幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果……   作:Miurand

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前回のあらすじ……。

1:俺の幼馴染はヤンデレ

2:自立させる為に幼馴染のバンド探し兼バイトをする

3:喜多さんが案内と推薦をしてくれることになった


今回は前回よりヤンデレ濃度低いかも…



外堀を埋めにくる後藤一家

時は進んで放課後。約束通り喜多さんにライブハウスまで案内してもらうことになった。周りからの男子の視線が俺の胃を刺激してくるが、安心したまえ。俺と喜多さんがそんな関係になることはない。もしなった場合。俺の命はないだろう(予言)。ひとりのいざという時の行動力を舐めてはいけない。

 

「ねえ、近藤君のお友達ってどんな子なの?」

 

何か話題はないかと考えているうちに喜多さんから話題を出してくれた。こんな一瞬で会話をするきっかけを作るとは、これが陽キャなのか……。現代文得意そうだなぁ………。

 

「さっきも言った通り、基本人見知りなんだよ。だから友達もあまりできなくて、それでもバンドを組んでみたいっていつも言ってるんだ」

 

「そうなんだ〜。ポジションはどこなの?ギター?ボーカル?それともベース?」

 

「確かあいつはギターだったな。3年前……だったかな?それくらいから独学で今も練習を続けている」

 

「独学!?その人すごいのね!私なんて碌にギターを弾けないのに……」

 

「そういう喜多さんは何を担当してるの?ボーカル?」

 

「まあそれでも一応間違いはないんだけど、ギターボーカルってやつなの」

 

ギターボーカル……。つまり、ギターを弾きながら歌うってことか。難易度高そうだな…………。って、待てよ?

 

「えっ?ギターボーカルなのにギター弾けない?それ大丈夫なの?」

 

「え、えーっと……。これ、バイト先の人達には絶対に秘密だよ?」

 

喜多さんが言うには、実はギターどころかバンドには全く興味なかったが、路上ライブしている人を見た時、一目惚れしたのだそう。その人の活動を追っていたが、突然バンドを抜けてしまった。だが、新しく結成されたバンドにその先輩がいることを知って、飛び入り参加したというわけらしい。

 

………なるほどなぁ。今まで数多くの男子が撃沈された理由はここにあったのかぁ……。念の為聞いてみよう。

 

「その先輩ってかっこいいのか?」

 

「ええ!それはもう!!先輩を一目見た瞬間ビビッと来たの!!私、先輩の娘になりたいって!!」

 

キターンという効果音がしそうな眩しいオーラを放ちながら淡々と語っていく。そんなにカッコいいのか……。良ければ一目見ておきたいものだ。喜多さんにここまで言わせるとは、一体どんな人なんだろうな………。

 

……ん?娘?娘ってなに?キターンってオーラで誤魔化してたけど俺は聞き逃さなかったぞ?

 

そうツッコもうとしたけどやめた。なんか触れてはいけない気がしてならない。なんというか、彼女からはあのど変態こと中川勇人に近い雰囲気を一瞬感じた。もしかすると、喜多さんもヤバい人だったりする………?表面上だけじゃ分からないことってあるんだなぁ。

 

「ところで、一つ聞いてもいい?」

 

「うん?なんだ?」

 

一体何を聞きたいのだろうか。俺がライブハウスで働きたい理由は先程説明した通りだ。……あれ?じゃあ何を聞きたいんだ?

 

「……中川君っていつもあんな感じなの?」

 

「俺が代わりに謝っとく…。あのド変態が本当にすみません…………」

 

「い、いや!!謝らなくてもいいのよ!!?」

 

まあ普通に考えたら勇人のあの発言は気持ち悪い。さっきは通報してもいいと言ったが、本当に通報されて、最悪逮捕なんてされてしまったら目覚めが悪くなってしまう。あんなやつでも俺の友人なのだ。

 

まあ一悶着あったものの、無事下北沢まで辿り着いた。下北沢というと、俺はネットによく出没するアレを思い浮かべてしまうが、今回はライブハウスに向かうのだ。雑念は払っておこう。下北沢とバンドに失礼である。

 

「着いた!ここよ!!」

 

……なるほど。地下アイドルなんて単語を聞いたことがあったが、そんなイメージなのだろうか?階段を降りた先にドアがある。俺一人だと入るのに躊躇してしまいそうな見た目だが、喜多さんは何の抵抗もなくドアを開けた。

 

「先輩方、こんにちは〜!!!」

 

「あっ、喜多ちゃんこんにちは〜!」

 

喜多さんが元気よく挨拶すると、向こうからも元気な挨拶が返された。明るい黄色の髪にサイドテールの容姿が特徴的な人だ。そして顔くらいあるであろうデカいリボンが目立つ。あのリボンデカいな………。どこで売ってるんだろうか………?

 

「あれ?そこにいるもう1人は……?」

 

「あっ、そうでしたね。この人は私と同じクラスの近藤優太君です」

 

「どうも。ここで働かせていただきたくて、本日は面接を受ける為にここに参りました」

 

「おお!喜多ちゃん早速男手を連れてきてくれたんだね!ナイスだよ!!」

 

その黄色サイドテールデカリボンさん(仮名)の反応を見るに、本当に男手が欲しかったようだ。これはあっさり採用されるかもしれない。

 

そして彼女からも自己紹介された。サイドテールさんの名前は『伊地知虹夏』というらしい。なんとあの進学校の下北沢高校に通っているらしく、勉強とバンドを両立させているとのことだ。さぞかし頭がいいんだろうな……。

 

「ちなみにこっちは山田リョウ!このバンドのベース担当だよ!!」

 

「よろしく」

 

おお……。確かにクールでカッコいい人だ。名前は聞いてないが、間違いなくこの人が喜多さんの憧れの先輩という人だろう。でも女子だったんだな……。カッコいいって言うからてっきり男子だと思ってた………。良かったねクラスの男子諸君!!チャンス再来だよ!!(既に振られた人はこの限りではない)

 

「おねーちゃーん!!バイト希望の子がやってきたよ〜!!」

 

「あー。さっき喜多ちゃんが言ってたのは君か?」

 

お姉ちゃん……?もしや伊地知さん……だと紛らわしくなるな。虹夏さんの姉ということかな…?……なるほど、虹夏さんと顔立ちがそっくりだ。髪型と表情が違う程度であとはほとんど同じではないだろうか?

 

「はい。近藤優太です。本日はよろしくお願いします」

 

なんか俺のことを睨んでいるような気がしてならないが……、これもひとりがバンドに入るため……!!脱ヤンデレに協力するためだ!!気合い入れろ、俺……!!!!

 

 

 

 

 

一方その頃、ひとりちゃんは…

 

 

今日は優太君に用事があるようです。だから私は一人で帰らなければならない……。ど、どどどどうしよう…!!?今まで一人で外出たことなんてほとんどないのに……!!私、無事に帰れるかな……??

 

「ひとりちゃーん!!」

 

うぇ!!?だ、誰……!!?というか、私のことを呼んだ……??今まで家族と優太君以外には声をかけられなかったこの私に一体誰が…………。

 

「俺のこと分かるかな?中川勇人って言うんだけど、近藤から聞いてない?」

 

「あっ、えっと………その…………」

 

よ、よくよく考えてみたら家族と優太君以外の人と話すの久しぶりすぎて、上手く喋れない……!!!!

 

「あっ、ごめんごめん。おじさんは怪しい人じゃないよ〜?実はひとりちゃんにいい情報があるんだけど………」

 

「あっ、えっ、えっと、なな、なんでしょうか……?お金ならあ、ありませんお引き取りください…!」

 

「カツアゲじゃないよ!!?……さっき近藤がさ、可愛い女の子と学校を出ていくのを見たんだけどさ」

 

 

ピキッ

 

その言葉を聞いた途端。私の世界が真っ黒になった気がした。女の子?優太君の隣に私以外の女の子が?それも可愛い女の子?なんで?私のこと可愛いって言ってくれたじゃん?こんな可愛い幼馴染を持って幸せ者だって言ってたよね?あの言葉は嘘だったの?

 

「でさ〜……。ってあれ?聞いてるかい?おーい?」

 

……ふ、ふふふっ。でも優太君は優しいからね。きっと何か理由があるんだよね?でも帰ってきてからちゃんと理由を聞かないとダメだよね?もしその女の子が私の優太君を狙っているようなら…………。

 

「……やべぇことしたかもしれねぇ」

 

「どうした中川?」

 

「近藤が言ってた以上にひとりちゃんが重度のヤンデレかもしれねぇ……」

 

「……あ、あの、中川さん……でしたよね?」

 

「あっ?う、うん。合ってるよ」

 

「わざわざ教えていただいてありがとうございます。帰ってきたら、ちゃんと優太君に理由を聞いてみます」

 

でも、この中川って人はきっといい人だよね!!優太君は危ない人だって言ってたけど、私にちゃんと優太君の身の危険を教えてくれたんだもん!!この人は絶対いい人!!中川勇人……。ちゃんとこの名前を覚えておこう!さあ、優太君が帰るまでギターヒーローの収録をしなくちゃ!

 

「………やべぇな中川。近藤の話をした途端に幼馴染ちゃんの目からハイライト消えたよな……?」

 

「………ひとりちゃん。優しいなぁ」

 

「えっ?」

 

「ちゃんと理由を聞いてくれるとか、絶対いい子じゃねえか。なんで近藤は彼女にしないんだよ。俺ならすぐさま告白するのに」

 

「やべえわこいつ(やっぱ中川といると退屈しないわ)」

 

 

 

場所は戻ってStarry……

 

「……!!!」

 

「なんだ?どうしたんだ?」

 

「い、いえ、なんか悪寒がした気がして…………」

 

Starryの店長である伊地知星歌さんとの面接を終えたばかりの俺は、なんかヤバい予感がした。家に帰ってはいけない気がするのだ。さては中川、マジでひとりに密告したのか………?洒落にならないんだっての……!!!なんてことしてくれやがったんだ……!!!

 

「風邪を引いてるのかもしれないな。今日は早く帰りな」

 

「えっ……?今日はって…………」

 

「明日からよろしく頼む。今日は一応仕事はないし、君の体調も優れないようだからな」

 

星歌さんは見た目に反して結構優しい人だ。最初は睨んできたのかと思ったが、そんなことはないようだ。とりあえず採用が確定したので、働きながらもひとりに合いそうなバンドを探せそうだ。

 

「ありがとうございます。明日からよろしくお願いします!」

 

「ビシバシこき使う予定だから、覚悟しておけよ?」

 

「もー!お姉ちゃんそうやって脅さないでよ〜!!!」

 

まあ別にこき使ってもらっても構わないのだが…。とりあえず今日のところは帰るとしよう。

 

「あっ、待ってよ優太君!せっかくだからロイン交換しよっ!!!」

 

「えっ?いいですけど……。俺、バンドに入るつもりはないですよ?」

 

「違う違う。私達もここで働いてるから!ここは同僚のよしみとして!!」

 

なるほどそういうことか。そういうことなら遠慮なくロインを交換するとしよう。こうして俺は、1日で一気に3人の女子のロインを手に入れた。……中川辺りに話したら明日から飛んでここに面接しに来そうだな。まああの店長さんは人を見る目がありそうだから、下心を見抜いて落としそうだが……。というか落とさないとライブハウスが大変なことになりそう。

 

さあ、頑張るぞ〜!!!

 

 

 

 

 

 

ピロン♪

 

「おん?」

 

軽快な音と共にメッセージが表示された。再びロインを開いて確認すると…。ひとりからだ。なになに?

 

『優太君。帰ってきたら大事なお話があるから、私の家に来るように………。逃げないでね?

 

………中川、あいつやりおったな。マジでやりやがったなァ!!?

 

ピロン♪

 

今度は中川からの着信だ。

 

『すまん近藤。つい口が滑ってひとりちゃんに密告しちまったぜ!でも良かったな!ちゃんと理由聞いてくれるってよ!!あんなにいい子なんだから、浮気なんかしたら絶対にダメだぞ!!』

 

「………………中川ァアアッッッ!!!

 

この日、俺は怒りで髪が金髪になったような気がした。

 

 

 

 

だがそんなハイな時間もすぐに終わりを告げる。家に帰ってからひとりの家に行こうとした時だった。

 

「あっ、優太君。帰ってきたんだね」

 

………………玄関前に待ち合わせるひとりちゃんがいました。怖えよ。ハイライトはどこに置いてきたの?いつもの可愛いひとりちゃんに戻ってくださいまし!!?

 

「中川君って人から聞いたよ?なんでも今日、可愛い女の子とお出かけしたんだってね?これってどういうことなのかな?」

 

低い声でジリジリと距離を詰められている。これは非常にまずい状況だ。手にナイフを持っていると錯覚してしまうほどの雰囲気だ。だが、ここで下がってしまっては意味がない。後ろめたいことがあるから下がってしまうのだ。だが、別に喜多さんとはそんな関係ではないし、バイト先にいる虹夏さんやリョウさんもそうだ。あくまでただの同僚である。

 

だから、俺は下がらない。こういう時の対処法は心得ている。ここは一切下がらずに、真っ直ぐひとりの目を見据えるんだ。

 

「………それはひとりのためだよ」

 

「わ、私のため……?」

 

「そうさ。嘘なんかじゃないぞ?実は明日からライブハウスで働くことになったんだ。ライブハウスで働けば、そのうちひとりでも肌に合いそうなバンドが見つけられると思ってな。その子はバイト先を紹介してくれただけなんだ」

 

………よし、言えた。目を離さずによく言えたな………。さて、ここでひとりが納得してくれればいいが………。

 

「………そっか。私のために…?うへヘヘ……ありがとう…………」

 

よっしゃ!!お帰りハイライトひとりちゃん!!!これで俺は明日も生きていけるぜ!!!!

 

…………無事だと分かった瞬間にドッと疲れが出てきた。早く寝てェ…。

 

「でも、優太君に他の女の子の匂いがついてるのはなんか嫌だから、今日は私の家に泊まっていってよ。お父さんとお母さんも喜ぶよ?」

 

「えっ?いきなりか?でも……」

 

「だって私と優太君の家近いじゃん?」

 

補足説明すると、俺とひとりは互いの家に泊まることがよくあり、お互いのものがお互いの家にあったりする。流石にギターヒーローの収録スタジオは後藤家にしかないけどな。

 

「だ、だけどなぁ…………。いきなりはやっぱりまずいだろ?また今度の機会に…………」

 

「…………」スン

 

あ、やべ。ハイライトまた消えかかってるんだけど。これは不安を拭ってやらなきゃダメなやつだ。諦めるしかないぞ近藤優太。ひとりと寝るなんて最早日常茶飯事だろ。

 

「喜んでお邪魔させていただきます……」

 

「……!うん!!」

 

そして俺が了承した途端に無茶苦茶可愛い顔になった。お前、いつもそんな顔をしてたら多分友達自然にできると思うぞ。でもこういう笑顔は家族か俺にしか向けないってことだよな……。

 

あれ?家族以外だと俺にしかこの笑顔を見せたことがないってことか?なんだか不思議な気分になるな…?謎の優越感っぽいものを感じてしまう。このままだとひとりに攻略されかねないぞ俺………。しっかり理性を働かせないと…………。

 

 

 

というわけで、後藤家にお世話になっています。

 

「大きくなったら疎遠になっちゃうかと思ったけど安心したよ。これからもひとりをよろしくな!」

 

おじさん、そんな言い方したら……。

 

「お、お父さん…!?そ、そんな言い方ないでしょ……!!?」

 

「照れなくてもいいのよひとり。あなたたちの関係はよく分かっているから」

 

ひとりのお父さんもお母さんも俺とひとりを付き合わせたい節があるのだ。最初から外堀を埋められているとかいうこの状況。特にひとりのお父様や。あなたの娘さん取られるかもしれないというのにそれでええのか?

 

「ねえねえユータ君!!いつお姉ちゃんと結婚するの!!」

 

「うぐっ……!!?ゴホッ!!ゴホッ!!!」

 

やばいむせた。ひとりの妹、ふたりちゃんに鋭い質問をされて誤飲するところだった。無邪気というものが一番恐ろしいということを、ふたりちゃんと出会ってから思い知った。いや、現在進行形で思い知っている真っ最中である。

 

「こ、高校を卒業するまでにはね……えへへ」

 

むせた俺の代わりにひとりが勝手に答えやがった。あらぬことを答えんなや!!?

 

「ひとりさん?俺達はそもそも付き合ってないが??」

 

「照れなくてもいいんだぞ優太君!!うちは君を歓迎するからな!」

 

だからなんでそんなに前向きなの、ひとりパパンは?

 

「いや、本当にそんな関係じゃなくてですね…………」

 

「あらぁ。今でも仲良く二人で寝てるのに〜?」

 

笑顔で意地悪かつ鋭い返しをされた。これにはぐうの音も出ない。いくら幼馴染と言えども、高校生にもなって同じ布団で寝るのはやはり異常だろうな。兄妹(姉弟)でさえもそれくらいの年齢になれば離れるものだしな。

 

「あはは!ユータ君顔真っ赤ぁ!」

 

ふたりちゃんにそう揶揄われて、後藤家の夕食は終了。なんか泊まりに来るたびにどんどん外堀が埋められているような気がする。もしかして後藤一家で俺を囲い込もうとしているのではないだろうか………??

 

 

 

 

時は進み、風呂を出てもういい時間になってきた。流石にひとりが風呂に乱入するなんてことはなかった。いくらヤンデレ化が進行しているとはいえ、流石に羞恥心は忘れていないようだった。ある意味安心した………。

 

「………ど、どうかな?」

 

俺はさっきまでひとりのギターソロ演奏を聞いていた。

 

「おう。更に上手くなったなひとり。これならいつでもバンドに入れるな」

 

「えへへ……。ま、まあ登録者3万人になったからねぇ……。こんなのちょちょいのちょいだよ」

 

しかし、ここ最近で本当に上手くなったな。もしかするとプロレベルなのでは……??まあそれを言ってしまったらひとりが調子に乗ってしまうので敢えて言わないけれども。

 

「てかひとり。もうそろそろ寝ないと明日きついぞ?」

 

「あっ、そうだね……………」

 

「そろそろ寝るか。おやすみ」

 

「うん。おやすみ」

 

電気を消して布団の中に潜っていざ就寝………。と思いきや、ひとりが俺を抱き枕にしてきやがったのです。やめろォオオオ!!!俺の理性を壊す気か!!?

 

「えへへ……。優太君の匂い好きぃ…」

 

そして可愛いから許すって思ってしまう自分がいるのが憎い。最近は他人に優しいというより、ひとりに対して甘くなっているような気がしてならない。なんだか俺は着々とひとりに攻略され始めているのではないかという疑念さえ抱いてしまうほどだ。もしかしてそういう運命……?

 

「………で、優太君。このロイン誰?虹夏って女の子の名前だよね??」

 

ヴェッッ!!?な、なんでひとりが虹夏さんのこと知ってんだ!!?まさか、ついに俺のスマホのパスワードを解いたってのか!!?

 

「あっ………」

 

違う。ロインの通知から見たのか。ここは正直に話すんだ。真っ直ぐ目を見て正直に話せば問題ない。

 

「これはバイト先の同僚の人だよ。何もやましいことはないって。それに、ひとりは俺が出会ったばかりの人と付き合うようなやつだと思ってるのか?」

 

「そ、そんなことはないと思う……」

 

「だろ?バイト先のただの同僚の人だよ。だから安心しろ、な?なんなら定期的にロインの内容を見せてもいいからさ」

 

「………分かった。でも、明日もバイトに行くんだよね?」

 

「あっ?あぁ……。そうだけど………」

 

「そっか…………」

 

それだけ言うと、ひとりは顔を俺の首元に近づけてきた。えっ?何?無茶苦茶顔が近いんだけど。まさかキスされる……?あらやだ、ひとりさんイケメンだわ………。じゃなくて!!それは洒落にならないって!!!

 

「んっ…………」

 

「いてっ……!!!………って、今のは………」

 

「えへへ………。勘のいい優太君は分かっちゃったかな?()()()()()っていうのをつけてみたんだ。これなら、もしその同僚の女の子が優太君の魅力に気付いたとしても、絶対に手を出してこないでしょ?」

 

なに?今日のひとりちゃん随分冴えてない?課金でもしたの?神様からなんか特典でももらった??………って、噛まれた位置的にワイシャツの襟でも隠せない位置じゃねこれ?えっ?明日これで登校しろと??マジで言ってんの?

 

「………あ、あはは………。た、助かるよ……」

 

「うん。今度こそおやすみ」

 

「お、おやすみ〜………」

 

そして再び抱き枕されながらもなんとか寝ようとする。俺、このままで本当にいいのだろうか……?絶対にこのままではいけないと思うのだが………。もしかして、ひとりの重い愛を受けることを望んでいる俺も深層心理にはいるとでも言うのか…………?

 

 

………が、そんな考え事もひとりの寝顔を見たら全て吹っ飛んでしまった。やっぱり可愛い顔してるんだよな、こいつ。

 

「…………そうだ。虹夏さんに返信しておかないと…………」

 

ロインで返信してから、その日は寝ついた。

 




補足。

ひとりのヤンデレは他人の前だと大分マシになる。しかし、二人きりの時は凄まじい。ただそんな愛を受け止めてしまっているのがオリ主君である。



結束バンドメンバーのオリ主に対する評価的なもの

虹夏→オリ主
喜多ちゃんが推薦する人だし、多分いい人でしょ!!

リョウ→オリ主
なんか奢ってくれそう。そんな優しい人のオーラを感じる。

喜多→オリ主
友達のためにバンドを探すなんて、随分親切な人なのね!(キターン)

ぼっち→オリ主
好き好き好き、大好き、結婚したい。優太君が飛び抜けるほどのイケメンじゃなくてよかった…。だってイケメンだったらモテモテになっちゃうもんね?本当は今すぐにでも嫁ぎたい。

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