幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果……   作:Miurand

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 タイトル、本当は母っちちゃんにしたかったけど、他の作品の表現と被ってしまうので断念しました。
 最近評価下がり気味だけど、沢山のお気に入りがあることを忘れずにモチベを維持しているところでございます。



家庭的なぼっちちゃん

馬鹿は風邪を引かない。こんな言葉を聞いたことある人は多いのではないだろうか?その言葉の意味は、確か馬鹿は風邪と認識できない=風邪を引いてないということになるとかそんな意味だったような気がする。

 

唐突に何故こんなことを話すか?行動には何事も理由がある。俺が唐突にこの話題を始めたのは………。

 

「ふぇぶしッッ……!!!あ、頭痛え……………」

 

風邪を引いたのだ。どうやら俺は風邪を認識できないほどの馬鹿ではなかったらしい。多分ひとりの風邪をそのまま貰い受けたと思っている。ひとりが学校を休んでいる間は毎日お見舞い的なものに行ってたからな…………。

 

だが、まさかひとりと入れ替わりで休むことになってしまうとは……。あいつ1人でも学校に行けるのだろうか……?風邪で頭がガンガンするというのに、こんな時でもひとりの心配ばかりしてしまう。もう高校生なんだから大丈夫だろ。そうならないのが後藤ひとりなのだ。

 

頭が回らない中、まずは友人に連絡して体調が回復した時に融通を利かせてもらえるようにお願いし、次にバイト先に連絡。今度は俺の代わりにひとりが入るのだろうか……?そして最後は学校に………っと思ったが、学校には親が連絡しないとズル休みだと勘違いされかねないので、それは親に頼むことにした。

 

ちょっとした微熱程度なら遊ぶこともできたのだが、こんな調子ではそれもできるわけがない。

 

「そうだ、喜多さんにも連絡を………。って、喜多さんのロイン知らねぇ……」

 

虹夏さんやリョウさん辺りなら知ってそうだが、本人の許可なしに勝手に得るのは気が引ける。喜多さんには大変申し訳ないが、もうちょっと待ってもらうことにしよう。

 

 

 

 

「ごめんなさいね〜。優太、風邪引いちゃったの」

 

「…………えっ?」

 

私の名前は後藤ひとり。優太君の幼馴染である。いつも通り一緒に学校に行こうかと思ったけど、珍しく家のインターホンが鳴らなかったので、私から出向くことにした。優太君の家族とは幼少期からよくお話するからいいけど、もし他の家の人に行く場合はインターホンを押すなんてとてもじゃないけど無理。

 

………と、私のどうでもいい事情は置いといて、優太君も風邪を引いてしまったようだ。丁度私の風邪が治ったタイミングで……。そんな殺生な……。神は私にタヒねと言うのだろうか………?学校なんて優太君がいないと行けないよ…。いつも優太君のそばで優太君成分補給しているのに…………。

 

「や、やっぱり私のせいで………」

 

「あ〜。ひとりちゃんの看病に行ってたんだっけ?まあ最終的にはあの子の自業自得だから、ひとりちゃんが気に病む必要はないわよ〜」

 

優太君のお母さんはこう言ってくれてるけど、絶対に私の風邪が移ったんだ。このタイミングは間違いない。私がバイトを休もうとしなければ、優太君は風邪を引かずに済んだのに……。

 

「(全く優太のやつ、こんな可愛い子を心配させるなんて、いつから罪な男になったのかなぁ…)」

 

帰ったら今度は私が優太君の看病をしよう。そう決意しながら登校する。けど、いつもは必ず優太君がいてくれたから安心感があったけど、一人だと人の視線が気になってしまう…。やっぱり私には優太君が必要だよ。

 

 

 

バンドして、飲食店(正確には違うけど)でアルバイトを経験した私は今までの私と違うのではないかという浅はかな考えからもう一度ギターを背負って学校に行ってみた。今度は私から声をかけられるんじゃないかと思っていたけど、そんな短期間で変わるはずもなく、むしろ黒歴史を1つ新たに刻んでしまった………。

 

いつもの謎スペースで一人寂しくお弁当を食べている。いつもなら優太君がいるから寂しくなかったけど、こうして優太君が休むと、自分は本当に友達いないんだなぁって痛感する。むしろ優太君は友達がいるのになんで私なんかと一緒にいてくれるんだろう…?もしかして私のこと好きなのかな……?うへへ…。もしそうならいいんだけどなぁ…。

 

そんなことを考えていると、『キタちゃん』という子がバンドをやっていたらしく、歌も上手いという会話が聞こえてきた。そういえば虹夏ちゃんがギターボーカルを探していたっけ。この前バイトを休んじゃったし、せめてもの償いでギターボーカルとして連れてこれないかと、ふと覗いてみると…。

 

(か、可愛い……!!!)

 

そこには可愛い上に、ザ・陽キャなオーラを放っている子がいた。あんな子を私が勧誘するの…!?優太君が付いているならともかく、今の私にあんなキラキラした子に話しかけろと…!?でも、迷惑をかけた虹夏ちゃんやリョウさんのためにも、ここは……!!!

 

 

 

 

そう意気込んだはいいけど、結局上手く話せずに本日二つ目の黒歴史を作ってしまった。そんな自分に嫌気がさして自虐ソングを歌っていたら……。

 

「感動!後藤さんギター上手いのね!」

 

なんと喜多さんから声をかけてきた。

 

「後藤さんってギター弾けるのね!もしかしてバンドに入ってるの?」

 

「えっ、はい。一応………」

 

私はチャンスだと思った。喜多さんから声をかけてきてくれた上に、バンドの話題になった今なら……!!

 

「あ、あの、今うちのバンドでギターボーカルの子を探してるんですけど、もし良かったら、喜多さんがやりませんか?」

 

「えっ…?私が…?」

 

「は、はい。喜多さん歌が上手いし、バンドもやっていたと小耳に挟んだもので……………」

 

「………ごめんなさい。私、バントには入れない」

 

えっ…!?そ、そんな……!!やっぱり私みたいな根暗な女がいるから嫌なのかな…!?虹夏ちゃんやリョウさんは全然そんなことないのに……!!

 

「……実は、一度抜けたバントにもう一度入ろうかと思ってるの。元々ギター弾けないのに、憧れの先輩と同じバンドに入る為に嘘をついてまで入ったんだけど、途中で逃げ出しちゃって……」

 

「えっ…?」

 

「でもね、私のクラスメイトに言われたの!謝罪の意味も込めて強くなってから帰ってもいいんじゃないかって!」

 

喜多さんは強いし前向きだ。もし私が結束バンドから逃げたとしたら、多分もう2度と戻らないと思う。いや、虹夏ちゃんやリョウさんに合わせる顔がなくて行けなくなると思う。喜多さんって強い人なんだな………。

 

「だから後藤さん。勝手な頼みなのは分かっているんだけど、私にギターを教えてくれないかしら!?」

 

「えっ?私が……?」

 

「ええ!!こんなに上手に弾ける後藤さんが教えてくれるなら、私も上手くなると思うの!!」

 

た、たくさん褒めてくれる……!!見た目通りやっぱりいい人なんだ…!こ、こんなに褒められちゃったら……。

 

「えへへ。私にかかればちょちょいのちょいですよ〜」

 

断れるわけないよね〜。うへへ……。

 

「あっ、でも、この後バイトがあるので、今日は………」

 

「バイトってライブハウスよね?ならそこでもいいから教えてくれないかしら!!?」

 

「えっ、あっ、はい」

 

こうして、私はスターリーで喜多さんにギターを教えることとなった。でもまさか喜多さんが逃げたギターの子だったとは思いもしなかった。喜多さんもバンドに戻って来てくれるようだし一件落着…!!

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん…?あれ…?」

 

目が覚めると真っ暗だった。具合悪い日は一日中寝ていられるものだが、まさか朝一度起きてから夜まで寝込むとは思いもしなかった。相当具合悪かったのだろう。

 

うちの両親は共働きのため、今は家に俺一人しかいないという状況だ。朝よりかは体の調子がよくなったものの、まだ本調子と呼ぶには至らない程度だ。でもこれなら明日には学校に行けそうだ。

 

飲み物でも飲むかと階段を降りていくと、何故か美味しそうな匂いが漂ってくる。いつもこの時間帯には両親は帰宅していないはず。でもたまに早く帰宅することもあるので、それほど不思議がらずにリビングに入った。

 

「……………えっ?」

 

俺は夢でも見ているのだろうか?あのひとりがうちのキッチンで料理をしていた。多分匂いからして唐揚げだと思うが、お前いつの間に……?

 

「あっ、優太君。起きたんだ。具合はどう?」

 

「朝よりかはだいぶよくなったぞ。にしてもお前、料理できたんだな」

 

「実はここ最近お母さんに料理を教えてもらってたんだ。()()のためにね」

 

「そ、そうか………」

 

将来……ねぇ……。その将来像に俺も含まれてたりするのだろうか?普通にあり得そうで困る。

 

「ところで、バイトはどうしたんだ?帰りが早い気がするが……」

 

「なんかよく分からないけど、みんな早めに帰ってあげてって…」

 

帰って『あげて』……?まるで誰かの為に帰りなと言っているような言葉選びだな。まさかとは思うが、あのお二人も後藤家と結託したんじゃないだろうな……?

 

「そうそう、聞いてよ優太君…!今日ね、ギターボーカルの子を勧誘できたの!いや、呼び戻せたって言った方が正しいのかな……?」

 

「えっ?呼び戻した……?もしかして、喜多さんのこと?」

 

「えっ!?な、なんで優太君が知ってるの…!!?」

 

「知ってるも何も、クラスメイトだし………」

 

マジで…?どういう過程かは知らないけど、結局喜多さん結束バンドに戻ってきたのかよ。少し格好つけて喜多さんに提案した意味が…………。

 

「………でも、喜多さんって確かギター弾けないはずだろ?まだ碌に練習してないのに戻ってきたのか?」

 

「あれ?なんだか随分喜多さんの事情に詳しいね?そうらしいけど、私が教えることになったんだ」

 

マジで俺が動こうとしてた意味ないじゃねえか。いや、結果論なのは分かっているけれども、未来予知能力でもあったら自分から動こうとしなかったよ。まあ、俺のプラン通りに動いたとしても、俺は人と人を出会わせるだけに過ぎないので、大した意味はないかもしれないが………。

 

「………よく考えたら、病み上がりに唐揚げって重いかな…?」

 

「大丈夫。一日中寝てたら腹が減ってきたし丁度いい」

 

「そうか…。良かった………」

 

ひとりは慣れているのか慣れていないのか、よく分からないぎこちない動作で食器を並べた。なんと唐揚げだけでなく器用にサラダも作っていたらしい。あれ?お前そんな女子力高かったっけ………?

 

「はい。できたよ」

 

「うい。んじゃいただきます……」

 

恐る恐る唐揚げを口に運んでみた。……生焼けしている感じはないし、程よく揚げられている感じだ。外はカリカリで中はジューシー。少なくとも唐揚げに関しては作るのに慣れていると見た。まあ唐揚げはひとりの大好物でもあるし、よく作っていそうではある。

 

「………ど、どうかな?」

 

「……美味いんじゃないか?病み上がりだから味よく分からないけど」

 

「えっ……?」

 

仕方ないだろ。具合悪い時って味覚が鈍くなるんだから。ちなみに別に素直になれないとかそういうのではなく、本当に味覚が鈍くなっているため味が分かりづらいのだ。

 

「まあ、ありがと。今日の夜飯はどうしようかって考えてたところだから助かったよ」

 

「よかったぁ……」

 

ひとりは取り敢えず安心して自分の方の唐揚げに手をつける……かと思いきや、ジーッと笑顔で俺のことを眺めてくるだけだ。母さんが昔たまにこういうのやってたっけな……。あまりジロジロ見られると食事を楽しむことができないのでやめてほしい。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………なんでこっち見てんの?早く食べなよ?」

 

「えっ?いや、優太君よく食べるなぁって思って見てただけ」

 

「そりゃ、美味いもん食ってればそうなるだろ」

 

「…えへへ」

 

全く。こんな時にまで不意打ちを……。とうとう他人任せじゃなくて、遂に自分から本格的に動き出したってか……?

 

 

 

「ご馳走様」

 

「お粗末でした」

 

なかなか美味しかった。流石に後藤ママやうちの母さんには及ばないとはいえ、料理経験の浅さから考えてみれば上出来なんじゃないだろうか?まあ、俺は碌に料理しないので上から物を言うのも変な話なのだが……。

 

「優太君は休んでて。後片付けは私がやっておくよ」

 

「そうか?悪いな…。まだ本調子じゃないからさ」

 

「ゆっくり休んでて」

 

「おーう……」

 

具合悪い時は動ける時間に制限があるような気がする。あれだけ寝たというのに、また体がだるくなってきた。今日はその怠さに逆らわずに寝てしまった方がいいかもしれない。……と、その前に、虫歯になると面倒なので歯磨きだけはしておこう。

 

 

「………ん?」

 

もう朝かなぁと思って目が覚めたら、外は真っ暗なので恐らく夜中。ボヤッとする頭を最小限使ってスマホの時計を確認してみると、日が変わって2時間程度経った頃だった。流石にひとりは帰っているのかな?

 

「……んっ…」

 

と思ったら普通に忍び込んでいた。また風邪を引いたらどうするんだ。風邪のキャッチボールほど無意味なものはないと思う。

 

「……ゆうたくん…。どこにも行かないで…………」

 

「……………」

 

そっか…。きっと通学している間は寂しがっていたのだろうな。なんだかんだでこいつは甘えん坊だからな…。まあ、ライブもしたし、接客のあるバイトもしたし、自力で喜多さんを呼び戻したりで、よく頑張っていると思う。大分体調もよくなってきたし、今日は学校に行けると思う。たまには思いっきり甘やかしてもいいか………。

 

「よく頑張ったな。おやすみ………zzz」

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん?ふぁ〜…。朝か…」

 

昨日は何してたんだっけ…。あっ、そうか。昨日は優太君の看病をしていたんだっけ。食器片付けたあとはそのままお風呂に入って、そのまま優太君の布団に潜り込んだんだった。流石にもう元気になったかな………?

 

「…………あれ?」

 

おかしい。動けない。ちゃんと目が覚めたはずなのに、体が言うことを利かない。

 

「………あれ?」

 

優太君に抱きしめてって頼んだ覚えはないはずなんだけど、なんでだろう。優太君に抱き枕にされて離れるに離れられない状態になっている。道理で私の体が起き上がろうとしないわけだ。もう少しこのひと時を楽しもう。優太君から抱き枕にされるなんて滅多にないから……。

 

「えへへ…。あったかい…」

 

一日中このままでもいいかなぁって気分になってしまう。それくらいに今の状況が心地いい。でも、流石に学校に行かないと怒られちゃうよね…。あっ、でも優太君が離してくれなかったからって言えばもう必然的に付き合うことになるのでは……!?私にしては名案…!!このまま抵抗できないふりをして1日を過ごそう…!学校も休めるし優太君と一緒に寝れるしで一石二鳥だ…!

 

「………ひとり〜」

 

「えっ?優太君起きた…?」

 

てっきり私を呼んだから起きたのかと思ったけど、どうやらそういうわけではなかったみたい。まだ夢の中にいるのかな…?でも私を呼ぶなんて、一体何の夢を見てるんだろう……?

 

「すき〜………」

 

「………す、す、すすすすす…!!!?」

 

ななな、何事…!?私の聞き間違い…?それとも願望が幻聴となって聞こえてきたの…!?あの優太君がそんなことを言うはずがない……!だって今まで思いつく限り色々な方法でアプローチしてみたのに、一切攻略される気配のなかった優太君だ。好きだなんて言うはずがない……!!!

 

「スキーしようぜ………。ムニャ…」

 

「…………や、やっぱりね…」

 

そうだよね、あーそうですよね。分かっていましたとも。あの優太君が告白するわけがないって。微塵も期待してませんから。……期待なんて、してないもん………。あれ?目から汗が……。

 

もしこのまま優太君が私に告白しなければ、きっと優太君はいい女の子を捕まえてきて、その子と家庭を築くんだろうな。そして結婚する暁には…………。

 

『ようひとり!最近は嫁さんとの時間を優先させちゃったからなかなか会えなくてごめんな!!今度結婚するから式に来てくれ!!!』

 

結婚式の招待状が届いた日なんかには私は…。もう世界に希望を見出せない…!!!

 

そして結婚式に行ったらきっと……。

 

『ひとり。長年幼馴染として付き合ってきたから、お前にスピーチをしてほしいんだ。ほらあれだよ!友人代表のスピーチ!!』

 

 

 

 

「ギニャアァアァアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!」

 

やだやだやだ…!!!!そんな未来は絶対に嫌だ………!!!!こうなったらいっそのこと、既成事実を作って優太君の退路を断てば…!そ、そうすれば高校の中退もできて一石二鳥……!!!あ、でも…………。

 

『ぼっちちゃんってやばい子だったんだね〜』

 

『流石の私でも今のぼっちを庇うことはできない』

 

『ごめんなさい後藤さん。流石にそれはちょっと………。そんな人とはバンドをやっていけないわ……』

 

グァアア!!!?こうなるのもそれはそれで嫌だぁあああ…!!!!

 

「うるせえよ…。今何時だと思ってるんだ…………って、いい時間だったのか…」

 

「うぇ!!?ゆ、優太君!!?お、おはよう……!!?」

 

「ああ、おはよう…。一日寝たら流石に元気になったし、今日は学校に行くかね………」

 

「えっ?まだ一日しか休んでないのに………」

 

「俺はお前とは違って体が丈夫なんだ。だから心配すんなって。それに、お前から元気をもらえたしな」

 

「わ、私が……?」

 

「ほら、あまりダラダラしてると遅れるぞ〜」

 

「あっ、う、うん…!」

 

 

 

何故だか分からないが、今日はいつもより調子がいい気がする。まさかひとりがいるから……?いや、それならいつもと同じじゃないとおかしい。単純に1日中寝ることができたからだろうか…?

 

「………なんか、今日は妙にテンション高いな。どうした?」

 

「久しぶりに優太君の隣を歩けてるから……かな」

 

「なんだそりゃ」

 

隠す気のない好意はそんなに耐性がない俺にはよく効く。というか最近はヤンデレというよりは普通に少し積極的な乙女と言っても差し支えないのでは…?バンドに入れば少なからずマシになるとは思ったけど、まさかここまで大いに効果を発揮するとは思いもしなかった。

 

…………いや、やっぱり付き合ってもいないのに布団に潜り込んでくるのはおかしいわ。マシになっただけでまだ治っていないなこれは……。

 

…………あれ?そういえば、ひとりって髪長いし、なんだかんだでふたりちゃんの面倒を見ているし、料理もできる。この前のバンドミーティングで発表した俺の好みに見事にマッチしているような気がする。ちなみにあれは適当に言ったのではなく、自分の本当のタイプである。

 

……もしかして、ひとりって俺のタイプドストライクだったりすんの?

 

そんな結論に辿り着いたが、深く考えないことにした。前にも言った通り、今のヤンデレひとりと付き合ってしまっては取り返しのつかないことになるのだ…………。

 

……って言いたいところだけど、最近のひとりはヤンデレ要素が大分マシになってきたような気がする……。あれ…?じゃあ変に回避する必要ない……?

 

「優太君!」

 

「ん?なんだ?」

 

「………喜多さんと仲良いみたいだけど、もしかして喜多さんのこと好きなの……?もしそうなら、優太君にお仕置きしないとね?

 

「違うからな?」

 

前言撤回。やっぱりまだまだひとりはヤンデレである。喜多さんの陽パワーと虹夏さんの天使オーラでなんとかひとりを健全化してほしいものだ。………えっ?リョウさんの名前が何故出てこないって……?だってあの人面白がって寧ろヤンデレ悪化させそうじゃない?

 

だがやはりいい方向に変わりつつあるのは間違いない。今までのひとりなら女子にヘイトが向かっていたはずが、今回は俺にヘイトが向かっている。多分その対象となる女子が結束バンドメンバーだからだろう。俺が少なからず結束バンドメンバーに関わることで、ひとりのヤンデレによってギスギスバンドにならないかと危惧していたのだが、その心配はなさそうだ。良い傾向には変わらないはずだ。

 

それに、俺は他の女子にそう簡単に恋をすることなんかないだろう。何故なら…………

 

「あっ、優太君。ちょっと急がないと電車に乗り遅れちゃうよ」

 

「へいへい」

 

……いや、()()()()()()()()()()だな。今はとにかくひとりがちゃんとバンド活動を続けられるようにサポートするだけだ。

 




 たまにシリアスタグはまだ効果を発揮していませんが、そのうち発揮される時が来ます。依存系ぼっちちゃん増えないかな……………。
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