうによくない。不健全。けしからん。エッチコンロ点火!エチチチチチチチッッッ!!!!火傷しそうです。いや、もうしかけていますね。

 

ひとりには申し訳ないが、ここから脱出しないと正気を保てる気がしない。後でいくらでも一緒にいてやるから、今だけは勘弁してほしい。そう考えながら離れようとする。しかしひとりは頑なに離そうとしない。ええい離せ!頼むから離してくださいお願いします!

 

こうなったら実力行使ZOY!!中学時代運動部だった俺と帰宅部だったひとりとでは身体能力の差は歴然。その差を利用して強引に引き剥がす!! 

 

しかし、俺は馬鹿だった。ここは風呂場だということ。そして風呂場は滑りやすいということ。これを考慮していなかった。故に。

 

「どわっ!!!?」

 

滑った。そして何かに掴もうとした。運悪く、掴んだのはバスタオル。そのバスタオルは俺の体重によってあっさり引き剥がされ、俺自身も尻餅をつくようにして倒れた。だが、バスタオルを掴んでいなければ頭を強打していたかもしれない。そう考えれば、最悪の事態は免れたと言えよう。

 

………ん?待て?バスタオル?俺はバスタオルを風呂場の中に持ち込んでいない。とすると…………。

 

「えっ………、あっ、ちょ…………」

 

……………ブハッ…!!!危うく気絶するところだった……。いや、気絶した方が良かった……!!!

 

見えてしまった。目の前には、デカいメロンもしくはウォーターメロンが2つ。本日2度目のご対面です。いや、それだけじゃない。ぜ、全部見え……。

 

………ていなかった。でも、顔を真っ赤にして隠すその様は、なんかこう、男としてそそるものがあった。あからさまに見えるよりも、ギリギリ見えそうで見えない方が大変えっちぃとか中川が言ってたけど、今ならそれが理解できる。できてしまう。

 

「………………」

 

しばらく硬直してしまった。自分の大事なところを隠すのも忘れて、目の前の女の子の身体に惹かれてしまった。

 

ペチンッ!!!!

 

我を取り戻すために、自分への罰も込めて俺は自分の両頬を両手で引っ叩いた。これは自分自身に対するお仕置き。

 

うん。痛みを感じるとある程度正気になるらしい。でもSAN値はギリギリのところだ。できるだけ、目の前の狂気的なボディを見ないようにしつつ、俺はその場を去ろうとする。

 

流石のひとりも羞恥心が勝っているはずだ。後で死ぬほど謝るのは当然として、男女でしかできないようなことを除けば何でもするから、この場から去ることを許してほしい。

 

「……すまん、ひとり。マジでゴメン」

 

謝罪を一言、それから外に出ようとする。扉を開ければ、この狂気じみた楽園から解放されるはずだ。

 

「……………あ、開かない……だと?」

 

ど、どういうことだ…!?確かに風呂場にも鍵はある。でも内からじゃないと掛けられないのが普通じゃないのか?外から掛けられるもんなのか?

 

「お、おーい!!扉が開かないんだけどぉ!!!?出してくれませんかぁ!!!?」

 

必死に叫ぶ。誰でもいいから、とにかく閉じ込められていることを知らせなければならない。内鍵を確認したが、やはり閉めていない。なら扉の異常か?

 

「あら〜?優太君、どうしたの?」

 

「美智代さん!何故か扉が開かないんです!外から開けてもらえませんか!?」

 

「………優太。〇〇しないと出れない部屋って知ってるかい?」

 

「………はっ?」

 

美智代さん以外にも、俺のお父さんの声が聞こえた。そして何今の?聞き間違いか?

 

「知らないのかい?なら教えてあげよう。〇〇しないと出れない部屋とは、そのままの意味だ。ある特定の行動をしないと出ることが許されない部屋のことだ」

 

「いやそれは知ってる!!そういうことじゃなくて…!!!いいからふざけてないで早く開けてくれ!!」

 

「ひとりちゃんも一緒なんでしょう?2人で頑張ってね♪」

 

「な、何を……!!?何を頑張れと!!?」

 

「あら?言わなくても分かってるんじゃない?」

 

「じゃあ優太。健闘を祈る!」

 

「いや待て。さてはお前らグルだな!!?図ったな!!!!って、行かないで!!!頼むからァア!!!!」

 

先程まで扉のぼかしたガラス越しに見えていた影2つは消えた。そして相変わらず扉は開かず……。なら、窓から出るのは……!?バスタオルを巻けばなんとか………。と思ったが、人が出入りできるような大きさの窓ではない。

 

「……………っと、言うことは…?」

 

つまり、無防備な状態で、恐らくだがナニをしないと出れない密室に2人きり……!?

 

相手が折れるまで粘ろうにも、2人とも無防備な姿なんだぞ…!もしひとりが羞恥よりも性欲が勝ち出したら…!

 

あっ、えっと……。そういうこと……みたいでふゅ……。ふ、不束者ですが、よろしくお願いしまひゅ………

 

初々しくて可愛い。非常に可愛いんだけれど。けれども……。けれども…!!!

 

「………よし去勢しよう

 

ナンダ簡単なコトじゃないカ。これさえ切り落とセば、誤チなんて犯スことなんテなくなるンだから……。

 

「絶対ダメッ!!!!!」

 

「うぎゃあ!!!?」

 

ひとりが飛びかかるようにして俺に抱きついて拘束した。いや待って。さっきはタオル越しだったけど、これは流石に………!!!

 

「そんなこと、しないで。自分で自分を傷つけないで………」

 

「ま、待て……!分かったから離れろ……!!」

 

なんとか策を練るんだ…!!ここから脱出できる方法が必ずあるはずだ…!

 

まず、スポドリが6本も用意されているところを見ると、3,4時間はここに閉じ込めるつもりだ。スマホや漫画を風呂の中に持ち込んでいないから、他のことをして気を紛らわす作戦は不可能。ならやっぱり強引に脱出するしかない。でも窓は小さいから脱出することができない。

 

……なら、親を出す気にさせればいい。閃いた!!ひとりが熱中症でぶっ倒れたことにすればいいじゃないか!!俺って天才!!!!

 

「美智代さーん!!!父さ〜ん!!!ひとりが脱水症状で倒れた!!!!」

 

少しすると、どちらか分からないが、駆けつけてきたようだ。

 

「本当に!?ひとりちゃん、大丈夫!?」

 

「う、うん。大丈夫………」

 

いやそこは肯定すんな!?

 

「あら、やっぱりね。ひとりちゃんにはお風呂に入れる前にちゃんと水分を取らせたから、おかしいとは思ってたのよ」

 

…………くっ…!な、なら…!!

 

「お、俺、なんか頭痛い気がする…!」

 

「あら?優太君、さっき沢山カル〇ス飲んでたじゃない?」

 

「うぐっ…………」

 

そういえばそうだった。美智代さんに沢山振る舞われたけど、そういうことだったのか…!!!

 

「それに、お風呂場にも飲み物用意しといたから、喉が渇いたらそれを飲んでちょうだいね〜♪」

 

「…………はは。勝てねえな、こりゃ」

 

相手の方が1枚も2枚も上手だった。これは、諦めて従うしかないのか?だって俺は我慢しようとしてたのに、あの2人のせいでこんな異様な状況が生まれたんだ。なら、何が起きてもあの2人にしてしまえばいいのでは……?

 

ダメだ、いかん。この前も似たような思考に陥って爆発しちまったんじゃないか。どのような状況でも手を出してしまえば自分の責任だと思え。

 

「……そんなに私と一緒にいるの、いやなの?」

 

「いや、そうじゃない。そうじゃないんだ………」

 

一緒にいること自体は別に良いのさ。むしろ本心で言えば嬉しい。だけど、こんなのおかしいよ…!!はっきり言って異常だよ!今回は多分ひとりは悪くないと思う。悪いのは悪ノリして色々手厚い援護をしやがったあの2人だ。

 

これが、もし俺がひとりのことを異性として何も意識してないなら良かったんだよ。好きでもない女といれるようなことをするなって言えば済む話だもん。でもね、でもね?……説明する必要もないか。

 

やはりここは耐えるしかないのか……?マジで?振り返るだけで狂気的な身体があるこの状況で?

 

「あっ、えっと………。せ、せっかくだから、背中……流してほしいな?」

 

…………耐えられるかな。俺の理性…。

 

 

 

 

 

side ペアレンツ同盟

 

……勢いとノリで賛同してしまったが、美智代さんは恐ろしい作戦を考えたものだ。まさか息子と娘さんをお風呂場に閉じ込めるとは……。無防備な状況で長時間放置してしまえば、確かにどちらかの理性が切れただけで全てが終わってしまう。

 

………本当にこんな方法でいいのだろうか?しかし、客観的に見ても、優太がひとりちゃんのことが好きなのは明白だし、逆は言うまでもない。

 

「ところで美智代さん。もし仮に成功するとして、どうやって優太とひとりちゃんが条件をクリアしたと判断するのですか?」

 

これは疑問に残っていた。まさか息子達のあれ〜なところに聞き耳を立てろとでも言うのか?流石に私は気が引ける。

 

「大丈夫よ。放っておけば、勝手にクリアしてくれるわ〜♪」

 

「…………」

 

この人、特に考えていないようだ……。優太がひとりちゃんに手を出すと確信しているようだ。しかし、長年私から見ても過激なアプローチを仕掛けていたひとりちゃんに目もくれなかった優太が、これくらいで一線を超えるとは考えづらいのだ。欲はあっても、あの子の理性はやたらと強い。きっと今回も耐えぬくに違いない。

 

「和義さん。言っておきますと、お風呂に用意したスポーツドリンクは、全て開封済みなんですよ?」

 

「…………えっ?」

 

何故全て開封を?万が一手をつけなかった時の日持ちが短くなるというのに…。

 

「………まさか…」

 

…………優太。私達はできるだけ邪魔しないようにするよ。

 

 

 

 

 

 

何もすることがなく、だが何もしないとそれはそれで退屈だ。

 

「…………んっ」

 

だからと言って、異性の幼馴染の背中を流すのはおかしくないだろうか?いやほら、何も最後までする必要はないかもしれないじゃん?スキンシップだけで解錠されるかもしれないし?

 

…………だが、こうして見ると、やはりひとりの身体は狂気的だ。運動していないはずなのに、適度に引き締まっている。でも、柔らかいところは柔らかい……。色白の肌がとても綺麗だ。今は桃髪を左右に団子型で束ねているが、本当に綺麗だ。

 

「……こうしてお風呂に入るのも、久しぶりだね」

 

「………流石にな…」

 

俺達は、幼少期は風呂に一緒に入ることもしていた。だが、小学校4年生くらいからだったか?自然と一緒に入ることはなくなった。そこからひとりの身体なんてよく見てこなかったものだし、あまりにも狂気的に育っているから驚いている。

 

ピンクジャージ。猫背。根暗な性格。これらがひとりの魅力を覆い隠していたのだ。恐らく性格はそのままでも、服を変えて猫背を改善するだけで言い寄ってくる男が沢山出てくるだろう。

 

そう。ひとりの魅力は俺しか知らないのだ。クラスの男子も、ひとりがここまで我儘ボディだなんて想像もしていないだろう。……いや、体育の時は流石に半袖になるのか?最近は暑いし。

 

いや、暑い中ジャージで過ごすひとりのことだから、体育の時もジャージなのかも……?

 

「あ、ありがとう………」

 

「お、おう………」

 

ぎこちない。俺達がここまでぎこちなくなることは、恐らく今回が初めてだ。それもそうだ。ひとりはよく分からないが、俺は突然混浴を強いられたのだから。というか、事前に説明されていたとしても、恥ずかしいことには変わりないはずだ。

 

「………ところでひとり。お前もグルなのか?」

 

「…………」

 

すっかり黙り込んでしまった。やはりお前もグルだったか。そもそも『お邪魔します』と言って入ってきた時点でお察しだったな。

 

「ま、ままま、ま…!!」

 

「……マンマミーヤ?」

 

ひとりが急に『ま』を連呼している。ぼっちちゃんは一体何を言いたいのだろうか?

 

「………ま、前も……お願いできる?」

 

「…………………」

 

頭をトンカチで叩かれたような感覚に襲われた。こいつ、なんて言った?前を洗えだと?背中でさえもギリギリだったっていうのに、前も?そんなことしたら、全部見えるぞ?分かってるのか?

 

「さ、流石に前は無理だ………。自分でやってくれ」

 

「ゆ、優太君の「俺はもう体洗ったから」」

 

ひとりが交換条件を出す前に封殺。選択肢を1つ潰してやったぜ。

 

さて、ある程度スキンシップは済ませたはずだ。流石にそろそろロックが解除されただろう。

 

ガッ

 

「……………」

 

まだでした。しぶとい扉だなこんにゃろう。いっそのことタックルでもしてぶっ壊したろか?

 

というか、喉が渇いてきた。もう風呂に入って30分は経つからな。のぼせ対策で定期的に湯船から出なければならないのがネックだ。

 

「ひとり、飲み物……」

 

「は、はい……」

 

「さんきゅ…」

 

できるだけ身体を見ないようにして、俺は飲み物を受け取った。キャップを回すと………。ある違和感に気づいた。

 

「………ん?」

 

これ、未開封じゃないな?最低でも一度は開けたっぽい。でも飲み物の量はほぼ満タンだ。疑問に残るが、喉が渇いて水分を欲していたため、一気に半分くらい飲んだ。くぁぁ…!!体に沁みる〜…!!!

 

「お前も飲めよ。じゃないと脱水症状になるぞ」

 

「う、うん」

 

ひとりも喉が渇いていたらしく、容器はあっという間に空になった。

 

その後も、特にやることなく、ひとりも何もしてこないまま時間が過ぎた。しかし、ここから異変が起こる。

 

身体が妙に()()。暑いのではなくて熱いのだ。頭が妙にボーッとする。体調不良の時のソレとはまた別の感覚だ。それと同時に、妙にひとりの色気が強くなったように感じる。否、錯覚しているのか?

 

………ここで、俺はある結論に達した。風呂場にあるスポーツドリンクを用意したのは美智代さん。そしてそれらは全て開封済み。更に呼びかけても応答なし。長時間閉じ込めること前提のこの状況。

 

…………完全に嵌められた。俺がここの風呂を借りた時点で全て始まっていたのだ。いや、既に終わっていたと表現した方がいいかもしれない。なんて策士な人なんだ、美智代さん……。

 

「ね、ねぇ……?なんか、熱くない?」

 

「………ああ。熱いな」

 

単刀直入に言えば、美智代さんはスポドリの中に媚薬を仕込んだのだ。もうこれは詰みでは……?俺もひとりも思いっきり飲んでしまった。俺が我慢できたとしても、ひとりの方は……。ちなみに扉の方は相変わらず開かない。詰みじゃね、これ?

 

「………ねぇ?」

 

「うひゃ…!?」

 

またしても情けない声が出てしまった。待て、この感覚…。まさかタオルを巻いてないな?今それをやられると、マジで…………!!

 

「お、おい。マジでやめろよ…!」

 

………とうとうこの時が来てしまった。『羞恥心>性欲』の方程式が、媚薬によってすっかり逆転してしまったのだ。なんなら俺自身もやばい状況にある。もう少しで逆転しそうだ…。

 

「ご、ごめん……。でも、私、もう我慢できない…………!」

 

「我慢できないって何をッォォオオ!!??

 

ひとりが手を出し始めた。この段階まで来たら、もう秒読みで最後まで到達してしまう気がする。やめろ…!そこに触るな…!!あ〜…!!らめ…!!らめだって…!!!!って、脳内でふざけて現実逃避してたら手遅れになるわ。

 

「って、いい加減にしろy「ひゃう!?」」

 

………スキンシップの度が過ぎるため、ひとりを軽く押し退けようとしたが、何かを掴んでしまった。手に余るほど大きくて、かつ柔らかいもの……。わざわざ見る必要もなく、それの正体を理解した。

 

「いや、これはわざとじゃなくてだな…!お前を退かそうとしたら、たまたまそこにあったというか……!!!」

 

…………えっち…

 

ピシリ

 

この瞬間、俺の中の何かにヒビが入ったのがよく分かった。そこから理性という名の構成物質がどんどん流れ落ちていく。ただでさえ酷使してきた理性が、これによって大幅に不足し、最早俺の中での方程式も、逆転する直前にまで迫っていた。

 

だが、ほんの一握りの理性に頑張ってもらい、踏みとどまった。えらいって自分を褒め倒したいくらいだ。

 

「………ねえ、優太君」

 

「……なんだ?やっと離れてくれる気になったか?」

 

「……ごめん。ホントに我慢できない」

 

「待て待て待て。そのデカいのを近づけるな!!お前に羞恥心というものはないのか!ちょ、聞け!今お前がやろうとしていることは、最悪バンド活動にも支障が出るんだぞ!!?」

 

実際、新しい命が宿ってしまえば、少なからずバンド活動に支障が出る。本当なら学校に行けなくなると言うのが普通だが、ひとりにその文言で訴えても逆効果なのは目に見えている。しかし、バンド活動を人質にとっても、今のひとりには正常な判断能力がないのか、聞く耳を持たない。

 

「くそ〜……!!何か間違いが起こる前に去勢を…!!!」

 

「ダメ!勿体無い!!」

 

ひとりがそう発した後、俺の視界は突如真っ暗になった。目を閉じたわけではない。気絶したわけでもない。何かに包まれたのだ。妙に暖かく、嗅いだ覚えのある匂い。そして、柔らかい。

 

この感じ、顔ごと包み込まれている。それは、ひとりの想いの大きさなのか、物理的な大きさなのか、その時の俺には分からなかった。最後のイタチっぺとして、再び扉を開けようとした。これだけ過激なスキンシップをすれば、きっと、条件を達成しているに違いないと。希望を込めて………。

 

しかし、慈悲などなかった。相変わらず、どういう仕組みか不明だが、鍵は外から掛かっている。猛獣と化したひとりと密室で2人きり。その状況の中でひとりの猛攻から長時間逃れることなど、できるはずもなかった。

 

「……(ああ…。終わったな……)」

 

俺は、考えるのをやめた。

 




 HAHAHA。誰だよこれ。こんなのぼっちちゃんじゃなくないか……?初期山田の如くどこかで暗殺されてないない?犯人は誰じゃ?

 つーわけで、「うわぁぁあああん!こいつら交○したんだぁぁああ!!!」と、ふたりちゃんが叫ぶかどうかは次回判明する。

 にしても未だにアニメで言うと7話にすら達していない。次回も、その次もそこまでいかない見込み。こんなに進みが遅い作品は他にないやろ……。誰だろうな、20話くらいで完結するって言った人…。

 ワシ、そろそろ百合界隈に呪い殺されそうやな()
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