転生したらブラッド族だった件   作:仮面大佐

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第13話 全てを喰らう者

 俺たちが、豚頭帝(オークロード)と戦おうとすると、後ろから飛行音が聞こえてくる。

 

リムル「ん?」

エボル「何だ?」

 

 俺とリムルが後ろを向くと、赤い何かがこちらに向かっていた。

 あまりの早い速度に、俺たちはすぐに躱す。

 地面に激突した赤い星は、人だった。

 丁度、豚頭帝と紅丸達の間に着地したようだ。

 全員が警戒する中、そこに居たのは、シルクハットを被り、鳥の様な仮面をつけた男だった。

 

リムル「魔人か?」

エボル「かもな。」

 

 リムルの呟きに、俺はそう答える。

 すると、その男が叫ぶ。

 

ゲルミュッド「どういう事だ!?このゲルミュッド様の計画を台無しにしやがって!」

エボル「ゲルミュッド?」

 

 俺がそう呟くと、全ての記憶が反応する。

 

全ての記憶『ゲルミュッドとは………。』

エボル『リグルドの長男に名前をつけた奴だったな。』

全ての記憶『で………です。』

 

 アイツがゲルミュッドか。

 すると、当のゲルミュッドは喚き散らかす。

 

ゲルミュッド「もう少しで俺の手足となって動く、新しい魔王が誕生したというのに!」

リムル「あ…………?」

エボル「新しい………?」

紅丸「魔王?」

ゲルミュッド「そうだ!だから、名付けをしまくった!種を蒔きまくったんだ!最強の駒を生み出す為にな!」

 

 ゲルミュッドは、そう叫んだ。

 それを聞いた鬼人勢は。

 

白老「その為に………。」

蒼影「我らの村にも………!」

紫苑「来たという事か………!」

黄歌「こいつが元凶…………!」

 

 ゲルミュッドの言葉に、鬼人達は怒りを燃やしていた。

 それもそうだ。

 里を滅ぼした豚頭族を嗾けた元凶なのだから。

 すると、ガビルが叫ぶ。

 

ガビル「おおっ!これは、ゲルミュッド様!」

部下「あれが、ガビル様の名付け親の……。」

ガビル「どうして、ここに?もしかして、我輩達を助けに………。」

ゲルミュッド「役立たずの鈍間が!」

ガビル達「へ?」

 

 ガビルは、ゲルミュッドが助けに来たと思ったのか、そう声をかけるが、ゲルミュッドから突然罵られて、呆然とする。

 

ゲルミュッド「貴様もさっさと豚頭帝の糧となれ!」

ガビル「はっ!?」

部下「あの人、何を言ってるの?」

ゲルミュッド「役に立たない無能の分際で、いつまでも目障りな奴よ!豚頭帝に食われ、力となれ!俺の役に立って死ねるのだぞ。光栄に思うが良いぞ。」

ガビル「うげっ………げろ………ゲ………ゲル………!」

 

 ゲルミュッドのその言葉に、ガビルは動揺していた。

 ゲルミュッドは、豚頭帝に命令する。

 

ゲルミュッド「やれ!豚頭帝!」

 

 だが、豚頭帝は動かなかった。

 

豚頭帝「…………。」

ゲルミュッド「どうした?」

豚頭帝「…………魔王に進化とは、どういう事か?」

ゲルミュッド「チッ!本当に愚鈍な奴よ。」

 

 ゲルミュッドは、豚頭帝の言葉にそう毒づくと、口を開く。

 

ゲルミュッド「貴様が魔王、豚頭魔王(オークディザスター)になって、このジュラの森を支配するのだ!それこそが、私と、あのお方の望みだ!」

 

 ゲルミュッドのその言葉に、俺たちは。

 

リムル「あのお方?」

エボル「どうやら、ゲルミュッドを動かしてる黒幕が居るみたいだな。」

リムル「みたいだな。」

 

 なるほど。

 俺たちがそう話している中でも、豚頭帝は動かなかった。

 それを見たゲルミュッドは、苛立ちを見せていた。

 

ゲルミュッド「何をボケっとしている!豚が!!はぁ…………時間がない。手出しは厳禁だが、俺がやるしかないか………。」

 

 そう言ったゲルミュッドは、手に魔力を集める。

 それを見たガビルは動揺する。

 

ガビル「うわっ!ゲ………ゲル………!」

部下「ガビル様!」

部下「お逃げくだされ!」

ゲルミュッド「死ねぇ!!」

部下達「ガビル様!!」

 

 ゲルミュッドの攻撃に、ガビルの部下達が庇い、攻撃を受ける。

 ガビルは無事だったが、部下達は倒れていた。

 それを見たガビルは。

 

ガビル「…………ハッ!?お前達?」

部下「…………ガビル様が無事で………。」

部下「良かった…………。」

 

 そう言って、部下達は気絶した。

 それを見たガビルは、震えていた。

 

ガビル「お………おおっ………!おお…………おおおっ…………!ゲルミュッド様!!」

ゲルミュッド「豚頭帝の養分となり、俺の役に立つが良い!」

 

 それを見ていた俺たちは。

 

リムル「あっ!」

エボル「助けるぞ!」

リムル「おう!」

 

 俺たちは、急降下する。

 俺はコブラロストフルボトルを振り、キャップを閉めて、トランスチームガンに装填する。

 

コブラ!

 

 装填すると、待機音が流れてくる。

 俺は、姿を変える際の言葉を言う。

 

エボル「蒸血。」

 

 そう言って、トリガーを引く。

 すると、トランスチームガンから煙が出てきて、俺を包み込む。

 

ミストマッチ!

コ・コッ・コブラ………コブラ………!

ファイヤー!

 

 俺は、ブラッドスタークに変身する。

 俺とリムルが、ガビルの前に向かっていると。

 

ゲルミュッド「フハハハハハ!上位魔人の強さを教えてやる!死ね!死者之行進演舞(デスマーチダンス)!」

ガビル「ゲルミュッド様〜!!」

 

 ガビルがそう叫ぶ中、俺とリムルは間に入り、リムルは捕食者でゲルミュッドの攻撃を取り込み、俺もスチームブレードで魔力弾を斬る。

 取り込み終わると、ゲルミュッドとガビルが驚いた様な声を出す。

 

ゲルミュッド「はあ?」

ガビル「ああっ………!」

リムル「なあ、これが全力か?」

エボル「この程度じゃあ、死なないだろ。」

ゲルミュッド「き………貴様ら………!」

ガビル「あなた方は………あなた様方は………!」

「「ほれ!」」

 

 そう言うガビルに、俺たちは回復薬を渡す。

 ガビルは、慌ててそれを全部抱きしめる。

 

ガビル「わわっ!」

リムル「回復薬だ。」

エボル「部下達に使ってやれ。大事な部下なんだろう?」

ガビル「は………はい!…………しっかりしろ!我輩の為に、こんな………!」

 

 ガビルは部下達に、回復薬を使っていく。

 俺はそれを見ながら、思念伝達で紅丸に話しかける。

 

エボル『紅丸。痛めつけるのは構わないが、殺すのは無しだ。聞きたい事がある。』

紅丸『分かりました。』

エボル『……………悪いな。失われた同胞の命の仇を取らせてやれなくて。』

紅丸『いえ。俺たちも聞きたい事があるのは分かっています。こうして機会を与えて下さるだけでも、エボル様には感謝しています。』

 

 俺は紅丸にそう話す。

 本当なら、仇を取らせてやりたいが、ここで殺しては、バックに誰がいるのかが分からなくなってしまう。

 それだけは避けたい。

 俺がそう考える中、紅丸は紫苑達に頷き、ゲルミュッドの方へと向かう。

 

紅丸「ようゲレ……………じゃなくてゲルミュッドか。大鬼族の里で全員に突っぱねられた「名付け」は順調なようだな。」

ゲルミュッド「き……鬼人!」

 

 紅丸がそう言うと、ゲルミュッドは後ずさる。

 すると、紫苑と黄歌が口を開く。

 

紫苑「我らの里を豚頭族共に襲わせたのはお前だな?」

黄歌「違うと言うのなら、早く弁明をしてください。」

白老「無限に湧き出る豚頭族どもを相手にするのも飽きていたところ。明確な仇が分かっている以上、ワシらは容赦はせぬぞ。」

 

 紫苑と黄歌と白老はそう言う。

 本当に怒ってるな。

 まあ、無理もないが。

 俺はほんの少しだけ、ゲルミュッドに同情していた。

 まあ、自業自得だが。

 ゲルミュッドはしばらく黙っていたが、ヤケクソ気味に叫ぶ。

 

ゲルミュッド「くっ……ああそうだよ!それがどぉした⁉︎上位魔人をなめるなぁっ!!」

 

 ゲルミュッドはヤケクソ気味にそう言うと、魔力弾を放つ。

 本当にヤケクソだな。

 紅丸達はそれを回避すると、紅丸が近寄る。

 

紅丸「お前こそ、鬼人(俺達)を舐めすぎだ。」

 

 紅丸がそう言いながら攻撃する。

 その斬撃により、ゲルミュッドの左の耳と腕が切断される。

 

ゲルミュッド「ギャアアアっ!!み……………耳がぁぁぁぁ!!い、痛いっ!!」

 

 ゲルミュッドは、そう叫びながら悶えていた。

 すると、紅丸は口を開く。

 

紅丸「そんなもんじゃないぞ。親父は俺と(朱菜)を逃す為に死んだ。親父だけじゃない。多くの仲間が生きたまま喰われた。そんな程度の痛みじゃなかった筈だ!!」

 

 紅丸は、そんな風に叫ぶ。

 紅丸の怒りの気配に、ゲルミュッドは恐怖する。

 

「くっ、クソが!!」

 

 ゲルミュッドはそう吐き捨てながら、後ずさる。

 だが、背後には紫苑と黄歌がいた。

 紫苑と黄歌は、あまりにも冷たい笑みを浮かべており、ゲルミュッドは自分が追い詰められていると悟った。

 

ゲルミュッド「こんな…………こんなバカな!こっ……この俺が追い詰められて……………!?」

 

 ゲルミュッドがそう言う中、紅丸達は攻撃を仕掛けていく。

 それを見つつも、俺は豚頭帝を見ていた。

 豚頭帝は、主人であるゲルミュッドがピンチでありながらも、助太刀をしていない。

 

エボル『……………何であいつ、動かないんだ?』

全ての記憶『解。数多の種族の力を得た結果、豚頭帝の意識はその力に侵食され、混濁しています。』

エボル『そういう事か。』

 

 俺がそう呟くと、全ての記憶はそう答える。

 そういう事か。

 すると。

 

ゲルミュッド「うおぉぉっ!死者之行進演舞(デスマーチダンス)!!」

 

 ゲルミュッドは魔力弾を放ちながら、紅丸達から離れる。

 

ゲルミュッド(あんな化け物共の相手など、これ以上できん!ここは一旦引く!)

 

 ゲルミュッドはそう思っていた。

 だが、ゲルミュッドの体に無数の糸がつき、身動きが取れなくなる。

 

ゲルミュッド「なんだ………かっ体が…………っ!?」

蒼影「逃すわけがないだろう?エボル様より殺すなと言われているが、貴様には我らが失った同胞と同じ数だけ報いを受けてもらう。……………死んだ方が良かったと後悔するような痛みと苦しみを味わうがいい」

 

 ゲルミュッドが驚く中、蒼影はそう言う。

 それを聞いたゲルミュッドは、豚頭帝の方へと向きながら、助けを求める。

 

ゲルミュッド「おい、豚頭帝!俺を助けろ!」

ゲルド「…………腹が減った」

 

 ゲルミュッドの助けにも、豚頭帝はそう呟いただけだった。

 すると、苛立ったのか、ゲルミュッドは再び叫ぶ。

 

ゲルミュッド「クソが!俺を助けろ、豚頭帝!いや、ゲルドよ!!」

ゲルド「…………はっ!」

 

 豚頭帝改め、ゲルドは、ゲルミュッドの言葉に、何かを思い出すかの様な動きを見せる。

 

ゲルド「ん…………。」

ゲルミュッド「貴様がさっさと魔王に進化しておれば………!」

 

 ゲルミュッドがそう言う中、ゲルドは動き出す。

 ゲルドが動いた事に、他の鬼人達やシズさんも身構える。

 

紅丸「こいつを助けるつもりなら相手になるぞ。聞いた限りじゃ黒幕はこいつとその背後にいる存在らしいが、俺達の里を直接滅ぼしたのは貴様らオーク共だ。やるとなれば手心を加えるつもりはない。」

 

 紅丸はそんな風に言う。

 すると、ゲルミュッドは叫ぶ。

 

ゲルミュッド「この屑が。漸く動いたか。ハハハハハッ!こいつの強さを思い知るが良い!やれ、ゲルド!この俺に歯向かった事を後悔させ………!」

 

 ゲルミュッドの言葉は、最後まで続かなかった。

 なぜなら、ゲルドは、手に持つ巨大な包丁で、ゲルミュッドの首を刎ねたのだ。

 それには、その場にいる全員が驚く。

 全ての記憶が報告をする。

 

全ての記憶『ゲルミュッド、生命反応を停止しました。』

エボル『見れば分かる。』

 

 俺が全ての記憶にそう答えると、ゲルドが動いた。

 ゲルドは、そのゲルミュッドの死体を食べ始めたのだ。

 ゲルミュッドとしては、ガビルを生贄にするつもりだったのだろうが、ある意味、因果応報の結末となったな。

 すると、ゲルドからヤバそうな気配が出てくる。

 

エボル「リムル………これ、やばくね?」

リムル「ああ。」

 

 俺の呟きに、リムルがそう答えると、全ての記憶……………世界の言葉が報告する。

 

世界の言葉『確認しました。豚頭帝、個体名ゲルドの魔素が増大しました。魔王種への進化を開始します。』

エボル『マジかよ………!』

 

 そうか、一応、俺たち相手には手も足も出なかったが、ゲルミュッドは上位魔人だ。

 それを食ったのならば、魔王種へと進化してもおかしく無い。

 俺たちが身構える中、俺たちが身構える中、ゲルドから妖気オーラが出てくる。

 すると。

 

リムル「離れろ!奴から溢れる妖気オーラに触るな!!」

エボル「っ!?あ、ああ!」

 

 リムルがそう叫ぶので、俺たちは下がる。

 すると、その妖気オーラに触れた豚頭族の死体は、あっという間に溶ける。

 

ゴブタ「と、溶けたっす!豚頭族オークの死体が溶けたっすよ!?」

 

 ゴブタはそれを見て、そう叫ぶ。

 あの妖気オーラに触れた物は、容赦なく腐食するのか。

 かなりやばいな。

 すると、再び世界の言葉が聞こえる。

 

世界の言葉『成功しました。個体名ゲルドは、豚頭魔王へと進化完了しました。』

 

 俺は、その世界の言葉を聞く。

 

リムル「豚頭魔王………。」

エボル「魔王、ゲルド………。」

リムル「エボル。放置する訳には行かないよな。」

エボル「だな。」

 

 俺たちがそう話してると、ゲルドは咆哮を上げる。

 

ゲルド「ウオオオオ!俺は、豚頭魔王!この世の全てを食らう者なり!名をゲルド。魔王、ゲルドである!!」

 

 こいつを放置してたら、本当の災厄が、このジュラの大森林を襲うだろうな。

 すると。

 

紅丸「紫苑!黄歌!」

紫苑「はっ!」

黄歌「お任せを!」

シズ「行くわよ!」

 

 紅丸の指示を受けた紫苑と黄歌がゲルドに向かって走り出す。

 シズさんも。

 

リムル「おい?」

エボル「大丈夫か?」

紅丸「ここは、俺たちにお任せを。」

 

 俺とリムルの呟きに、紅丸はそう答える。

 紫苑と黄歌は、駆け出していた。

 

紫苑「薄汚い豚が!魔王だと?」

黄歌「思い上がるなァァ!!」

シズ「貴方はここで倒す!」

 

 紫苑、黄歌、シズさんの攻撃に、ゲルドは手に持っていた包丁で受け止める。

 

紫苑「うっ………!」

黄歌「ふっ!」

シズ「ふっ!」

 

 3人の攻撃をゲルドは弾き、ゲルドは3人に攻撃しようとするが、紫苑は剛力丸で、黄歌とシズさんは回避して、距離を取る。

 3人は、再びゲルドに向かって駆け出し、ゲルドは、3人に攻撃しようとする。

 

ゲルド「ふんっ!」

 

 だが、白老がすぐそばに来ていて、首を斬り飛ばす。

 

リムル「やった!」

エボル「いや、まだだ!」

白老「ん?」

 

 リムルがそう言うが、俺はそう叫ぶ。

 なぜなら、白老が斬り飛ばした筈の首を、ゲルドが抱えていて、首の方から触手みたいなのが伸びてきて、すぐに再生する。

 

白老「なっ………!?」

リムル「凄まじい回復能力だな………!」

エボル「奴を倒すには、超火力で吹き飛ばすしか無い!」

 

 これは、ある意味では、風都探偵に登場したドーパント、トラッシュ・ドーパントと似た能力だな。

 まあ、あっちとは違って、回復力が環境に影響されないみたいだが。

 すると、蒼影がいつの間にかゲルドの後ろにいて、地面から糸が伸び、ゲルドを包み込む。

 

蒼影「操糸妖縛陣!」

ゲルド「うう………。」

蒼影「やれ、紅丸!」

紅丸「これでも、食らってな!」

 

 紅丸は黒炎獄(ヘルフレア)を発動して、ゲルドを炎に閉じ込める。

 

嵐牙「ワォーーーーーン!!」

 

 嵐牙の咆哮と共に、糸が燃え、現れたゲルドに、雷が落ちる。

 嵐牙は唸っていて、リムルが話しかける。

 

リムル「魔素切れか?」

嵐牙「面目ありません………。」

リムル「俺の影に潜ってろ。」

嵐牙「はっ!」

 

 魔素切れを起こした嵐牙を、リムルは自分の影に潜らせた。

 俺が目を凝らすと、ゲルドはそこに居た。

 

紅丸「何っ!?」

「「「「あっ!?」」」」

リムル「まさか………!?」

シズ「そんな……………!?」

エボル「無事かよ………!?」

 

 俺たちは、驚いた。

 蒼影、紅丸、嵐牙の攻撃で、あちこちが焦げているものの、無事であるゲルドに。

 

ゲルド「これが………痛みか。」

リムル「嘘だろ………!?」

エボル「致死級の連続攻撃を食らっておきながら、存命かよ………!」

 

 俺とリムルがそう驚いていると、二人の豚頭将軍(オークジェネラル)のうち、1人が跪く。

 

豚頭将軍「王よ。この身を御身とともに。」

ゲルド「…………うむ。」

 

 豚頭将軍がそう言って、ゲルドが頷くと、その豚頭将軍を食べる。

 すると、黄緑色のオーラがゲルドを包み、回復していく。

 

リムル「…………自己再生と回復魔法か。」

エボル「厄介だな………。」

ゲルド「足りぬ。もっとだ!もっと大量に食わせろ!!」

 

 俺とリムルがそう言うと、ゲルドは手から魔力弾を発射する。

 それは、紅丸達の上空に行くと、幾つもの大量に分かれる。

 あれは、先程ゲルミュッドが使ったスキル、死者之行進演舞だろう。

 俺とリムルは、再び各々のスキルを使い、死者之行進演舞を無効化する。

 

紅丸「リムル様、エボル様。」

リムル「大丈夫だ。」

エボル「リムル、ちょっとアイツと戦わせてくれ。」

リムル「エボル!?」

 

 紅丸がそう言う中、リムルがそう言うと、俺はそう言う。

 リムルは驚いたのか、理由を聞いてくる。

 

リムル「何でだよ?」

エボル「今の俺がどこまでやれるのかを知りたくてね。それに、少しは戦わせろ。」

リムル「……………ったく。頼んだぞ。」

エボル「まあ、ある程度戦ったら、お前に譲ってやるよ。」

リムル「本当に自由だな、お前。」

 

 リムルがそう聞いてくるので、俺はそう言う。

 それを聞いたリムルは、呆れながらもそう言う。

 サンキュー。

 俺はスチームブレードを構える。

 

エボル「行くぜ。」

 

 俺はそう言いながら、ゲルドの方へと向かっていく。

 すると、ゲルドは、豚頭将軍が使っていたスキルを使う。

 

ゲルド「喰らい尽くせ!混沌喰(カオスイーター)!」

 

 そう叫ぶと、俺に向かって、四つの顔が飛んでくる。

 俺はそれを躱す。

 

エボル「ハァァァァァ!」

ゲルド「ぬぅぅぅん!」

 

 俺とゲルドは、激しい斬り合いをしていく。

 俺はゲルドを蹴り飛ばすと。

 

エボル「ハァァァァァ!」

 

 俺は胸部から巨大なコブラのエネルギー体を召喚する。

 そのコブラのエネルギー体は、ゲルドを拘束する。

 

ゲルド「ぬぅぅぅぅ……………!うぉぉぉぉぉ!」

 

 ゲルドはそう叫ぶと、コブラのエネルギー体を引きちぎる。

 やるなぁ。

 なら、これならどうだ!

 俺はスチームブレードのバルブを回す。

 

エレキスチーム!

 

エボル「ハァァァァァ!」

ゲルド「ぬぅ!?」

 

 俺はゲルドがコブラのエネルギー体に気を取られている隙にゲルドに近寄る。

 迎撃が間に合わないと思ったのか、ゲルドは腕で防御する。

 俺は電撃の煙を纏ったスチームブレードでゲルドの腕を切断する。

 切断された腕は、俺が取り込む。

 まあ良いだろう。

 すると、魔王ゲルドの記憶が流れ込む。

 それを見て、ゲルドが何故、こんな事をしたのかが分かった。

 すると。

 

全ての記憶『告。魔王ゲルドの一部を取り込んだ事で、エボルドライバーが使用可能になりました。』

エボル『マジか。だが…………。』

 

 全ての記憶はそう報告する。

 エボルドライバーが使える様になったな。

 まあ、それはそれとして。

 

エボル「リムル、あとよろしく。」

リムル「おい!?ったく……………気まぐれなんだよな、エボルは。大賢者、頼んだぞ!」

 

 俺はそう言う。

 リムルはそう言うと、大賢者に向かって叫ぶ。

 そんな中、ゲルドは。

 

ゲルド「うう………。」

 

 ゲルドはそう唸って、切断された左腕を千切る。

 

豚頭将軍「マイロード!ううっ!」

 

 残りの豚頭将軍が、ゲルドに向かって叫ぶ。

 すると、再びあの黄緑色のオーラがゲルドを包む。

 

ゲルド「おおおおおおっ!」

 

 すると、千切った左腕があっという間に再生する。

 しかも、更にパワーを増した気がする。

 ゲルドの方も、本気になったか。

 

ゲルド「今こそ、お前を食ってやろうぞ!はっ!」

 

 ゲルドがそう叫ぶと、再び死者之行進演舞を発動する。

 リムルは、それぞれのスキルで、死者之行進演舞を無力化する。

 大賢者のオートバトルモードだな。

 すると、ゲルドは異常なほどの速さで、リムルの背後に立つ。

 リムルはゲルドに捕まってしまった。

 

ゲルド「ワハハハハ!まずは貴様をこのまま食らってくれるわ!」

エボル「リムル!」

 

 すると、ゲルドの足元に、魔法陣が出現する。

 その魔法陣から出た炎は、ゲルドをリムルごと包み込む。

 

ゲルド「うわぁぁぁ!!」

エボル「あれは!?」

全ての記憶『解。個体名リムル=テンペストがイフリートを取り込んだ際に手に入れたスキル、炎化爆獄陣(フレアサークル)です。』

エボル「なるほど。」

 

 そんなスキルもあったのか。

 だが…………。

 

ゲルド「うわぁぁぁ…………ハハハハハ!」

 

 ゲルドは、無事だった。

 どうやら、炎耐性を獲得してしまった様だな。

 このままじゃ、リムルが食べられるな。

 ゲルドは、勝利の宣言をする。

 

ゲルド「う〜ん………。俺には炎は通じぬ様だぞ。」

リムル「そうかよ。炎で焼け死んだ方が幸せだったかもしれないぜ。」

ゲルド「フン!」

リムル「俺は、お前を敵として認めた。今こそ、本気でお前の相手をしてやるよ。」

ゲルド「ワッハハハハ!笑止!今までは本気でなかったとでも?最早、貴様には何もできぬ!このまま俺に食われるが良い!」

 

 ゲルドがそう言うと、リムルの周囲から、煙が出てくる。

 だが、ゲルドの手の下から、リムルのスライムとしての一部が出てくる。

 なるほど、そういう事か!

 

リムル「お前に食われる前に、俺がお前を食ってやるよ。俺は………スライムだ!」

ゲルド「なっ!?おお………!?」

 

 リムルは、擬態と変身を解除して、ゲルドに纏わりつく。

 ゲルドがリムルを掴もうとする中、俺はすぐにスチームブレードで左腕を切断する。

 

ゲルド「き…………貴様ら………!」

エボル「リムルを甘く見たな。そいつ、スライムなんだよ!」

リムル「ああ!食うのは、お前の専売特許じゃねえんだよ。………お前が俺を食うのが先か、俺がお前を食うのが先か。相手を食い尽くした方が勝ちだ!」

ゲルド「うおおおっ!」

 

 ゲルドは、何とかリムルを剥がそうとするが、左腕を失っている事が影響して、中々上手く行かない。

 リムルは、次第にゲルドを包み込んでいく。

 すると。

 

ゲルド(俺が、民を……………!)

 

 そんな風に聞こえてくると、目の前がスパークする。

 目を塞いで、しばらくして、目を開けると、そこには、枯れ果てた大地が。

 

リムル「何だ、この光景?」

エボル「枯れ果てた大地………。」

リムル「えっ!?何でエボルまで居んの!?」

エボル「分からない……………。」

 

 何が起こっているんだ?

 すると、全ての記憶が言う。

 

全ての記憶『告。恐らく、個体名ゲルドの一部を取り込んだ影響だと推測。』

エボル『そういう事か……………。』

 

 なるほど、そういう事か。

 すると、子供の泣き声が聞こえてくる。

 

リムル「アレは………豚頭族の子供か?」

エボル「あんなに痩せ細って………。」

 

 これが、飢饉の影響なのだろう。

 こんな環境下では、まともな食べ物など、無いに等しいだろう。

 すると、そこに大柄な豚頭族と、その従者の豚頭族がやって来る。

 

エボル「リムル、あれって………。」

リムル「多分、後のゲルドだ。恐らく、豚頭魔王、ゲルドの記憶の中………。」

エボル「ゲルドの記憶………。」

 

 俺たちがそう話す中、後のゲルドとなる豚頭族は。

 

ゲルド「腹が減ったのか。少し、待っていなさい。」

 

 そう言うと、ゲルドは自分の左腕を千切る。

 それには、後ろの豚頭族が目を背ける。

 ゲルドは、千切った左腕を、子供達の前に置く。

 

ゲルド「さあ、食べなさい。」

 

 子供達は、一瞬躊躇ったが、一心不乱にゲルドの左腕を食べる。

 それを見て、ゲルドは。

 

ゲルド「しっかり食べて、大きくなるのだぞ。」

 

 そう優しく語りかけた。

 その後、場所を移動したゲルドは、一人の豚頭族から懇願される。

 

豚頭族「王よ。もうお辞め下さい。この大飢饉の中、王である貴方まで失ってしまっては、我ら豚頭族には、もはや絶望しかありません………。」

 

 そんな痛切な願いを聞いたゲルドは、再生した左腕を見ながら。

 

ゲルド「…………一昨日生まれた子が、今朝死んだ。昨日生まれた子は、虫の息だ。この身はいかに切り刻もうと再生するのに………これが既に絶望でなくて、何だと言うのだ。」

豚頭族「王よ………。」

ゲルド「森に入り、食料を探す。」

豚頭族「あ………。王よ!ジュラの森は、暴風竜の加護を受けし場所………!」

ゲルド「その暴風竜は、封印されて久しい。………少しばかりの恵みを………。」

 

 ゲルドは、その豚頭族の静止を振り切って、ジュラの森へと向かっていく。

 しばらくして、ゲルドは倒れ、ゲルミュッドと出会った。

 すると、俺とリムルの背後に、豚頭魔王、ゲルドが現れる。

 

ゲルド「あの方は教えてくれた。豚頭帝となった俺が食えば、飢餓者(ウエルモノ)の支配下にある者は死なない。………邪悪な企みの駒にされていた様だが、賭けるしかなかった。だからオレは食わねばならない。………お前が何でも食うスライムだとしてもオレは食われるわけにはいかない。」

リムル「食い合いは、俺に分がある。お前は負ける。」

 

 現実世界では、リムルに取り込まれ、溶け始めているゲルドの姿があった。

 現実世界の俺は、それを見て、仮面の下で涙を流していた。

 

ゲルド「俺は、他の魔物を食い荒らした。ゲルミュッド様を食った。同胞すら食った。同胞は飢えている。俺は負ける訳にはいかない。」

リムル「………この世は弱肉強食。お前は負けたんだ。だから、お前は死ぬ。」

ゲルド「俺は…………負ける訳にはいかない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。俺は罪深くとも良い。皆が飢える事のない様に、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ。」

エボル「…………それでも、お前は負ける。だが、安心しろ。お前の罪や同胞の罪は、俺が背負ってやる。」

 

 ゲルドは、俺の言葉に驚いた。

 

ゲルド「………何だと?」

エボル「アンタは、良い奴だからな。」

リムル「なら俺は、お前達オークの罪を食ってやる。」

ゲルド「俺の罪を………背負う?食う?」

リムル「ああ。お前だけじゃなく、お前の同胞、全ての罪も食ってやるよ。」

ゲルド「同胞も含めて………罪を?フッ。お前達は欲張りだ。」

リムル「そうだなぁ。俺は欲張りだよ。」

エボル「でも、欲張りで何が悪いんだよ?」

 

 俺とリムルがそう言うと、俺たちの足元から枯れ果てた大地が、緑豊かな草原となっていき、ゲルドも、豚頭魔王から、普通の豚頭族としての姿に戻っていく。

 ゲルドが目を開けると、そこには。

 

ゲルド「お………!おおっ…………!」

 

 そこには、自然溢れる草原が広がり、鳥の鳴き声、子供達の笑い声、川のせせらぎが溢れていた。

 それを見て、ゲルドは、膝をつき、大粒の涙を流す。

 

ゲルド「…………強欲な者達よ………俺の罪を背負いし者よ………!俺の罪を食らう者よ………!感謝する。俺の飢えは……………満たされた。」

 

 そう言って、ゲルドは消える。

 俺は、自分の意識が現実世界に戻った事を実感する。

 リムルは、スライムとしての姿から、人としての姿になる。

 

リムル「…………安らかに眠るが良い。ゲルド。」

エボル「お前の事は忘れないでやるよ。」

 

 俺とリムルは、そう呟く。

 豚頭帝が倒された事により、飢餓者の効果も消滅した。

 現時点を持って、豚頭族の侵攻は、終わったのだった。

 俺は変身解除して、リムルと共に振り返ると、皆が歓声を上げる。

 豚頭族達は、王を失った悲しみに暮れていた。

 そんな中、ゲルドのそばにいた豚頭将軍は呟いた。

 

豚頭将軍「王よ………。やっと………解放されたのですね。」

 

 そうして、戦いは終結した。

 その後、戦後処理の為に集まる事になって、蜥蜴人族達は、引き上げて行った。

 俺とリムルは、鬼人達に話しかける。

 

リムル「………終わったな。」

紅丸「はっ。」

エボル「豚頭帝を討ち滅ぼしたら、自由にしてもらって良いという約束だ。今までご苦労だったな。」

紅丸「リムル様、エボル様。お願いがございます。」

リムル「何だ?」

エボル「ん?」

 

 俺とリムルがそう言う中、紅丸は俺たちに話しかける。

 

紅丸「何卒、我らの忠誠をお受け取り下さい。我ら、これからもリムル様とエボル様にお仕えいたします!」

エボル「え?」

リムル「…………良いのか?」

白老「異論はござらぬ。」

蒼影「あなた様方に会えて、自分達は幸運であります!」

 

 紅丸の言葉に、俺たちはそう聞いて、白老、蒼影が答える。

 すると、紫苑はリムルの方に、黄歌は俺の方に来る。

 

紫苑「フフフフッ!」

リムル「うっ!ううっ………。」

紫苑「私は、リムル様の秘書兼護衛ですよ!絶対に離れませんからね!」

黄歌「私も、エボル様の秘書兼護衛です。離れたりなんてしませんよ。」

紅丸「我らの命、果てるまで!」

リムル「う………うん。」

エボル「そ、そうか。」

 

 こうして、紅丸達鬼人は、俺たちの仲間になったのだった。

 その頃、リムルの胃袋の中では。

 

ゲルド「……………ここは、一体どこだ?」

 

 魔王ゲルドは、リムルの胃袋の中で周囲を見渡していた。

 すると。

 

???「お主が魔王ゲルドだな。」

ゲルド「ん?……………っ!?」

 

 そんな風に声をかけられ、魔王ゲルドが振り返るとそこには、ヴェルドラの姿があった。

 

ヴェルドラ「民を想いしオークの王よ。」

ゲルド「貴方は……。」

ヴェルドラ「我は暴風竜ヴェルドラ=テンペスト。貴様の民を想う心、実に見事だった。故に、我の元に貴様を招く事にした。」

 

 ヴェルドラがそう話しかけると、魔王ゲルドはそう言う。

 ヴェルドラは、ゲルドを招いたのだった。

 それを聞いたゲルドは。

 

ゲルド「…………ありがたい誘いですが、俺の心は満たされた。………もう思い残す事は無い。」

ヴェルドラ「本当にか?………リムルとエボルの元で笑顔で過ごすオークの民の姿をみたくはないか?」

ゲルド「っ!」

 

 ゲルドはそう言って、辞退しようとする。

 すると、ヴェルドラの言葉にゲルドは反応する。

 ヴェルドラは口を開く。

 

ヴェルドラ「お前にはその資格があるのだ。さあ遠慮はいらぬぞ。共にリムルとエボルを見守ろうぞ。」

ゲルド「は……………はい!」

 

 ヴェルドラがそう言うと、ゲルドは涙目でそう言う。

 こうして、魔王ゲルドはヴェルドラの元で保護されたのだった。




今回はここまでです。
今回は、魔王ゲルドとの戦いです。
エボルも、スタークとして、活躍しました。
その間、魔王ゲルドの一部を取り込んだ事で、エボルドライバーが使用可能になりました。
戦いが終わった後、鬼人達が仲間になり、魔王ゲルドの民を想う心を見たヴェルドラが、魔王ゲルドを保護しました。
次回は、戦後の話し合いです。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ドラゴンフォームはカリュブディス、ラビットフォームは精霊の棲家、ブラックホールフォームはヒナタとの最初の戦いで投入します。
エボルトリガーを、ヒナタのデッドエンドレインボーを利用して、完成させる感じで。
エボルXに関しては、帝国との戦争の際に投入します。
今後の展開や、ルミナスとどんな風にくっつけるのか、リクエストがあれば、活動報告から承っております。
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