幼馴染君がぼっちちゃんを甘やかし過ぎた結果…… 作:Miurand
風邪から復帰した俺は、1日越しに学校に来た。1日しか休んでいないので、流石に久々だと感じるようなことはないのだが、ひとりと登校するのは久しぶりだったような気がする。
クラスに入ると友人を初めとした様々な人に心配された。………というより、好奇の目線に晒されているような気がする。俺なんかしただろうか?もしかして髪型が変とか?まさか、俺が気づいてないだけでひとりにキスマークをつけられた………!!?
(そういや、2組の後藤さんだっけ?あの子も数日前に風邪引いてたんだよな……)
(確か幼馴染って話だっけ……?)
(同じ時期に風邪を引くということは、まさかそういう関係……?)
実は俺とひとりの関係が密かに噂されているとは知る由もなく、疑問を抱いたまま授業が始まることになった。
で、昼休みはひとりのベストプレイスで昼食を共にし、食べ終わり次第教室に戻ろうとして階段を上がると……。
「あっ、近藤君いた!!」
どうやら喜多さんが俺のことを探していたようだ。
「ごめんなさい近藤君。あなたが休んでいる間にバンドに戻ることになったの。それで、今私の知り合いにギターを教えてもらってるんだけど………」
なんだ。喜多さんからも律儀に報告してくれるとは思わなかった。陽キャというのはそういうものなのだろうか?コミュニケーションが大事だろうし、多分現状の報告とかも頻繁にやってるんだろうな(ド偏見)
「うん。知ってる」
「あっ、やっぱり知ってるのね」
「やっぱりって何!!?」
そこは普通『えっ!?なんで君が知ってるの!?』ってなる展開じゃない!?なんでやっぱりってなるん!?
「あら?知らないの?近藤君と後藤さんって裏では結構噂されてるのよ?」
「えっ?裏で噂…?俺とひとりが…?」
「ええ!」
裏で……?噂…?まさかひとりに対する暴言とかじゃないだろうな……?もしそうなら……………。
「それで、近藤君と後藤さんの関係ってどうなの!?」
「うん?」
キターンという擬音が聞こえてきそうな眩しいオーラに、キラキラした好奇心溢れる目で俺をジッと見据えてくる。俺はこの目を知ってるぞ。かつて中学生だった頃、クラスの女子が俺とひとりの関係性を聞いてきた時とほぼ同じ目だ。女子というのは恋バナ関係にはとにかく興味があるらしく、身近に恋愛経験者がいるとなるとすぐさま聞きにいくのだとか……?
「先に言っとくと、喜多さんが期待してるような関係ではないぞ?」
「えっ?毎朝一緒に登校してるのに?」
「それはひとりが心配だから」
「毎日一緒に帰ってるのに?」
「それもひとりが心配だから」
「毎日一緒にお昼食べてるのに?」
「以下同文」
「えっ?それで付き合ってないって嘘でしょ?」
「マジで付き合ってない」
確かに、一緒に寝たりご飯作ってもらったりキスマークつけられたりしているが、断じて付き合っていない。信じてくれる人は少ないかもしれないが、マジである。
「絶対嘘よ!そんなはずはないわ!!お互いに好き合ってなかったら毎日一緒に登下校したりお昼一緒に食べたりしないわよ!!!」
「いやいや、幼馴染なんて恋仲じゃなくてもそうなるもんだよ。というかその説に則るなら、喜多さんも友達と付き合ってることになるけど?」
「それとこれは違うわよ!私と友達は同性だけど、近藤君と後藤さんは異性なのよ!?そんなベッタリしてて何もないはずないじゃない!!」
ちっ。やはり喜多さんは賢いからテキトーなこと言っても誤魔化せないか。
「喜多さん。今の時代は同性同士の恋愛も全然あり得るんだよ?」
「それは知ってるけど、少なくとも私はそうじゃないわ」
「えっ?リョウさんが好きなんじゃないの?」
「リョウ先輩はそういうのじゃないわ!!娘にはなりたいけど!!」
自信満々に言うなよ。恋人じゃなくて娘になりたいとかどういうこと?………親にしたいくらいに尊敬できる人ってことだよな……?多分そうだと信じよう……。
「……って待て待て。俺、そんなにひとりにべったりしてるように見えんの?ひとりはともかく、俺が……?」
「ええ。みんな付き合ってるって確信してるくらいよ?」
うそだろおい。そんなことした覚えねえぞ。まさか自宅やひとり宅が監視されているのか?もしそうなら、風邪の時や寝る時などの光景が見られれば勘違いされても文句は言えない。だけどそれ以外で俺からひとりに何かした覚えはないぞ。あれだろ?伝言ゲームで最後にはお題と全く違う別物になってるのと同じ現象だろ?噂ってどこかで必ず化けるものだからね(ど偏見)
「とにかく付き合ってないからな。神に誓ってもいいぞ」
「ふーん?じゃあ後藤さんに聞くわ!どうせそこにいるんでしょ?」
「ちょ、まっ………」
満足のいく返答が得られなかったからか、今度は質問対象をひとりに変えやがった。これは嫌な予感しかしねえぞ。なんとしてでも会話を阻止せねば………!!!!
「後藤さーん!!」
「あっ、えっ、き、喜多さん……。こんなところにどうしたんですか?練習はスターリーでするはずですけど…………」
「後藤さんに聞きたいことがあるの!後藤さんと近藤君って付き合ってるの!!?」
「えっ、あっ、その…………」
…………そうだった。ひとりは喜多さんみたいなザ・陽キャには弱いんだった。なら何もしなくても平和に終わりそうだな。さて、俺は教室に………。
「………まだ付き合ってないですけど、一夜を共にしたり、イチャイチャしたりしてます……………えへ」
「きゃー!!!!やっぱりやっぱり!!?火のないところから煙はたたないって言うものね!!………一夜!!!!?」
「おいバカひとり。何あらぬことをほざいてやがるんだ??」
「えっ?嘘はついてないよ?」
「ナニ言ってんだよ…?ウソついてるにキマってるだろー………」
「なんで所々カタコトなのかしら…?」
まずいまずいまずい。喜多さんにそんな事実(一部虚偽)が知られてしまったら、クラスどころか学校中に噂されてしまうではないか……!!そうなってしまったら、俺にはもう退路など残されていないぞ……!!
「………」ニチャア
「!!!?」
ま、まさか……!!敢えて恥ずかしいエピソードを話すことによって、既成事実を周りから作ろうとしているのか…!?小テストで赤点レベルの点数しか取れないくせになんでこういう時は頭が回るんだよこいつ……!?
「こ、近藤君!後藤さんを傷物にしたんだから、しっかり責任を取らないとダメよ!!」
「馬鹿!大声でそんなこと言うな!!誤解されたらどうする!?」
「別にいいじゃない?事実なんでしょ?ねえ、後藤さん?」
「あっ、はい。自慢の夫です…!でへへ」
野朗………。完全に暴走してやがる。さては、『陽キャに伝えれば、謎の拡散力で一気に情報が拡散するから私の勝ち!』とか考えてやがるなぁ……?だったらこっちにも手があるってもんよ。
「…………あーあ。俺は学校ではあまり目立ちたくないんだけどなぁ。ひとりにはそう話してたんだけどなぁ」
「えっ?」
「まじか〜。こういう嫌がらせしてくるのかぁ。そんなことされると、俺はひとりのこと嫌いになっちまうかもナ〜………」
へへへ。少しは効くはずだ。流石のひとりも『調子に乗って大変申し訳ございませんでした』と全力で謝罪する未来が見える見える。
「………………えっ?」
「………えぐっ……。ぐすっ……。やだぁ……、優太君嫌わないでぇ……。私を捨てないでぇ………………」
が、がががが、ガチ泣きしてる…!!?
「………はっ…!!!!」
そしてひとりの横で俺を蔑むような、凍るような目線で見てくる喜多さんがいた。あの太陽の化身の喜多さんが、こんな冷たい目をしているのか……??喜多さんに化けた別人じゃあないのか…!?もしや、新手のスタンド攻撃では………!!!?
「…………近藤君。今のはあり得ないわよ?」
「あっ、はい………。イキってすみません…………」
あまりの迫力に思わずひとりみたいな返答をしてしまった…………。
「お願い。調子に乗ったのは謝るよ。いつも優太君は私の為に頑張ってくれてるもんね。それなのに調子に乗っちゃって、ごめんなさい……!!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「待て待て待てぇ!!?冗談!!冗談だから!!!!お前を嫌うことは絶対にあり得ないからぁ!!!!頼むから正気に戻ってぇえええ!!!!!!」
「私がダメ人間なのは分かってるし、あんなことした後で都合がいいのも分かってるけど、私を捨てないで……!!私、もう優太君がいないと生きていけないの……!!!お願い、なんでもするから許して……!!!」
「ご、後藤さん……?」
ほら!喜多さんも引いちゃってるよ!俺が悪かったから正気に戻ってくれ!ど、どうすれば正気に戻せるんだ…!?
「あっ、そうだ。なら優太君に気持ちいいことをしてあげる……!確か優太君の好みって大きい子だよね?私、それなりにあるはずだから、きっと優太君を………」
「バカバカバカ……!ジャージを脱いでなにをするつもりだ…!?てかお前いつもジャージの下に制服なんか着てないだろ?そんなことしたら取り返しがつかなくなるんじゃ………」
………と思ったら、流石にジャージの下に一枚は来ていたみたいだ。……あれ?その一枚が脱がれたら…………。
「だめだぁあ!!!それ以上はいけない…!!!喜多さん助けてぇええ!!!」
「お、大人の世界だわ……!私には刺激が強すぎる………!!!」
感心するなぁ!!!貞操の危機なんだぞこっちは!!!?
「〜〜っ……!!!ったく!!!!」
「あっ…………」
一向にひとりの暴走が止まる気配がなかったので、仕方なく、本当に仕方なく俺からひとりを抱きしめた。するとなんとか暴走は治まったようだった。
「………安心しろ。例えお前がどんな風になろうとも、俺はお前を嫌いになることはない。絶対にだ」
そう言いながら、ひとりを安心させるために頭を優しく撫でてやった。確かに俺もタチの悪い冗談を言ってしまったかもしれない。そこは俺がやりすぎたと思う。
…………そういえば、こいつの頭をこんな風に撫でてやるのはいつぶりだろうか………?確か、かなり前に一回やったことがあるような気がする。詳しい時期は忘れちまったけど、確かにやった。
「………私のこと、嫌いにならない?」
「ああ」
「私の前から、いなくならない?」
「もちろん」
「………ごめんね。ちょっとふざけすぎちゃった………」
「俺こそごめん。ちょっと悪ノリし過ぎたよ………」
「じゃあ、昼休み終わるまでこのままでお願い」
「へいへい…………」
あ〜……。なんとか治まってくれてよかった………。あのままだったら確実に学校で卒業してたね。最悪学校側に知られて退学を強いられていたかもしれない。俺とひとりの将来のためにも、今後はひとりに対して冗談でも嫌いなどと言わないようにしよう……。
「………あれ?喜多さん、いつの間にかいなくなってる…………」
「……………」
私の名前は喜多郁代。これまでごく普通の学校生活を送ってきたけど、さっきは今まで見たこともないような、刺激的な場面に遭遇してしまった。後藤さんがあんな風になってしまったことから察するに、近藤君のことが大好きなんだと思う。あれは恐らく恋などと生ぬるい言葉で語ることが許されないほどの強い感情が存在している。
後藤さんがあんな風になってしまったのは、私が変に囃し立ててしまったことも原因だと思う。なのに、近藤君に全て任せて私は立ち去ってしまった。でも、多分あの場で私がいたら邪魔になっていたと思う。あんな甘々な空気を壊すことなんてできない……!!だから謝りに行くことも難しいわ……。どうしましょう……。近藤君、怒ってないかしら…?で、でも…!冗談でも後藤さんに嫌いって言う近藤君も悪いわよ…!!!でもそれで後藤さんがあんな風になるなんて………。何かトラウマでもあるのかしら……?それくらいに狂気迫った雰囲気を感じた。
「…………私に恋愛はまだ早いかもしれないわ…………」
後で近藤君に何かお詫びしないと…。
「………あれ?でも、近藤君って体育はそれなりにできるはずだから、後藤さんに押し倒されても余裕で抵抗できたんじゃないかしら…………?」
「ぬわぁぁぁん、疲れたも〜ん………」
放課後になった時、俺は既に気力を使い果たしていた。その原因は主にひとりが負の暴走をしてしまった時の対処だ。しかしこればっかりは自業自得なのでどうしようもない。甘んじて罰を受け入れるしかないのだ。
「なんだ?ひとりちゃんとイチャイチャして疲れた………?まさかお前、学校でそんなことシたのか……!?流石の俺でもそれはおススメしねえぞ…?」
「お猿の中川。お前が考えてるような展開にはなってないから安心しろ」
「おいそれは失礼だろ!
「そっちかよ」
なりかけてはいたけど、一線越えてないし、なんなら服も脱いだわけではないのでセーフセーフ。……まあ、上のジャージだけは脱いでたけども。
「あー。ついにヤったの?おめでとう」
「ヤってないしめでたくもねえぞ」
多分西村はテキトーに言ってるだけだと思う。今もゲームやっているし。
「そもそもイチャイチャしてねえから。お前ら俺とひとりをなんだと思ってやがる」
「ひとりちゃんは健気な子。お前はただの面倒で素直になれない需要のないツンデレ野朗」
「肩書き長っ……」
男のツンデレに需要がないのは同意だが、俺がそれに当てはまるとは心外である。これでも俺はツンがないと自負しているんだぞ。
「なあ、今日久々にカラオケ行かね?俺バイトないんだけど」
「いや、俺はバイトだから無理」
「気分じゃない」
中川から遊びの誘いはあったものの、俺は普通にバイトの日なので無理である。そして西村、お前は乗ってやれよ。お前がマイペースなやつなのは知ってるけどさ。
「ちぇ。近藤がバイト始めちゃったから中々人数集まらんなぁ。他のやつも平日は乗り気じゃないしなぁ………」
「まあ俺はバイトだし、そろそろ行くわ。また今度な」
「おーう。できれば喜多ちゃんのパンチラ画像撮ってきてくれ」
「おーし、今の録音したから、この音声を使って許可取ってくるわ」
「あー……、じゃあいいや」
なんでドライな反応で断るんだよ!?そこは喜多さんに社会的に殺されるとか焦るところじゃないの!!?
「じゃあひとりちゃんのお願い」
「おまえ、ころっちゅ☆」
……ということで、俺は2組に行ってひとりを拾った後にスターリーに直行した。
えっ?中川に対する制裁はどうしたかって?今頃きっと拒絶反応起こして気絶してると思うぞ。俺のとっておきを送りつけておいたからな。一見弱点のない中川だが、致命的な弱点があることを俺は知っている。
ちなみにひとりはバイトというわけではなく、喜多さんと共にギターの練習をしに来ているだけだ。今日は結束バンドメンバーはシフトに入ってないらしい。てかそもそもライブがないので、やることは店内の掃除や設備点検くらいだとのこと。
順調に仕事を進めていたら………。
「では今から結束バンドミーティング始めま〜す!ということで、優太君は席についてくださ〜い!!!」
虹夏さんから何故か招集があった。別にミーティング自体はやってもいいと思うが、何故俺を呼び出す?俺はあくまでバイトの同僚であって、結束バンドのメンバーではないはずだ………。
「いや〜、俺は仕事しなきゃだから無理っす。ねえ店長?」
「いや、一通りやってもらったから、もう任せる仕事はないぞ」
いやいや店長。そこは『こいつはバイト中だから無理だ』って援護射撃するところじゃないですかね?もしやシスコンか?シスコン軍曹なのか……?まあ虹夏さんが俺の妹として存在していたら、確かにシスコンにはなりそうだけども……。初見怖く見える店長も、内面を知ってみると実はこの店の女性陣の中で一番可愛いのではないか説を俺は見出している。
「はーい。お姉ちゃんの了承も出たのでこっちに来て〜」
「なんで俺が巻き込まれるねん」
「言動の割には席につくのが早かったね?」
「優太、素直じゃない」
違うぞ。店長のあの言葉が『虹夏の頼みを聞いてやれ』って意味だと理解しているからだぞ。むしろ素直じゃないのは店長さんの方でしょうに。
「えー、では、メンバー全員集まったところで、今回の議題はこれ!よりバンドらしくなるためには〜!!」
ふーん?形から入ろうってことかな?確かにこういうのって、形から入った方がモチベが上がったりするんだよね。ちょっと分かる。……何故喜多さんとひとりは拍手してるんだ?ゆーほど名案か…………?
「喜多ちゃんが戻ってきて結束バンドが本格始動したわけだから、より一層バンドらしくなっていきたいなと。まあ練習あるのみなのは分かっているけど、そればっかりだとねぇ。色々話すのも大事かなって」
「ありですね!最近流行っているメイクとかも真似してるうちに様になってくるというか!」
「そうそう!そんな感じ!!」
「………えっ?」
形から入るって理屈は分からなくもないけど、その例えはマジで分からん。ちなみにひとりは言うまでもなくすっぴんである。
「ということで早速グッズを作ってみた!!」
「それただの色付き結束バンドじゃないですか」
「えっ?可愛いじゃん。いろんな色あるよ?」
「可愛い……のか?」
「物販で500円で売ろう。サイン入りは650円」
「安い買います!!」
「甘いよ喜多さん。自分で格安の結束バンドを仕入れて、それにサインを書いてもらえば安価でサインを手に入れられるぞ」
「ならサイン代600円で」
「金むしり取る気満々やん」
「ダメよ近藤君!!それじゃリョウ先輩に貢げないじゃない!!!」
そ、そうですか………。ならチップをあげたり投げ銭したら大喜びすると思うぞ。破産しても和紙は知らんZOY‼︎
てかリョウさんどれだけ金にガメツイんだよ。サイン代600円は流石に高いって。
「優太君は分かってないなぁ〜。こういうのはその場で買うから意味があるんだよ。その辺の結束バンド買っても意味ないじゃん!」
「祭りでポテト買うよりマ○クで買った方が安いでしょ?でもって味はマ○クの方が美味いし、わざわざ祭りの屋台で買う必要ないじゃないですか?」
「なんか妙に身近な例え出してきた…!」
「近藤君。多分その発言はそれなりに敵を作ると思うわよ?」
「えー?だって毎回ポテトに500円とか使ったら損した気分になるし……」
「結局買ってるじゃん」
うるさいなぁ。だって祭りに行ったら屋台で何か買いたいじゃん?ついつい買っちゃうのよ。………あれ?さっきと言ってること真逆になってる?脳死で会話すると矛盾するってはっきり分かるんだね()
「優太。あそこは最近値上げしたから量も考慮すると値段にそんな大差ない」
「あー、最近行ってないからすっかりそのこと忘れてましたわ」
「行ってないくせに例えとして出したの!?」
「ちょっと話脱線してますよ虹夏さん。ちゃんと取りまとめてくださいよ」
「君が脱線させたんだよ?一回殴ってもいい?」
なはは。虹夏さんみたいな華奢な人に殴られても痛くないって。これでも俺は小学生の時は沢山殴り合いの喧嘩を……。あれ?なんか虹夏さんの腕が虹色になっているような気がする……?なんかムキムキになってない?幻覚かな?あれ殴られたら岩盤に叩きつけられそうだなぁ。ヘタレ王子にはなりたくないぞ俺は。
「まあ冗談は置いといて、結束バンド用のSNSアカウントを開設するのはどうでしょうか?今後本格的に活動するならありだと思いますけど」
「急に真面目になったね……。バンドらしいかどうかは別としていい案だね」
「ならそれ私がやります!よくイソスタやってるので!」
「じゃあSNS大臣は喜多ちゃんに決定!!」
喜多さん、やっぱりイソスタやってたんだ。イソスタって何するやつなのかよく分からないんだよな。青い鳥なら見る専でやってるけど。陽キャは大体イソスタやってるイメージ。ちなみに俺はアカウントを持ってない。
「あとはファンクラブの設立?」
「むっちゃ気が早くないですか?」
「そして年会費は1万円。会員特典として、握手会と年に一度のたこ焼きパーティを……。材料はファン持ちで」
「高いし欲張りだなおい」
リョウさんは最早金銭欲を隠す気がまるでないな。俺としては正直者として好感が持てるのだが、万人受けする性格ではないだろうなぁ………。
「安い入ります!!」
「喜多さんが入ってどうする……」
「喜多ちゃんもメンバーだからね?」
なんなんだこのミーティング……。少しでも会話すると必然的にボケてくるやん。こんなに連続でツッコミ入れるのは恐らく人生初だ。てか喜多さんってボケる側なのね………。
「あの、さっき優太君もボケてた………」
「おいそこ、テレパシー使うな」
「えっ?なになに?夫婦特有の目を見るだけで何言ってるか分かる的なあれ?」
「こら、話脱線させない。まとめ役でしょ虹夏さん」
「ぐっ…。今回は私に非があるから何も言えない…………」
「後藤さんは何か案ある?」
「えっ?」
そしてひとりは自分が聞かれるとは思っていなかったのか、困惑しているご様子だ。まあバンドらしいことと言われても、そんなパッと思いつくようなものってないよな。てか喜多さんが純粋な期待の眼差しを向けているせいでひとりがバグってしまいそうだ。俺が援護射撃しないといつ溶け出すか分からんぞこれ。
「あー、それなら大丈夫。ぼっちちゃんにはオリジナルソングの作詞っていう重要任務があるから!」
「…………えっ?」
「あー、この前のミーティングで言ってましたね。リョウさん作曲で、ひとりが作詞担当だって。確か禁句が多いならひとりが書けばいいとか………」
「すごい細かく覚えてるね……」
あっ、忘れてたって顔してがやるな。まあ割と前のことだし、頭に入ってなかったら忘れても無理はないよな。
「えー!リョウ先輩の曲楽しみです!もう作ってるんですか!?」
「ううん。思いついたらそのうち」
「わー、楽しみ!!」
「頼むよリョウ!それと作詞大臣!」
「後藤さんすごい仕事任されてカッコいいわね!!」
「か、カッコいい…!!?」
「あーあー。喜多さん、ひとりを気軽に褒めちゃダメだよ」
「えっ?なんで?」
「ま、まあ、私にかかれば作詞なんて朝飯前…。ちょちょいのちょいですよ〜」
「ほら、こうなった」
「後藤さんすぐ調子に乗っちゃうのね〜」
お前碌に作詞したことないのにそんなこと言って大丈夫なのか?そんなパッと思いつくものではないだろうに……。でも上手くいけば、厨二心をくすぐるような歌詞を書きあげてくるかもしれない。
「優太君。全然歌詞が思いつかないよ…………」
「もう1週間経ってるが………?」
清々しいほどのフラグ回収!予想通り過ぎて最早言葉も出ませんねぇ!!!
「しゃあねぇな。俺も一緒に考えてみるよ」
「あ、ありがとう……!」
全く、世話のかかる幼馴染だぜ。将来ひとりと結婚する人は無茶苦茶苦労するんだろうなぁ……。あっ?誰だ自己紹介って言ったやつ。俺はひとりと結婚するつもりはないぞ!!ない……はずだ。
今話で判明したこと
・強メンタル中川にも弱点がある
・幼馴染組は裏で恋仲ではないかと噂されてる
・星歌さんと優太はツンデレ同士、何かと察しがいい
ちなみに中川君の弱点はNTRものです。優太君は別に好きでも嫌いでもないけど、中川への制裁用として偶に漁っている。ちなみに優太君のお好みはまだ秘密。
さて……。いつたまにシリアスタグの効果が発揮されるんですかね()