幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果……   作:Miurand

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 お待たせしました。この数日で完結までのお話をある程度考えてきました。多分20話くらいになるのかな〜と思っております。

 ちなみに私はアニメも原作も履修済みでございます。



幼馴染君はぼっちちゃんの燃料…?

また新しい朝が来た。今日は珍しく隣にひとりがいない。いや、本来なら高校生にもなって恋人でもないのに同じ布団で寝ることの方が異常なはずなんだが、最近の俺の感覚はバグっているようだ。

 

朝ご飯を食べ、用意を済ませてひとりと共に学校に行く。そして各々の教室に入る。本来なら今日もいつも通りの学校生活が始まるのだが、俺は気になることがあった。

 

言うまでもなく、喜多さんがライブをバックれた件である。まあ原因はなんとなく察しがついている。多分ギター弾けないから逃げたのだろう。俺が呼び戻すように説得するのは別に問題ないのだが、結束バンドの一員ではないため、そこまでするのはおこがましいのではないかと考えている。ちなみに結束バンドというのは、コードを束ねるアレのことではなく、虹夏さん達のバンド名である。リョウさんがネタで付けたと思われるこの名前だが、いい感じの名前が思い浮かばないため取り敢えずこの名前にしているんだそう。

 

「……こ、近藤君。ちょっといいかしら…?」

 

「えっ?喜多さん?」

 

聞くべきかどうか迷っていた時に、喜多さんから話しかけてきた。

 

「先輩達、怒ってなかったかしら………?」

 

「いや、怒っているというよりは心配してたぞ。喜多さんどうしたんだろうってな」

 

「そ、そうなの…?」

 

「あの日サボった理由は大体察しがついてるけど、これからどうするの?」

 

あの人達は優しいから、多分正直に事情を話せばなんだかんだで許してくれるだろう。きつい言い方をするようなら、ギターが弾けると嘘をついてまでバンドに入った喜多さんの自業自得なんだけどね……。

 

「………私、バンドを抜けるわ。これ以上は先輩達に迷惑をかけるわけにはいかないし…………」

 

「………まあ、別にいいんじゃない?」

 

「………えっ?」

 

喜多さんは予想外の返答が来たとでも言わんばかりの顔をした。案外顔に出やすい性格なのだろうか?

 

「私、てっきり戻るように説得されるのかと思ってたわ………」

 

「きつい言い方をすれば、ギターも弾けないのにバンドにいても足を引っ張るだけだからな。それに俺はバンドメンバーじゃなくて、あくまでバイトの同僚だからね。俺にとやかくいう権利はないよ」

 

「やっぱりそうよね…。そもそもギターを弾けるって嘘をついて入った私が悪いんだし…………」

 

どこか未練を感じていそうな言動だ。恐らくバンド……というより、リョウさんに憧れてバンドをやってみたいという気持ちがある反面、嘘をついてしまったという罪の意識があって行きづらい状況を作り出してしまっているのだろう。

 

俺は結束バンドに入っていない。だからとやかくいう権利などない。

 

「………だけど、もし喜多さんがバンドに戻りたいって言うなら、方法はないこともない」

 

「…………えっ?」

 

そんな方法があるわけがない。だけどこの言葉につい期待してしまう。そんな顔だな。喜多さんにはバンドに戻りたいという気持ちが少なからずあるようだ。ならば、部外者とはいえ、選択肢を提示するくらいなら文句は言われまい。

 

「……俺の友人に、ギターを独学で身につけたやつがいるって言ったよね?」

 

「え、ええ。確か、その子のバンドを探すためにバイトを始めたのよね?」

 

「そうだ。そいつを利用して、嘘を本当にしてしまえばいいだけだ」

 

「それってつまり……………」

 

流石喜多さんだ。この前の小テストでは確か高得点を叩き出していたはずだ。頭がいい分、飲み込みも早いようだな。

 

「もし喜多さんが先輩達に対して負い目を感じているのなら、バンドで役に立てるレベルになって帰ってくればいいだけのこと。そうすれば、ギターを弾けるという嘘は本当になる」

 

「でもいいのかしら?お友達にも悪いわよ……?」

 

「多分なんとかなるよ。でも無理強いはしない。これはあくまで喜多さんが決めることだしね。バンドをやめるもよし、先輩達の謝罪の意味も込めて強くなって帰還するのも良し」

 

「……………」

 

「別に期限があるわけでもないし、ゆっくり考えてみなよ。だけど、後悔のないようにね」

 

何度もいうが、俺は結束バンドの一員ではない。だから戻ってこいだの、戻ってくるなだのは俺が言うことではない。虹夏さんやリョウさんに言えば、きっと優しく戻ってきてほしいと言うだろう。そうなることは確信しているが、問題は喜多さんの中にある罪悪感だ。これを払拭しない限りは呼び戻すことは難しいはずだ。

 

だから俺は選択肢を提示した。やめるという選択に加え、新たに強くなって帰ってくるという選択肢を。ちゃんとギターを弾けるようになったら、きっと喜多さんの中にある罪悪感は薄れるはずだ。

 

「よっす近藤」

 

「おう中川。ってあれ?西村はどうした?」

 

「あいつなら多分サボりだろ」

 

またかよあいつ。最低でも月1で休んでないか?確かに俺も学校をサボりたいと思ったことはあるが、それをやると漏れなくひとりも付いてくる。そうなるとズル休みの味をしめたひとりが不登校になる未来しか見えない。だから俺はそう簡単に休むわけにはいかないのだ。

 

「それにしてもよ、近藤」

 

「なんだ?」

 

「お前、マジでひとりちゃんから喜多ちゃんに乗り換える気か?」

 

「おめぇ、ぶっ○すゾ…」

 

相変わらず中川はこの手の話が好きすぎる。いつか犯罪に手を染めないか心配で仕方がない。つーかマジトーンで聞いてくるなよ。そもそも乗り換える以前にひとりと付き合ってないっての。

 

 

 

 

放課後。喜多さん曰く、『考える時間がほしいとのこと』。別に急ぎの要件というわけでもないので、ここはじっくり考えて後悔のない選択をしてもらいたいところだ。最近男子からの目線が妙に気になるが、きっと喜多さんと一番話している男子が俺だからだろう。と言っても、別に喜多さんが俺に対して特別な好意を抱いている気配など全く感じないし、業務連絡の延長線上のようなものだ。そんな視線を向けるくらいなら自分達から喜多さんにアプローチしに行けばいいじゃない。好きな女の子にアタックする恥ずかしさは分からなくもないけど。

 

「ゆ、優太君!」

 

「ようひとり。んじゃ帰るか」

 

「あっ、いや、私はこれからバンドでミーティングがあるから………」

 

そういえばそんなこと昨日話してたような気がするな。ひとりの奇行や性格を目の当たりにしてもそれに誘ってくれるということは、きっとひとりをバンドメンバーとして受け入れてくれたのだろう。そうなると俺はもうお役御免のような気もするが、定期的な収入はほしいし、新しいバイト先を探すのも面倒なのでこのまま継続でバイトを続けることにする。

 

とはいえ、今日はバイトの日ではないので、このまま直帰する予定だ。

 

「そうか。じゃあ俺は先に帰るわ」

 

………ギュ

 

……なんか服の裾が掴まれているような気がするんだが……。犯人は言うまでもなくひとりなのだが、一体何の用だ?まさかとは思うが………。

 

「ゆ、優太君……。来てくれないの?」

 

「別にもう場所は知ってるから、俺の案内がなくても行けるだろ?」

 

「あんなオシャレタウンに放り込むなんて、優太君ってもしかしてドS…?そ、そういうことなら私はMにならないと………」

 

「なんでそういう話になるんだよ!?………分かった分かった。ただし送るだけだからな」

 

「やった……」

 

こんな嬉しそうな可愛い顔をされるからつい甘やかしてしまう。ちくしょう、ひとりの顔がいいのがいけないんだこんちくしょう。

 

 

 

 

というわけで、車やバイクを運転できるわけでもないのにひとりをスターリー前まで送った。そうと決まれば俺の任務は終わったも同然。せっかく下北沢に寄ったんだから、何か買って帰ろうかな。

 

「それじゃ、俺は先に帰え……」

ギュッ

 

またかよ。俺今日はバイトないんだっての。離しなさい。というかその小動物みたいな目はやめろ。俺の母性に効く。

 

「…………分かった、分かったよ。ここまで来たんだから今日は付き合うよ……」

 

「やった………。えへへ…………」

 

なんだこの子。あらゆる行動が素直過ぎて可愛い。………っといかんいかん。今のひとりと付き合ってしまっては危ないと俺の理性が必死に警告してるんだった。表情豊かになるとホントに可愛いんだよなこいつ。よく今まで友達できなかったなってレベル。

 

「あっ、優太君も来てたんだね〜!相変わらずラブラブだね〜!」

 

「ら、ラブラブ………うへへ。そう見えますかね?」

 

「だからそういうのじゃないんですって」

 

「大丈夫だよ優太。皆まで言わなくても分かる」

 

「変な察し方しないでください」

 

この人たちといると疲れるかもしれない。俺とひとりを恋人いじりするのは是非やめてほしい。さもないとひとりがそのうちとんでもないモンスターになりかねないのでね……。

 

まぁそういうわけで、何故か俺も結束バンドのミーティングに参加することになった。っていやいや。

 

「何故俺も巻き込まれてるんです?」

 

「いいじゃんせっかく来たんだし!!思えば優太君のこと全然知らないから色々聞きたいし!」

 

なんだ?今日は雑談するだけなのか?それくらいなら別に構わないが、俺以外に男がいないのが問題だ。肩身が狭いというかなんというか……。とにかく居心地が悪い。

 

「というか俺はそもそも……」

 

「じゃあ始めよ〜!!」

 

「強引に始めやがった!!!?」

 

「ではまずは………思えば全然仲良くないから何話せばいいか分からないや」

 

「そんな時のためにこんなものを」

 

リョウさんがそう言って持ち出したのは、サイコロのようなものに文字が入ってるものだ。滑らない話、好きな音楽の話、バンジージャンプとか入ってるな。要は振って出たお題を利用して話し合おうってことか。………えっ?バンジージャンプ?オレハナニモミテナイ……。ソウイウコトニシヨット……

 

最初に出たお題は『学校の話』。略してガコバナだそう。

 

「あっ、そういえば2人とも同じ学校………」

 

「そう!下高!!」

 

「2人とも家が近いからそこにした」

 

まあ高校なんて普通はそんなもんだ。わざわざ遠い高校に行くなんて、その高校によっぽど行きたい理由でもない限りは片道2時間もかける必要はない。

 

「2人は秀華高校でしょ?家ここら辺じゃないの?」

 

「あっいや、片道2時間です……」

 

「2時間!!!?なんで!!!?」

 

「高校は誰も私の過去を知らないところに行きたかったので…………」

 

「そ、そうなんだ〜……。優太君はどういう理由で?」

 

「俺はひとりが心配だし、特に行きたい高校もなかったので同じところにしました」

 

「「…………」」

 

俺がそう言った途端、虹夏さんの顔がからかいを含んだものに変化した。

 

「優太君、ぼっちちゃん大好きでしょ?」

 

「…………………いや、そういうわけじゃなくて、ひとりが心配だから同じ高校にしたんですよ」

 

「えっ?それで好きじゃないって嘘でしょ?」

 

やばい。馬鹿正直に言うんじゃなかった。適当な理由でもいいから嘘つけば良かった……。

 

「…………というのは冗談で、直感で選びました」

 

「言い訳が苦しすぎる…!!!」

 

真っ当なツッコミが入りました。

 

「………優太ってツンデレ?」

 

「男のツンデレとか誰得ですか?」

 

「それ否定になってない」

 

失敬な。俺はデレがあってもツンはないぞ!…………デレはあるのかよ。

 

「むむむっ…。じゃあ優太君の好きな女の子のタイプについて聞いてみよう!!」

 

「えっ?なんでそうなるんです?元々学校の話では……?」

 

「細かいことは気にしなーい!!」

 

さあ観念しろという目で俺を見てくる虹夏さん。…………まあ好きなタイプを教えるくらいなら別に問題ないけれども。

 

「俺の好きなタイプですか………。そうですねぇ………。髪は長めがよくて、料理ができる人がいいですね。あとは面倒見がよくて、一緒にいて楽になれる人がいいかなぁ……って感じです」

 

俺が好きなタイプについて一通り語り終わると、リョウさんが虹夏さんのことをじっと見つめていた。からかい過ぎだから積極でもしてくれるのかしら?

 

「…………それ、虹夏のことじゃない?」

 

「えっ?」

 

「だって、虹夏は髪が長いし料理もできるし面倒見もいいし、一緒にいると楽だよ?」

 

「最後のはリョウさん目線ですよね?」

 

「わ、私かぁ……。困ったなぁ…。ねぇぼっちちゃ…………」

 

やめて。ニヤけながらそんな反応しないでくれ。いや別に冗談だと分かっているならいいんだけれども………。

 

「……………」キッ

 

ひとりがさっきから俺を睨んできてるんですよ。どうしてくれるんですかあなた達。お二人のせいで俺には明日が来ないかもしれないんですけど……。

 

「へぇ……。優太君、虹夏ちゃんが好きだからここでバイト始めたんだ…?へぇ〜?私のためにバイトを始めたって言ってたけど、やっぱり他の女の子目当てで……………」

 

「ぼっちちゃん怖い怖い…!!冗談だから!!」

 

「あっ…!なんだ、冗談ですか……。良かったぁ」

 

「はいもうこのお話終わり!次に行きましょうか!!」

 

「なんで優太君が仕切ってるの!?」

 

「なにが出るかな〜!!?」

 

この話題を続けるとひとりがヤンデレモンスターになりかねないので、ヤケクソでもいいから話題をすり替えてやる。

 

「おっ!今度は音楽の話、略して音バナ〜!!」

 

「音バナ〜」

 

「お、音バナ〜………」

 

………今気づいたけど、ひとりがノリに乗っている…?!しかも虹夏さんやリョウさんと僅かな時間ながらも目を合わせて会話をしている……!?これは、脱俺依存の夢も現実になりつつあるのではないか……!!!?

 

ちなみに好きな音楽の話では、虹夏さんがジャパニーズパンク?メロコア?とか好きだと言っていた。正直そんなに曲聞かない俺からしたら何がなんだかよく分からない。よくライブハウスでバイトする気になったな俺。そして何故採用されたんだ?不思議でならない。

 

ちなみにひとりはまだ青春コンプレックスを抱えているようだった。いや、この前愛してるゲームとかやってたし、なんなら俺と一緒に寝てるよな?ひとりが強引に迫ってきたとはいえ、あれは青春のうちには入らないのだろうか?ひとりの判断基準が分からない…。

 

えっ?俺の好きな音楽?取り敢えず神曲ならなんでも好きです(ド素人)

 

そんなこんなで音バナも終わり、次はライブの話に変わった。ここまで来ると俺は最早関係ないのではないだろうか?でもライブハウスで働いている身としては聞いた方がいいのか……?

 

「初ライブはインストだったけど、次はボーカル入れたいんだ。本当は逃げたギターの子が歌うはずだったんだけど………。確か優太君と同じクラスだよね?何か聞いてない?」

 

「………今のところは特に。一応理由を聞こうとはしてるんですけど、彼女は人気者ですから………その…………」

 

「あー、はいはい。男子からの殺気に近い嫉妬を感じると」

 

あまりの察しの良さに驚いてしまった。まさかとは思うが、虹夏さんってテレパシー系の能力者だったりしないよな……?それとも虹夏さんも喜多さんポジなのだろうか?ビジュアルいいしこの性格だから普通にあり得る……。

 

「そうなると、ボーカルまた探さなきゃなぁ……。私は歌下手だし…、ぼっちちゃんは?」

 

虹夏さんがひとりにそう聞くと、ひとりは首を横に振った。ひとりの歌は決して下手ではないと思うが、ボーカルとなるとどれほど上手なら許されるのだろうか……?ただ音程を合わせるだけでも足りないだろうし…………。

 

いや、そもそもひとりはコミュ障だから人前で歌えるわけないわ。うん。

 

「あっ、そうだ!!優太君はどう?」

 

「えっ?俺………?」

 

俺に来たかぁ……。下手ではないと自負しているが、カラオケで言うと80点台後半から90点台前半くらいだ。しかも点数稼ぎしてそれくらいなので、実際に歌うとなると………。

 

というか、もし俺がボーカル入りしたとして、1人の微妙に冴えない男がJK3人を侍らせている異様な光景が生まれてしまう。バンド界隈ではそれも普通なのかもしれないが、俺のメンタルが持たない。無理。

 

「大丈夫だよ優太。バンドマンといえば、飲酒、喫煙、女遊び。優太ならむしろ適任」

 

「何がですか………?」

 

これ絶対褒められてないだろ。飲酒と喫煙はしていないので、多分女遊びのカテゴリーから判断されているのだろうが、生憎俺はそんなにモテない。いや、約1名からは猛烈なアプローチを受けているけれども。

 

「そういうリョウさんはどうなんですか?」

 

「フロントマンまでしたら、私のワンマンになってバンドを潰してしまう………」

 

「その湧き出る自信は何……?」

 

思わず俺がツッコミそうになったことを虹夏さんが代弁してくれた。その自信を少しでもいいからひとりに分けてほしいものだ。………いや、もしひとりが自信満々になったら………。

 

 

『大丈夫。優太君は自分の気持ちに素直になるのが恥ずかしいだけだもんね?私は優太君の本心を分かっているから。私がバンドで稼いで優太君を養ってあげる代わりに、私のそばを離れちゃダメだよ………?』

 

…………おっふ。更にやばい状況になりかねないわ。やっぱり自虐的な性格でこそのひとりだな、うん。自信満々なひとりは多分無敵の人になると思う。

 

あっ、でも、養ってもらえるのは悪くない気がする………。

 

「そうだ!ボーカル見つかったら曲も作ろうよ!リョウは作曲もできるし、歌詞に禁句が多いならぼっちちゃんが書けばいいよ!!どう?名案じゃない?」

 

「あ〜……。確かに」

 

ひとりが作詞したらいい感じに厨二心をくすぐる歌詞を作ってきそうな気がする。とはいえ、基本的に自信のないひとりがそんな結構重要な仕事を任されて大丈夫なのかという点だが……。

 

「虹夏は何するの?」

 

「……………えいっ。次はノルマの話〜」

 

リョウさんの質問を受けた虹夏さんはサイコロを振って強引に話題を切り替えてきた。………きっと自分が何かやることは考えてなかったんだろうなぁ。

 

「虹夏は何するの?」

 

「今はノルマの話だよ〜?」

 

「虹夏は……」

 

「優太君も何もしてないからセーフ!!!」

 

「俺はそもそもバンドに入ってないが!!!?」

 

基本的にバンド内のツッコミ担当は虹夏さんかと思ってたが、ボケもやるのかよあんた。てかナチュラルに俺をバンドに入れようとしてない?流石にそんなことないよね………?よね?

 

ちなみに俺はライブのノルマに関してはバイトをし始めた時に聞いたが、ひとりは知らなかったので、虹夏さんが懇切丁寧に説明していた。リョウさんの表現を借りれば、売れるまで無茶苦茶お金がいるのだ。

 

「昨日のライブは私の友達が来てくれたからいいけど、あの出来じゃ二度は来ないよね〜。リョウは友達いないし………。ぼっちちゃんは……?」

 

「いやいや、聞かなくても分かるでしょ」

 

「優太君何気に鬼畜だね?」

 

いやいや、本人の口から出させようとするよりはよっぽど優しいと思う。

 

「そういえば、優太君って友達いる方?」

 

「まあ、多くはないけどいますよ。ただ自由奔放な奴ばっかりなので、来てくれるかは分かりませんけど……」

 

「そ、そっか〜。でも優太君が毎回ライブに来てくれれば一枚は確実にはけるね!」

 

「…………えっ?毎回お金払って行くんですか?」

 

「段々容赦なくなってきたね」

 

「だって、ライブハウスの関係者だから無料で見れるのに、わざわざお金払うのはなんかな〜と………。まるで飲食店のバイトで賄いで無料で食べれるのに、わざわざお金払うみたいで損した気分になりません?」

 

「なんかリョウみたいなこと言い出した…!」

 

「私はこんなこと言わない」

 

だって、無料で同じサービスを受けられるならそれに越したことないじゃない。

 

「………まあ、そんなわけで、ライブ代機材代諸々稼ぐ為にバイトしよう!」

 

「………はい」

 

まあバンド活動というものはお金がいるものだということは聞いていた為、こういう話に繋がるのは正直予想できたことだ。理屈は分かるのだが……。

 

「………あの、それで俺のバイト代を没収されたりとかは…………」

 

「いやいやそんなことしないよ!!?」

 

良かった。流石にそんな鬼畜ではなかったらしい。さっきの発言も踏まえると、しれっと俺が結束バンドのメンバーとして扱われているのではないかと不安だったが、あれは冗談だったみたいだな。

 

「…………バイト!!!?

 

「うわ…!?」

 

「今日いちデカい声が出たね………」

 

唐突にひとりが大声をあげたので、俺までびっくりしてしまった。ひとりの大声を聞いたのは久しぶりかもしれない。

 

案の定、ひとりはバイトをする妄想でもして自爆し、バグった末にどこから取り出したのか、ブタの貯金箱を虹夏さんに差し出していた。

 

………いや、なんでそんなものを持っているんだ?

 

「あ、あの……。お母さんが私の結婚費用のために貯めてくれてて……。これで、どうかバイトだけは……!!!」

 

…………ん?結婚費用……?もしかして、これがなくなれば、ひょっとひとりが強引に俺に迫ることがなくなるのでは?つまり、ひとり健全化に向けて大きく前進することと同義では…!?脱ヤンデレへ向けての一歩では!?

 

「それは名案だ!!ぜひこのお金を使ってください!!!空っぽになるまで使い倒してください!!!!」

 

「それは名案じゃなくて()()でしょ!!?優太君ってひょっとしなくても鬼畜!!!?」

 

「誰が上手いことを言えと」

 

「君が言わせたんだぞ?」

 

仕方ないじゃない…!このままひとりを放っておいたらヤンデレが酷くなっていずれは罪を犯してしまうかもしれない。となれば、それを防ぐためには時には心を鬼にしなければならないもの…!本当に優しい人はその人のことを考えて厳しく接することのできる人のことを言うのだ…!!

 

「優太もこう言ってることだし、ありがたく…………」

 

「いや受け取らない受け取らない!!そんな大事なお金使えないから!」

 

「で、でも………」

 

未だに納得しそうにないひとりを見かねたのか、リョウさんがとんでもないことを言い出した。

 

「ぼっち。今ここで働くと特典がついてくる」

 

「えっ?なんかありましたっけ?」

 

「何言ってるのリョウ?うちは今そんなキャンペーンやってないよ?」

 

「何言ってるの虹夏。ぼっちにとってはこれ以上ない特典があるじゃん」

 

「………??」

 

ちなみに俺も虹夏さん同様、なんのことを指しているか全く意味が分かっていない。時給アップでもあるのか?

 

「………今働くともれなく優太が付いてきます」

 

「俺が特典!!!?」

 

「働きます!いや働かせて下さい!!!」

 

「即答した!!?」

 

「うん。やはりぼっちをアクティブにするには優太が必要不可欠」

 

「俺をひとりのガソリンか何かと勘違いしてません……?」

 

「えっ?違うの?」

 

当たり前のように聞き返された!?納得いかないぞ!!?確かにいつも一緒にいるけれども!!

 

「じゃあ、バンドの経費は私が管理するね」

 

「えっ?リョウさんに任せた方がいいんじゃ…………」

 

「どういう意味じゃ」

 

虹夏さんはひとりの発言に何か思うところがあったのか、軽く台パンして抗議の目線を送っていた。確かにパッと見ならリョウさんの方がしっかりしてそうではある。

 

「あのねぼっちちゃん。リョウはこう見えてもお金遣い荒いんだよ。金持ちだからお小遣い沢山もらってるけど、楽器につぎ込むから毎日金欠だよ」

 

「テレッ」

 

「どこか褒め言葉に聞こえた…?」

 

金はもらってるのに金欠…?そういえば中川も無茶苦茶バイトしてるのにいつも金欠って言ってたような気がする。あいつの場合は楽器ではなく、自分の趣味関係で金を使いまくってるらしいが………。

 

そんなわけで、何故か巻き込まれて参加したバンドミーティングは終わり、ようやく帰宅できることとなった。取り敢えず今日で分かったことは、あの2人にとって俺とひとりは2人で1人的な扱いを受けているということ。いや、いつも一緒にいるけれども………。

 

 

 

 

「……ねえリョウ。ぼっちちゃんと優太君、どう思う?」

 

「あれは絶対に両想い。だけど優太がヘタレ過ぎるせいでうまくいってない」

 

「今日のぼっちちゃん、一瞬だけど怖かったよね〜。もしかしてあれって、ヤンデレってやつ?」

 

「間違いない」

 

「そっか〜。でも優太君もぼっちちゃんのことが好きなら何も問題ないよね?」

 

「優太とぼっちがくっつけば、多分ぼっちは開花して逸材になると思う」

 

「よーし!ぼっちちゃんの為にもどうにかしてヘタレ優太君を動かそう!」

 

これはまだまだ先の話であるが、結束バンドはある界隈では別の異名を持つこととなる。その名を………。

 

 

 

 

「へっくち!」

 

「?どうしたの優太君?風邪?」

 

「いや、なんか嫌な予感がしただけ……」

 




 ちなみにこの世界のぼっちちゃんは、母親に料理の仕方を教えてもらっているため、大体の料理は作れるようになっています。
 髪も原作通り長いし、アンソロで主に覗かせてるけどお姉ちゃん気質で何気に面倒見もいいし、オリ主的には女子の中では一緒にいて一番安心するのはぼっちちゃんで間違いないし、料理も作れるなんてヒロイン力高めですね〜…!…………で、式はいつになりますか?

 前回のアンケートでヒロイン増やすのあり的なものをやったと思うんですけど、この作品の趣旨を考えると、増やすのはやっぱり違うということで没と化しました。アンケートでは一応ありって答えた人の方が多かったんですけど、ここはぼっちちゃんオンリーじゃないと色々と方向性がおかしくなりそうなんで。あと読者の方からも指摘があった通り、結束バンド内でヒロインを増やしてしまった場合はギスギスバンドにならないと逆に不自然になってしまうという問題点もあり、私はギスギスバンドに仕立てあげたいわけではないので没にしました。

 正ヒロインとヤンデレヒロインをぶつけるより、周りがヤンデレヒロインと主人公をくっつかせようとした方がギャグとしては光そうという偏見も含まれております。

 というか、もうお気に入りが400ってすごい……。更新早くないけど頑張ります。

ヒロイン追加するのあり?(喜多ちゃんとか虹夏ちゃんとかとか…。なおヤンデレはぼっちちゃんの専売特許とする)

  • ありよりのあり
  • ぼっちちゃんだけでいいのだ
  • 俺に質問するな(訳:おまかせする)
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